1. エグゼクティブサマリー
本レポートは、ウェブブラウザの利用状況に関する統計データを分析し、世界および日本市場における主要なトレンドと洞察を提供することを目的とする。分析の結果、以下の点が明らかになった。
- グローバル市場: Google Chromeがデスクトップ、モバイル、タブレットの全プラットフォームで圧倒的なシェアを維持している。SafariはAppleデバイスの普及を背景にモバイルおよびタブレットで2位を確保し、Microsoft EdgeはWindowsとの連携によりデスクトップで存在感を示している。
- 日本市場: グローバルと同様にChromeが全体的なリーダーであるものの、モバイル市場においては特異な状況が見られる。iPhoneの高い普及率を反映し、SafariがChromeと拮抗、あるいは僅差で首位を争う状況が続いている。デスクトップでは、Edgeがグローバル平均よりも高いシェアを占めている。
- インターネット利用時間: 世界平均と比較して、日本のユーザーの1日あたりのインターネット利用時間は著しく短い傾向にある。最新の総務省調査(令和5年度)によると、日本の全年代平均利用時間は平日約3時間14分、休日約3時間23分であり、世界平均の約6時間半を大きく下回る。ただし、若年層(10代・20代)の利用時間は長く、世代間の差が大きい。
- 利用デバイスと形態: 世界的にモバイルデバイスからのインターネット利用が主流であり、日本においてもモバイル経由の利用時間がPCを大幅に上回っている。しかし、モバイル利用時間の大部分(約90%)は、ウェブブラウザではなくネイティブアプリ内で費やされていることが指摘されており、モバイル戦略においてはアプリの重要性が極めて高い。
- 主要データソース: 本レポートで参照した主要なデータソースには、ブラウザ市場シェアに関するStatCounter、日本のインターネット利用時間に関する総務省情報通信政策研究所の調査が含まれる。その他、SimilarWeb、GWI、DataReportal、Nielsen Digital、MM総研、VALUESなども関連データを提供している。
これらの分析結果は、デジタル戦略、ウェブ開発、マーケティング活動において、グローバル市場と日本市場の特性、デバイス間の利用状況の違い、そしてアプリの重要性を考慮することの必要性を示唆している。
2. 主要なウェブブラウザ:世界と日本の概観
ウェブブラウザは、ユーザーが膨大な情報が広がるインターネットへアクセスするための不可欠なゲートウェイとして機能する。数多くのブラウザが存在する中で 1、市場は一部の主要プレイヤーによって占められている。
2.1. グローバル市場の主要プレイヤー
世界的に見て、以下のウェブブラウザが市場シェアの大半を占めている 2。
- Google Chrome: Googleによって開発され、その速度、拡張機能の豊富さ、Googleサービスとの親和性の高さから、世界で最も広く利用されている 6。
- Safari: Appleによって開発され、macOS、iOS、iPadOSといったAppleエコシステムに統合されている。特にiPhoneやiPadの普及率が高い地域で強いシェアを持つ 7。
- Microsoft Edge: Microsoftによって開発され、Windowsオペレーティングシステムのデフォルトブラウザとなっている。近年Chromiumベースに移行し、互換性とパフォーマンスが向上した 7。
- Firefox: Mozilla Foundationによって開発され、プライバシー保護機能とカスタマイズ性の高さで知られるオープンソースブラウザ 7。
- Opera: 独自の機能(VPN内蔵など)やデータ圧縮技術で知られるブラウザ 2。
- Samsung Internet: Samsung製のAndroidデバイスにプリインストールされており、特にモバイル市場で一定のシェアを持つ 3。
2.2. 日本市場における主要プレイヤー
日本市場においても、グローバルと同様の主要ブラウザが利用されているが、そのシェア構成には特徴が見られる 8。
- Google Chrome: 日本でもデスクトップ、モバイル全体で高いシェアを維持している 8。
- Safari: 日本におけるiPhoneの高い人気を背景に、特にモバイル市場でChromeと拮抗する非常に強い存在感を持つ 9。
- Microsoft Edge: デスクトップPC市場において、グローバル平均よりも高いシェアを確保している 8。
- Firefox: デスクトップ市場を中心に、一定のユーザー層を持つ 8。
2.3. その他の注目すべきブラウザ
上記の主要ブラウザ以外にも、特定の地域やユーザー層に支持されるブラウザが存在する。例えば、中国ではQQ BrowserやSogou Explorerが高いシェアを持っている 6。また、カスタマイズ性を重視するユーザー向けにVivaldiのようなブラウザも提供されている 17。
3. グローバルブラウザ市場シェアの状況
