「定義」を定義する:哲学的・学際的探求

1. 序論:定義の遍在性と捉え難さ

「定義とは何か?定義を定義する」という問いは、その単純さの裏に、深遠な哲学的奥行きを秘めている。定義は人間の言語と思考において遍在的であるが、定義するという行為、そして「定義」という概念自体は複雑であり、広範な議論の対象となってきた。この問いは、定義という行為そのものを定義するというメタレベルの課題を即座に提示する。この自己言及的な性質は、本稿を通じて探求される中心的なテーマの一つである。

定義は、日常会話から専門的な学術分野に至るまで、人間活動のあらゆる領域におけるコミュニケーション、知識獲得、推論の基礎である。しかし、その一般的な使用にもかかわらず、「定義」の単一で普遍的に受け入れられる定義を確立することは困難である。定義の意味と機能は、文脈、目的、そして採用される哲学的または学問的枠組みによって大きく異なる。本稿では、定義の多面的な性質を明らかにしていく。

本稿の構成は以下の通りである。まず語彙的な意味と語源的なルーツを探り、次に歴史的および現代的な哲学的理論を概観する。続いて、定義の種類と目的、定義に伴う課題、限界、そして逆説について検討する。さらに、様々な学問分野における定義の役割を検証し、最後にメタ定義という特有の問題に取り組む。この探求を通じて、「定義とは何か」という問いが、単なる言葉の意味を超えて、我々が世界を理解し、知識を構築する方法そのものに関わる根本的な問いであることが明らかになるだろう。人間が言語を用いて経験を分類し意味づける際、定義はそのカテゴリーの境界と意味を確立するための主要な道具となる。したがって、「定義」そのものを理解しようとする欲求は、我々が現実と知識を構造化するために用いる道具を理解しようとする根源的な動機を反映している。これは、定義の本質が、我々がいかにして知り、何が存在するのかという、より広範な認識論的および存在論的関心事と結びついていることを示唆している。

2. 語彙的出発点:「定義」と “Definition” の理解

「定義」という概念の探求は、まずその語彙的な意味を把握することから始まる。日本語の「定義」と英語の “definition” は、それぞれ独自のニュアンスを持ちつつも、共通の核となる理解を共有している。

日本語における「定義」の語彙分析

日本語の辞書において、「定義」(ていぎ)は多角的に説明されている。基本的な意味合いとしては、「言葉(用語)の意味を定めたもの」1 や、「物事の意味・内容を他と区別できるように、言葉で明確に限定すること」3 が挙げられる。これは、定義が特定の概念や事象を他のものから区別し、その意味内容を明確にするための言語的行為であることを示している。

さらに、論理学の文脈では、「概念の内包を明瞭にし、その外延を確定すること。通常、その概念が属する最も近い類と種差を挙げることによってできる」3 と説明される。この点は、西洋哲学における伝統的な定義方法(後述するアリストテレスの「類と種差による定義」)が、日本語の「定義」の理解にも深く関わっていることを示唆している。実際、多くの辞書で「定義」は英語の “definition” の訳語としても扱われている 5

特筆すべきは、ことバンク 4 に見られるように、日本の辞書が「定義」という語に対して、単なる語義説明に留まらず、数学(円の定義、集合論における定義など)や特定の議論における約束事としての性質、さらには「定義」という地名にまで言及している点である。これは、「定義」という語が日本の知的文脈において多様な領域で参照され、その理解に論理学的側面が比較的強く組み込まれている可能性を示している。例えば、goo辞書 3 やデジタル大辞泉(ことバンク経由 4)では、論理学的な側面が主要な定義の一部として提示されている。

英語における “Definition” の語彙分析

英語の “definition” に関しても、その語義は多岐にわたる。基本的には、「単語や単語群、記号や象徴の意味の記述」6 とされる。しかし、これに加えて、「何かの本質的な性質を表現する記述」6 という意味も含まれており、これは単なる語彙的意味を超えた、より哲学的で深い理解を示唆している。

また、「意味を述べる行為や過程」あるいは「明確かつ明瞭に記述、説明、またはする行為や力」7 という側面も重要であり、定義の能動的、手続き的な側面を強調している。興味深いことに、”definition” は「視覚的提示の明瞭さ:輪郭や細部の明確さ」7 や「再生における音楽音の明瞭さ」といった、比喩的な拡張も持つ。これは、「定義」という概念の根底に、概念の境界を明確にし、曖昧さを排除するという、視覚的な鮮明さにも通じる機能があることを示唆している。すなわち、「定義とは鮮明さ/明確さである」という概念的メタファーの存在が推察される。さらに、「決定する行為、特にローマ・カトリックの教義の正式な宣言」7 という意味は、定義の形式的、権威的な側面を示している。

初期比較洞察

日英語彙の比較から、いくつかの興味深い点が浮かび上がる。両言語ともに、定義が意味を明確にし、概念を区別する役割を強調している点は共通している。しかし、日本語の辞書が論理学的な定義方法(類と種差、内包と外延)を比較的早い段階で言及するのに対し、英語の辞書は視覚的・聴覚的な明瞭さや公式な宣言といった、より広範な適用範囲を示唆する傾向がある。これは、それぞれの言語文化圏における「定義」という概念の強調点の違いを反映している可能性がある。

辞書に記載されたこれらの多様な意味合いは、「定義」が一つの固定された概念ではなく、関連するアイデアの集合体であることを示唆している。したがって、包括的な理解のためには、単一の辞書項目を超えて、これらの様々な側面とそれらの相互関係を探求する必要がある。この語彙レベルでの多様性は、後の哲学的および学際的な文脈で探求される複雑さの前兆と言えるだろう。

3. 語源的基礎:定義の歴史的意味論

「定義」という言葉の歴史的ルーツを探ることは、その概念がどのように形成され、どのような核となる観念を内包しているかを理解する上で不可欠である。日本語の「定義」と英語の “definition” は、異なる言語的背景を持ちながらも、その語源において興味深い共通性と差異を示している。

「定義」(ていぎ)の語源

日本語の「定義」は、「定」(てい)と「義」(ぎ)という二つの漢字から構成されている。「定」には「定める」「固定する」「決定する」といった意味があり、「義」には「意味」「意義」「道理」「正しいこと」といった多様な意味が含まれる。Weblio辞書 8 によれば、「定義」は「義を定める」(ぎをさだめる)、すなわち「意味を決定し固定する」という行為に由来するという。特に「義」が持つ意味の一つである「意味」と、「定める」が持つ「これと決める」という意味が組み合わさり、「ある事象や事物の意味をこれと決める」という意味になったと解説されている。これは、定義が意味内容を特定し、確定させるという能動的なプロセスであることを強調している。

“Definition”(英語)の語源

英語の “definition” の語源は、ラテン語の dēfīnītiō に遡る。これは動詞 dēfīnīre から派生した名詞であり、「境界を定めること、正確な記述」を意味する 7dēfīnīre は、接頭辞 de-(完全に、離れて)と fīnis(境界、限界、終わり)から構成されており、文字通りには「境界を完全に定める」「限界を画定する」といった意味合いを持つ 7。この語源は、定義が対象の本質や範囲を明確に区切り、他のものから分離する行為であることを強く示唆している。オックスフォード英語辞典 9 も、dēfīnīre が「終わらせる、終結させる、境界を定める」という意味を持つことを指摘している。

また、”etymology”(語源学)という言葉自体が、ギリシャ語の ἐτυμολογία (etumología) に由来し、これは ἔτυμον (étumon、「真の意味」) と -logia(「~の学問」)から成る 10。定義がしばしば概念の「真の意味」を捉えようと試みることを考えると、この語源学的背景は示唆に富む。

語源的洞察の連結

日本語の「定義」と英語の “definition” の語源を比較すると、両者に共通する核心的なアイデアは「限界や境界を設定する」という概念であることがわかる。ラテン語の fīnis(境界)は “definition” の中心であり、日本語の「定める」(固定する、決定する)も同様に、固定された限界を確立するという含意を持つ。この境界設定という行為は、対象を理解するための根源的な人間の認知戦略、すなわち、対象をそれが「何でないか」ということから区別し、その周りに線を引くことによって理解するという戦略を反映していると考えられる。

一方で、日本語の「義」(意味)は意味論的側面を直接的に指し示しているのに対し、ラテン語の dēfīnīre はまず境界画定の行為に焦点を当て、そこから意味が導き出されたり明確化されたりするというニュアンスがある。

