世界モデル

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I. 序論:AIにおける「想像力」の獲得

A. 世界モデルの核心的定義

人工知能(AI)の分野における「世界モデル(World Models)」とは、AIエージェントが観測データに基づき、自身が置かれた環境(すなわち「世界」)の仕組み、動的な変化(ダイナミクス)、そして因果関係を学習し、自身の内部に構築した「シミュレーション可能な内部表現(internal representation)」を指します 1

これは、AIが「環境の変化や行動の結果を効率的に学習・予測する」ために設計された技術的枠組みです 2。比喩的に、世界モデルはAIに「想像力」を持たせる技術、すなわち、実際に行動を起こす前に「もしこうしたら、どうなるか」という思考実験(シミュレーション)を可能にするメカニズムであると表現されます 2

B. 概念的基盤:人間のメンタルモデルとの類推

世界モデルの概念は、人間が認知プロセスで使用する「メンタルモデル」と深く類似しています 1。人間は、現実世界で得た経験から「身の回りの世界のイメージを模型のように頭の中に再現」します。そして、この内部モデルを用いて「想像の中で未来予測をシミュレート」し、次にとるべき行動を計画したり、外部からの刺激に対して本能的・反射的な反応を可能にしたりしています 1

AIにおける世界モデルも同様に、観測されたデータから世界の「模型」を内部に構築し、そのモデル内での高速なシミュレーションを通じて、より合理的で、効率的かつ安全な行動戦略を獲得ことを目的としています。この内部シミュレーション能力の獲得は、AIが単なる受動的なパターン認識システムから、能動的に未来を予測し計画を立てる審議的な(deliberative)システムへと進化するためのパラダイムシフトを意味します。これは、環境の表面的な相関関係ではなく、その背後にある因果構造を学習しようとする、より野心的な試みです。

C. 本レポートの重要性と構成

2024年現在、AI研究の最先端では、大規模言語モデル(LLM)が達成した「言語的知能」から、Yann LeCun氏(Meta社 チーフAIサイエンティスト)らが強く提唱する「物理的知能」へと、研究の焦点が移りつつあります 4

この文脈において、世界モデルは、AIがテキストデータだけでは学習不可能な物理世界の常識やダイナミクスを理解し、現実世界と効果的にインタラクションするための鍵として、汎用人工知能(AGI)達成に向けた最重要フロンティアの一つと見なされています。

現代のAI研究は、大きく二つの潮流に分岐していると捉えることができます。一つは「言語(シンボル)をマスターしたAI」(LLM)であり、もう一つは「物理世界(インタラクション)をマスターするAI」(世界モデル)です。LLMが「世界についての知識(記述)」を統計的に学ぶのに対し、世界モデルは「世界の仕組み(ダイナミクス)」そのものをモデル化しようとします。ユーザーのクエリ「AIの世界モデルとは」は、単なる技術用語の定義を求めるだけでなく、この「AGIへのもう一つの道」が具体的に何を意味するのかを問う、時宜を得た問いであると言えます。

本レポートは、この世界モデルの基礎理論を確立した2018年の独創的な論文のアーキテクチャ分析から始まり、強化学習におけるその後の進化(Dreamer, MuZero)、ロボティクスや自動運転、さらには動画生成AI(Sora, Genie)といった最新の応用事例、そしてAGI研究における戦略的重要性までを、技術的詳細に基づき包括的に解明します。

II. 基礎理論:2018年「World Models」論文の解剖

A. 概念の起源:Ha & Schmidhuber (2018)

AIコミュニティにおいて「世界モデル」という名称を技術的に確立させたのは、David Ha氏(当時 Google Brain)と、LSTM(Long Short-Term Memory)の考案者であるJürgen Schmidhuber氏によって2018年に発表された独創的な論文『World Models』です 1

この論文は、エージェントがシミュレートされた環境(具体的にはカーレースゲーム『VizDoom』6 や『CarRacing-v0』3)において、環境の高次元な観測(ピクセルデータ)から、その環境のダイナミクスを予測する内部モデルを学習し、その内部モデルのみを利用してタスク(運転)を解決する枠組みを提示しました 3

B. アーキテクチャの詳細分析:3つのコンポーネント

2018年の『World Models』で提案されたアーキテクチャは、機能的に明確に分離された3つの独立したコンポーネントで構成されています 3

1. V (Vision) コンポーネント:観測の圧縮

  • 役割: エージェントが観測する高次元のデータ(例:ゲームのピクセル画像)を処理し、情報を失うことなく、低次元の「潜在空間(Latent Space)」ベクトル $z_t$ に圧縮します 3
  • 技術: この次元削減のために、変分オートエンコーダ (Variational Autoencoder, VAE) が使用されます 3。VAEは、単なる圧縮・復元を行うオートエンコーダとは異なり、データの確率分布を学習します。これにより、観測データの「本質的な特徴」を捉えた、構造化された潜在空間を形成することができます 3。このVAEは、環境のダイナミクス(Mコンポーネント)とは独立して、事前に学習されます。

