■ はじめに:その“考え方の前提”、疑ったことはありますか?
「やっぱり転職しなきゃ、今のままじゃ将来が不安です。」
そう語ったのは、都内の大手企業に勤める若手社員・田中美咲さん(28歳)。
成績も良く、上司からの評価も高い。にもかかわらず、彼女は「このまま働いていても意味がない気がする」と言います。
この違和感の正体は何か?
その答えを探るために使ったのが、新しい思考フレームワーク──FRAMEです。
■ FRAMEとは?
FRAMEは、自分が信じている「前提(=当然だと思っていること)」を構造的に問い直すための思考ツールです。
| フレーム | 役割(問い) |
|---|---|
| F:Formed | その前提はどこから来たのか? |
| R:Reality | 現実と照らして妥当か? |
| A:Alternatives | 他にどんな見方があるか? |
| M:Maintained | なぜそれを信じ続けているのか? |
| E:Effects | それによって何が起きているのか? |
このフレームを使えば、行動や感情の「背後」にある構造が見えてきます。
■ ケース:田中美咲さんの命題
「今の会社に残っていたら、自分の成長は止まってしまう」
この命題に対し、FRAMEを一緒に使いながら検証していきます。
🟢 F:Formed(前提の起源)
- この考えは、美咲さんが就職活動時に見た「成長し続けるキャリアが正解」という情報や、SNS上の「転職=前向き」という風潮に影響されている。
- また、同期の何人かが転職して新しい環境にいることへの焦りも背景にある。
🟢 R:Reality(現実との照合)
- 実際には、美咲さんは新規プロジェクトを任される機会もあり、社内での成長環境は存在している。
- 「成長が止まる」という感覚は、比較や不安による心理的なものであり、現実とズレている部分がある。
🟢 A:Alternatives(他の前提)
- 「今の会社でも自分次第で成長できる」
- 「成長とはポジションではなく、姿勢や課題の持ち方によって決まる」
- 「キャリアは移動でなく、深化によっても築ける」
🟢 M:Maintained(維持の要因)
- 美咲さんは、「優秀であるとは常に動いていること」というセルフイメージを持っている。
- SNSや周囲の転職話が、今の環境への満足感を下げている。
🟢 E:Effects(影響)
- 現職での取り組みに集中できず、どこか“いつでも辞められる”という気持ちが行動に出てしまう。
- 本当はやりがいを感じていたはずの業務に身が入らず、成長機会を見逃していた。
■ 結び:前提が変われば、選択肢が増える
美咲さんはFRAMEを通じて、「今の職場=成長できない場所」という前提が、実際には外部から植え付けられた一面的なものだったと気づきました。
そして、「成長は環境ではなく、姿勢と解釈で起きる」という新しい信念に転換することで、次のキャリア選択に対して柔軟さと自律性を持てるようになったのです。
FRAMEは、複雑な現代の意思決定をシンプルに、でも深く支えてくれるツールです。
あなたのその悩み、その選択肢の背後にも、問い直すべき“前提”が眠っていませんか?



