「目的」と「KGI」は同じではない:混同されがちな2つの概念を正しく切り分ける

前提となる問い:

「KGIは“目的”そのものなのか?」
ビジネスの現場で「目的は何か?」と問うと、返ってくる答えの多くは「売上〇〇億円」「ユーザー数〇〇人達成」といった数値目標である。しかし、それは本当に“目的”なのだろうか?
あるいは、それは「KGI」と呼ぶべきものではないか?


「目的」は意味や意義、「KGI」はその定量化

まず定義を整理しよう。

  • 目的(Purpose):なぜこの取り組みを行うのかという「意味」や「存在意義」。定性的で抽象的な概念。
  • KGI(Key Goal Indicator):その目的を定量的に捉えるために設定された最終的な成果指標。目的の“数値化された姿”。

たとえば、新しい教育プログラムを開発するプロジェクトの場合:

  • 目的:「教育の機会格差をなくすこと」
  • KGI:「半年で地方の中高生1,000名がオンライン授業にアクセスできる状態をつくる」

ここでわかるように、KGIは目的の定量的な翻訳に過ぎない。KGIは目的の代替物ではないし、目的の上位概念でもない


なぜこの違いが重要か?

「KGIを達成すること」が組織やチームの“目的”になってしまうと、手段が目的化するリスクが生まれる。

例えば、「年間1億円の売上を達成する」というKGIが掲げられていたとしても、その背景にある目的が「顧客の生活をより豊かにする」だった場合、数字だけを追うあまりに顧客満足度を犠牲にしては本末転倒になる。

目的が意味を司り、KGIがそれを測るための「ものさし」になる。だからこそ、KGIは目的に従属して存在する。KGIだけを見ていると、いつの間にか「何のためにやっていたのか」が抜け落ちる。


目的が更新されれば、KGIも変わる

もうひとつ重要なのは、目的が時間とともに進化する可能性があるという点だ。
たとえば、創業当初は「市場での生存」を目的にしていた企業が、次第に「社会課題の解決」や「文化的インパクトの創出」に向かうことがある。そのとき、KGIも当然変化しなければならない。

KGIは“達成”すべきものだが、目的は“問い続ける”べきもの。この非対称性を理解することが、長期的な成長に不可欠である。


思考を深める問い:KGIに目的が内在しているか?

KGIが設定されたとき、こう問い直してみよう。

  • 「このKGIの背景にある“意味”は何か?」
  • 「この数値を達成することが、誰にどんな価値を生むのか?」

こうした問いを重ねることで、数字だけでは測れない“本質的な価値”とつながることができる。


結びに:数字の奥にあるストーリーを見よ

KGIは目的を可視化するための重要な道具である。だが、道具はあくまで道具
本当に大切なのは、その背後にある「なぜやるのか」という問いに応えられているかどうか。目的とKGIを明確に区別することは、組織の軸をぶらさないための第一歩である。


次に立てるべき問い:

「このKGIは、どんな“目的”を可視化したものなのか?」