2. M (Memory) コンポーネント:未来の予測

  • 役割: VAEが生成した現在の潜在ベクトル $z_t$、エージェントが実行した行動 $a_t$、およびMモデル自身の過去の記憶(RNNの隠れ状態 $h_t$)を入力として受け取り、の時点 $t+1$ で観測されるであろう潜在状態 $z_{t+1}$ の確率分布 $P(z_{t+1} | a_t, z_t, h_t)$ を予測します 5
  • 技術: この時系列予測のために、再帰型ニューラルネットワーク (RNN) が使用されます 3。特に、論文ではLSTM 1 に混合密度ネットワーク (Mixture Density Network, MDN) を組み合わせたMDN-RNNが採用されています 5

3. C (Controller) コンポーネント:行動の決定

  • 役割: タスクの報酬(例:レースで前に進む)を最大化する行動 $a_t$ を決定します。
  • 技術: このアーキテクチャの最も驚くべき点の一つは、Cコンポーネントの構造と学習方法です。Cは、現在の観測の潜在ベクトル $z_t$ と、Mモデルの隠れ状態 $h_t$ のみという、非常にコンパクトな情報(VとMの出力)を入力とします 5。その結果、Cは極めて小規模な線形モデル(論文のカーレース実験ではパラメータ数わずか867)で十分な性能を発揮します 5。さらに、Cの学習には一般的な強化学習アルゴリズム(勾配降下法)ではなく、共分散行列適応進化戦略 (CMA-ES) と呼ばれる勾配不要な進化アルゴリズムが用いられました 5

C. このアーキテクチャの革新性

『World Models』論文の真の革新性は、この「知覚・予測(V, M)」と「制御(C)」を意図的に分離した点にあります 5

まず、VとMで構成される「世界モデル」が、環境の複雑なダイナミクス(「このピクセルが次にどうなるか」)の学習と予測という「重労働」をすべて引き受けます。そして、C(制御器)は、その世界モデルが提供する「クリーンで本質的な」低次元の潜在空間($z_t, h_t$)の中で、「この状態なら、報酬を最大化するにはどの行動か」という、はるかに単純化された問題だけを解けばよくなります 5

この設計思想は、二つの重要な技術的示唆を与えます。

第一に、MコンポーネントがMDN-RNN(混合密度ネットワーク) 5 を採用している点です。現実世界は本質的に確率的(stochastic)であり、同じ状態・同じ行動でも、次に起こる結果は一つに定まりません(例:サイコロを振る)。もしMモデルが決定論的な予測(「次は必ずこうなる」)しかできなければ、この不確実性をモデル化できず、現実から乖離していきます。MDNは、予測結果を単一の値ではなく、「複数のガウス分布の混合」として出力することができます 5。これにより、Mモデルは「次はおそらくA(70%)か、あるいはB(30%)になる」といった、複数の可能性とその確率を同時に予測できます。これは、世界モデルが現実の不確実性を扱うための根源的な機能であり、後のDreamerモデルにおける確率的潜在変数(RSSM)7 へと直接繋がる重要なアイデアです。

第二に、Cコンポーネントの学習に進化戦略(CMA-ES) 5 を採用した点です。VAEとMDN-RNNによって構築された潜在空間は、学習の初期段階では不安定であり、その揺れ動く空間内で勾配法(backpropagation)を用いてCを安定的に学習させることは困難であったと推察されます。CMA-ESのような勾配不要な探索アルゴリズムを採用することで、Haらは「VとMが構築した『世界』の中で、Cという『エージェント』を『進化』させる」というアプローチを採りました。これは、世界モデル(環境)とエージェント(制御)を明確に分離し、エージェントが「環境モデル」を所与のものとして最適な行動を探索するという、モデルベース強化学習の思想を純粋な形で体現しています。

III. 強化学習におけるパラダイムシフト:モデルベースの復権

A. モデルフリー (Model-Free) vs. モデルベース (Model-Based) 強化学習

伝統的に、強化学習(Reinforcement Learning, RL)は、エージェントが環境と相互作用しながら、将来にわたって得られる累積報酬(収益)を最大化する「方策(ポリシー)」を獲得することを目指します 8。この目標を達成するアプローチは、大きく二つに分類されます。

  • モデルフリーRL (MFRL): 環境の「仕組み(モデル)」、すなわち「状態$s_t$で行動$a_t$を取ったら、次にどの状態$s_{t+1}$に遷移し、どれだけの報酬$r_t$が得られるか」という確率分布 $P(s_{t+1}, r_t | s_t, a_t)$ を陽に学習しません。代わりに、膨大な回数の試行錯誤(エピソード)を通じて、ある状態 $s$ でどの行動 $a$ を取れば報酬が最大化されるかという「方策 $\pi(a|s)$」や「行動価値 $Q(s,a)$」を直接的に学習します 8
  • モデルベースRL (MBRL): まず、環境との相互作用から、環境のモデル $P(s_{t+1}, r_t | s_t, a_t)$(=世界モデル)を学習します。そして、この学習したモデルを使って未来をシミュレーションし、最適な方策を*計画(Planning)*します 9。これは「頭の中でシミュレーションしてから動く」アプローチと言えます 9