さらに、”definition” の語源 (dēfīnīre) が「有限にする」「終わりに至らせる」という意味合いを持つことは、定義が潜在的に無限または曖昧なものを概念的に扱いやすく、限定されたものにするプロセスであることを示唆している。これは、定義が認知的な経済性のための道具であり、開放的または曖昧な概念をより限定的で理解可能な単位に変換する役割を担うことを意味する。

「語源学」の語源に見られる「真の意味」の追求は、定義行為における本質的な、あるいは理想化された目標、すなわち単なる「ある意味」ではなく、用語や概念の「正しい」または「根本的な」意味を明らかにしようとする願望を示唆している。この願望は、後の節で詳述する実質定義と名目定義を巡る哲学的議論に直接的に繋がっている。定義は単に慣習的なもの(名目的)なのか、それとも「真の意味」の追求が示唆するように、より深い何か(実質的/本質的)を捉えようとするものなのか、という緊張関係を生み出すのである。

4. 定義の哲学的概念:歴史的軌跡

定義という概念は、哲学の歴史を通じて絶えず探求され、再解釈されてきた。古代ギリシャの哲学者たちによる基礎付けから、近現代の言語論的転回や権力論的考察に至るまで、定義の捉え方は大きく変遷してきた。この変遷は、定義の目的、方法、そしてその限界に関する理解の深化を反映している。

古代の基礎

  • ソクラテス (紀元前約470–399年): ソクラテスは、対話を通じて倫理的概念(徳、正義、勇気など)の定義を追求したことで知られる 12。彼の方法は、特定の事例を集め、それら全てに共通する普遍的な特性、すなわち本質(「何であるか」)を見出すことであった 12。ソクラテスが求める「善い定義」の基準は極めて高く、それは説明的であり、反例に対して免疫があり(つまり必要十分条件を満たし)、循環的でなく、そして概念の真の本質、すなわち「永遠の真理」を捉えるものでなければならなかった 13。彼の対話篇がしばしばアポリア(行き詰まり)に終わるのは、そのような定義を達成することが極めて困難だったからである。ソクラテスの貢献は、定義を客観的真理と本質の探求を目指す中心的な哲学的課題として確立し、適切な定義とは何かについての高い基準を設定した点にある。
  • プラトン (紀元前約428–348年): イデア論 プラトンは、ソクラテスの本質探求を形而上学的に基礎づけるイデア論を展開した。イデア論によれば、我々が感覚する物理的世界は真実在ではなく、永遠不変で絶対的なイデア(または形相)こそが万物の本質であるとされる 14。プラトンにとって、イデアこそが「真の定義」であった 14。例えば、無数の個々のテーブルが存在するが、それら全ての本質は「テーブルのイデア」にある。真の知識とはこれらのイデアを把握する能力であり 15、したがって定義とは、これらの超越的なイデアを言語化する試みであった。プラトンは、定義が単なる言語的慣習ではなく、永遠不変の客観的実在を捉えようとする試みであるという形而上学的根拠を提供した。
  • アリストテレス (紀元前384–322年): 類と種差による論理学 アリストテレスは、定義(horos, horismos)を「あるものが何であるかを示す言表」(本質)と考えた 16。彼は、定義を(より広範なカテゴリー)と種差(その類の中で種を特異的に識別する特性)によって行う方法を形式化した 17。例えば、「人間は理性的動物である」(動物=類、理性的=種差)という定義がこれにあたる。アリストテレスによれば、定義は定義されるものについてのみ述語づけられ(反対述定)、本質的に述語づけられなければならない 16。彼はまた、定義を発見するためのプラトンの「分割法」についても論じたが、それを定義を確立する方法としては、証明すべきことを前提としているとして批判的であった。アリストテレスは、本質と精密な分類を強調する定義の体系的な論理的枠組みを提供し、その方法は数世紀にわたり西洋思想における定義の基礎となった。

近世の視点

  • ジョン・ロック (1632–1704年): 名目的本質と実質的本質 ロックは、実質的本質(「あるものをそれたらしめるもの」、観察可能な性質の根底にある、しばしば未知の原因)と名目的本質(共有される観察可能な性質から我々が形成する抽象観念であり、種や類の定義の基礎となるもの)を区別した 18。ロックによれば、言葉は観念に結びつくことによって意味を獲得する。我々が行う事物の種類(例えば「金」)の定義は、名目的本質(黄色く重い金属という我々の観念)に基づいている。なぜなら、実質的本質(その根底にある原子構造)は我々にはほとんど知られていないからである 21。これは、人間の知識の限界を示唆している。我々は観察可能な特性に基づいて物事を定義できるが、これらの定義は真の根源的な性質を捉えていないかもしれない。ただし、ロックは数学と道徳においては名目的本質と実質的本質が一致すると考え、これらの領域では科学的知識が可能であるとした 21。ロックは定義に重要な認識論的次元を導入し、物理的実体の「真の性質」を定義する我々の能力に疑問を呈し、定義形成における人間の概念化の役割を強調した。
  • イマヌエル・カント (1724–1804年): 概念分析 カントは哲学を「概念からの理性的認識」22、本質的には「概念分析」と見なした。彼は、「作られた」概念(例えば数学における概念。我々が概念を構成するため、定義は厳密かつ網羅的である)と、「与えられた」概念(経験的概念または純粋ア・プリオリ概念、例えば「実体」や「原因」)を区別した。「与えられた」経験的概念に対する定義の方法は解明(経験の分析を通じて暗黙の構成要素を明示化すること)であり、「与えられた」純粋概念に対するそれは展開(経験に完全には対応しないため、悟性を通じてその標識を明確化すること)である 22。カントは、真に網羅的な定義は主に数学において可能であり、哲学は「与えられた」概念を扱うため、しばしば解明と展開に満足しなければならず、これらは本質的に洗練の余地があると考えた。カントは哲学的定義の分析的性質を強調し、その方法と達成可能な精度を数学的定義と区別し、概念構造化における精神の能力の役割を強調した。

20世紀以降の転換

  • ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン (1889–1951年): 言語ゲームと家族的類似 ウィトゲンシュタインは、後期哲学(『哲学探究』)において、全ての概念が単一の定義的特徴の集合(本質主義)を持つという考えに異議を唱えた 23。彼は「ゲーム」のような言葉に対して家族的類似という概念を導入した。「ゲーム」の事例は、全てに共通する一つの特徴によってではなく、複雑に重なり合う類似性のネットワークによって関連づけられている 23。意味は特定の文脈(言語ゲーム)における使用によって決定される 24。言葉が使用可能であるためには、必ずしも正確な定義が必要ではない。ウィトゲンシュタインはまた、文法規則の任意性についても論じ、それらが外部の目的によって定義されるのではなく、意味を構成すると示唆した 27。ウィトゲンシュタインは、本質主義的定義に代わるものとして、意味の流動性、文脈依存性、そしてプラグマティックな性質を強調し、これは整然とした定義に抵抗する概念を我々がどのように理解するかに深遠な影響を与えた。
  • ウィラード・ヴァン・オーマン・クワイン (1908–2000年): 分析性の批判 クワインは、「経験主義の二つのドグマ」において、分析的真理(意味/定義のみによって真)と総合的真理(事実によって真)の区別を攻撃した 29。彼は、「分析的」を定義しようとする試み(例えば、同義性や必然性によるもの)は循環的であると主張した 30。また、彼は確証ホーリズム(個々の言明ではなく、理論全体が経験に直面する)からも論じ、いかなる言明(定義的なものですら)も修正を免れないとした。クワインの批判は、「定義による真理」という考え方を特別なカテゴリーとして捉えることを弱体化させる。定義は、固定的でア・プリオリな真理ではなく、我々の概念的枠組み全体の修正可能な一部となる。これは定義と経験的言明の境界線を曖昧にする。
  • ミシェル・フーコー (1926–1984年): 言説と権力/知 フーコーは、言説を「単一の形成システムに属する言明のグループ」と定義し 31、言語、権力、知の関係を探求した。言説は権力と知を結びつける。定義は中立的ではなく、権力/知の配置の中で作用する特定の言説的実践の産物である。定義する行為は、何が「真」または「正常」であるかを確立する権力の行使である 32。フーコーは定義行為を歴史化し政治化し、定義が(例えば「狂気」や「セクシュアリティ」といった)現実の構築と社会的統制にいかに関与しているかを示した。