ウェブブラウザの市場シェアは、プラットフォーム(デスクトップ、モバイル、タブレット)によって異なる様相を示す。StatCounterのデータ(特に断りのない限り2025年3月時点)に基づき、グローバル市場の状況を分析する 4。
3.1. 全プラットフォーム合計
全てのデバイスを合計したグローバル市場シェアでは、Google Chromeが約66%と圧倒的なリーダーであり、市場の3分の2近くを占めている 4。次いでSafariが約17-18%、Microsoft Edgeが約5%となっている 4。NetMarketShareやWikimedia、W3Counterといった他の調査機関のデータもChromeの優位性を示しているが、具体的な数値には若干の差異が見られる 3。
3.2. デスクトップ
デスクトップ市場に限定すると、Chromeの支配はさらに顕著で、約65-66%のシェアを持つ 2。Microsoft Edgeが約13-14%で2位、Safariが約8-9%で3位、Firefoxが約6%で続く 2。過去のデータと比較すると、Internet Explorerの衰退とChromeの台頭が明確であり 1、近年ではChromiumベースとなったEdgeがシェアを伸ばしている傾向も指摘されている 8。
3.3. モバイル
モバイル市場でもChromeは約67%と首位を維持しているが、Safariが約23%とデスクトップ市場よりもはるかに強い2位の地位を確立している 3。これはiOSデバイスの世界的な普及を反映したものである。Samsung Internetも約3-4%のシェアを持ち、存在感を示している 1。
3.4. タブレット
タブレット市場は、Chrome(約50%)とSafari(約30-35%)の二強体制となっている 1。これはAndroidタブレットとiPadの市場構成を色濃く反映している。Android標準ブラウザも約12-16%のシェアを持っている 1。
3.5. プラットフォーム間のシェア構造
グローバル市場のデータは、ブラウザの強みがプラットフォームによって異なることを明確に示している。ChromeはWindows、macOS、Android、iOSといった主要なOS全てに対応しており、特にAndroidのデフォルトブラウザであることから、クロスプラットフォームでの圧倒的な優位性を築いている 6。一方、Safariは基本的にAppleデバイス(macOS、iOS、iPadOS)に限定されるため、デスクトップでのシェアは比較的低いが、iPhoneとiPadの世界的な普及によりモバイルおよびタブレット市場で非常に高いシェアを確保している 7。Microsoft EdgeはWindowsのデフォルトブラウザであることからデスクトップで強みを発揮するが、モバイルOS(Android/iOS)上ではChromeやSafariほどの浸透は見られない 7。
この構造は、ウェブ開発戦略に重要な示唆を与える。グローバルなウェブサイトやアプリケーション開発においては、Chromeへの対応が最優先事項となる。しかし、モバイルおよびタブレット体験においては、特にiOSのシェアが高い市場をターゲットとする場合、Safariへの対応も同等に重要となる。また、デスクトップ向けの開発では、Edgeの無視できないシェアを考慮に入れる必要がある。
表1: グローバルブラウザ市場シェア (%, 2025年3月 – StatCounter)
| ブラウザ | 全プラットフォーム (%) | デスクトップ (%) | モバイル (%) | タブレット (%) |
| Chrome | 66.16 | 65.7 | 66.9 | 49.6 |
| Safari | 17.62 | 8.2 | 22.7 | 30.7 |
| Edge | 5.17 | 13.4 | (Others) | (Others) |
| Firefox | 2.52 | 6.0 | (Others) | (Others) |
| Samsung Internet | 2.22 | (Others) | 3.6 | (Others) |
| Opera | 2.14 | (Others) | (Others) | (Others) |
| Android | (Others) | (Others) | (Others) | 16.4 |
| その他 | (残り) | (残り) | (残り) | (残り) |
出典: StatCounter Global Stats 2。デスクトップは2025年3月、モバイル・タブレットは2025年3月のデータを使用。Edge、Firefox、Opera、Samsung Internet等のモバイル・タブレットシェアは「その他」に含まれる場合があるため、主要なものを記載。合計は100%にならない場合がある。
4. 日本のブラウザ市場シェアの状況
日本のブラウザ市場は、グローバル市場と共通する部分もあるが、特にモバイルにおいて顕著な独自性を持っている。以下にStatCounterのデータ(主に2025年3月時点)に基づき、日本市場の状況を詳述する 8。
