サンクコストへの固執は、意思決定を歪めます。なぜなら、すでに使った時間やお金を理由に、本来見直すべき結論を変えられなくなるからです。
意思決定で大切なのは、これから得られる価値と、これから負うコストです。しかし人は、「ここまで投資したのだから」「今さらやめられない」と考えがちです。その瞬間、判断の基準は未来の合理性ではなく、過去を正当化することに変わります。
たとえば赤字の事業を続けるかどうかを考える場面があります。これまで多額の開発費を使い、人員も投入してきたとします。その事実は重いものです。しかし、今後も顧客が増えず、追加投資の回収見込みも低いなら、続ける理由にはなりません。見るべきなのは「すでに失ったもの」ではなく、「これから何を選ぶべきか」です。
サンクコストを断ち切るには、過去の投資と未来の判断を分ける必要があります。失敗を認めることは苦しいですが、過去を守るために未来を失ってはいけません。意思決定とは、費やしたものに報いることではなく、これからの資源をどこに向けるかを選び直すことなのです。
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