この歴史的概観は、定義に関する哲学的思考が、固定された客観的定義を求める初期の本質主義的見解から、人間の認知、言語使用、慣習、そして権力が定義行為において果たす役割を強調する経験主義的および言語論的転回へと移行してきた明確な弁証法的過程を示している。古代の哲学者たちは定義を時代を超えた本質の把握と捉えたが、ロックは物理的対象の実質的本質へのアクセスに疑問を投げかけ、名目的本質(人間の構成物)へと焦点を移した。カントは概念の構造化における認知的機能の役割をさらに強調した。ウィトゲンシュタインは多くの概念について本質から離れ、使用と家族的類似に焦点を当てた。クワインは「定義による真理」の基盤そのものに疑問を呈した。そしてフーコーは、定義がいかに権力構造に埋め込まれているかを示した。この進展は、定義が(本質の)発見から(精神、言語、社会、権力によって影響される)構築へと移行したことを示している。

定義に帰せられる目的も進化してきた。古代人にとって、それは主に存在論的および認識論的(現実の真の性質を理解するため)であった。近現代の哲学者にとって、それはますます意味論的、プラグマティック、そして社会政治的次元を包含するようになった。ソクラテスやプラトンはイデア/本質を知るために定義したが(認識論的/存在論的目標)、ロックは実質的本質の認識の限界を認めつつ、観察可能な特性に基づいて実践的理解のために分類することを定義の目的とした(認識論的/プラグマティック目標)。ウィトゲンシュタインは、明確なコミュニケーションと、言語的混乱から生じる哲学的問題を解消するために(使用を理解することを)定義の目的とした(プラグマティック/治療的目標)。フーコーは、定義を権力/知の道具および効果として理解した(社会政治的/批判的目標)。これは、「我々が定義するときに何をしているのか」が固定された活動ではなく、その認識される目標が哲学的パラダイムと共に変化することを示している。

本質主義への批判にもかかわらず、定義において何か「本質的」または「根本的」なものを捉えようとする願望は、文脈と慣習の理解によって和らげられつつも、持続している。この緊張は、科学や法律のような分野で精度と安定性を目指す定義が継続して使用されていることからも明らかである。ウィトゲンシュタインやクインのような哲学者は、本質主義的かつ純粋に分析的な定義を強力に批判したが、数学 33 や法律 35 のような分野は、その機能のために、正確で、規約的で、しばしば一見本質主義的に見える定義に大きく依存している。これは、定義の種類願望が領域と目的によって異なることを示唆している。哲学的な批判は、特定の種類の定義(例えば、自然種や抽象的な倫理的概念の定義)にはより適用されるかもしれないが、他の種類(例えば、規約的な数学的用語の定義)にはそれほどではないかもしれない。本質を捉えるという哲学的理想と、機能的で合意された意味に対する実践的な必要性との間に緊張が存在するのである。

以下の表は、定義に関する主要な哲学者の見解をまとめたものである。

表1:定義に関する主要な哲学者

哲学者主要時期定義に関する核となる思想/理論含意(「定義」を定義することへの)
ソクラテス紀元前5世紀本質(何であるか)の探求、対話による吟味 12定義は客観的真理の探求であり、高い基準を満たすべきである。
プラトン紀元前4世紀イデア論、イデアが真の定義 14定義は超越的で永遠不変のイデアを捉える試みである。
アリストテレス紀元前4世紀類と種差による定義、本質の論理的把握 16定義は体系的・論理的な枠組みに従い、本質を明確に分類する。
ジョン・ロック17世紀名目的本質と実質的本質の区別 18物理的実体の定義は観察可能な性質に基づく名目的本質に限定されがちである。
イマヌエル・カント18世紀概念分析としての哲学、解明と展開 22定義の方法と精度は概念の種類(作られた/与えられた)によって異なる。
ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン20世紀前半言語ゲーム、家族的類似、意味の使用論 23多くの概念の定義は固定的ではなく、使用と文脈に依存する。
ウィラード・V・O・クワイン20世紀分析的/総合的区別の批判、確証ホーリズム 29「定義による真理」は絶対的ではなく、概念枠組み全体の中で修正可能である。
ミシェル・フーコー20世紀言説理論、権力/知と定義の関係 31定義は中立的ではなく、権力関係の中で形成され、現実を構築する。

この表は、定義に関する哲学的思考の歴史的発展を簡潔に比較し、主要な転換点と貢献を読者が迅速に把握できるようにするものである。本質に基づく概念から使用に基づく概念、そして権力を意識した概念へと、定義の理解がどのように進化してきたかを明確に示している。

5. 定義の分類学:種類、目的、論理構造

定義は単一の行為ではなく、その目的や文脈に応じて様々な形態をとる。本節では、定義の主要な種類を分類し、それぞれの機能と、特にアリストテレス以来の伝統的な「善い定義」の原則について概説する。

定義の種類の区別

  • 実質定義 (Real Definitions) 対 名目定義 (Nominal Definitions):
  • 実質定義(本質定義): 定義される事物の真の性質や本質(アリストテレスの「何であるか」)を捉えることを目指す 18。例:「人間は理性的動物である」19。これらは事物 (res) に焦点を当てる。
  • 名目定義(言語的定義): 単語や用語の意味を説明する(ロックの「定義された用語が表す観念を、言葉によって他者に理解させること」)18。例:「独身男性」を「未婚の男性」と定義することは、主に言葉の使用法を明確にする。これらは名称 (nomen) に焦点を当てる。この古典的な区別は、Routledge哲学事典 18 やPhilosophy Institute 19 で明確に述べられている。Amateur Logician 20 は、我々が遭遇する定義のほとんどは名目的なものであるが、良い名目定義は依然としてそれが指示するものの良い記述を目指すべきであると指摘している。
  • 規約的定義 (Stipulative Definitions):
  • 特定の目的や文脈のために、新しい用語を導入したり、既存の用語に新しい特定の意味を割り当てたりする 37。例:科学論文で新しい変数を定義する場合や、38 のハンプティ・ダンプティが「栄光」を「素敵な論破」と定義する場合。
  • BMJ の論文 38 は、規約的定義では定義者に自由があり、それらは真でも偽でもなく、むしろ提案であると強調している。Scribd の文書 39 は、これが新しい記号に対する選択の問題であると述べている。
  • 記述的定義 (Lexical Definitions):
  • 言語共同体における用語の既存の一般的な用法を報告する 20。辞書の定義は通常、記述的定義である。
  • Scribd の文書 39 は、その目的が曖昧さを排除したり、語彙を増やしたりすることであり、用法の正確な報告に応じて真または偽になり得ると述べている。Amateur Logician 20 はこれらを「辞書的定義」と呼んでいる。
  • 精密化定義 (Precising Definitions):
  • 確立されているが不明確な用法を持つ用語の曖昧さを、特定の文脈に合わせてその境界をより具体的にすることで減らす 20。例:特定の工学的公差に対して「小さい」を定義する 20
  • Scribd の文書 39 は、これらが確立された用法に忠実でありながら、用語の曖昧さを減らすためにその用法を超えなければならないと指摘している。
  • 理論的定義 (Theoretical Definitions):
  • しばしば特定の理論内に埋め込まれ、用語が適用される対象の理論的に適切または科学的に有用な特徴づけを定式化する 39。例:ニュートンの法則による「力」の定義 40、社会科学理論内の概念の定義 41
  • Scribd の文書 39 は、科学的有用性におけるそれらの役割を強調している。スタンフォード哲学百科事典 40 は、科学理論がその理論的用語の意味にどのように貢献するかを論じている。
  • 説得的定義 (Persuasive Definitions):
  • しばしば感情的な言葉遣いを用いて、特定の仕方で用語を定義することにより、態度に影響を与えたり感情を喚起したりすることを目指す 39。例:「中絶」を「胎児の殺人」と定義する対「女性の選択権」と定義する。
  • Scribd の文書 39 は、その主要な機能が表現的であると指摘している。
  • 操作的定義 (Operational Definitions):
  • 概念を測定または識別するために使用される具体的で再現可能な手順や操作によって概念を特定する 41。経験科学において不可欠である。例:「恐怖」を測定可能な生理学的反応によって定義する 42、「重さ」を計量器を使用する手順によって定義する 43
  • Wikipedia 42 は、その起源をP.W.ブリッジマンに遡り、経験的検証可能性の重要性を指摘している。41 は、社会科学における概念レベルと経験的観察レベルを橋渡しするためのその使用を強調している。
  • 明示的定義 (Explicit Definitions) 対 文脈的定義 (Contextual/Implicit Definitions):
  • 明示的定義: 意味を直接的に述べる(例:「ペガサス=翼のある馬」)18
  • 文脈的定義: より大きな表現の文脈を通じて意味を特定する(例:ラッセルの「the」の分析)18
  • Routledge哲学事典 18 は両方の明確な例を提供している。