4.1. 全プラットフォーム合計
日本国内の全プラットフォームを合計したシェアでは、Chromeが約57%で首位であるが、Safariが約27-28%と、グローバル平均(約17-18%)と比較してはるかに高いシェアを占めている点が特徴的である 11。
4.2. デスクトップ
日本のデスクトップ市場では、Chromeが約67%と圧倒的なシェアを誇る 8。注目すべきはMicrosoft Edgeのシェアで、約18-21%とグローバル平均(約13-14%)よりもかなり高い水準にある 8。Firefoxは約6-9%、Safariは約5-6%でこれに続く 8。過去のレポートでもEdgeの強さは指摘されている 10。
4.3. モバイル
日本のモバイル市場は、世界的に見ても特異な競争環境にある。Safari(約47-49%)とChrome(約45-48%)が僅差で首位を争っており、月によっては順位が入れ替わることもある 8。これは、日本におけるiPhoneの高い利用率を直接反映した結果である 9。Chromeが圧倒的なシェアを持つグローバルモバイル市場とは対照的である。Samsung Internetのシェアは約2%程度にとどまる 8。
4.4. タブレット
日本のタブレット市場では、近年変化が見られ、Chrome(約46%)がSafari(約40%)を逆転して首位となった 8。以前はSafariが優位にあったが、シェアが継続的に低下した結果である 8。Android標準ブラウザは約12%のシェアを持つ 8。
4.5. 「日本のモバイル市場の特異性」
日本におけるモバイルブラウザ市場の状況は、世界標準から見ると「特異」と言える。SafariがChromeと互角以上に渡り合っている主な要因は、日本におけるiOSデバイス(特にiPhone)の普及率が世界的に見て非常に高いことにある 9。SafariはiOSのデフォルトブラウザであり 15、ユーザーは他のブラウザ(Chromeなど)をインストールすることも可能だが、デフォルト設定の優位性とユーザーの慣性により、Safariは高いシェアを維持してきた。しかし、近年のデータではChromeがシェアを伸ばし、Safariを逆転する月も見られるようになっている 8。これは、Android OSのシェア増加や、iPhoneユーザーの間でもChromeを選択する人が増えている可能性を示唆している 13。この状況は、日本市場向けのモバイルウェブ開発やテスト戦略において、SafariをChromeと同等の最重要ターゲットとして扱う必要性を強く示している。グローバル市場でのChromeの優位性だけを前提とした戦略は、日本のモバイル市場では通用しない可能性が高い。また、両者のシェアが変動しやすいため、継続的な市場動向の監視が不可欠である。
4.6. 「Edgeのデスクトップにおける強固な地位」
日本のデスクトップ市場において、Edgeがグローバル平均よりも高いシェア(約18-21%)を保持している点も注目に値する 8。これは、日本国内、特に企業環境におけるWindows OSの依然として高い普及率と関連していると考えられる。Edgeは最新のWindowsにおけるデフォルトブラウザであり 7、日本の企業文化や一般ユーザーの間で、デフォルト設定のソフトウェアをそのまま利用する傾向がグローバル平均よりも強い可能性、あるいは代替ブラウザへの移行が比較的緩やかである可能性などが考えられる。この事実は、日本のB2B市場や一般消費者向けのデスクトップウェブサービスを提供する上で、Edgeでの互換性確保と最適なパフォーマンスの実現が、グローバルな視点から想定される以上に重要であることを意味する。
表2: 日本のブラウザ市場シェア (%, 2025年3月 – StatCounter)
| ブラウザ | 全プラットフォーム (%) | デスクトップ (%) | モバイル (%) | タブレット (%) |
| Chrome | 57.27 | 67.4 | 46.2 | 46.0 |
| Safari | (データ参照) | 5.4 | 47.5 | 40.0 |
| Edge | (データ参照) | 18.4 | (Others) | (Others) |
| Firefox | (データ参照) | 5.7 | (Others) | (Others) |
| Samsung Internet | (データ参照) | (Others) | 2.0 | (Others) |
| Android | (データ参照) | (Others) | (Others) | 12.1 |
| その他 | (残り) | (残り) | (残り) | (残り) |
出典: StatCounter Global Stats 8。全プラットフォーム、デスクトップ、モバイル、タブレットともに2025年3月のデータを使用。全プラットフォームのSafari以下のシェアは個別データが見当たらないため「データ参照」とした。モバイル・タブレットのEdge、Firefox等のシェアは「その他」に含まれる場合がある。合計は100%にならない場合がある。
