生成AIの評価基準と応用:体系的分析と産業別ケーススタディ

生成AIの評価基準と応用:体系的分析と産業別ケーススタディ

第I部 生成AI評価の基礎

第1章 生成AI評価への序論

生成AI(Generative Artificial Intelligence)の急速な進化は、テクノロジーの応用範囲を劇的に拡大させる一方で、その性能や信頼性をいかにして評価するかという新たな課題を提示しています。従来のソフトウェア評価手法が通用しないこの新しいパラダイムにおいて、多角的かつ体系的な評価フレームワークの構築が不可欠となっています。本章では、生成AI評価の根本的な特性と、その評価を導くべき基本原則について詳述します。

1.1 パラダイムシフト:なぜ従来の評価は通用しないのか

従来のソフトウェア評価は、決定論的なシステムを対象としていました。入力に対して予測可能で一意な出力が期待され、その評価は「正しく動作するか否か」という明確な基準に基づいて行われてきました 1。バグの有無や仕様通りの機能実装が主な評価対象であり、その成否は容易に測定可能でした。

しかし、生成AI、特に大規模言語モデル(LLM)は、この前提を根底から覆します。生成AIは本質的に確率的かつ非決定論的であり、同じ入力に対しても異なる出力を生成する可能性があります。この予測不可能性は、従来の評価指標を無力化します 1。評価の焦点は、「機能するか?」という二元的な問いから、「いかに優れた創造物か?」という、より定性的で多面的な問いへと移行します 1。生成されるテキスト、画像、コードは、単一の正解が存在しないオープンエンドなタスクの結果であり、その品質評価には主観的な側面が避けられません。

さらに、APIを介したAIモデルへのアクセスが普及したことで、3,000万人以上の開発者がAIの利用に参入しましたが、その多くはデータサイエンスの深い専門知識を持っていません 1。この状況は、データに基づきつつも、より広範な開発者が利用可能な、体系化された評価アプローチの必要性を浮き彫りにしています。

1.2 コア原則:多次元的評価フレームワーク

生成AIの評価は、単一の指標で完結するものではなく、複数の次元を包括的に捉える必要があります。IBMは、開発者が生成AIを採用する際の主要な評価基準として、性能と精度だけでなく、以下の5つの観点を挙げています 3

  1. 問題適合性(Problem Fit): 生成AIが特定のユースケースや問題解決に適しているか。目的とする出力(テキスト、画像、音声など)を生成できるか。
  2. 性能と精度(Performance and Accuracy): 生成される出力の品質、多様な入力への汎化能力、結果の一貫性など。
  3. スケーラビリティとリソース要件(Scalability and Resource Requirements): トレーニングや推論に必要な計算リソース、メモリ、インフラ。
  4. 倫理的配慮(Ethical Considerations): データプライバシー、公平性、バイアス、潜在的な悪用の可能性。
  5. 開発と統合の複雑さ(Development and Integration Complexity): 既存システムへの統合の容易さ、利用可能なツールやフレームワークの存在。

この多角的な視点は、評価が単なる技術的性能測定に留まらないことを示唆しています。包括的な評価を実現するためには、数値スコアを用いる定量的指標と、人間の判断に基づく定性的指標を組み合わせることが不可欠です 2。これにより、生成AIの能力の全体像を捉えることができます。具体的には、以下の主要な次元に沿って評価を進めるべきです 4

  • 生成物の品質: テキストの流暢さ、画像や音声のリアリズム、コンテンツの忠実性など 3
  • 能力評価: 多様なタスクへの汎用性、創造性、新規性、出力の制御可能性、堅牢性など 4
  • 効率性と実用性: 推論速度、リソース使用量(計算、メモリ)、コストなど、実際の運用に直結する要素 3
  • 倫理と公平性: バイアスの存在、データプライバシーの保護、潜在的な危害の回避、倫理ガイドラインの遵守など 10

1.3 評価のライフサイクル:サンドボックスから本番環境まで

生成AIの評価は、一度きりのイベントではなく、開発から運用に至るまで継続的に行われるべきプロセスです。このライフサイクルは、特定の目的を達成するための重要なステップから構成されます 12

  • ベースライン性能の把握: あるモデルの基本的な能力を理解する。
  • モデル間の比較: 例えば、Gemini-ProとClaude 3のように、異なるモデルの長所と短所を比較検討する。
  • プロンプトの選択: 同じモデルでも、プロンプトの工夫によって出力が大きく変わるため、最適なプロンプトを選定する。
  • ファインチューニングの効果測定: 追加学習がベースラインモデルに対して改善をもたらしたかを検証する。
  • 本番投入モデルの決定: 上記の評価を総合し、どのモデルを実際のアプリケーションに組み込むかを決定する。

このプロセスは、早期に開始し、頻繁に繰り返すことが推奨されます。初期段階では、10から100程度の少数のデータセットで基本的な機能テストを行い、その後、100から1000以上のデータセットで統計的に有意な結果を得るために評価をスケールアップさせます 13。本番環境でのモデルの振る舞いを理解し、長所と短所を特定し、改善が必要な領域にチューニングの労力を集中させることが、評価ライフサイクルの最終的な目標となります 12

第2章 評価方法論の分類

生成AIの評価アプローチは、その目的や特性に応じて多様な方法論に分類できます。これらの方法論は、スケーラビリティと評価の精緻さというトレードオフの関係にあり、それぞれに長所と短所が存在します。本章では、これらの評価方法論を体系的に分類し、その特徴を解説します。