定義の目的

Philosophy Institute 19、Scribd の文書 39、Critical Thinking Pressbooks 44、および 1939 は、いくつかの主要な目的を概説している。

  • 語彙を増やすため: 未知の単語を理解する 39
  • 曖昧さを排除するため: 多義語のどの意味が意図されているかを明確にする 19。これは多義性の誤謬を避けるのに役立つ 19
  • 曖昧さを減らすため: 不明確な用語の適用限界を特定する 39
  • 理論的に説明するため(概念を明確化するため): 科学的に有用な特徴づけを定式化したり、複雑なアイデアを理解しやすくしたりする 19
  • 態度に影響を与えるため: 視点を形成したり感情を喚起したりする 39
  • 議論を構築するため: 論理的推論と演繹の基礎を提供する 19。AU Press 45 は、良い定義は推論に使用可能な知識を埋め込むと指摘している。

善い定義の規則(特に類と種差によるもの)

Amateur Logician 20、Quizlet 46、Philosophy Forum 47、および 2039 は共通の規則を提供している。

  1. 本質的属性(内包)を述べること: 中核となる意味/本質を捉えるべきである 20
  2. 循環的(トートロジー的)でないこと: 定義される項(被定義項)が定義する表現(定義項)に現れてはならない 20
  3. 広すぎも狭すぎもしないこと(適切性/共外延性): 定義項は、被定義項が適用される全ての事物に、そしてそれらの事物のみに適用されるべきである 20
  4. 明確かつ正確であること(曖昧、難解、比喩的でないこと): 明確で文字通りの言葉遣いを用いるべきである 20
  5. 可能な限り肯定的(積極的)であること: 何かが「何でないか」ではなく、「何であるか」によって定義すべきである 20。 Philosophy Forum 47 は、良い定義は定義されるものを一意に識別し、可逆的である(例:「三角形は三辺の多角形である」かつ「三辺の多角形は三角形である」)と付け加えている。

定義の種類の多様性は、定義が果たす認知機能と言語コミュニケーション機能の多様性を反映している。「フリーサイズ」の定義は存在せず、適切な種類は目標(例えば、用法を報告する対科学のために規約する対説得する)によって異なる。定義の「良さ」を評価することは、その意図された目的と種類に相対的である。科学論文のための良い規約的定義は、貧弱な記述的定義であるかもしれない。

「善い定義の規則」20、特にアリストテレス論理学(類と種差)から派生したものは、主に実質定義または非常に精密な名目定義を目指している。しかし、多くの正当な定義形式(例えば、説得的定義、一部の規約的定義、または家族的類似概念の定義)は、これらの規則全てに厳密に従わないかもしれないが、それでも特定の目的のためには効果的である。例えば、「本質的属性を述べる」や「共外延的である」といった規則は、アリストテレス的な本質主義的定義の特徴である。説得的定義 39 は意図的に感情的な言葉遣いを用い、「明確さ/比喩的でない言葉遣い」の規則に違反するが、説得という目標を達成する。ウィトゲンシュタインの家族的類似概念 23 は、全てのメンバーに共通する単一の本質的属性の集合を欠いており、第一の規則に挑戦する。これは、古典的な「規則」が特定の種類の定義プロジェクト(論理的精度、本質の把握)にとっては理想的であるが、全ての機能的な定義に普遍的に適用可能または必要ではないことを示唆している。

被定義項(定義されるもの)と定義項(それを定義するもの)の区別 18 は、全ての明示的定義にとって基本的であり、定義の関連性のある性質を強調している。すなわち、意味は未知または不明確なものを(おそらく)より身近または明確なものに関連付けることによって確立される。しかし、これは定義項自体が理解されていない場合、即座に無限後退の危険性を提起する。定義のこの構造的特徴(被定義項-定義項関係)は、したがって、無限後退という哲学的問題および基礎的概念または代替的な基礎付けメカニズム(指示的定義や使用など)の必要性と本質的に結びついている。

以下の表は、議論された様々な定義の種類を体系的に整理し、読者がそれらの機能、特徴、および応用を比較しやすくするものである。

表2:定義の種類の比較分析

定義の種類主要な目的主要な特徴典拠例
実質定義事物の真の性質・本質を捉える本質的属性を記述「人間は理性的動物である」18
名目定義言葉の意味を説明する言葉の用法を明確化「独身男性とは未婚の男性のことである」18
規約的定義新しい用語の導入、特定の意味の割り当て定義者による自由な意味付け、真偽なし科学論文での変数定義、「栄光とは素敵な論破のことだ」(ハンプティ・ダンプティ)37
記述的定義(辞書的定義)既存の一般的な言葉の用法を報告する用法の正確な報告が真偽を決定辞書における単語の意味37
精密化定義曖昧な用語の適用限界を明確化する既存の用法に忠実でありつつ具体化工学における「小さい」の公差定義20
理論的定義特定の理論的枠組みの中で概念を特徴づける科学的・理論的有用性ニュートンの法則における「力」の定義39
説得的定義態度に影響を与える、感情を喚起する感情的な言葉遣い、表現的機能「中絶とは胎児の殺人である」39
操作的定義測定・識別のための具体的な手順を規定する再現可能な操作、経験的検証可能性「恐怖」の生理学的反応による定義42
明示的定義意味を直接的に述べる等価性や同一性による定義「ペガサス=翼のある馬」18
文脈的定義より大きな表現の文脈を通じて意味を特定する使用される文脈に依存ラッセルの「the」の分析18

この表は、様々な文脈で概念を定義するために利用可能な特定のツールを理解するための明確な枠組みを提供し、本節の分類学作成という目的を直接的に支援する。

6. 定義を定義する行為:メタ哲学的探求

本節では、利用者の問い「定義を定義する」という再帰的な課題に直接取り組む。この試みは、言語、意味、そして知識の基盤に関する根源的な問題へと我々を導く。

再帰的課題

「定義」を定義しようとすると、核心的な問題が浮上する。それは、定義するためには定義を用いなければならず、これが循環論や無限後退を引き起こす可能性があるという点である 50。もし我々が「定義」が何であるかを知らなければ、どのようにして「定義」のための定義を提供できるのだろうか。Philosophy StackExchange のコメント 50 はこのブートストラップ問題を捉えている。「もし我々が何をしているのか(つまりそのものを定義していること)を明示的に知らなければ、この問題を解決するためにどのようにして明示的な定義を書くことができるのか。」

定義行為にとって形式的なメタ定義は必要か?

この問いに対しては、賛否両論が存在する。

  • 不要論の根拠:
  • 我々は日常生活や専門分野において、「定義」の形式的で明示的な定義を持つことなく、絶えず物事を定義している 50。子供は「バナナ」を、メタ言語学を理解することなく、例を通じて学ぶ。
  • Conifold の回答 50 は、この問題が対象言語(事物について語るために用いる言語)とメタ言語(言語自体について語るために用いる言語)の混同から生じると示唆している。我々は(対象言語における)定義を、(メタ言語における)定義定義なしに使用できる。
  • メタ定義の試みの価値:
  • 哲学的な明確さと厳密さのためには、我々が用いる道具(定義のような)を理解することが不可欠である。
  • 「定義」を明示的に定義しようと試みることは、その様々な側面、前提、そして限界を明らかにするのに役立つ。

メタ哲学と定義に関するウィトゲンシュタインの視点

ウィトゲンシュタインの思想は、このメタ定義の問題に独自の光を当てる。Sophia 誌の論文 51 は、『哲学探究』§121 におけるウィトゲンシュタインの見解を論じている。そこで彼は、「哲学」という言葉の使用を論じる特別な「二次的哲学」という考えに反対する。彼によれば、「哲学」の分析は、「文」や「意味」といった他の概念を分析するのと同じ方法を用いるべきである。これは「定義」にも拡張できる。「定義」を定義することは、「知識」や「ゲーム」を定義するのと同じ哲学的行為なのである。

さらに同論文 51 は、『哲学探究』§133 と §71 に注目し、ウィトゲンシュタインのメタ哲学自体が「例による定義」を通じて理解されるかもしれないと示唆している。『哲学探究』は、その実践を通じて哲学(そして拡張解釈すれば哲学的定義)が何であるかを示している。これは、「定義を定義する」という課題が、単一の静的な公式によってではなく、様々な言語ゲームにおける定義の機能の仕方を示し分析することによって最もよく達成されるかもしれないことを示唆している。

