直感への過度な依存は、意思決定を歪めます。なぜなら、判断の速さと引き換えに、前提や根拠の検証を省いてしまうからです。
直感は悪いものではありません。経験を重ねた人ほど、過去のパターンから素早く状況をつかめます。問題は、その直感が今の状況にも当てはまるとは限らないことです。市場、顧客、組織の状態が変わっているのに、過去の成功体験だけで判断すると、現実とのずれを見落とします。
たとえば「この商品は売れるはずだ」と感じたとします。その直感の裏には、「顧客はこの価値を求めている」「価格は受け入れられる」「競合との差別化は十分だ」という前提があります。これらを確かめないまま進めば、判断は経験ではなく思い込みになります。
大切なのは、直感を捨てることではありません。直感を仮説として扱うことです。「なぜそう感じたのか」「どの前提が成り立てば正しいのか」「外れたときの兆候は何か」を言葉にする。直感は意思決定の入口にはなりますが、結論そのものにしてはいけません。速く感じ、冷静に検証することが、直感を活かす意思決定なのです。
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