B. 「内なる仮想実験室」としての世界モデル

世界モデルは、このMBRLアプローチの中核を成す「環境モデル」そのものです 9。AIは、この内部に構築したモデルを「思考のための仮想実験室」 9 あるいは「内なるシミュレータ」 9 として使用します。このアプローチには、MFRLに対する明確な利点があります。

  • 利点1:圧倒的なサンプル効率 (Sample Efficiency)
    MFRLは、現実世界での膨大な試行錯誤(エピソード)を必要とするため、サンプル効率が非常に悪いという根本的な課題があります 9。一方、MBRLは、一度(ある程度正確な)世界モデルを学習してしまえば、現実世界で試すには危険(例:自動運転での衝突シナリオ)または高コスト(例:ロボットの物理的摩耗や時間)な行動も、内部モデル上で安全かつ高速に、無数のシミュレーションを行うことができます 9。この「仮想的な経験」を学習に活用することで、実環境での試行回数を劇的に削減できます。
  • 利点2:計画 (Planning) と汎化
    環境モデルを持つことで、「もしこの行動を取ったら、次にどうなり、どれくらいの報酬が得られそうか」という「先読み」が可能になります 9。これにより、目先の報酬に捉われない、将来を見据えた最適な行動計画(Planning)を立案できます。また、環境の根本的なダイナミクスを捉えたモデルは、環境がわずかに変化した場合(例:ゲームのルールのマイナーチェンジ)でも、モデルを微調整するだけで迅速に適応できる可能性があり、高い汎化性能が期待されます 9。

C. MBRLの進化:潜在空間での「夢」

初期のMBRLは、観測空間(ピクセル)で直接未来を予測しようとしましたが、その高次元性と複雑さから成功は限定的でした。2018年の『World Models』論文 5 は、VAE 3 を使い、複雑な観測を低次元の潜在空間に圧縮し、その潜在空間内で未来予測 (MDN-RNN) 5 を行うという、現代に続くMBRLの基本設計を確立しました。

この「潜在空間での予測」というアイデアは、その後のSOTA(State-of-the-Art)エージェントによって、さらに洗練されていきます。

  • Dreamer (v1-v3):
    Dreamerシリーズ 10 は、この「潜在空間でのシミュレーション」という概念を、より発展させたエージェントです。Dreamerは、観測データからRecurrent State-Space Model (RSSM) 7 と呼ばれる、より洗練された確率的な世界モデルを学習します。
    Dreamerの最大の特徴は、方策(行動を決定するモデル)の学習プロセスにあります。エージェントは、実環境と一切インタラクションせず、この学習済みの潜在空間モデルの中で「夢(dream)」を見ます。すなわち、「潜在的想像(latent imagination)」11 と呼ばれる純粋な内部シミュレーションを実行します。
    エージェントは、この「夢」の中で(MFRLの代表的手法である)Actor-Criticを用いて方策を学習します 7。このプロセスは完全に微分可能であり、end-to-endでの効率的な学習が可能です 7。最新版のDreamerV3は、Minecraftのような広大で複雑な3Dゲームにおいて、ピクセル入力のみからダイヤモンドの収集といった非常に困難かつ長期的な計画を必要とするタスクを達成しました 9。
  • MuZero:
    MuZeroは、囲碁や将棋で人間を超えたAlphaZeroの系譜に連なるエージェントです。AlphaZeroは、環境の「ルール(モデル)」が既知であることを前提としていました。MuZeroの革新は、ゲームのルールが未知の場合でも、純粋なプレイ経験から環境のダイナミクス(=世界モデル)を暗黙的に学習する点にあります 9。
    MuZeroが学習する世界モデルは、(1) 現在の観測を潜在状態 $h$ にエンコードする「表現関数 $h_{\theta}$」、(2) 現在の状態 $h$ と行動 $a$ から次の状態 $h’$ を予測する「ダイナミクス関数 $g_{\theta}$」、(3) 状態 $h$ から価値と方策を予測する「予測関数 $f_{\theta}$」という3つのコンポーネントで構成されます 13。
    MuZeroは、この学習したモデル($g_{\theta}, f_{\theta}$)と、AlphaZeroの強力な計画アルゴリズムであるモンテカルロ木探索 (MCTS) 12 を組み合せます。MCTSは、学習中の(不完全な)世界モデル $g_{\theta}$ を使って「先読み」を行い、最適な行動を探索します。このMCTSによる探索結果(より洗練された方策と価値)を教師データとして、予測関数 $f_{\theta}$ と表現関数 $h_{\theta}$ を更新していきます。この強力な相乗効果により、ルール未知の多様な環境(囲碁、将棋、Atariゲーム)で人間を超えるSOTAの性能を達成しました 9。