メタ定義から生じる哲学的問題とパラドックス 50

  • 循環性: 前述の通り、「定義」を定義する際に、それ自体が定義を必要とする用語を使用すること。「単語の意味の記述」という定義は、「記述」「意味」「単語」という、さらに定義可能な用語を使用する。
  • 無限後退: 「定義」の定義項における各用語がそれ自身の定義を必要とし、このプロセスが無限に続く場合。
  • 基礎付け主義: 定義の連鎖は、究極的に定義されない「根源的」用語を必要とするのか?「定義」自体にとって、それらは何なのか?
  • 分析のパラドックス(関連): もし定義(分析するもの)が正しければ、それは定義される項(分析されるもの)と同じ意味を持たなければならない。もし同じ意味なら、定義は自明である(「定義は定義である」)。もし異なる意味なら、それは不正確である。これはメタ定義に直接関わるものではないが、有益な定義の性質に触れている。

「定義を定義する」ための可能なアプローチ

  • 複合的定義: その多面性を認め、特定された様々な側面を組み込んだ定義を提案する。「定義とは、コミュニケーション、知識の整理、または論証といった目的のために、用語、概念、または対象の意味、性質、または特性を明確化、限定、または特定することを目的とする言語的または概念的な行為または産物であり、しばしばそれを他の用語や概念に関連付けるか、または操作的手順を特定することによって行われる。」(これは草案であり、洗練が必要)。
  • 機能的定義: 「定義」を、それが本質的に何であるかではなく、それが何をするか(その目的)によって定義する。
  • 「定義」に対する家族的類似アプローチ: 「定義」自体が家族的類似概念であり、様々な種類(記述的、規約的、実質的など)が重なり合う類似性を共有するが、単一の共通の本質を持たないと論じる。

「定義」を定義しようとする試みは、言語自体の限界と、意味がいかにして基礎づけられるかという問題との対決を強いる。それは、基礎付け主義対整合説対プラグマティズムという、言語哲学におけるより広範な議論の縮図である。このメタ定義の問題は、あらゆるシステムが内部から自己を基礎づけようとする際に直面する一般的な構造的課題を反映している。したがって、「定義を定義する」ための解決策やアプローチは、これらのより広範な基礎的問題がどのように対処されるか(例えば、いくつかの根源的なものの受容、意味の整合論的ネットワーク、有用な虚構のプラグマティックな受容など)から類推を引き出すかもしれない。

「定義を定義する」際の不快感や認識されるパラドックス 50 は、定義がある特定のタイプ(例えば、本質主義的または完全に非循環的)でなければならないという暗黙の前提から生じている可能性がある。「定義」自体に対するより柔軟な、ウィトゲンシュタイン的な「家族的類似」の見解を採用することで、これらのパラドックスの一部が解消されるかもしれない。「定義」のパラドックスは、しばしば「定義」の「本質」を捉える単一の、網羅的で、非循環的な定義を要求することから生じる。ウィトゲンシュタインは、全ての概念(例えば「ゲーム」)がそのような定義を許容するわけではないことを示した 23。もし「定義」自体が、様々な関連活動(記述的、規約的、操作的など)を包含する家族的類似概念であるならば、「定義」の単一の本質主義的定義を求めることはカテゴリーミステイクである。したがって、この「問題」は、「定義」という概念自体に不適切な定義基準を適用した結果であるかもしれない。より実りあるアプローチは、定義することの様々な「言語ゲーム」を記述することかもしれない。

「定義を定義する」という行為は、本質的に遂行的かつ再帰的である。提供される定義はそれ自体が定義の一例となり、その妥当性は、それ自体が主題の一部である基準によって判断される。この再帰性は、メタレベルの探求に特有の特徴である。我々が「定義」の定義を提供する際、その提供は定義する行為である。その産物(「定義」の定義)は、定義されているものの一例である。我々はこの産物を、「良い定義」のための基準(明確さ、非循環性など)を用いて評価する。これらの基準は、我々が解明しようとしている「定義」という概念自体の一部である。この深い再帰性は、「定義」を定義しようとするいかなる試みも、同時に我々の定義理解のデモンストレーションでありテストであることを意味する。

7. 課題、批判、そして定義の限界

定義という行為とその産物には、本質的な困難と限界が伴う。本節では、これらの課題、特に本質主義への批判、循環論と無限後退の問題、形式的定義の限界と名状しがたさの問題、そしてネルソン・グッドマンの「新しい帰納の謎」が定義に投げかける問いを探求する。

本質主義の批判

本質主義とは、事物にはその同一性を定義するために必要な、固定された属性の集合が存在するという見解である 52。プラトンやアリストテレスに代表される古典的な定義は、しばしばこの本質を捉えることを目指す。

  • 批判:
  • 生物学において 52: 進化論は、種が動的で進化するものであるため、静的な本質という考え方に挑戦する。重点は、内在的な形質よりも系譜学的関係へと移行する。種内の変異性もまた、固定された本質という考えにとって問題となる。エモリー大学の論文 53 は、本質主義が本質を個々の生物において不変のものと見なすのに対し、進化論はそれを集団の可変的な特性と見なすため、本質主義は進化論と矛盾すると指摘している。
  • 社会理論において 52: 人種、ジェンダー、民族といった社会的カテゴリーは、固定された本質に基づくものではなく、主に社会的構築物である。本質主義的な定義は、ステレオタイプ、差別を永続させ、不平等を正当化する可能性がある 52。エモリー大学の論文 53 は、人種的本質主義が植民地主義や奴隷制をいかに正当化するために用いられたかに言及している。
  • 哲学的批判(アリストテレスに対するラッセル)52: バートランド・ラッセルは、アリストテレスの本質の概念を、言語の特性を世界の特性と混同するものとして批判した。
  • 定義への含意: もし多くのカテゴリーにとって本質が疑わしいか存在しないのであれば、それらを捉えようとする定義は誤っていることになる。これは、ウィトゲンシュタインの家族的類似やプロトタイプ理論のような代替的アプローチを支持する。

定義の連鎖における循環性と無限後退の問題

  • 循環性: 定義は、定義される用語やその直接の同義語を定義項に用いるべきではない 20。これは定義を情報のないものにする。例:「政治学とは政治的な科学である」46。循環論的推論は、推論者が結論で終わろうとしていることから始める論理的誤謬である 48。前提は結論と同様に証明を必要とする。セクストス・エンペイリコスはこれを「相互的トローポス」として特定した。
  • 無限後退 54: 定義で用いられる各用語自体が定義を必要とし、このプロセスが無限に続く場合、意味の究極的な基礎付けは達成されない 56。スタンフォード哲学百科事典 55 によれば、無限後退は最初の要素を持つが最後の要素を持たない一連の系列であり、各要素が次の要素を生成する。定義において、Xの定義がYを必要とし、YがZを必要とし、これが無限に続く場合、説明が伝達的であればXの理解は決して達成されないかもしれない。これは基礎付け主義(未定義の根源語)または整合説を動機づける。Redditの議論 56 は、「定義問題」、すなわち定義がさらなる定義に依存する場合、何が意味を固定するのかという問題を強調し、プラトン的イデアや無限後退の代替として、非数学的概念に対する「物理的基礎付け」を提案している。

形式的定義の限界と名状しがたさの問題

  • 形式的定義の限界 57: 形式的システム(例えば数学や論理学における)は公理と規則に依存する。強力ではあるが、それらには固有の限界がある(例えばゲーデルの不完全性定理は、直接の典拠にはないが関連する文脈である)。57 は、数学における形式主義が意味を形式的構造のみから導き出すが、これには境界があると指摘している。5859 は、微積分における極限のイプシロン-デルタ定義を、精度を目指す形式的定義として論じているが、それでもなお「任意に近い」という直感的概念に依存している。
  • 名状しがたさ 60: いくつかの経験や概念は、「言葉で表現または記述するにはあまりにも圧倒的で、表現不可能」であるかもしれない 60。Academic OUP の論文 61 によれば、意識状態(クオリア)はしばしば豊かで名状しがたいと記述される。この名状しがたさは、「説明のギャップ」、すなわち意識は物理的プロセスに還元できないという信念を動機づける。同論文は、名状しがたさを処理(例えば豊かな経験から離散的な言語へ)における情報損失として捉えている。
  • 含意: もし名状しがたいものが存在するならば、言語的行為としての定義は、特定の現実を捉える上で根本的な限界を持つ。