2.1 自動評価 vs. 人間評価:スケーラビリティとニュアンスのトレードオフ

生成AIの評価は、大きく「自動評価」と「人間評価」の二つに大別されます 5

  • 自動評価(Automated Evaluation):
    客観的な定量的指標を用いて、モデルの性能を自動で測定するアプローチです。
  • 長所: 高速、低コスト、スケーラブルであり、評価者による主観的なバイアスを排除できるため客観性と再現性が高い 12
  • 短所: 人間の判断との相関が低い場合が多く、文脈、創造性、文化的適切性といった微妙なニュアンスを捉えることができません 16。多くの場合、生成物の表面的な「品質」は評価できても、タスクに対する「適合性」や「有用性」の評価には限界があります 14
  • 人間評価(Human Evaluation):
    専門家やクラウドワーカーが、事前に定義された基準に基づき、生成された出力を主観的に評価するアプローチです。
  • 長所: 創造性、共感、ユーモアといった主観的な品質を捉えることができます。また、皮肉や文化的背景といった文脈的ニュアンスを検出し、バイアスや不適切なコンテンツを特定するなど、倫理基準の遵守を確認する上でも不可欠です 17。実世界での有用性を評価できるため、評価の「ゴールドスタンダード(黄金律)」と見なされています 19
  • 短所: 時間とコストがかかり、評価者の主観やバイアスに影響されるため、再現性が低いという課題があります 14

2.2 モデルベース vs. 計算ベース:自動評価の深掘り

GoogleのGen AI Evaluation Serviceなどで提唱されているように、自動評価はさらに「計算ベースの指標」と「モデルベースの指標」に分類できます 12

  • 計算ベースの指標(Computation-Based Metrics):
    数式を用いて、モデルの出力を「グラウンドトゥルース(正解データ)」と比較する伝統的な手法です。低コストかつ高速に実行できます。代表的な指標には、ROUGE、BLEU、完全一致(Exact Match)、F1スコアなどがあります 10。これらの指標は、正解データとの字句的な一致度を測ることに長けています。
  • モデルベースの指標(Model-Based Metrics):
    GeminiやGPT-4のような高性能なモデルを「判定モデル(Judge Model)」として利用し、評価対象のモデル(候補モデル)の性能を評価する手法です。正解データは必ずしも必要ではなく、流暢さや関連性といった記述的な基準に基づいて評価を行います。計算ベースの指標よりはコストと時間がかかりますが、より抽象的で人間的な品質を評価できる可能性があります 12。

この自動評価の分類は、評価の目的に応じて適切な手法を選択するための重要な指針となります。単純な事実確認やテキストの一致度が重要なタスクでは計算ベースの指標が有効ですが、より創造的で文脈に依存するタスクではモデルベースの指標がその真価を発揮します。

2.3 ハイブリッドアプローチの台頭:LLM-as-a-Judge

近年、自動評価のスケーラビリティと人間評価の精緻さを両立させる試みとして、「LLM-as-a-Judge(判定者としてのLLM)」というハイブリッドアプローチが急速に注目を集めています 22。これは、強力なLLMを用いて、別のLLMの出力を自動評価する手法です。

このアプローチが成立する背景には、「生成よりも認識の方が容易である」という経験則があります 13。LLMは、一度に複数の制約(簡潔さ、網羅性、特定のトーンなど)を満たす完璧な出力を生成することには苦労するかもしれません。しかし、既存の出力が「簡潔であるか」といった単一の基準を満たしているかを判断することは、比較的容易なタスクです。

この手法は、明確な正解が存在しないオープンエンドな質問への回答を評価する際に特に有効です。例えば、後述する日本語ベンチマーク「Rakuda」や「MT-Bench」では、LLM-as-a-Judgeが中心的な評価手法として採用されており、複数のモデルの回答をペアワイズ(一対一)で比較し、どちらが優れているかを判定させています 23

この評価パラダイムの進化は、単なる新しい手法の登場に留まりません。計算ベースの指標が持つ意味理解の限界と、人間評価が持つコストとスケーラビリティの制約という、二つの根本的な課題に対する業界全体の適応と見なすことができます。つまり、LLM-as-a-Judgeの台頭は、評価における品質とコストのジレンマを解決するための必然的な帰結なのです。

さらに、こうした評価手法がGoogleの「Gen AI Evaluation Service」やIBMの「watsonx」、オープンソースの「EvalGIM」といったフレームワークやサービスとして製品化されている事実は、生成AIのためのMLOps(機械学習基盤)分野の成熟を示唆しています 3。これにより、開発者は評価プロセスを標準化し、再現性を高めることができます。これは、堅牢な評価への参入障壁を下げる一方で、特定の判定モデルやフレームワークへの過度な依存が、評価手法の均質化や、フレームワーク固有のバイアスを増幅させるリスクも内包しています。

第II部 定量的および定性的評価指標

生成AIの評価は、その出力モダリティ(テキスト、画像、コードなど)や評価したい側面に特化した多様な指標を用いて行われます。本章では、主要な定量的自動評価指標と、人間中心的・倫理的な定性的評価基準について、その技術的背景と実用的な適用方法を詳述します。

第3章 生成AIの自動評価指標

自動評価指標は、客観的かつスケーラブルな評価を可能にするための基盤です。ここでは、テキスト、画像、コードという主要なモダリティごとに代表的な指標を解説します。

3.1 テキスト生成指標

テキスト生成の評価は、機械翻訳や要約タスクの研究と共に発展してきました。その進化は、表面的な文字列の一致から、意味的な類似性の評価へと向かう明確な軌跡を描いています。