DreamerやMuZeroの成功は、歴史的に対立するパラダイムと見なされてきたMFRLとMBRLが、実際には深く補完的であることを示しています。Dreamer 7 は、世界モデル(MBRL)の中でActor-Critic(MFRL)を学習させます。MuZero 13 は、学習したモデル(MBRL)を使った計画(MCTS)の結果を、方策/価値関数(MFRL的要素)の学習ターゲットとして利用します。

現代の最先端エージェントは、純粋なMFRLでも純粋なMBRLでもなく、世界モデルを介して両者の長所(MBRLのサンプル効率と計画能力、MFRLの強力な方策表現と学習安定性)を統合したハイブリッド・アーキテクチャであると言えます。このハイブリッドアプローチの成功は、2018年モデル 5、Dreamer 7、MuZero 13 まで一貫して、高次元の観測(ピクセル)を低次元の「潜在空間」に圧縮し、その抽象化された空間内でダイナミクスを学習・予測するという設計思想に支えられています。

ピクセル空間で未来を直接予測するのは、計算コストが高すぎるだけでなく、タスクに無関係な情報(例:背景の雲の動き、木々の葉の揺れ)にリソースを割いてしまうため非効率です。VAE 3 やMuZeroの $h$ 関数 13 の本質的な役割は、観測からタスク遂行に関連する情報(=状態)だけを抽出し、ノイズをフィルタリングすることにあります。AIは、この「本質だけを抜き出した抽象的な内部世界(潜在空間)」でシミュレーションを行うことで、初めて計算可能な「想像力」 2 を手に入れたのです。


表1:主要なモデルベース強化学習(MBRL)エージェントの比較

モデル名発表年V (観測/状態表現)M (ダイナミクス/予測)C (方策/計画)
World Models (Ha & Schmidhuber)2018VAE (潜在変数 $z_t$) 5MDN-RNN (確率的予測 $P(z_{t+1}…)$) 5
Dreamer (v1-v3)2019-2023RSSM (確率的状態モデル) 7潜在空間でのRNN (状態遷移) 7潜在空間内でのActor-Critic (「夢」で学習) 11
MuZero2019表現関数 $h_{\theta}$ (潜在状態 $s$) 13ダイナミクス関数 $g_{\theta}$ + 予測関数 $f_{\theta}$ 13モンテカルロ木探索 (MCTS) + 学習方策 $p_{\theta}$ 12

IV. AGI(汎用人工知能)への道筋:LLMとの対比

A. Yann LeCun氏の提言:「AGIへの真の道」

深層学習のパイオニアの一人であり、Meta社のチーフAIサイエンティストを務めるYann LeCun氏は、人間の知能を超える真の汎用人工知能(AGI)への道は、現在主流となっている大規模言語モデル(LLM)やチャットボットではなく、「世界モデル」の構築にあると繰り返し公の場で主張しています 4

LeCun氏は、現在の業界におけるLLMへの熱狂を「非合理的な執着」と評し 4、LLMが追求するチャットボットの形態はAGIへの真の道ではないと考えています 4。彼は、この「世界モデル」に焦点を当てた自身のAI企業を設立するため、長年勤務したMeta社を退社する意向であるとも報じられています 4

B. LLMの限界:「雄弁だが経験不足」

LeCun氏や、スタンフォード大学のFei-Fei Li氏 4 といったAI研究の権威は、LLMの現状を「雄弁だが経験不足(eloquent but inexperienced)」 4 と的確に表現しています。

これは、LLMが膨大なテキストデータから言語の統計的パターンを学習し、流暢な文章を生成することには長けている一方で、そのテキストが記述しているはずの*現実世界(物理世界)*についての真の理解、すなわち常識、物理法則、因果関係といった経験知を欠いているという本質的な批判です 4。LLMは、世界を「真に理解するのに苦労している」 4 と指摘されています。

LLMの学習は、本質的に「相関関係」(どの単語がどの単語の次に現れやすいか)の学習です。しかし、AGIに求められる真の「理解」や「推論」は、相関関係の知識だけでは不十分であり、因果関係のモデル(=世界モデル)が不可欠です。AIが「なぜそれが起こるのか」を理解し、介入(行動)によって望ましい未来を計画するためには、世界モデルの獲得が必須となります。

C. 世界モデルの重要性:物理世界の学習

対照的に、LeCun氏が提唱する「世界モデル」は、「映像、空間、センサーデータを通して現実世界を学習できるAIシステム」 4 として定義されます。彼らは、こうした「物理世界に基づく認知トレーニング」 4 や「空間知能」 4 こそが、AGIの鍵であると強調します。