グッドマンの新しい帰納の謎:投射可能性、「グルー」、そして定義可能な述語の性質

  • ネルソン・グッドマンは、「グルー」という述語を導入した。ある物体は、時刻 t より前に観察されかつ緑色であるか、またはそう観察されずかつ青色である場合にグルーである 62
  • 謎:これまでに観察された全てのエメラルドは緑色であり、かつグルーでもある。帰納論理は、将来のエメラルドが緑色であること、そしてそれらがグルーであること(つまり時刻 t 以降は青色であること)を予測することを示唆する。これは矛盾している。
  • 定義への含意: この謎は、明確に定義された述語(「グルー」のような)であっても、全てが法則的な一般化を行う上で等しく「投射可能」ではないことを示している。述語の「定義可能性」は、その科学的または予測的な有用性を保証しない。
  • グッドマンの解決策は「定着性 (entrenchment)」に関わる。「緑」のような述語が投射可能なのは、過去の投射における成功の歴史があるからである 63。これは、用語のプラグマティックな成功と歴史的使用法(その形式的定義以外の要素)が、知識におけるその役割にとって極めて重要であることを示唆している。これは、定義だけが概念の有用性や世界に関する妥当な推論を支持する能力を決定するという考えに挑戦する。定義されるものの性質(例えば「自然種」対人工的で時間依存的な特性)が重要なのである。

これらの課題、すなわち本質主義への批判、循環性/後退の問題、形式主義の限界、そしてグッドマンの謎のような問題は、孤立しているわけではない。それらは集合的に、精密で、安定的で、包括的な定義に対する人間の欲求と、現実と言語の複雑で、流動的で、しばしば偶有的な性質との間の根本的な緊張を指し示している。本質主義は固定された定義的特性を求めるが、その批判はそのような特性がしばしば捉えどころがないか存在しないことを示唆する。固定された本質がない場合、それらを捉えようとする定義は、同様に固定された本質を欠く他の用語に依存し、循環性や後退につながる可能性がある。形式的定義は精度を達成しようとするが、本質的に曖昧で、文脈依存的(ウィトゲンシュタイン)、または名状しがたい概念には苦労するかもしれない。グッドマンの謎は、形式的に「良い」述語の定義でさえ、それらが「定着」していないか、「自然種」を指し示していない場合、世界を理解する上での有用性を保証しないことを示している。したがって、これらの課題はより大きな不一致の症状である。我々の定義ツール、特に本質主義や完全な形式化を目指すものは、我々が定義しようとするものの全範囲に対して完全には適切ではないかもしれない。

これらの課題に対する20世紀の多くの哲学的応答(ウィトゲンシュタインの使用理論、グッドマンの定着性、クワインのホーリズム、科学における操作主義)は、「プラグマティックな転回」を表している。すなわち、定義が(本質を捉えるという点で)何であるかということから、定義が(特定の文脈における機能、予測における有用性、コミュニケーションにおける役割という点で)何をするかということへと焦点を移しているのである。古典的な定義は真理/本質を目指したが、特定された課題(本質主義批判、循環性など)はこの目標を問題含みにする。ウィトゲンシュタインのような哲学者は意味を使用として提案し 24、グッドマンは投射可能性の鍵として定着性(過去の成功した使用)を提案した 63。科学における操作的定義は測定可能な行為に焦点を当てる 42。この共通の糸は、抽象的な本質への対応よりも、有用性、文脈、そして実践を強調する。これは定義の哲学における重要な因果的転換である。

定義が時代を超えた本質を捉えないとしても、それらは規範的な力を持つ。それらは、特定の文脈(例えば、科学理論における規約的定義、法的定義)において用語がどのように使用されるべきかを規定する。この規範的側面は、定義が最終的に慣習的または修正可能であるとしても、共有された理解を創造し、首尾一貫した言説を可能にするために不可欠である。規約的定義は用語使用の規則を明示的に設定し 38、法的定義は拘束力のある意味を確立する 35。記述的定義でさえ、一般的な用法を報告することによって、暗黙のうちに話者を慣習的な意味へと導く。この規則誘導機能(規範性)は、コミュニケーションと協調的活動にとって不可欠である。したがって、定義の「力」は、その記述的正確さ(しばしば争われる)だけでなく、共有された慣習と使用の規範を確立する能力にもある。これは、定義が言説を形成するというフーコーの考え 32 にもつながる。

8. 多様な知識分野における定義の役割

定義は、それが用いられる学問分野や専門領域の性質に応じて、異なる機能と重要性を持つ。数学における創造的役割から、法学における規範的機能、人文科学における解釈的アプローチに至るまで、定義は知識体系の構築と運用に不可欠な要素である。

数学

数学において、定義は本質的かつ創造的な役割を果たす。新しい数学的対象は、定義を通じて存在に至る 33。例えば、「i2=−1 となる数 i を虚数単位とする」という定義は、虚数および複素数という広大な数学分野の出発点となる。定義はまた、数学的対象を特徴づける特性(例:周期関数、図形)や、対象間の関係(例:直線が互いに垂直であること)を確立する 34。新しい定義は、広範な研究の端緒となり得る(例:完全数)。数学における定義は、しばしば規約的であり、その公理系内で曖昧さがないことを目指す。精度が最優先され、定義は定理の構築と証明の基盤を形成する。

自然科学

自然科学においては、操作的定義が極めて重要である 42。概念は、それを測定または観察するために用いられる具体的で再現可能な手順によって定義される(例:恐怖を生理学的反応によって定義する 42、摂氏100度を海水面での水の沸騰プロセスによって定義する 42)。自然科学はモデル(理論)を開発し、それを検証することを目指す。定義は「特定の主題を定義する言語的記述」であり、科学的モデルは現象を記述する規則である。「適切なモデル」は本質的な特徴を一貫して記述し、予測力を持つ 65。自然科学は、自然に関する情報を測定値や「自然法則」の明確な記述に変換するために、数学や論理学といった形式科学の道具を用いる 64。科学における定義は、経験的検証可能性と客観的合意を目指す。理論は進化するが、操作的定義は概念を観察可能な現象に結びつける安定した方法を提供する。

社会科学

社会科学において、概念は「コミュニケーションの基礎」であり、「経験的現象を見る視点」を導入し、「分類と一般化の手段」であり、「理論と説明の構成要素」である 41概念的定義(他の用語、根源的用語と派生的用語を用いて用語を定義する)と操作的定義(経験的観察のための手順)の両方が不可欠である 41。概念的定義と操作的定義の一致度が重要な課題となる。いくつかの概念は、それが導入される理論の文脈においてのみ意味を獲得する 41。社会科学の諸分野は、学術雑誌、学会、学部によって定義される。実証主義的アプローチは自然科学に類似した方法を用い、解釈主義的アプローチは社会的批判や象徴的解釈を用いることがある 66。社会科学における定義は、自然科学よりも抽象的で論争の的になりやすい概念(例:「権力」「社会階級」「文化」)を扱うことが多く、操作化が困難な場合がある。

法学

法学において、定義は解釈における曖昧さの回避と、法規の事案への適用の保証にとって基本的である 35。定義は、意味が争われる際の議論の論点となることも、推論の前提となることもある。「分類による議論」において極めて重要である。例えば、「殺人」の定義(例:「故意の」行為を要求する)は、ある行為がその犯罪を構成するかどうかを決定する 35。言葉は法律家にとってメスのようなものであり、精度が不可欠である。いくつかの定義は、それ自体が法である(例:契約法における「申込み」の定義)36。法的定義の種類には、制定法上の定義(法律や契約における遂行的定義)、記述的定義(一般的な用法)、実質定義(類と種差)、外延的定義(例示や列挙による)、否定的定義がある 35。法的定義は、しばしばその管轄内で規約的かつ権威的であり、規則の明確さと一貫した適用を目指す。

人文科学

人文科学は人間の文化、経験、思想を研究する。定義へのアプローチは、ニュアンス、解釈、そして前提への問いかけを強調する 67。人文科学は、複雑な現象(例:「ディアスポラ」「感情」)に対してニュアンスに富んだ定義を求め、異なる視点を検討し、アイデンティティやイデオロギーが視点にどのように影響するかを考察する。そのプロセスは、静的な定義に到達するよりも、むしろ継続的な探求であることが多い 67。人文科学は批判的思考、コミュニケーション、創造性、共感を育む。文学、歴史学、哲学、芸術などが含まれる。定義はしばしば記述的、分析的、または解釈学的であり、固定された意味を規約するのではなく、概念の豊かさと曖昧さを探求する 68。フーコーの著作(人文科学の範囲内でしばしば考察される)は、「狂気」や「セクシュアリティ」といった概念の定義が、「言説」(言語、権力、知を統合する存在様式と言語様式)を通じて歴史的かつ文化的に構築されることを示している 31