  • Perplexity (PPL):
    言語モデルが特定のテキストシーケンスをどの程度「予測可能」と見なすかを測る指標です。モデルがシーケンス内の次の単語を高い確率で予測できるほど、PPLスコアは低くなります。これはモデルの「混乱度」を示すものであり、低いスコアは、モデルが学習データに基づいて流暢で一貫性のあるテキストを生成する能力が高いことを示唆します 2。
  • BLEU (Bilingual Evaluation Understudy):
    主に機械翻訳の評価で用いられる、**精度(Precision)**に焦点を当てた指標です。生成されたテキストと人間の手による参照テキストとの間で、n-gram(連続するn個の単語のシーケンス)がどれだけ一致するかを測定します。生成文が極端に短い場合にスコアが不当に高くなることを防ぐため、「短さペナルティ(Brevity Penalty)」が含まれています 2。出力の正確性が重視されるタスクに適しています。
  • ROUGE (Recall-Oriented Understudy for Gisting Evaluation):
    主にテキスト要約の評価のために設計された、**再現率(Recall)**に焦点を当てた指標です。参照テキストに含まれるn-gramのうち、どれだけが生成された要約に含まれているかを測定します。主要なバリエーションとして、n-gramの一致度を測るROUGE-Nや、文レベルの構造的類似性を捉えるために最長共通部分列(Longest Common Subsequence)を用いるROUGE-Lがあります 10。要約タスクのように、重要な情報を網羅することが求められる場合に特に有効です。
  • METEOR (Metric for Evaluation of Translation with Explicit ORdering):
    BLEUの限界を克服するために開発された、より高度な指標です。単語の完全一致だけでなく、WordNetなどのシソーラスを用いて同義語を考慮したり、語幹(ステミング)を一致と見なしたりします。さらに、ユニグラムレベルで精度と再現率の両方を計算し、それらをF値として統合します。単語の語順の一致度を評価するための「断片化ペナルティ(Fragmentation Penalty)」も導入されており、BLEUよりも人間の判断との相関が高いと報告されています 2。
  • BERTScore:
    BERTのような事前学習済みモデルの文脈付き埋め込み表現を活用した最新の指標です。n-gramの表層的な一致を数えるのではなく、生成テキストと参照テキスト内の各トークン(単語やサブワード)をベクトル化し、そのコサイン類似度を計算します。これにより、単語が異なっていても意味的に近ければ高いスコアが得られます。この類似度に基づいて精度、再現率、F1スコアを算出し、意味的な妥当性をより深く評価することができます 10。

3.2 画像生成指標

画像生成の評価もまた、ピクセルレベルの比較から、人間の知覚に近い特徴空間での比較へと進化してきました。

  • Fréchet Inception Distance (FID):
    現在、画像生成品質の評価における業界標準となっている指標です。生成された画像群と本物の画像群を、事前学習済みのInceptionV3ネットワークを通して特徴ベクトルに変換し、両者の特徴分布間の統計的距離(フレシェ距離)を測定します。FIDスコアが低いほど、生成された画像が本物の画像に近く、高品質かつ多様であることを示します 2。人間の知覚とよく相関することが知られています。
  • Inception Score (IS):
    生成された画像の「品質(オブジェクトが鮮明で認識可能か)」と「多様性(様々な種類の画像が生成されているか)」の両方を測定しようとする指標です。高いスコアは、高品質かつ多様な画像が生成されていることを意味します。しかし、本物の画像との比較を行わないため、モデルが学習データを過学習していても高いスコアが出てしまうなどの限界も指摘されています 2。
  • SSIM (Structural Similarity Index) & PSNR (Peak Signal-to-Noise Ratio):
    これらは伝統的な画像品質指標で、参照画像とのピクセルレベルでの類似性を測定します。画像の復元や圧縮の評価には有用ですが、単一の正解が存在しない創造的な画像生成タスクの評価にはあまり適していません 19。

3.3 コード生成指標

コード生成の評価は、テキストや画像とは根本的に異なるパラダイムに基づいています。見た目の類似性ではなく、機能的な正しさが最重要視されます。

  • Functional Correctness (pass@k):
    コード生成評価の主要な手法です。生成されたコードが「正しく動作するか」を直接検証します。モデルは、与えられた問題に対してk個のコードサンプルを生成します。そのうち少なくとも1つが、問題に付随するすべてのユニットテストに合格すれば、その問題は「解決済み」と見なされます。このpass@kという指標は、開発者がコーディング支援ツールからいくつかの提案を試すという実世界のシナリオを模倣しており、生成されたコードの実用的な価値を直接測定します 33。
  • その他のコード関連指標:
    pass@kが支配的ですが、評価はコードの説明、docstring(ドキュメンテーション文字列)の生成、コード補完(インフィリング)といった、HumanEvalのようなベンチマークでは捉えきれない側面にも及びます 33。

以下の表1は、本節で解説した主要な自動評価指標をまとめたものです。

表1: 主要な自動評価指標の概要

指標モダリティ主なユースケース測定内容解釈
Perplexity (PPL)テキスト言語モデルの流暢さテキストシーケンスの予測困難度(モデルの「混乱度」)低いほど良い
BLEUテキスト機械翻訳、テキスト生成n-gramの精度(参照テキストとの一致度)、短さペナルティ付き高いほど良い
ROUGE-Lテキストテキスト要約最長共通部分列に基づく再現率(重要情報の網羅度)高いほど良い
METEORテキスト機械翻訳、テキスト生成同義語や語幹を考慮した単語レベルの精度と再現率(F値)高いほど良い
BERTScoreテキスト意味的類似性評価文脈付き埋め込みベクトル間のトークン類似度高いほど良い
FID画像画像生成の品質評価生成画像と本物画像の特徴量分布間の統計的距離低いほど良い
IS画像画像生成の品質・多様性生成画像の品質(明瞭さ)と多様性高いほど良い
pass@kコードコード生成生成されたコードがユニットテストを通過する確率高いほど良い

第4章 人間中心的および倫理的評価基準

自動評価指標がモデルの技術的な側面を捉えるのに対し、人間中心的・倫理的な評価基準は、モデルが実社会で安全かつ有用に機能するために不可欠な側面を評価します。これらの基準は、単なる出力品質を超え、ビジネスリスクや社会的影響を管理するための「エンタープライズ対応度」を測るチェックリストとして機能します。

4.1 出力品質の定性的側面

人間による評価は、自動評価では測定困難な、主観的だが極めて重要な品質を捉えます。評価者は通常、明確に定義された評価基準(ルーブリック)に従って出力を採点します 2