AIが人間のような常識を獲得するためには、言語という受動的な情報だけでなく、現実世界との能動的なインタラクション(身体性)を通じて、その世界のダイナミクス(=世界モデル)を学習する必要がある、という考えです。

この主張は、認知科学における「Embodiment(身体性)仮説」と強く共鳴します。この仮説は、「知能は、身体(センサーとアクチュエータ)を持ち、物理環境と相互作用することによってはじめて発達する」と主張します。この観点から見れば、LLMは、この「身体」と「環境インタラクション」を欠いた「水槽の中の脳」のような存在です。

LeCun氏の主張は、AGI研究のパラダイムを、純粋な情報処理(LLM)から、環境と相互作用するエージェント(ロボット 14、自動運転車 9)の学習へと回帰させるものです。世界モデルは、そのエージェントの「脳」として、身体(センサー)からの入力を処理し、物理法則を理解し、身体(アクチュエータ)への行動を計画する中核的役割を担うことになります。

D. 「生きた世界モデル」への要求

AGIの基盤となる未来の世界モデルは、一度学習して完成するような静的なものであってはなりません 9。最も重要なのは、AIが「現実世界との接点を持ち続けること」 9 です。AIが現実世界で活動しながら、常に新しい情報を得て内部の世界モデルを更新し続ける(継続的な自己学習と適応)ことで、初めて環境の予期せぬ変化にも適応できる「生きた世界モデル」 9 となるのです。

V. 現代における世界モデルの多様な形態と応用

2018年に提示された世界モデルの概念的枠組みは、現在、強化学習の領域を大きく超え、ロボティクス、自動運転、そして生成AIという、AI研究の最前線で多様な形態へと進化・応用されています。

A. 動画生成AI:「世界シミュレータ」としての側面

OpenAIのSora 15、GoogleのVeo 3 15、WayveのGAIA-1 9 といった最新の動画生成AIは、単なる映像作成ツールではなく、物理世界のダイナミクスを暗黙的に学習した「世界シミュレータ」 15、すなわち世界モデルの一形態と見なされ始めています。

  • 学習メカニズム: これらのモデルは、ニュートン力学のような明示的な物理法則の数式を教わることなく 15、膨大な実世界の映像データから、物理現象(重力による落下、流体力学的な水の動き、光の反射・屈折など)のパターンを暗黙的に、統計的に学習します 15
  • 技術: 潜在拡散トランスフォーマー (Latent Diffusion Transformers) などの最先端技術を用い、高次元のピクセル空間を一度、計算効率の良い圧縮された潜在空間に変換し、その空間内で時間的・空間的な一貫性を持つ動画を生成します 15
  • 応用: この能力は、特に自動運転の分野で注目されています。WayveのGAIA-1は、現在の道路状況(画像)とテキスト指示(例:「前方の歩行者が横断を開始する」)を入力として、その結果として起こり得る未来の風景を「生成」します 9。これにより、現実では稀にしか発生しない危険なシナリオを仮想的にシミュレーションし、AIの安全性を高めることができます。同様に、Waymoも、現実世界での走行データに加え、自社開発の高忠実度シミュレータ(世界モデルの一種)内で100億マイル以上もの仮想走行を実施し、AIを徹底的に訓練しています 9

B. ロボティクスと物理シミュレーション

ロボティクスは、世界モデルが「物理世界に基づく認知トレーニング」 4 を行うための究極の応用分野であり、デジタルツインやシミュレーション技術と密接に関連しています。

  • NVIDIA Cosmos 16:
    NVIDIAが発表したCosmosは、AIに物理法則(例:重力、摩擦、物体の積み重ね方)を教えるための基盤モデルプラットフォームです 16。テキストや画像(デジタルデータ)ベースのAIとは異なり、Cosmosは産業環境や運転環境における「物理ベースのシミュレーション」を生成することに特化しています 16。これにより、ロボットが現実世界で危険な試行錯誤を行う前に、「デジタルツイン」 16 と呼ばれるシミュレーション空間内で、動きや相互作用を安全かつ高速に計画・訓練することが可能になります。
  • 1X World Model 17:
    ヒューマノイドロボット(EVE)を開発する1X Technologiesは、独自の世界モデルを構築しています。このモデルは、ロボットが収集した数千時間に及ぶ「動画と行動データ」のペアを組み合わせて訓練されます 17。最大の特徴は「行動の制御可能性(Action Controllability)」 17 にあります。同じ初期状態(動画フレーム)から、「左のドアを開ける」「エアギターを弾く」「箱を持ち上げる」といった異なる行動コマンドに応じて、それぞれに対応した多様な未来の動画を生成できます 17。これは、単なる未来予測ではなく、ロボットの行動計画と評価(「この行動は成功するか?」)のための内部シミュレータとして直接利用されます 17。
  • 産業応用:
    物流分野でも世界モデルの応用が進んでいます。NECは、世界モデルの概念を応用したAIを物流倉庫の協働ロボットに搭載し、これまで人手に頼らざるを得なかった不規則な形状の物体のピッキング(掴み上げ)作業の自動化に成功しています 14。