記号論

記号論は、記号、象徴、そしてそれらがどのように意味を創造するかを研究する。記号とは、解釈者に対して意味を伝達するあらゆるものである 69。意味は対象に固有のものではなく、コードと文化的文脈を通じて構築される。したがって、記号と象徴の定義は文化的に偶有的なものである 69。記号論は、「記号」を言語学を超えて一般化する。それは、コード(例えば、音、文字、身体の動き、衣服)が文化的価値をどのように表現し、含意を加えるかを検討する。ソシュールのシニフィアン/シニフィエやパースの記号/対象/解釈項といったモデルは、意味がどのように確立されるかを説明する 70。記号論において、記号を「定義する」ことは、コード体系との関係および特定の文化的枠組み内でのその解釈を分析することを含む。

諸分野における定義の実践を概観すると、定義の厳密性にはスペクトラムが存在することが明らかになる。数学と法学は、運用上の一貫性のために、しばしば非常に精密で、規約的で、曖昧さのない定義を要求する。自然科学は、経験的検証可能性のために操作的定義を優先する。社会科学は、複雑でしばしば論争の的となる抽象的概念の定義に取り組み、概念的明確さと操作可能性のバランスをとる。人文科学は、しばしば定義のニュアンス、曖昧さ、歴史的偶有性を探求し、時にはそれらを固定するのではなく脱構築する。数学では定義が対象を創造し基礎となるため 34、高い精度が必要とされる。法学では、曖昧さを避け一貫した適用を確保するために定義が明確でなければならないため 35、高い精度が求められる。自然科学では、操作的定義が概念を測定可能な現象に結びつけるため 42、測定における精度が鍵となる。社会科学はより抽象的/論争的な概念を扱い、概念的定義と操作的定義が用いられるが、一致は課題であるため 41、精度は目標であるが普遍的に達成するのはより困難である。人文科学はしばしば固定された定義に疑問を呈し、複数の意味や歴史的文脈を探求するため 67、精度は規約よりもニュアンスに富んだ理解に関するものである。これは、各分野の研究対象の「性質」が、採用される定義の種類と厳密性に影響を与えることを示している。

いくつかの分野は規約的定義を強調するが(数学、法学、特定の科学理論)、これらでさえ、しばしば用語の既存の記述的(語彙的)理解に基づいて構築されたり、それと相互作用したりする。逆に、既存の意味を分析する分野(人文科学、語彙意味論)は、精密化定義や理論的再定義の提案につながる可能性がある。法規が公園における「車両」の特定の意味を規約するかもしれないが、この規約は「車両」の一般的な理解という背景に対して行われる。科学理論が「遺伝子」の定義を規約するかもしれないが、この用語には歴史と進化する一般的な理解もある。哲学(人文科学)における「正義」の分析は、その一般的な意味(記述的)から始まるかもしれないが、その後、より洗練された理論的定義(例えばロールズ)を提案するかもしれない。これは、定義の規約的側面と記述的側面が常に鋭く分離されているわけではなく、しばしば動的な相互作用の中に存在することを示唆している。新しい規約が最終的に一般的な用法の一部になることもあり、一般的な用法の分析が新しい規約を促すこともある。

多くの分野において、定義は単なる中立的なラベルではなく、その分野内の支配的な理論、方法論、そして権力構造を反映し強化する(フーコーの洞察 32 は広範に適用可能である)。定義を変更することは、既存のパラダイムに挑戦する根本的な行為となり得る。フーコーは社会的な文脈における定義と権力/知を明示的に結びつけている 32。科学において、「惑星」の定義が変更され、冥王星の地位に影響を与えた。これは新しいデータによって推進されたが、分類上の境界の再交渉も伴った(惑星系の理解におけるパラダイムシフト)。社会科学において、「貧困」「知能」「精神障害」の定義は、重大な社会的・政治的帰結を持ち、しばしば理論的議論と権力闘争の場となる。数学においてさえ、「関数」の定義は進化しており、数学的思考の転換を反映している。したがって、定義は単なる受動的な記述子ではなく、学問分野の風景を積極的に形成するものであり、重要な論争と変化の場となり得る。

9. 現代のフロンティア:基礎的概念の定義

現代の哲学と認知科学は、その最も基本的な概念のいくつかを定義する上で、依然として困難と格闘している。これは、定義の実践が継続的な課題であり、進化し続けるプロセスであることを示している。

認識論:「知識」の定義

認識論は知識の研究であり、その中心的な課題の一つは知識の性質、すなわち誰かが何かを知っていると言うことの意味を決定することである 71。伝統的に、「知識」は正当化された真なる信念 (Justified True Belief – JTB) として定義されてきた 71。すなわち、知識とは、真であり、かつ個人がそれを信じるに足る適切な正当化を持つ信念であるとされてきた。

しかし、エドムンド・ゲティアが1963年に発表した論文は、このJTB説明が不十分であることを示した(ゲティア問題)71。ゲティアは、個人が正当化された真なる信念を持っていても、その信念の真理性が運によるものであり、直観的には知識とは言えない事例を提示した(例:壊れた時計の例)。

ゲティア問題以降、認識論者たちは「知識」の定義を洗練させるために様々な試みを行ってきた。これには、「偽なる信念非依拠」条件の追加、より有望視されている「ノー・ディフィーター(無敗性)」条件(信念の正当化を覆すような真なる命題が存在しないこと)、因果説、そして信念形成プロセスの信頼性に焦点を当てる信頼性主義などが含まれる 71。また、認識論は主に命題的知識(「~ということの知識」)に関心を持つが、ノウハウ(実践的技能)や面識による知識(親しさ)といった他の種類の知識も区別される 73

「知識」を定義しようとするこの探求は、基礎的概念でさえ、その定義が容易に定まらないことを示している。定義は反例、洗練、そして継続的な議論の対象であり、それらが捉えようとする現象の複雑さを反映している。JTB説明は長らく受け入れられてきた定義であったが、批判的分析によって覆されたことは、定義の修正可能性を示している。

メタ倫理学:道徳的用語(例:「善い」「正しい」)の定義

メタ倫理学は、道徳的価値、特性、そして言葉の地位、基礎、範囲を探求する。それは道徳性そのものが何であるか、道徳的用語の意味を含む問題に焦点を当てる 74

道徳的用語の定義は、認知主義と非認知主義という大きな対立軸の中で議論される 74

  • 認知主義は、道徳的言明が真偽の判断が可能な信念を表現すると主張する。
  • 自然主義 74 は、道徳的特性が自然的特性(科学によって研究可能なもの)に還元可能であるか、または同一であると考える。「善い」は「幸福を促進する」や「幸福を最大化する」といった自然的特性によって定義されるかもしれない。
  • 非自然主義(直観主義) 74 は、道徳的特性が独自の、自然的特性に還元不可能なものであり、「善い」は非道徳的用語では定義不可能であると主張する(ムーアの開かれた問い論法)。そして、道徳的直観によって知られるとされる。
  • 非認知主義 74 は、道徳的言明が真偽に適した信念を表現するのではなく、むしろ感情、態度、または指令を表現すると主張する。
  • 表現主義(情動主義、指令主義など) 74 によれば、「殺人は悪い」という言明は、殺人の「悪さ」という特性に関する事実を述べているのではなく、殺人に対する不承認の感情や規範へのコミットメントを表現している。

メタ倫理学は道徳的言説の意味論を検討する 74。また、「厚い」道徳概念(例:「勇敢な」「残酷な」)と「薄い」道徳概念(例:「善い」「正しい」)の意味も議論の対象となる。道徳的用語の定義(または定義不可能性の主張)は、道徳的存在論(道徳的事実は存在するか?)、認識論(道徳的真理をどのように知るか?)、心理学(道徳的判断はどのように動機づけるか?)に深遠な含意を持つ。コンセンサスの欠如は、道徳的言語を基礎づける上での深い哲学的課題を浮き彫りにしている。

認知科学:プロトタイプ理論と概念定義

認知科学、特にエレノア・ロッシュによるプロトタイプ理論は、必要十分条件に基づく古典的(アリストテレス的)定義に挑戦する 77。この理論によれば、カテゴリーは「プロトタイプ」(最も中心的または典型的なメンバー)への類似性に基づいて段階的なメンバーシップを持つ 79。例えば、「ソファ」は「家具」のプロトタイプとして、「食器棚」よりも典型的に認識される。これは、メンバーシップが全か無かではない古典的見解とは対照的であり、ウィトゲンシュタインの「家族的類似」と一致する。