  • 流暢さと一貫性(Fluency & Coherence): テキストは滑らかで論理的に流れているか。アイデアは効果的につながっているか 2
  • 関連性と正確性(Relevance & Correctness): 出力はプロンプトの意図に沿っており、事実として正しいか 2
  • 創造性と新規性(Creativity & Novelty): 出力は革新的なアイデアを含んでいるか。学習データ中の既存の例とは大きく異なるか 2
  • 適切性とエンゲージメント(Appropriateness & Engagement): トーンは文脈(例:プロフェッショナル、共感的)に適しているか。ユーザーにとって魅力的か 2

4.2 ビジネスおよび倫理的評価のためのフレームワーク

生成AIをビジネスに導入する際には、技術的な性能評価だけでは不十分です。以下の8つの観点は、モデルの信頼性と安全性を担保し、企業が負うべき責任を果たすための重要な評価軸となります 11

  1. 真実性(Truthfulness): 誤情報や偽情報の生成を防ぐ能力。
  • ハルシネーション: 事実に基づかない情報を生成する現象。
  • 迎合性(Sycophancy): ユーザーの意見やバイアスに過剰に同調し、客観性を欠く回答を生成する傾向。
  • 敵対的な事実への脆弱性: プロンプトに含まれる誤情報に影響され、誤った前提で回答を生成してしまう問題。
  1. 安全性(Safety): 有害なコンテンツの生成や悪用を防ぐ能力。
  • 悪用(Malicious Use): 違法行為や危険な行為を助長するコンテンツの生成。
  • 脱獄(Jailbreaking): 巧妙なプロンプトによって安全フィルターを回避する行為。
  • 毒性(Toxicity): 侮辱的、差別的、または不快な言葉の生成。
  • 過剰な安全性(Over-safety): 無害な要求に対しても過度に保守的になり、回答を拒否してしまう現象。
  1. 公平性(Fairness): 特定の人口統計学的グループに対するバイアスを緩和し、公平な出力を保証する能力。これには、ステレオタイプの助長や特定の集団への軽蔑的な表現の回避が含まれます 10
  2. 堅牢性(Robustness): タイプミスや文法的な誤りといったノイズを含む入力や、学習データ分布外の未知のタスクに対しても、安定した性能を維持する能力 10
  3. プライバシー(Privacy): 個人情報や企業の機密情報を保護し、意図せず漏洩させない能力 11
  4. 機械倫リ(Machine Ethics): 人間の道徳的・倫理的基準と一致した行動をとる能力。ユーザーの感情的な文脈を認識し、共感的な対応ができるかも含まれます 11
  5. 透明性と説明責任(Transparency & Accountability): モデルの意思決定プロセスがある程度説明可能であり、その出力に対する責任の所在が明確であること。著作権侵害のリスク管理も含まれます 11

これらの観点からの評価は、モデルのベンチマークスコアがいかに高くとも、それがビジネスに展開可能であるかを判断する上で決定的な意味を持ちます。性能(Capability)評価と展開可能性(Deployability)評価という、二層の評価システムが存在すると言えるでしょう。

4.3 実践における人間評価の実装

人間評価を効果的に実施するためには、体系的なアプローチが必要です。

  • 評価手法: 一般的には、リッカート尺度(例:回答を1〜5の5段階で評価)や、二つの出力を比較してどちらが優れているかを選択させるペアワイズ比較が用いられます 12
  • ルーブリックとガイドライン: 評価の客観性と一貫性を保つためには、評価基準を明確に定義したルーブリックの作成が不可欠です。評価プロセスには、基準の定義、目標値の設定、評価データの収集、結果の分析といったステップが含まれます 5。特に、どのレベルの性能を「合格」とするかのしきい値を設定することは、ビジネス上のリスク許容度と密接に関連する、統計的に厳密なプロセスであるべきです 38
  • ヒューマン・イン・ザ・ループ(Human-in-the-loop): 人間の評価者が継続的にフィードバックを提供し、モデルを改善していくアプローチは、自動評価では捉えきれないニュアンスをモデルに学習させる上で極めて重要です 18

第III部 標準化されたベンチマークとリーダーボード

個々の評価指標に加え、複数のタスクや指標を統合した「ベンチマーク」は、モデルの総合的な能力を測定し、異なるモデル間での性能比較を可能にするための標準的な枠組みを提供します。本章では、世界的に広く利用されている基盤的なベンチマークと、日本語の特性に特化した主要なベンチマークについて解説します。

第5章 基盤的なグローバルベンチマーク

グローバルなAI開発コミュニティでは、モデルの汎用的な知識や特定の専門能力を測るための標準的なベンチマークがいくつか確立されています。

5.1 MMLU (Massive Multitask Language Understanding)

  • 目的: MMLUは、モデルが事前学習の過程で獲得した広範な知識と問題解決能力を測定するために設計された、極めて包括的なベンチマークです 8
  • 構造: STEM(科学、技術、工学、数学)、人文科学、社会科学、法律、医学など、57の多様な主題にわたる15,000問以上の多肢選択式問題で構成されています。難易度は初級レベルから高度な専門レベルにまで及びます 40
  • 評価: 評価は、タスク固有のファインチューニングを行わない「ゼロショット」および「フューショット」設定でのみ実施され、モデルの真の汎化能力をテストします。主要な指標は正答率(Accuracy)です 39。MMLUスコアは、今日、モデルの総合的な知能レベルを示す主要な指標の一つと見なされています 39
  • 重要性: その網羅性から、モデルの知識の「死角」を特定したり、GPT-4、Llama 3、Claude 3といった最先端モデルの汎用能力を比較したりする上で理想的なツールとなっています 40

