「予算は増やさず、納期は半分にし、品質は上げてほしい」。AIへの依頼には、同時に満たせるか分からない条件が混ざりがちです。もっともらしい計画が出ても、どれかの条件が無言で緩められているかもしれません。
対策は、条件を長く並べることだけではありません。絶対に守るもの、余裕があれば満たすもの、満たせなければ止まるものを分けます。本記事では、社内勉強会の計画を例に、矛盾を残したまま進めない依頼文を作ります。金額や人数は説明用の仮定です。
まず、入力情報と守る条件を分ける
「参加予定者は20人」は計画の入力情報です。「会場定員を超えない」は守る条件です。「20人が参加することを保証する」は、同じ数字でも別の要求になります。分かっていることと、実現したいことを混ぜないようにします。
次に、予算の範囲を具体化します。「予算3万円」だけでは、税込か、交通費を含むか、参加費収入と相殺するかが分かりません。AIが都合よく補わないよう、「支出総額が税込3万円以内。収入との相殺はしない」と書きます。
必須条件と希望条件を分ける
架空の社内勉強会を計画するとします。必須条件は「税込支出3万円以内」「勤務時間内の90分」「外部へ社内資料を送らない」の三つです。希望条件は「外部講師を招く」「参加者全員が実習する」とします。
希望を全部必須にすると、実現できる案がなくなる場合があります。反対に、予算上限を希望扱いにすると、予算を超えた案が採用候補に紛れます。この区分はAIの判断で変更させず、担当者が決めます。
Anthropicの公式ガイドも、期待する出力形式や制約を具体的に示すことを勧めています。ただし、指示を明記すれば必ず守られるという保証ではありません。以下の三分類は、本記事が業務用に提案する整理法です。
満たせない場合の動作を書く
計画案だけを要求すると、不明な費用をゼロとして扱ったり、未確認の会場を使えると仮定したりする可能性があります。「分からないときにどうするか」を、依頼の中に入れます。
停止条件は、たとえば「費用の根拠が確認できない」「必須条件同士が両立しない」「実行に追加の許可が必要」の三つです。止まるとは、何も出さないことではありません。満たせない条件、確認が必要な情報、選択可能な修正案を示して、確定を保留することです。
そのまま使える依頼文
「社内勉強会の計画案を作ってください。参加予定は20人です。必須条件は、税込支出総額3万円以内、勤務時間内90分、社内資料を外部へ送らないことです。希望条件は、外部講師と全員参加の実習です。まず条件の矛盾と不足情報を確認してください。未確認の費用をゼロと置かず、不明と記載してください。必須条件を満たせない場合は、条件を勝手に緩めず、確認事項と修正案を示してください。出力は、案の内容、費用の根拠、時間配分、条件ごとの充足状況、未確認事項の順にしてください。予約や申込みは行わず、計画案の作成までとします。」
自社の依頼へ置き換えるときは、予算だけでなく、使える人員、資料、期限、実行してよい範囲を入れます。情報が多いほどよいのではなく、判断を変える条件を漏らさないことが目的です。
出てきた案を三つの方法で確かめる
一つ目は再計算です。費用の各項目を足し、上限と比べます。AIが「予算内」と書いたことを計算の代わりにしません。不明な項目があれば、合計も暫定と扱います。
二つ目は時間の突き合わせです。受付、説明、実習、質疑、休憩を合計し、90分へ収まるかを確認します。準備時間を勤務時間の外へ押し出していないかも別に見ます。
三つ目は境界の確認です。どの資料を誰に渡すか、誰が実行するかを読み、元の許可範囲から外れていないかを確かめます。計画が成立しても、予約や送信の許可まで得たことにはなりません。
修正するのは、条件か案のどちらか
外部講師の費用が不明なら、講師への確認待ちにするか、社内担当者で行う案を比較します。予算を緩める必要があるなら、予算を決める人へ戻します。AIが作った案に合わせて、元の制約を後から書き換えないことが大切です。
用語の整理は、プロンプトにおける条件と制約条件の違いを参照してください。本記事では、条件が競合する場面の依頼と確認に絞りました。
参考資料
Anthropic:Prompting best practices(2026年9月12日確認)。明確な指示と制約の書き方を参照しました。勉強会の条件、依頼文、確認手順は本記事で作成した例です。






