前提の問い:
「いま自分が向かっているのは、“どこ”なのか?」
日々の仕事やプロジェクトの中で、「目的」と「目標」という言葉が何気なく使われている。しかし、言葉を使い分けられているかと問われると、立ち止まってしまう人も多いはずだ。
この二つは似ているようで、実は根本的に異なる。そしてその違いを理解することは、自分や組織の行動をぶれずに導くための羅針盤となる。
「目的」は意味、「目標」は到達点
まずは両者の定義から整理してみよう。
- 目的:なぜそれをやるのか。行動の「意味」や「理由」。
- 目標:どこまで到達するか。行動の「具体的な到達点」。
たとえば、マラソンを走るとき。
「健康な体をつくること」が目的であり、
「42.195kmを走り切ること」が目標だ。
つまり、目的は「価値」や「意義」、目標は「数値」や「成果」だと考えるとわかりやすい。
目的がなければ、目標はただの数字のゲームになってしまう。一方で、目標がなければ、目的は曖昧な夢で終わってしまう。
「目的が先、目標はあと」が原則
多くのプロジェクトが迷走する原因のひとつは、この順序が逆転することにある。
「とにかく○○件の契約を取れ」といった目標が先に置かれ、その意味や背景、つまり「なぜそれが必要なのか」が共有されないまま進んでしまう。
結果として、メンバーは「なぜそれをやるのか」を見失い、行動は機械的・形式的になる。
本来であれば、目的を深く共有し、それに即した目標を設計する必要がある。
目的と目標をつなぐ中間の問い:「何のために?」
目的と目標を分ける際に便利なのが、「何のために?」という問いだ。
たとえば:
- 「SNSのフォロワーを1000人増やす」←目標
→ 何のために? - 「商品認知を高め、売上に貢献する」←目的
このように、「目標 → 目的」への問いかけを意識することで、手段と意義を結びつけ、戦略を一貫させることができる。
逆に、「目的 → 目標」の方向で考えれば、「そのために今、何を達成すべきか?」という設計思考ができる。
目的が変われば、目標も変わる
ここで重要なのは、目的は時間とともに更新されることがあるという点だ。
たとえば、創業時の目的が「資金調達」だった企業が、成長するにつれて「社会課題の解決」に軸を移すことはよくある話だ。
このとき、古い目標(たとえば短期的な売上拡大)に固執していると、組織の意思決定はちぐはぐになる。
だからこそ、目的と目標はセットで見直す必要がある。目標だけを更新していても、組織の軸は変わらない。「なぜやるのか」こそが、行動の源泉なのだ。
結び:目的と目標は、ゴールと地図の関係
もし目的を「ゴール」、目標を「地図」だとするならば、
どちらが欠けても、私たちは迷う。
- ゴール(目的)だけがあっても、道に迷う。
- 地図(目標)だけがあっても、どこにも辿り着けない。
大切なのは、目的という「意味」を常に見据えながら、目標という「具体」を設定すること。
この両輪が揃って、はじめて人も組織も、納得と成果を両立させる行動ができる。
次に考えたい問い:
「私の今の目標は、何の目的に結びついているのだろうか?」
この問いを持ち続けることが、行動に深みと方向性を与える第一歩になる。