プロトタイプ理論の定義への含意は大きい 79。定義は固定された本質的特徴の集合ではなく、プロトタイプへの類似性に基づくかもしれない。概念の境界は「曖昧」であり得る。そして、「椅子」や「犬」のような基本レベルカテゴリーは認知的に特権的であり、しばしばプロトタイプを中心に組織される。プロトタイプ理論は、道徳的個別主義の認知科学的証拠としても用いられている(道徳的カテゴリーが曖昧な境界を持つならば、規則だけでは道徳的判断に不十分である)78

認知科学の研究は、人間の概念構造が必ずしも古典的な論理的定義と一致しないことを示唆している。これは、我々が学習、分類、そして定義の心理学的現実をどのように理解するかに影響を与える。定義は、人間が実際にどのように思考するかを反映するために、より柔軟で確率論的である必要があるかもしれない。

認識論(「知識」の定義)やメタ倫理学(「善」の定義)における継続的な議論は、基礎的概念の定義が静的な歴史的産物ではなく、新しい議論、経験的発見(認知科学のような関連分野における)、そして進化する哲学的視点に照らして、積極的に争われ、修正され、再評価されることを示している。これは、定義が動的な知的プロセスの一部であることを示している。JTBによる知識の定義は何世紀にもわたって受け入れられてきたが 71、ゲティアの研究は危機を引き起こし、数多くの新しい定義の試みを促した 71。メタ倫理学における「善」の定義を巡る議論は、表現主義のような理論が古い認知主義的定義に挑戦することで進化し続けている 74。これは、定義が「一度きりで決定される」ものではなく、科学理論と同様に、継続的な批判的探求と発展の対象であることを示している。

我々が定義を理解しアプローチする方法は、他の分野からの発見によってますます影響を受けている。認知科学(プロトタイプ理論 79)は、概念定義に対する純粋に論理的または内省的なアプローチに挑戦し、心理学的現実を考慮に入れなければならないことを示唆している。哲学的な定義は伝統的に論理と概念分析に依存してきた。認知科学は、経験的研究(例えばロッシュのプロトタイプに関する研究 79)を通じて、人間が実際にどのように概念を形成し使用するかに関するデータを提供する。このデータは、人間の分類がしばしば段階的メンバーシップとプロトタイプを使用し、単なる必要十分条件だけではないことを示唆している。この経験的入力は、哲学に古典的な定義モデルの妥当性を再考させ、より心理学的に妥当な定義を探求させる。これは、経験科学から定義に関する哲学的方法論への因果的連鎖を示唆している。

課題や記述的または使用に基づく意味理論の台頭にもかかわらず、明確で、精密で、十分に基礎づけられた定義への願望は、知的探求における強力な力として残っている。その核となる用語を定義することに取り組む認識論やメタ倫理学のような分野の存在自体が、この永続的な規範的理想を証明している。ゲティア問題が生じるのは、JTBが「知識」が伴うべき直観的な規範的基準(すなわち、偶発的でない真理)を満たしていないからである。メタ倫理学者は、道徳的言説と実践を基礎づけることができる方法で「善」を定義しようと努めており、これは規範的明確性の必要性を反映している。定義が慣習的または修正可能であると認められても、定義するプロセスは、より良い理解、より明確なコミュニケーション、そしてより堅牢な理論的枠組みへの欲求によって推進される。これは、定義の性質は議論されるが、明確さと厳密さを達成するための知的ツールとしてのその価値は概ね支持されていることを示唆している。

10. 結論:定義の多面性の統合

本稿は、「定義とは何か?定義を定義する」という根源的な問いから出発し、定義という概念の多岐にわたる側面を探求してきた。語彙的意味と語源的ルーツの確認から、歴史的および現代的な哲学的視点の概観、定義の種類と目的の分類、定義が直面する固有の課題と限界、多様な学問分野におけるその役割、そして基礎的概念の定義への応用まで、その道のりは定義の複雑さと奥深さを明らかにしてきた。

複雑性の再確認

結論として、「定義」は一枚岩の実体ではなく、多様な形態と機能を持つ多面的な概念であると言える。その全てのニュアンスを捉え、あらゆる哲学的および実践的要請を満たす単一の「定義の定義」は存在しない。定義の本質を捉えようとする試みは、古代ギリシャから現代に至るまで、哲学の中心的な課題であり続けてきたが、その捉え方は時代や思想的立場によって大きく変容してきた。

メタ定義的試み

「定義を定義する」という課題は、継続的な哲学的試みである。それは我々に、言語、意味、知識、そして現実に関する根本的な問いと向き合うことを強いる。最終的で普遍的に受け入れられるメタ定義が捉えどころのないままであるとしても、その試み自体がこれらの問題にもたらす明確さの点で価値がある。

主要な結論

  • 定義は人間の思考とコミュニケーションにとって不可欠な道具であるが、その性質は複雑で文脈依存的である。
  • 定義に関する哲学的理解は、古代の本質主義から、現代のプラグマティック、言語論的、そして権力を意識した視点へと大きく進化した。
  • 善い定義のための「規則」は、しばしば特定の種類の定義(例えば、論理的定義や実質定義)のための理想であり、普遍的に適用されるわけではない。
  • 定義は固有の課題(循環性、無限後退、本質主義批判、名状しがたさ)に直面しており、これらは言語と形式的システムの限界を浮き彫りにする。
  • 定義の機能と厳密性は学問分野によって異なり、それぞれの研究対象と方法論的ニーズを反映している。

本稿全体を通じて示されたように、「定義」は、静的な完成品を求める探求というよりは、意味形成、明確化、そして交渉の動的な、進行中のプロセスとしてよりよく理解される。このプロセスは、歴史的文脈、学問分野のニーズ、哲学的パラダイム、そして権力関係によってさえ形成される。歴史的セクションは定義が進化することを示し(プラトンからウィトゲンシュタイン、フーコーへ)、学問分野に関するセクションは定義が異なるニーズに適応することを示し(数学対人文科学)、課題に関するセクションは定義が絶えず批判され修正されることを示し(ゲティア、グッドマン)、メタ定義に関するセクションは定義を定義する行為自体が進行中の探求であることを示した。したがって、もし存在するならば、「定義」の「本質」は、特定の定義形式にあるのではなく、明確さと共有された理解を求めるこの動的なプロセスにあるのかもしれない。

探求を通じて、定義が客観的真理や本質を捉えようとする願望と、定義がしばしば慣習的で、文脈依存的で、人間の関心と限界によって形成されるという認識との間に、持続的な緊張と相互作用が存在することが明らかになった。古代哲学は客観的で本質的な定義を求めたが 14、科学は客観的で操作的な定義を求める 42。しかし、クワインは「定義による真理」を批判し 30、ウィトゲンシュタインは使用と慣習を強調し 24、フーコーは定義を形成する権力を強調した 32。記述的定義は慣習を報告し 39、規約的定義はそれらを作り出す。これは、定義が客観的願望と慣習的現実が出会う空間で作用することを示唆している。「最良の」定義は、しばしばその文脈に適したプラグマティックなバランスを見出す。

また、必ずしも明示的ではないが、定義に対する倫理的側面も浮かび上がってくる。特に、説得的定義 39、社会的カテゴリーにおける本質主義批判 52、そしてフーコーの権力/知の分析 32 に関してである。我々が物事を、特に人間関連の概念をどのように定義するかは、重大な道徳的および社会的帰結をもたらし得る。説得的定義は態度に影響を与えることを目的としており、倫理的含意を持つ。人種やジェンダーの本質主義的定義は差別を正当化するために用いられてきた。フーコーは(例えば「狂気」の)定義が社会的統制の道具となり得ることを示している。したがって、定義する行為は常に中立的で純粋に知的な営みではなく、価値観を帯び、現実世界に影響を与える可能性があり、我々がどのように定義するかに責任が伴うことを示唆している。

批判的意識の永続的重要性

結論として、定義を使用する際にも評価する際にも、明確さ、精度、そして批判的意識の重要性を強調したい。いかなる定義であれ、その種類、目的、そして潜在的な限界を理解することは、効果的な推論、コミュニケーション、そして知識の進歩にとって不可欠である。定義するという行為は、困難ではあるが、依然として知的探求の礎石なのである。

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