5.2 HumanEval

  • 目的: HumanEvalは、LLMによるコード生成能力を評価するためのベンチマークであり、生成されたコードがテキストとして類似しているかではなく、「機能的に正しいか(実際に動作するか)」を評価することに焦点を当てています 33
  • 構造: 人間の手によって作成された164のPythonプログラミング問題から構成されます。各問題には、関数シグネチャ、プロンプトとなるdocstring、そして平均7.7個のユニットテストが含まれています 33。これらの問題は、公開されている学習データに含まれないように作成されており、データ汚染(リーク)のリスクを低減しています 33
  • 評価: 主要な評価指標はpass@kです。モデルは問題に対してk個の解答コードを生成し、そのうち少なくとも1つが全てのユニットテストに合格すれば、その問題は正解と見なされます。これは、開発者がコーディングアシスタントからいくつかの提案を試すという実用的なシナリオを反映しています 34
  • 影響: HumanEvalは、OpenAIのCodexのようなコード生成モデルのベンチマークの標準となり、各種リーダーボードで主要な指標として採用されています 33。また、コード内の視覚的要素の理解を問うHumanEval-Vのような、より高度な派生ベンチマークも生み出しています 49

第6章 日本語に特化したベンチマーク

英語中心で開発が進むLLMの評価において、日本語の言語的・文化的特性を正しく評価するための独自ベンチマークの重要性が増しています。これらのベンチマークの進化は、単なるNLU(自然言語理解)能力の測定から、より実践的で対話的な能力の評価へと移行する世界的な潮流を反映しています。

6.1 JGLUE (Japanese General Language Understanding Evaluation)

  • 目的: 英語のGLUEベンチマークに相当する、日本語NLU能力の標準的なベンチマークを構築すること。機械翻訳によるデータセット構築を避け、日本語のためにゼロから構築することで、翻訳による不自然さを排除しています 50
  • 構造: 以下のタスクから構成されるデータセット群です。
  • テキスト分類: MARC-ja(製品レビューの感情分析)、JCoLA(文章の言語的受容性判断)51
  • 文ペア分類: JSTS(二文間の意味的類似度判定)、JNLI(自然言語推論)51
  • 質問応答 (QA): JSQuAD(読解)、JCommonsenseQA(常識推論)51
  • 重要性: 日本語LLMの基礎的な言語理解能力を測定するための、標準化された基盤を提供します 56。これは、LLMが日本語の構造と意味をどの程度理解しているかを問う、評価の第一段階と位置づけられます。

6.2 ELYZA Tasks 100

  • 目的: 単純な分類やQAタスクを超え、モデルが複雑な指示に従い、実用的でニュアンスに富んだ日本語のシナリオで「役立つAIアシスタント」として振る舞えるかを評価すること 23
  • 構造: 人間の手で作成された、多様かつ複雑な100のタスクセット。各タスクには評価の揺らぎを抑えるための具体的な「評価観点(採点基準)」が付与されています 58
  • タスク例: 短編小説の執筆や「大喜利」のような創造性が問われるタスク、架空言語の解読のような高度な推論タスク、複数の制約(キャラクター設定、内容、長さなど)を満たす対話生成タスクなどが含まれます 59
  • 評価: 多くの場合、GPT-4oのような高性能LLMを判定者として用いた5段階評価が採用されており、「LLM-as-a-Judge」アプローチの代表例となっています 23
  • 進化における位置づけ: JGLUEが基礎的なNLU能力を測るのに対し、ELYZA Tasks 100は「モデルが複雑な指示を理解し、実世界で役立つか」という、より高度で実践的な能力を評価する第二段階のベンチマークと言えます。

6.3 Rakuda Benchmark

  • 目的: 日本の歴史、社会、地理といった日本固有のトピックに関する、オープンエンドな質問への対話応答の「質」を評価すること。単一の正解が存在しない状況での「有用性」を測ることを目指しています 24
  • 構造: 日本に特化した40の自由回答形式の質問から構成されます 24
  • 評価方法(革新性):
  1. ペアワイズ比較: ある質問に対し、2つの異なるモデルの回答をペアで提示します 24
  2. LLM-as-a-Judge: GPT-4などの強力なLLMが判定者となり、どちらの回答がより優れているかを判定します 24
  3. Bradley-Terryモデル: このペアワイズでの「勝敗」結果を、統計モデルであるBradley-Terryモデルに入力します。これにより、各モデルの根源的な「強さ」のスコア(Eloレーティングに類似)を推定し、ランキングを作成します 24
  • 重要性: Rakudaは、対話AIの評価における主観性を受け入れ、その評価プロセス自体をAIによってスケールさせるという、最先端の評価パラダイムを体現しています。これは、「モデルがどれだけ質の高い、人間らしい対話を行えるか」を問う、評価の第三段階と言えるでしょう。

これらの日本語ベンチマークの進化は、LLMの能力が単純なテキスト処理から高度なアシスタントへと発展するにつれて、評価基準もまたその進化を追う形で発展してきたことを明確に示しています。さらに、LLM-as-a-Judgeや文化的・言語的特異性を重視したタスク設計といった革新的なアプローチは、英語圏中心のAI評価からの脱却を目指す他の非英語圏コミュニティにとって、重要な先行事例となり得ます。これは、より多様で公平なグローバルAIエコシステムの構築に貢献するものです 41

以下の表2は、本節で紹介した主要なベンチマークを比較したものです。

表2: 主要な生成AIベンチマークの比較

ベンチマーク主な焦点タスク形式主な評価方法主な強み
MMLU汎用知識と推論能力多肢選択問題ゼロ/フューショット正答率最も広範な知識をテスト
HumanEvalコードの機能的正確性コード生成pass@k(ユニットテスト)実用的なコード生成能力を測定
JGLUE基礎的な日本語NLU能力分類、QAなど正答率、F1スコアなど日本語NLUの基礎能力を標準化
ELYZA Tasks 100複雑な日本語指示への追従能力自由形式の指示タスク5段階評価(LLM判定)実践的なアシスタント能力を評価
Rakuda日本語での対話応答の質自由形式のQ&Aペアワイズ比較(LLM判定)+ Bradley-Terryモデル主観的な対話品質をランキング化

