形式知とは、文章、図表、数式などによって明確に表現することができる知識のことを指します。客観的で論理的に記述できるため、誰にでも理解しやすく、共有や伝達しやすいという特徴があります。
形式知の例
- マニュアル
- 教科書
- 法律
- 辞書
- 地図
- 設計図
- プログラム
- 数式
- 図表
- 統計データ
形式知の特徴
- 客観性: 個人差や主観的な解釈に左右されず、客観的に記述できる。
- 論理性: 論理的に体系化されており、矛盾なく理解できる。
- 共有性: 文章や図表などによって明確に表現できるため、共有や伝達しやすい。
- 永続性: 記録媒体に保存することで、長期的に保存できる。
形式知と暗黙知
形式知とは対照的に、暗黙知とは、経験や勘によって体得された知識であり、言語化することが難しい知識のことを指します。形式知とは異なり、主観的で個人的な要素が強く、共有や伝達することが難しいという特徴があります。
形式知と暗黙知の相互変換
形式知と暗黙知は、相互に変換することが可能です。暗黙知を形式知化することで、共有や伝達が容易になり、組織全体の知識資産として蓄積することができます。一方、形式知を暗黙知化することで、個人のスキルや経験として体得し、実践的に活用することができます。
形式知の重要性
形式知は、組織運営や知識管理において重要な役割を果たします。組織内の知識を形式知化することで、以下のメリットを得ることができます。
- 知識の共有・伝達: 組織内のメンバー間で知識を共有しやすく、効率的な知識伝達が可能になる。
- 知識の蓄積: 形式知を記録することで、組織の知識資産として蓄積し、長期的に活用できる。
- 人材育成: 形式知を教材として活用することで、人材育成を効率的に行うことができる。
- 品質の向上: 作業手順などを形式知化することで、作業の標準化・品質向上に繋げられる。
- リスクの低減: 暗黙知に頼るのではなく、形式知として文書化することで、属人化リスクを低減できる。
形式知化の課題
形式知化には、以下の課題があります。
- 時間とコスト: 暗黙知を形式知化するのに、時間とコストがかかる。
- 完全な形式知化の難しさ: すべての暗黙知を完全に形式知化することは難しい。
- 形式知の活用: 形式知を有効活用するためには、適切な教育やトレーニングが必要。
形式知化の成功事例
- トヨタ生産方式: トヨタ自動車が開発した生産方式。作業手順をマニュアル化し、誰でも同じ品質の製品を作れるようにした。
- ISO 9001: 国際標準化機構 (ISO) が制定した品質マネジメントシステムの規格。組織の活動を文書化し、品質を管理する。
- Wikipedia: インターネット上の百科事典。誰でも編集できる自由な形式知の共有プラットフォーム。
形式知は、組織の知識を共有し、活用するための重要なツールです。形式知化の課題を克服し、形式知を有効活用することで、組織の競争力向上に繋げることができます。