C. インタラクティブ環境の生成

  • Google DeepMindのGenie 18:
    世界モデルの進化におけるもう一つの重要な方向性が、インタラクティブ性(双方向性)です。SoraやVeo 3が「受動的な動画」を生成するのに対し、Google DeepMindのGenieは、テキストや画像プロンプトから「プレイ可能な世界(Playable Worlds)」を生成する基盤モデルです 18。
    Genieは、アクションラベルのないインターネット上の動画(例:2Dプラットフォーマーゲームのプレイ動画)のみを学習データとします 18。そして、その世界のビジュアルなダイナミクスだけでなく、「どの行動が何を引き起こすか」という制御方法までも同時に学習します 18。
    これは、Soraのような「受動的シミュレータ」 21 ではなく、エージェントが実際に行動し、その結果を学習できる「能動的・インタラクティブな世界モデル」 21 であり、AGIエージェントを訓練するための無限の仮想環境をオンデマンドで生成する可能性を秘めています 18。

これらの現代的な応用例を分析すると、世界モデルがその「インタラクティブ性(Agencyの有無)」によって、二つの主要な系統に分岐しつつあることがわかります。

  1. 受動的世界モデル (Passive WM): Sora, Veo 3などが該当します。膨大な観測データ(動画)から世界のダイナミクスのみを学習します 15。これらは「次に何が起こるか」を高い忠実度で予測する「世界シミュレータ」 15 ですが、エージェントの行動を陽に受け付けるインターフェースを持ちません 21
  2. 能動的世界モデル (Active WM): Genie, 1X World Model, MuZero, Cosmosなどが該当します。観測(動画)と行動のペアデータ(あるいはシミュレーション)を学習し 17、エージェントが「もしこの行動をしたら、どうなるか」をシミュレート(制御)できます。これこそが、2018年の論文 5 やLeCun氏がAGIに必要不可欠と主張する 4、本来の世界モデルの姿です。真のAGI(=世界と相互作用するエージェント)を実現するためには、受動的なSora型モデルの物理理解だけでは不十分であり、エージェントの「行動」を組み込んだGenie型・1X型の「能動的世界モデル」の発展が不可欠です。

また、これらのモデル構築のアプローチには、学習データのパラダイムにおいて「データ駆動型」と「シミュレーション駆動型」という二つの異なる思想が見られます。

  • データ駆動型(Sora/Genie): 「Web上の膨大な動画データ 15 には、世界の物理法則が暗黙的に含まれているはずだ」という仮説に基づき、大規模モデルでそれを統計的に抽出するアプローチです。スケーラビリティに優れます。
  • シミュレーション駆動型(Cosmos/Waymo): 「現実に酷似した、しかし制御可能な仮想世界(デジタルツイン)16 をまず構築し、その中でエージェントを訓練する」というアプローチです。物理法則の厳密性や安全性(危険なシナリオの再現 9)を担保しやすい利点があります。

現状では両者のアプローチが並行して進んでいますが、将来的には、物理AIの厳密性を持つシミュレーション駆動型と、データ駆動型の柔軟な表現力が融合していくことが予想されます。


表2:現代における世界モデルの形態とアプローチ

モデル例主な開発元主な学習データモデルのタイプ主な目的・特徴
Sora, Veo 3OpenAI, Googleインターネット動画 15受動的世界モデル高忠実度な「世界シミュレータ」 15。非インタラクティブ 21
Genie 3Google DeepMindインターネット動画 (ゲーム) 18能動的世界モデルテキストから「プレイ可能な世界」を生成 19。インタラクティブ 21
1X World Model1X Technologiesロボットの「動画+行動」データ 17能動的世界モデル「行動制御可能」な未来予測 17。ロボットの行動計画・評価。
NVIDIA CosmosNVIDIA物理ベースのシミュレーション + 実データ 16能動的世界モデル(訓練環境)物理法則を教える「デジタルツイン」 16。ロボット訓練用。

VI. 課題、限界、そして未来展望

世界モデルはAIの次なるフロンティアとして大きな期待を集めていますが、AGIの基盤となるには、いまだ克服すべき多くの技術的課題と限界が存在します。

A. 現在の技術的課題と限界

1. 長期予測の精度と誤差の蓄積

世界モデルは本質的に自己回帰型(自身の予測 $z_{t+1}$ を、次の予測 $z_{t+2}$ のための入力として使う)です。そのため、シミュレーションのステップが長くなる(長期予測)につれて、ごくわずかな予測誤差が蓄積・増幅していき、シミュレーション結果が急速に現実から乖離してしまうという根本的な課題があります 22