第IV部 応用生成AI評価のケーススタディ

理論的な評価基準やベンチマークが、実際のビジネス課題解決にどのように適用されているのかを検証することは、生成AIの価値を理解する上で不可欠です。本章では、顧客体験、金融、ヘルスケア、コンテンツ生成といった多様な分野における先進企業のケーススタディを通じて、評価フレームワークが実世界でどのように機能しているかを分析します。これらの事例は、企業の生成AI導入の成熟度が、その評価フレームワークの洗練度と密接に相関していることを示しています。

第7章 顧客体験の変革

顧客サポートは、生成AIが最も早く価値を発揮している領域の一つです。ここでは、評価指標が単なるモデル精度から、顧客満足度や売上といった直接的なビジネスKPIへと移行している様子が見て取れます。

7.1 ケーススタディ:Best Buy & Verizon – サポートと販売の強化

  • ビジネス課題: 顧客サポートの効率とパーソナライゼーションを向上させると同時に、新たな販売機会を創出すること 68
  • ソリューション: 両社は生成AIを二つの側面で導入しました。
  1. 顧客向けバーチャルアシスタント: 製品のトラブルシューティングや注文管理などのセルフサービスを提供 68
  2. エージェント支援ツール: 人間のオペレーターに対し、リアルタイムでの応対ガイダンス、顧客の感情分析、定型業務の自動化などを提供 68
  • 評価とKPI:
  • 効率性: オペレーターの平均処理時間の短縮、定型業務の自動化率 68
  • 有効性: 問い合わせの包括的な解決率の向上。Verizonは、エージェントが問い合わせの95%に包括的に回答できるようになったと報告しています 69
  • パーソナライゼーション: 顧客データをAIが分析し、ニーズを予測してプロアクティブなサポートを提供する能力 69
  • ビジネスインパクト: Verizonは、生成AI導入によりサポート業務から解放されたエージェントを販売業務に再配置(リスキリング)した結果、売上が40%増加したと発表しました 69
  • 分析: このケースでは、評価の焦点がモデルの技術的精度から、売上成長や運用効率といった直接的なビジネス成果に移っていることが明確です。Googleのようなテクノロジーパートナーが基盤を提供し、その価値はビジネス上のリターンによって測定されています 68

7.2 ケーススタディ:Mercari – 評価中心の開発ワークフロー

  • ビジネス課題: C2Cマーケットプレイスにおける、ユーザーにとって手間のかかる出品プロセスの摩擦を軽減すること 70
  • ソリューション: 商品の写真を撮るだけで、AIが適切なタイトルと説明文を自動生成する「AI出品サポート」機能を開発。これにより、出品にかかる時間が数分からわずか15秒程度に短縮されました 70
  • 評価とKPI:
  • 核心的発見: Mercariは、成功する生成AIアプリケーションの鍵は、プロンプトエンジニアリングやRAG(Retrieval-Augmented Generation)以上に、高品質で継続的な評価にあると結論付けました 71
  • 評価方法論: 「評価中心(Evaluation-Centric)」の開発ワークフローを確立。W&B Weaveのようなツールを活用し、階層的な評価を実施しました。まずヒューリスティックな指標で評価し、次にLLM-as-a-Judgeによるモデルベース評価、最終的にドメイン専門家によるフィードバックを取り入れるという段階的なアプローチです 71
  • ツール活用: Weaveを用いて、プロンプトやモデルのA/Bテストを迅速に行い、その入出力を可視化・再現可能にしました。これにより、一人のエンジニアが2週間で22,000回以上の実験を追跡し、最適なソリューションに向けて高速なイテレーションを実現しました 71
  • 分析: この事例は、評価を開発プロセスの中心に据えた、成熟した体系的アプローチを示しています。評価指標が直接開発を導く迅速なフィードバックループを構築することで、自信を持ってインパクトのある機能改善を推進できることが実証されました 70。初期の実験段階では公開ベンチマークを利用しますが、本番導入を目指すにつれて、ビジネスKPIと直結した独自の評価基準と、それを効率的に回すための専門的な評価基盤の構築へと移行するのです。

第8章 金融・ヘルスケアにおけるイノベーション

金融やヘルスケアのような規制が厳しく、リスク管理が最重要視される分野では、評価フレームワークもまた、安全性と信頼性を核として設計されます。

8.1 ケーススタディ:金融における生成AI – リスク管理からパーソナライゼーションまで

  • ビジネス課題: 金融犯罪の防止、信用リスクの正確な評価、そしてパーソナライズされた金融アドバイスの提供 72
  • ソリューションと評価:
  • 不正検知: モデルは、ルールベースのシステムでは見逃されがちな取引パターンの微細な異常を特定する能力で評価されます。評価には、進化する不正手口を模倣した合成データを生成し、モデルの検知能力をテストする手法が用いられます 73
  • 信用スコアリングとリスク評価: 広範なデータセットを分析し、様々な経済シナリオをシミュレートすることで、より正確で動的なリスクモデルを構築する能力が評価されます。主要なKPIは、貸し倒れ率の低減です 72
  • パーソナライズされた金融プランニング: ユーザーのリスク許容度や財務目標に沿った、テーラーメイドの推奨の質と関連性が評価の中心となります。ROI(投資収益率)や顧客満足度が重要な指標です 72
  • 分析: 金融分野における評価は、根本的にリスクとリターンの問題に帰着します。評価の指針となるのは、まず生成AIが他の自動化技術よりも本当に必要かを判断し、次にデータの準備状況を確認し、そして明確なROIに基づいて導入のロードマップを作成することです 75

