リサーチクエスチョンの作り方:AI導入の議論を「調べて答えられる問い」に変える

AI導入を調べて答えられる問いに整理する同僚

「わが社もAIを導入すべきか」。この問いから調査を始めると、便利な機能や成功事例が次々に集まります。それでも、どの業務から始めるかは決まりません。対象と比較相手、判断に使う数字が定まっていないからです。

リサーチクエスチョンは、調査で答えを出すために絞った問いです。本記事では、AI導入を検討する担当者が、自分の業務について調査計画を一枚にまとめる方法を示します。以下の会社・数値・条件は説明のための架空例です。導入効果を示す実績ではありません。

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「テーマ」と「調べる問い」を分ける

テーマが「AIによる業務改善」なら、まず決めたいことを書きます。たとえば「問い合わせ返信の下書きにAIを使う試行を始めるか」です。対象は問い合わせ業務、作業は下書き、決定は試行の開始です。全社導入の可否を一度に判断する必要はありません。

ジョージ・メイソン大学のWriting Centerは、研究の問いに明確さ、焦点、答えを検討する余地などが必要だと説明しています。本記事の業務向け手順は、その考え方を参考にした実践案です。学術研究の設計をそのまま代替するものではありません。

対象・比較・指標・範囲を一つずつ決める

対象:定型的な製品仕様の問い合わせ。苦情や契約交渉は今回の試行に含めません。

比較:担当者が最初から書く方法と、AIの下書きを担当者が確認・修正する方法を比べます。

指標:作成開始から送信できる文章になるまでの所要時間に加え、事実誤認と修正箇所を記録します。生成にかかった時間だけを測ると、確認の負担が抜けます。

範囲:試行期間、使える資料、担当者、対象件数を先に決めます。少数の試行結果から全社での効果を断定しません。

問いを一文にする

たとえば「製品仕様の定型問い合わせを対象に、同じ資料と確認基準を使った場合、AIの下書きを修正する方法は、担当者が最初から書く方法に比べて、送信可能になるまでの時間と事実誤認をどう変えるか」と書けます。

時間が短くなっても、誤りや修正負担が増えるかもしれません。良い結果を前提にしないことが大切です。「AIで何分短縮できるか」だけでは、導入を正当化する数字を探す調査に偏りやすくなります。

AIには答えより先に問いの不足を確認させる

次の依頼文に、自分の業務を入れて使えます。社外秘や個人情報は、利用が認められた環境と範囲で扱ってください。

「次の業務でAIを試すか検討しています。対象業務、現在の方法、使える資料、決定期限を読み、調べて答えられる問いを一つ提案してください。対象、比較、指標、期間の不足を先に挙げてください。足りない条件を事実として補わず、仮置きと明記してください。AI導入が有利という前提を置かないでください。」

調査を始める前に残す一枚

一枚のメモに「決めたいこと」「問い」「必要な証拠」「比較方法」「判断を保留する条件」を書きます。保留する条件は、対象件数不足、比較する業務の難しさの違い、記録漏れなどです。

試行の結果が分かれたら、問いを狭めます。製品仕様には役立つが苦情対応には判断材料が足りないなら、その違いを残したまま次の試行を決めます。一つの平均値で、異なる業務をまとめて結論づけないことが重要です。

関連解説:テーマ・論点・リサーチクエスチョンの関係

参考資料

George Mason University Writing Center:How to Write a Research Question(2026年9月12日確認)。研究の問いの基本的な考え方を参照しました。業務例と依頼文は本記事で作成したものです。

対象・比較・指標・範囲を定め、問いを一文にし、調査計画をまとめる手順
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