赤字事業の会議が止まる理由。意見ではなく前提を見る

赤字の新規事業を続けるか、止めるか。

経理は撤退と言います。<br>事業部は継続と言います。<br>現場は縮小と言います。

同じ売上、同じ費用、同じ顧客の声を見ているのに、結論が割れます。<br>この場面で会議が止まる理由は、資料が足りないからではありません。<br>意見が強すぎるからでもありません。

前提が空白だからです。

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会議が止まる場面

たとえば、ソイプロテインの新規事業が三期連続で赤字だったとします。<br>広告費は月四百八十万円です。<br>売上は伸びていますが、利益は追いついていません。

経理部長は、損益表に赤い丸をつけます。<br>このまま続ける理由がない、と言います。

事業部長は、顧客から届いたはがきを出します。<br>朝食を変えて体調が戻った、という声です。<br>リピート率も上がっています。<br>ここで止めると、育ち始めた顧客を失うと言います。

製造部長は、ライン表を置きます。<br>商品名が十二個並んでいます。<br>うち五個に黄色い付箋がついています。<br>現場はもう詰まっている、と言います。

三つの資料は、どれも正しい資料です。<br>だから会議は止まります。

撤退か。<br>継続か。<br>縮小か。

この三択から始めると、会議は誰の意見を通すかの場になります。<br>経理を選べば、顧客の声を切るように見えます。<br>事業部を選べば、赤字を軽く見るように見えます。<br>現場を選べば、成長をあきらめるように見えます。

先に書く一行

この場面で先に書くべき一行があります。

今回の意思決定で守るものは何か。

ここから始めます。

短期の損失を広げないこと。<br>育ち始めた顧客を見捨てないこと。<br>現場が続けられる商品数に戻すこと。

この三行を書くと、同じ資料の意味が変わります。

経理の資料は、撤退のためだけの資料ではなくなります。<br>損失の上限を決める根拠になります。

事業部の資料は、継続のためだけの資料ではなくなります。<br>九十日だけ続ける理由になります。

製造の資料は、縮小のためだけの資料ではなくなります。<br>商品数を半分にする条件になります。

結論は、前提のあとに出す

前提を書いたあとなら、結論は短くなります。

九十日だけ継続する。<br>商品数は半分にする。<br>広告費は月三百万円までにする。<br>九十日後に、リピート率と粗利で見直す。

この結論は、誰か一人の意見を通したものではありません。<br>三つの前提から出した結論です。

会議で決めるべきものは、先に結論ではありません。<br>まず前提です。

前提が見えると、根拠と選択肢と結論がつながります。<br>根拠だけを増やしても、前提が空白なら会議は止まります。<br>選択肢だけを並べても、前提が空白なら会議は割れます。

自社で使うなら

次の会議で、決まらない議題が出たら、議事録に一行足してください。

今回の意思決定で守るものは何か。

この一行に答えられると、会議は前に進みます。<br>答えられない場合、資料を増やす前に前提を書きます。

利益を守るのか。<br>顧客基盤を守るのか。<br>現場の継続性を守るのか。<br>将来の選択肢を守るのか。

何を守るかを先に書くと、撤退、継続、縮小は対立ではなくなります。<br>会社として選べる選択肢になります。

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