問題を定義するための「目的・あるべき姿・ゴール・目標・ターゲット」 × 5W1Hマトリクス
「目的・あるべき姿・ゴール・目標・ターゲット」の分類に対して、5W1H(Who, What, When, Where, Why, How)の視点を横軸に並べて、各概念がどの問いに対応しているかを整理します。
| 概念 | Why(なぜ) | What(何を) | Who(誰が/に) | When(いつ) | Where(どこで) | How(どうやって) |
|---|
| 目的 | なぜ行動するのか(動機) | ― | 自身/社会(誰のために) | ― | ― | ― |
| あるべき姿 | どんな意義を持っていたいか | なにものになりたいか(状態) | 自分自身 | 将来的に | 全体的・抽象的な空間 | ― |
| ゴール | どこに到達したいか(意図) | 何を実現したいか(成果) | 自分たち/チーム | ○年以内 | 組織/市場などの領域 | 方針や戦略レベルで設定可能 |
| 目標 | なぜそれが必要なのか(根拠) | 何をどれだけ達成するか | 誰が実行するか | 具体的な期日 | 担当部署/現場 | 数値的・行動的なやり方 |
| ターゲット | なぜその対象を狙うのか | 何を届けるか(提供価値) | 誰に届けるのか(対象) | どのタイミングで | 地域/市場/セグメント | どの手段・チャネルを使うか |
ポイント解説
- 目的は「Why」の問いに強く結びつき、それ以外の5W1Hは付随的です。
- あるべき姿は「What(どんな存在になりたいか)」と「Why(それはなぜか)」の中間的存在。
- ゴール〜ターゲットに向かうほど、「When」「How」「Where」など具体的な計画・実行レベルの問いが増えていきます。
- Whoは「誰がやるか」だけでなく、「誰のために」や「誰に届けるか」という複数の立場で使われます。
この表の活用意図
- 抽象的な言葉の違いを、「問い」の種類として整理することで、設計や実行での混乱を避けることができます。
- 各段階で「答えるべき問い」が違う、という思考のステップガイドとしても活用できます。
意思のフレームワークについてのケーススタディ
ケース1:ビジネス(ローカルカフェの事業展開)
| 概念 | 具体内容 |
|---|
| 目的 | Why:地域に愛される場所を提供し、日常に彩りを加えたい(社会的意義) |
| あるべき姿 | What/Why:人が自然と集まり、会話が生まれる「地域の第三の居場所」でありたい |
| ゴール | What/When:2年以内に地域で一番人気のカフェになる |
| 目標 | What/When/How:半年以内にGoogleレビュー★4.5以上/月売上120万円を達成する |
| ターゲット | Who/Where/When/How:平日昼間に来店する30〜40代主婦層/SNSとチラシで訴求 |
ケース2:生活(個人のキャリア設計)
| 概念 | 具体内容 |
|---|
| 目的 | Why:人の成長に関わる仕事を通して、自分自身も学び続けたい(内的動機) |
| あるべき姿 | What/Why:「問いを育てる人」として信頼され、学びの場をつくる人間でありたい |
| ゴール | What/When:5年以内に独自の学習プログラムを立ち上げ、50人以上の継続参加者を持つ |
| 目標 | What/When/How:来年までに月1回のワークショップを開催し、毎回参加者10人以上を集める |
| ターゲット | Who/Where/When/How:探究型教育に関心のある20〜30代社会人/Peatixとnoteで情報発信を行う |
比較と補足
| 比較項目 | ビジネスケース | 生活ケース |
|---|
| 主体 | 他者への価値提供が中心 | 自己実現・内発的動機が中心 |
| ゴールの性質 | 経済的成功や組織的成果が主 | 成長や実現の達成感が主 |
| ターゲット | 市場・顧客としての「誰に」 | 共感者・学び手としての「誰に」 |
| 実行手段 | マーケティング、PR、価格戦略など | 情報発信、対話、自己研鑽など |
まとめ
- ビジネスでは「目的→社会貢献」「あるべき姿→ブランドの理想像」となる傾向
- 生活では「目的→人生の意味」「あるべき姿→自己の理想像」となる傾向
どちらも同じフレームで整理できますが、目的が外発的か内発的かでニュアンスが変わる点がポイントです。