8.2 ケーススタディ:臨床Q&Aシステムの評価 – ヘルスケアにおける安全性第一

  • ビジネス課題: 臨床医に対し、信頼性が高く、正確かつ安全な、臨床上の質問に答えるAIツールを提供すること 76
  • ソリューション: 臨床質問応答システム「ClinicalKey AI」の評価事例。
  • 評価フレームワーク(多次元的アプローチ):
  1. 質問理解度 (Query Comprehension): モデルは質問を正しく理解したか?(98.6%成功)
  2. 回答の有用性 (Response Helpfulness): 回答は役に立ったか?(94.4%が有用と評価)
  3. 正確性 (Correctness): 提供された情報は事実として正確か?(95.5%が正確)
  4. 網羅性 (Completeness): 回答は質問の必要な側面をすべてカバーしていたか?
  5. 潜在的な臨床的危害 (Potential Clinical Harm): 回答が患者の安全にリスクをもたらす可能性はないか?(潜在的危害を示唆する回答はわずか0.47%)
  • 評価方法論: 評価は、41名の専門医および薬剤師によって実施されました。評価者間の意見の不一致を解消するために、構造化された合意形成プロトコル(修正デルファイ法)が用いられました。これは、ハイステークスなドメインにおける評価のゴールドスタンダードと言えます 76
  • 分析: ヘルスケアのような分野では、評価は厳格に構造化され、ドメインの専門家が関与し、他のどの指標よりも「害をなさない(do no harm)」という安全性の原則を最優先しなければなりません。この事例は、責任あるAI導入のための明確なモデルを提供しています 77

第9章 コードおよびコンテンツ生成の革命

コード生成と広告コンテンツ生成は、それぞれ「機能的正しさ」と「創造性とビジネス成果のバランス」という異なる評価軸が求められる分野です。

9.1 ケーススタディ:コード生成 – 機能的正しさへの挑戦

  • ビジネス課題: 自然言語の指示から、正しく有用なコードを生成し、ソフトウェア開発を自動化・高速化すること 78
  • ソリューション: OpenAIのCodexやDeepMindのAlphaCodeといった先進的なコード生成モデルの開発 33
  • 評価とKPI:
  • 主要ベンチマーク: HumanEvalが中心的な評価ツールとして使用されます。これは、生成されたPythonコードがユニットテストをパスするかどうかで機能的な正しさを測定します 48
  • 競技プログラミング: AlphaCodeは、単なるコーディングだけでなく、アルゴリズムの発明も要求される競技プログラミングのプラットフォーム(Codeforces)で評価されました。その結果、人間の参加者の上位54%に相当する成績を収め、大きなマイルストーンとなりました 81
  • 開発プロセス: 開発プロセスには、多数の解答候補を生成(大規模サンプリング)し、それらをフィルタリング、クラスタリング、再ランキングして、最も有望な候補を選択しテストするという手法が用いられます 81
  • 分析: コード生成モデルの評価は、機能的テストへの明確なシフトを示しています。成功の尺度は、コードの見た目ではなく、それが正しく実行され、問題を解決するかどうかです。

9.2 ケーススタディ:広告・マーケティング – 創造性とパフォーマンスのバランス

  • ビジネス課題: ブランドやプラットフォームの制約を守りつつ、多様で魅力的、かつパフォーマンスの高い広告クリエイティブ(テキスト、画像)を大規模に生成すること 83
  • ソリューション: GoogleによるPerformance Maxキャンペーンへの生成AI統合、Metaの広告主向けAIサンドボックス、サイバーエージェントによる特化型広告テキスト生成モデルなど 86
  • 評価とKPI:
  • 多様性 (Diversity): 広告疲れを避けるために不可欠。生成されたアウトプット間の非類似性によって測定されます 83
  • 広告パフォーマンス: 最終的なビジネス指標。多くの場合、CTR(クリックスルー率)予測モデル(例:サイバーエージェントの「極予測TD」)によって代理評価されます 83
  • 一貫性 (Consistency): 生成された広告テキストが、遷移先のランディングページの内容と一致していること。BERTScoreのような指標で測定されます 83
  • 受容性 (Acceptability): 文字数制限など、プラットフォームの制約を遵守しているか 83
  • カスタムベンチマーク: サイバーエージェントのような企業は、これらの特定の側面を標準化された方法で評価するために、独自のベンチマーク(例:CAMERA, LCTG Bench)を開発しています 89
  • 分析: 広告分野は、創造性・多様性と、パフォーマンス・一貫性との間に明確なトレードオフが存在する領域です。効果的な評価には、これらの競合する目標のバランスを取り、それらをコンバージョンやROIといったビジネス成果に結びつけるカスタムフレームワークが不可欠です 83

以下の表3は、本章で取り上げた多様なケーススタディを要約し、評価基準が業界のニーズやビジネス目標にどのように適応されるかを示しています。

表3: ケーススタディ評価フレームワークの概要

業界/ドメインケーススタディ例主なビジネス目標主要な適用評価基準測定方法
顧客サポートVerizonオペレーター効率と売上の向上解決率、感情分析、処理時間ビジネスKPI、A/Bテスト
EコマースMercariユーザーの出品負担軽減タスク完了時間、LLM-as-a-judgeカスタム評価ワークフロー(Weave)
金融不正検知、リスク評価不正検知精度、デフォルト率、ROI合成データテスト、ビジネスKPI
ヘルスケアClinicalKey AI患者の安全性確保臨床的危害、正確性、有用性専門家による人間評価(医師)
コード生成AlphaCode複雑なアルゴリズム問題の解決pass@k、機能的正しさ標準ベンチマーク(HumanEval)
広告CyberAgent広告パフォーマンスの向上CTR、多様性、一貫性、受容性カスタムベンチマーク(CAMERA)

