定義は「ならば」だけでは足りない

「定義は命題文で書くのか、条件文で書くのか」

一見すると、どちらかを選べそうです。
でも、この二択は少しずれています。

理由は、条件文も命題文の一種だからです。

たとえば、こう書けます。

AならばB

これは条件文です。
同時に、真か偽かを問えるので命題文でもあります。

では、定義はどう書くのか。

答えは、基本的には「必要十分条件」です。

記号で書くと、こうです。

∀x ( A(x) ⇔ P(x) )

意味はこうです。

任意のxについて、xがAであることと、xがPを満たすことは同じである。

たとえば、三角形ならこうです。

Triangle(x) :⇔ Polygon(x) ∧ HasThreeSides(x)

xが三角形であるとは、xが多角形であり、3本の辺をもつことです。

ここで大事なのは、矢印が片道ではない点です。

A(x) → P(x)

だけなら、「AならばP」です。
これはAであるための条件を一部だけ言っている場合があります。

定義にしたいなら、反対向きも要ります。

P(x) → A(x)

つまり、両方合わせてこうなります。

A(x) ⇔ P(x)

日常の文章では、「AとはPである」と書きます。
見た目は普通の説明文です。

でも、論理の中身は片道の「ならば」ではありません。
「AならP」かつ「PならA」です。

会議でも文章でも、定義をあいまいにすると、話は進んでいるように見えます。
でも最後に、全員が少し違う意味で同じ言葉を使っていたことに気づきます。

だから、定義を書くときは一度だけ考えるとよいです。

「これは片道の条件か。両方向の定義か。」

この確認だけで、あとから出てくる「何の話でしたっけ」が少し減ります。

Contents