意図構造を使ったギャップ分析(ビジネス:地域密着カフェの例)
| 意図構造の階層 | 目的・あるべき状態(例) | 現状(例) | ギャップ(差分) |
|---|
| 目的(Why) | 地域コミュニティに貢献し、地域の絆を育てる | 売上確保が最優先となり、地域貢献の意識が薄れている | 日々の運営の中で本来の存在意義が行動に反映されていない |
| あるべき姿(To-Be) | 人が自然と集まり会話が生まれる第三の居場所 | 常連客と新規客の間に壁があり、交流が限定的 | 理想とする「開かれた居場所」が実現できていない |
| ゴール(Goal) | 地域で一番人気のカフェになっている | 「一番人気」の基準や指標がスタッフ間で統一されていない | 目指す到達点の認識・基準が組織内で曖昧 |
| 目標(Objective) | 顧客満足度や口コミ評価の向上、月売上・新規顧客数UP | 売上や来客数は計測しているが、質的評価(満足・口コミ)が未把握 | 定量面に偏り、顧客体験・評価のモニタリングが抜け落ちている |
| ターゲット(Target) | 30〜40代主婦や若い世代など多様な顧客層がリピート | 高齢者層が中心、狙いたい層の新規・リピートが少ない | 重点顧客層へのリーチとリピート獲得ができていない |
ギャップ分析のポイント
- 目的ギャップ:そもそもの「なぜやるか」と日々の実際の行動が一致していない
- あるべき姿ギャップ:「理想の空間」と「今の雰囲気・関係性」に差分がある
- ゴールギャップ:組織内での「目指す姿」の定義や評価軸にブレ・曖昧さがある
- 目標ギャップ:数字(売上など)は追っているが、顧客満足や口コミといった本質的指標が抜けている
- ターゲットギャップ:狙いたい層にリーチできておらず、施策や訴求がズレている
活用方法
このギャップの可視化が、次の「課題抽出」「重点施策の設定」「KPI見直し」など、
問題解決サイクルのスタート地点となります。
目的セット(意図構造)はどう作ればよいか?
前提となる問い
どうすれば「目的」から「ターゲット」まで、一貫したロジックで矛盾なく構造化された目的セットをつくれるのか?
曖昧な理想や目標の“バラバラ感”を防ぎ、現実的な行動につながる「意図の連鎖」を設計する方法を考えます。
1. まず「目的(Why)」を言語化する
- 問い例:「そもそも、なぜこの活動をするのか?」「このプロジェクトが存在する根拠・意義は何か?」
- ヒント:理念や内発的動機、社会的役割、答えが一つでなくて良い
2. 「あるべき姿(To-Be)」を描く
- 問い例:「もし理想的にうまくいったら、どんな状態になっているか?」
- ヒント:抽象的でもOK、未来の“絵”としてイメージする
3. 「ゴール(Goal)」を具体化する
- 問い例:「あるべき姿が“実現した”とみなせる明確な到達点は?」
- ヒント:期間や水準、実感できる変化など。定量・定性どちらでも良い
4. 「目標(Objective)」を数値・行動に落とす
- 問い例:「ゴールを達成するために“何をいつまでにどれだけ”やればよいか?」
- ヒント:SMART(具体的・測定可能・達成可能・関連性・期限)で表現
5. 「ターゲット(Target)」を明確にする
- 問い例:「誰に、どこで、どんな手段で、どのくらいの成果を届けるか?」
- ヒント:属性・場所・チャネル・数量など。現場レベルで即実行可能に
6. 全体を見直し、上下の整合性・一貫性を確認
- 上位の「なぜ」と下位の「何を・誰に」がつながっているかチェック
- ギャップや矛盾があれば**「どの階層でずれているか」**を再考する
- 必要に応じて現状分析・ギャップ分析を挟む
具体的プロセス例(ビジネスの簡易版)
- 目的:「地域の健康づくりに貢献したい」
- あるべき姿:「健康志向の人が集う、地域のハブカフェ」
- ゴール:「1年後にリピーター比率50%、Googleレビュー4.5超」
- 目標:「半年以内に健康メニュー5品開発/SNSフォロワー1000人増」
- ターゲット:「30〜50代の健康志向主婦/近隣オフィスワーカー」
まとめ:目的セットの作り方5ステップ
- Why(なぜ)=目的
- What(どんな未来)=あるべき姿
- Where/When(到達点)=ゴール
- How/How much(何をどれだけ)=目標
- Who(誰に)=ターゲット
→ この順で問い直し、上下の整合性を確認するのがコツ