2. 物理原理の真の理解の欠如

Soraのようなデータ駆動型の動画AIは、視覚的なリアルさ(例:流体力学)において目覚ましい進歩を遂げています。しかし、2025年1月に発表された「Physics-IQ」ベンチマーク 15 による評価では、これらのAIの「真の物理原理の理解は著しく制限されている」ことが示されました 15

具体的には、流体力学は比較的よく学習されるのに対し、「固体力学」のような、訓練データ(動画)では見た目上、観察しにくい原理の学習に苦戦するという偏りがあることが明らかになりました 15。この事実は、現在のAIが学習しているのが、その背後にある「ニュートン力学のような普遍的な原理」ではなく、「人間がビデオで見て『それらしい』と感じる物理現象の表面的なパターン」である可能性を強く示唆しています 15。これは、LLMが「雄弁だが経験不足」 4 である問題が、そのままビジュアルドメインに転移した「ビジュアル版・経験不足」問題とも言え、観察だけから物理の原理を獲得することの難しさを示しています 15

3. 不確実性と部分観測性 (Uncertainty & Partial Observability)

現実世界は、本質的に不確実(確率的)であり、エージェントは常に世界の一部しか観測できません(部分観測性)。これらの曖昧でノイズの多い情報から、堅牢な予測モデルを構築し、特に複雑なマルチエージェントの相互作用シナリオにおいて信頼性の高い予測を行うことは、依然として困難な課題です 22

4. 汎化能力の限界

学習した特定の環境(例:特定のゲーム、特定の物流倉庫 14)では高い性能を発揮したとしても、そのモデルが、訓練で見たことのない未知の状況や、異なるタスクに対してどれだけ適応できるか(汎化・転移学習)は、依然として大きな課題です 15

B. 未来展望:統合世界モデルとLLMの融合

これらの課題を克服し、AGIの基盤となる真の世界モデルを実現するために、いくつかの有望な研究方向性が探求されています。

1. 「統合世界モデル」への道

Physics-IQベンチマーク 15 が示した「見た目の物理」と「原理の物理」の乖離は、インターネット動画からの統計的学習だけでは限界があることを示しています。将来の解決策として、「物理AI」(数式ベースの厳密なシミュレータ)と「動画AI」(データ駆動の柔軟な生成モデル)の融合が期待されています 15。物理AIの「厳密な計算能力」と動画AIの「柔軟な視覚表現能力」を組み合わせることで、統計的学習の弱点(物理法則の無視)を補完する、より堅牢な「統合世界モデル」の実現が目指されます 15

2. LLMとの融合による高次推論

長期予測の困難性 22 と、LLMの戦略的推論能力 9 は、世界モデルの「階層化」という必然的な方向性を示唆しています。人間は、詳細な物理シミュレーション(例:1秒後の足の筋肉の動き)と、抽象的な計画(例:「10分後に駅に着く」)を同時に行っています。AIも同様に、階層化された世界モデルが必要となるでしょう。

  • 低レベルWM(物理モデル): 短期的な物理インタラクション(例:物を掴む)をシミュレートする(1X 17 やDreamer 11 に近い)。
  • 高レベルWM(抽象・意味モデル): 長期的な状態の遷移(例:家→駅→会社)を抽象的に計画する。

そして、この「高レベルWM」の役割こそ、LLMが担う可能性が最も高い領域です 9。人間が「目標を指示」し 9、LLMがそれをタスクに分解し(戦略)、世界モデルがそのタスクの実行可能性を物理レベルでシミュレート・計画する(戦術)。この「LLM(戦略) + 世界モデル(戦術・物理)」のハイブリッド・アーキテクチャこそが、AGIに向けた最も有望な道筋の一つと考えられています。

3. 「生きた世界モデル」の実現

最終的に、AIは現実世界で活動しながら継続的にモデルを更新し、環境の変化に適応し続ける「生きた世界モデル」 9 を実現する必要があります。この「継続的な自己学習」 9 の枠組みこそが、AGIの最終形態に不可欠となるでしょう。

VII. 結論:次世代AIの礎

「AIの世界モデル」は、2018年のHa & Schmidhuberによる独創的な論文 1 から始まり、当初は強化学習の深刻なサンプル効率の問題 9 を改善するための「内なるシミュレータ」 9 として設計されました。

この概念は、すぐにDreamer 11 やMuZero 12 のようなSOTA(最先端)エージェントのアーキテクチャの中核となり、「潜在空間での想像(latent imagination)」 11 という形でモデルベース強化学習のパラダイムを変革しました。

現在、世界モデルはAGI達成の鍵として、LLMが拓いた「言語的知能」と対比される「物理的知能」 4 の担い手として、AI研究の最重要フロンティアに位置付けられています。その応用は、自動運転の高忠実度シミュレーション 9、ロボティクスの物理ベース訓練(Cosmos 16)や行動計画(1X 17)、さらにはSora 15 やGenie 19 といった生成AIの「世界シミュレータ」へと、急速に拡大しています。