5. 市場シェアの推移とトレンド
ブラウザ市場は、技術革新やプラットフォームの変化とともに常に変動してきた。過去から現在に至るまでの主要なトレンドを概観する。
5.1. グローバルトレンド
過去10年以上のスパンで見ると、最も劇的な変化はGoogle Chromeの台頭である。2009年頃にはInternet Explorerが市場の大部分を占めていたが 1、Chromeは急速にシェアを拡大し、2012年頃にはIEを追い抜きトップに立った 1。Firefoxもかつては高いシェアを誇ったが、Chromeの勢いに押される形となった 3。ここ5年ほどは、Chrome、Safari、Edge、Firefoxといった主要プレイヤーの顔ぶれと順位は比較的安定しているように見えるが 1、細かい変動は続いている 8。特に、Microsoft EdgeがChromiumエンジンを採用して以降、機能と互換性を向上させ、シェアを回復・増加させる傾向が見られる 8。これは、古いブラウザからの移行や、一部Chromeからの乗り換えを含んでいる可能性がある。
5.2. 日本市場のトレンド
日本市場に目を向けると、デスクトップではChromeが一貫して高いシェアを維持・拡大してきたが、直近のデータではわずかな減少も見られる場合がある 8。モバイル市場の動向はよりダイナミックである。かつてSafariは6割以上の圧倒的なシェアを誇っていた時期もあったが 10、その後シェアを低下させ、一方でChromeが着実にシェアを伸ばしてきた 8。その結果、現在のような両者が僅差で競り合う状況、あるいは一時的な順位変動が起こる状況に至っている 8。タブレット市場でも同様にSafariのシェア低下とChromeのシェア上昇が見られ、最近になってChromeが首位に立つという変化が起きた 8。また、長らく一定の利用者がいたInternet Explorerは、サポート終了に伴い、ついにランキングから姿を消した 15。
5.3. 市場の成熟とプラットフォームの影響力
これらのトレンドは、ブラウザ市場がある程度の成熟期に入ったことを示唆している。かつてのブラウザ戦争のような、機能や性能競争による大規模なシェア変動は起こりにくくなっている 3。現在の主要ブラウザは、ほとんどのユーザーにとって必要十分なコア機能を提供しており、積極的に乗り換える強い動機が生まれにくい状況にある。しかし、市場が完全に停滞しているわけではない。OSのデフォルトブラウザ(WindowsにおけるEdge、iOSにおけるSafari)であることは依然として強力なアドバンテージであり、ユーザーの慣性を生み出す 7。また、基盤となるOSの市場シェア変動、特にモバイルOS(Android対iOS)の勢力バランスの変化は、デフォルトブラウザのシェアに直接的な影響を与える。日本におけるSafariとChromeのモバイルシェア変動は、このプラットフォームの影響力を示す典型例である 14。したがって、今後のブラウザ市場の大きな変動は、個々のブラウザ機能の優劣よりも、OSレベルの戦略、エコシステムの囲い込み、あるいはプラットフォーム自体の人気変動(例:日本におけるiOS対Androidのバランス変化)によって引き起こされる可能性が高いと考えられる。
6. グローバルインターネット利用時間の分析
ウェブブラウザはインターネットを利用するためのツールであるが、特定のブラウザの利用時間に限定した信頼性の高い公開データは乏しい。そのため、本セクションでは、より広範な指標である「1日あたりの平均インターネット利用時間」(デバイスや活動内容を問わない)を、ブラウザ利用時間の代理指標として分析する。データは主にGWI、DataReportal、Comparitech、Oberloなどの調査・分析に基づいている。
6.1. 世界平均
近年の調査によると、世界のインターネットユーザーは1日あたり平均して約6時間30分から6時間45分の時間をオンラインで過ごしている 22。これは、睡眠時間を除いた覚醒時間の約40%から42%に相当し、標準的な週40時間の労働時間よりも長い 24。ただし、調査機関や調査時期(四半期/年)によって具体的な数値には若干のばらつきが見られる 24。
6.2. 地域差
この平均値の背後には、国や地域による大きなばらつきが存在する。南アフリカ、ブラジル、フィリピンなどでは、1日の平均利用時間が9時間を超えるという報告もある 24。一方で、日本や一部のヨーロッパ諸国など、利用時間が比較的短い国々も存在する 22。
6.3. 利用時間の内訳(世界平均)
利用可能なデータによれば、オンライン時間の多くは特定の活動に費やされている。例えば、ソーシャルメディアの利用には1日あたり平均約2時間20分から2時間30分が費やされている 24。その他、動画ストリーミング視聴、音楽ストリーミング、ゲーム、ポッドキャスト聴取なども主要な活動として挙げられる 24。
6.4. 利用時間と社会・経済的背景
