KGIは「目的」の定量化、KPIは「目標」の定量化:意味のないKPIに振り回されないために

前提となる問い:

「この数字は、何のための数字なのか?」
日々の業務において、KPI(重要業績評価指標)という言葉が飛び交う場面は多い。売上目標、ユーザー数、成約率、クリック率…。あらゆる活動が「数値」で管理され、評価される現代。しかし、私たちはふと立ち止まって問う必要がある。「この数字は、何のための数字なのか?」と。


KGIとKPIの違いは、「何を定量化しているか」

まず、整理しよう。

  • KGI(Key Goal Indicator)=目的を定量化したもの
  • KPI(Key Performance Indicator)=目標を定量化したもの

この違いは、単なる言葉遊びではない。KGIは企業やプロジェクトの「最終的な成功状態」を数値で定義するもの。つまり、「この取り組みが最終的に何を達成すべきなのか?」を明確にする数字である。

たとえば、あるベンチャー企業のKGIが「1年以内にシリーズAの資金調達を完了し、評価額を10億円にする」だとする。このKGIは、その企業が「どこに向かっているのか」を指し示す北極星のような存在である。

一方、KPIはそのKGIに向かう途中における「進捗や活動の健全性」を測るマイルストーンだ。たとえば、「毎月10社の潜在投資家とミーティングを設定する」や「プロダクトのNPS(顧客満足度)を60以上に維持する」など。KPIは“目的”ではなく、あくまで“目標”——つまり手段の成果を測るものだ。


KPIをKGIから切り離してはいけない理由

よくある誤解は、「KPIが良ければOK」という思考停止だ。KPIが達成されていても、KGI(目的)に近づいていなければ意味がない。

たとえば、ウェブメディアで「PV数(ページビュー)を月間100万にする」というKPIが設定されていたとしよう。しかし、KGIが「信頼性の高い専門メディアとして広告出稿先に選ばれること」であるならば、単なるPVの数を追っても、その質が低ければKGIには到達できない。ここにKPIの“暴走”のリスクがある。


KGIなきKPIは、羅針盤なき航海である

数字には力がある。しかし、「なぜこの数字を追うのか?」という問いが抜け落ちると、数字は人を盲目にさせる

KGIという「大義」を持ち、その上で適切なKPIを設計する。この順序を逆にしてはいけない。多くの現場で起こっている問題は、KPIを設定すること自体が目的化してしまい、KGIが見失われていることにある。


問い直す力こそ、組織の知性である

あなたのKPIは、何のためにあるのか?
それは、どんなKGIに結びついているのか?
そして、そのKGIは、あなたたちの「存在意義」や「社会における役割」と一致しているのか?

この問い直しを継続的に行うことが、KPIに意味を与え、KGIを達成するための唯一の道である。形式だけの数値管理から脱し、本質的な成果を生み出す組織へと進化するには、「数字を見る目」の精度を上げるしかない。


結びに

KPIの設計は、単なる管理手法ではない。それは、組織の意思決定と価値創造の中心にある問いへの答え方のデザインである。
「そのKPIは、何のための数字か?」
この問いを日々の思考の出発点に据えよう。KGIとKPIを区別し、そして結び直す。それこそが、意味ある成果への道を照らす光となる。