物理原理の真の理解 15 や、誤差の蓄積を抑えた長期予測 22 という根源的な課題は依然として残されています。しかし、世界モデルは、AIが受動的なパターン認識者から、環境の因果を理解し、未来を予測し、能動的に行動を計画する真の「知性」へと進化するための、不可欠な礎であることに疑いはありません。今後のAIの進展は、この世界モデルの構築精度と、それをLLMのような高次の推論システムと、いかにして効果的に統合していくかにかかっていると言えるでしょう。

引用文献

  1. 世界モデル – Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB
  2. 11月 16, 2025にアクセス、 https://note.com/masayamori/n/n34df50d83489#:~:text=%E3%80%8C%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB%EF%BC%88World%20Models%EF%BC%89%E3%80%8D%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6,-%E3%80%8C%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB%EF%BC%88World&text=%E3%80%8CAI%E3%81%AB%E7%92%B0%E5%A2%83%E3%81%AE%E5%A4%89%E5%8C%96,%E6%83%B3%E5%83%8F%E5%8A%9B%E3%80%8D%E3%82%92%E3%82%82%E3%81%9F%E3%81%9B%E3%82%8B%E6%8A%80%E8%A1%93%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82
  3. 「世界モデル(World Models)」とは何か。AIの未来の鍵を握る … https://note.com/masayamori/n/n34df50d83489
  4. AIの第一人者LeCun氏はMetaを離れ、「世界モデル」に焦点を当て … https://www.panewslab.com/ja/articles/2536de43-9d89-443c-84d8-015a59b1fa55
  5. World model | PDF – Slideshare https://www.slideshare.net/slideshow/world-model/103542600
  6. World Models https://worldmodels.github.io/
  7. Self-Dreaming to Control Better: Boosting Latent Spaces With Self-Supervised Learning https://www.researchgate.net/publication/393937568_Self-Dreaming_to_Control_Better_Boosting_Latent_Spaces_With_Self-Supervised_Learning
  8. AIの強化学習とは?世界モデルでかわること・機械学習・ディープラーニングとの違い・アルゴリズム・活用事例7選徹底解説! – AI Market https://ai-market.jp/technology/deep_learning-reinforcement/
  9. #260「AIの「内なる世界」—想像力を持つAIの新時代〜世界モデル … https://note.com/hayato_kumemura/n/n94d82c7b94d7
  10. World Models: A Way to Predict the Future – Hadron https://sites.imsa.edu/hadron/2025/09/30/world-models-a-way-to-predict-the-future/
  11. Week 5: Model-Based Methods – Deep RL Course https://deeprlcourse.github.io/course_notes/model-based/
  12. [PDF] Evolutionary Planning in Latent Space | Semantic Scholar https://www.semanticscholar.org/paper/Evolutionary-Planning-in-Latent-Space-Olesen-Nguyen/29deb9c0b21510bf124f0a10612dc80aee7ee079
  13. What model does MuZero learn? – arXiv https://arxiv.org/html/2306.00840v3
  14. 【NEC】世界モデルを利用した物流向けロボAI – iCOM技研ブログ https://www.icom-giken.com/blog/worldmodel_ai_paretizi/
  15. 動画生成AIの物理理解力:2025年最新技術と産業応用 – 生成AIと建設DX https://axconstdx.com/2025/11/14/%E5%8B%95%E7%94%BB%E7%94%9F%E6%88%90ai%E3%81%AE%E7%89%A9%E7%90%86%E7%90%86%E8%A7%A3%E5%8A%9B2025%E5%B9%B4%E6%9C%80%E6%96%B0%E6%8A%80%E8%A1%93%E3%81%A8%E7%94%A3%E6%A5%AD%E5%BF%9C%E7%94%A8/
  16. World models help AI learn what five-year-olds know about gravity … https://www.ibm.com/think/news/cosmos-ai-world-models
  17. 1X World Model – 1X.tech https://www.1x.tech/discover/1x-world-model
  18. Genie: Generative Interactive Environments – Google Sites https://sites.google.com/view/genie-2024/home
  19. Genie 3: New world model by Google | Codecademy https://www.codecademy.com/article/googles-genie-3-world-model
  20. DeepMind: Genie 3 is our groundbreaking world model that creates interactive, playable environments from a single text prompt – Reddit https://www.reddit.com/r/singularity/comments/1mia4sv/deepmind_genie_3_is_our_groundbreaking_world/
  21. Google’s Genie 3: Real-time AI world model creates interactive 3D environments https://www.rdworldonline.com/googles-genie-3-breaks-through-the-real-time-barrier-for-ai-world-models/
  22. Research on World Models for Connected Automated Driving: Advances, Challenges, and Outlook – MDPI https://www.mdpi.com/2076-3417/15/16/8986
  23. [Discussion] What exactly are World Models in AI? What problems do they solve, and where are they going? – Reddit https://www.reddit.com/r/MachineLearning/comments/1kf3pes/discussion_what_exactly_are_world_models_in_ai/