第V部 統合と今後の展望

第10章 結論と提言

本レポートでは、生成AIの評価基準とその応用について、基礎理論から具体的な指標、標準化されたベンチマーク、そして産業別のケーススタディに至るまで、多角的に分析してきました。この分析から、生成AIの評価が単なる技術的課題ではなく、ビジネス戦略と倫理的配慮が交差する複雑な領域であることが明らかになりました。本章では、これまでの議論を統合し、実践者に向けた提言と今後の展望を示します。

10.1 統合的評価フレームワークの統合

ケーススタディの分析を通じて、企業の生成AI導入が成功裏に進むためには、普遍的な「評価のバリューチェーン」が存在することが示唆されます。このバリューチェーンは、以下の三つの段階的なゲートを通過する必要があります。

  1. 技術的な正しさ (Technical Correctness): モデルは技術的に機能するか?
  • 評価対象: モデルの基本的な性能、出力の品質。
  • 評価手法: pass@k、FID、BLEU/ROUGE、Perplexityなどの自動評価指標や、MMLU、HumanEvalといった標準ベンチマーク。
  1. ビジネス上の有用性 (Business Utility): モデルはビジネス課題を解決するか?
  • 評価対象: 業務効率の向上、売上増加、コスト削減、顧客満足度の向上など、具体的なビジネス目標への貢献度。
  • 評価手法: A/Bテスト、ROI分析、主要業績評価指標(KPI)の追跡、MercariやCyberAgentの事例に見られるようなカスタム評価フレームワーク。
  1. 倫理とリスクの遵守 (Ethical & Risk Compliance): モデルは安全で信頼できるか?
  • 評価対象: 公平性、安全性、プライバシー、説明責任、潜在的な危害の回避。
  • 評価手法: 第4章で詳述した8つのビジネス・倫理的評価フレームワーク、ヘルスケア事例に見られる専門家による厳格なレビュープロセス。

生成AIプロジェクトが成功するためには、これら三つのゲートをすべて通過しなければなりません。技術的に優れていてもビジネス価値を提供できないモデルや、ビジネス価値があっても許容できないリスクを生み出すモデルは、最終的に展開に失敗します。この三層構造は、組織が生成AI戦略を立案する際の強力な思考モデルとなります。

10.2 実践者に向けた提言

本分析に基づき、生成AIの評価に取り組む実践者に対して、以下の提言を行います。

  • 目標から始める: モデルや指標を選ぶ前に、ビジネスKPIの観点から「成功」が何を意味するのかを明確に定義することが不可欠です。「テクノロジー優先」ではなく、「課題優先」のアプローチを取るべきです 75
  • 階層的なアプローチを採用する:
  • 初期選定: MMLUやHumanEvalのような広範な公開ベンチマークを用いて、候補となるモデルの初期スクリーニングを行います。
  • ファインチューニングと事前テスト: より専門的でドメインに特化した独自のベンチマークを開発し、本番投入前のモデルの性能を精密に評価します。
  • 本番評価: A/Bテストや実世界のユーザーからのフィードバックを用いて、実際の運用環境でのパフォーマンスを継続的に監視します。
  • ハイブリッドモデルを受け入れる: 迅速なイテレーションのためには、コスト効率の良い自動評価指標(計算ベース、モデルベース)を活用します。一方で、ニュアンスが重要でリスクが高い評価項目については、質の高い人間評価やLLM-as-a-Judgeを的を絞って投入します。
  • 評価中心の文化を醸成する: Mercariの事例が示すように、評価を開発サイクルの中心に組み込むことが、迅速かつ成功裏にイテレーションを回すための鍵となります 71。評価は事後的な検証作業ではなく、開発を導く羅針盤であるべきです。

10.3 今後の展望:評価の次なるフロンティア

生成AI技術が進化し続ける中で、評価手法もまた新たな挑戦に直面しています。

  • マルチモーダルAIの評価: テキスト、画像、音声、動画が複雑に絡み合うマルチモーダルAIの評価は、新たな次元の複雑さを持ちます。例えば、生成された動画とその音声トラックの「一貫性」をどのように定量化するか。視覚的文脈を考慮したコード生成を評価するHumanEval-Vのようなベンチマークは、その第一歩に過ぎません 49
  • エージェント型AIの評価: ツールを使用し、自律的に行動するAIエージェントの評価は、単一の出力の品質評価から、複数ステップにわたるワークフロー全体の成功評価へと移行しなければなりません。これには、タスクの達成度だけでなく、途中のツール選択の適切さや使用方法の正しさといった、プロセスの評価も含まれます 1
  • 進化する人間の役割: AIがより強力になるにつれて、特に複雑な推論や、臨床的・社会的な影響を判断する上で、人間による評価の重要性はむしろ増していくでしょう 18。未来の評価における人間の役割は、単純作業の代替ではなく、AIでは判断できない高度な価値判断を担う、より専門的で重要なものへと進化していくと考えられます。

生成AIの評価は、未だ発展途上の分野です。しかし、本レポートで示した体系的なフレームワークと先進的な事例は、この複雑な領域を航海するための信頼できる指針となるでしょう。

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  87. Meta Launches Early Access Program for Advertisers to Test New AI Ad Tools https://web.swipeinsight.app/posts/meta-launches-early-access-program-for-advertisers-to-test-new-ai-ad-tools-16886
  88. Meta’s Latest AI Tools for Influencers in 2025 https://stackinfluence.com/metas-latest-ai-tools-for-influencers-in-2025/
  89. CyberAgentAILab/camera: Multimodal dataset for ad text generation in Japanese [Mita+, ACL2024] – GitHub https://github.com/CyberAgentAILab/camera
  90. LCTG Bench: LLM Controlled Text Generation Benchmark – GitHub https://github.com/CyberAgentAILab/LCTG-Bench
  91. Generative AI for Customer Service: 3 Helpful Use Cases | Salesforce US https://www.salesforce.com/service/ai/customer-service-ai/generative/
  92. How to Evaluate Generative AI – Approach and Metrics – DataKnobs https://www.dataknobs.com/generativeai/3-how-to-evaluate/