世界各国の平均インターネット利用時間の大きな差は、単に技術的なアクセス環境だけでなく、文化的、経済的、社会的な要因が複雑に絡み合っていることを示唆している。例えば、フィリピンやブラジルといった利用時間の長い国では、若年層の人口比率の高さ、コミュニケーション手段としてのソーシャルメディアへの依存度、異なる労働・生活習慣、あるいはモバイルインターネットを通じたエンターテイメントや情報収集の重要性などが影響している可能性がある 22。逆に、日本やドイツのような利用時間の短い国では、平均年齢の高さ、テレビや新聞といった伝統的メディアの影響力の根強さ、特有の労働文化、あるいはより効率的・目的志向的なインターネット利用スタイルなどが要因として考えられる 22。このことから、単に利用時間が長いことが必ずしも高い商業的エンゲージメントを意味するわけではなく、また利用時間が短いことがデジタル化の遅れを意味するわけでもない。国際的なデジタル戦略においては、利用時間の背後にある各地域の文脈を理解し、それぞれの行動様式に合わせたアプローチを取ることが極めて重要となる。
7. 日本のインターネット利用時間の分析
日本のインターネット利用時間は、世界平均と比較して顕著に短いという特徴がある。ここでは、主に総務省情報通信政策研究所が実施している「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(令和5年度版)のデータ 33 を中心に、日本の状況を詳述する。
7.1. 全体平均(日本)
世界平均(約6時間半)と比較して、日本のユーザーの1日あたりの平均インターネット利用時間は大幅に短い。GWIなどの調査では、3時間45分から4時間30分程度の範囲で報告されている 22。
7.2. 詳細な利用時間(総務省データ – 令和5年度)
総務省の令和5年度調査 33 によると、より詳細な状況が明らかになる。
- 全年代(13歳~69歳)平均:
- 平日: 194.2分(約3時間14分)
- 休日: 202.5分(約3時間23分)
- 年代別平均: 利用時間は年齢によって大きく異なる。20代でピーク(平日275.8分、休日309.4分)となり、10代も高い水準(平日257.8分、休日342.2分)を示す。その後、年齢が上がるにつれて利用時間は減少し、60代では平日133.7分、休日119.3分となる 33。
- 目的別平均(全年代): 平日・休日ともに最も利用時間が長いのは「動画投稿・共有サービスを見る」(平日54.0分、休日79.6分)であった。次いで「メールを読む・書く」(平日44.7分、休日20.5分)、「ソーシャルメディアを見る・書く」(平日38.9分、休日47.4分)などが続く 33。特に若年層では、動画視聴とソーシャルメディア利用時間が突出して長い傾向がある 35。
7.3. 他の国内調査との比較
他の国内調査でも、日本の利用状況に関するデータが報告されている。例えば、ノートンライフロック社の調査では、コロナ禍において学校や仕事以外でのデバイス画面視聴時間が1日平均4時間以上であったと報告されている 40。MM総研の調査では、学生の1日あたりのインターネット利用時間(仕事・学校含む)が平均7.8時間と算出されている 41。また、高校生の利用時間が平均4時間を超えるという調査結果もある 42。これらの数値は総務省のデータと完全には一致しない場合があるが、これは調査対象者、調査方法(自己申告かログか)、集計定義(仕事時間を含むかなど)の違いによるものと考えられる。
7.4. 日本における世代間のデジタルデバイド
総務省のデータ 33 は、日本のインターネット利用における顕著な世代間格差を明確に示している。10代・20代の若年層は、50代・60代以上の高齢層と比較して、オンラインで過ごす時間が大幅に長く、利用するサービスも異なる。若年層は特にソーシャルメディアや動画視聴に多くの時間を費やす一方、高齢層はオンライン利用時間が短いものの、ポータルサイトやニュースサイトの利用率が比較的高く、またテレビや新聞といった伝統的メディアへの接触時間も長い傾向が見られる 36。
この格差の背景には、いくつかの要因が考えられる。まず、若年層は物心ついた頃からインターネットやスマートフォンが身近にある「デジタルネイティブ」世代であり、生活の一部として定着している。次に、情報収集やエンターテイメントの手段として、若年層はソーシャルメディアや動画プラットフォームへの依存度が高まっており、伝統的メディアからの移行が進んでいる 36。さらに、友人とのコミュニケーション、趣味、情報収集など、生活の多くの側面が若年層にとってはインターネット中心になっている 35。一方で、高齢層は長年慣れ親しんだオフラインの生活習慣や伝統的なメディアチャネルを好む傾向がある 37。
この世代間の違いは、日本国内向けのデジタル戦略において、ターゲットとする年齢層に応じたアプローチが不可欠であることを示している。若年層にリーチするには、ソーシャルメディアや動画プラットフォームを中心としたオンライン戦略が効果的である一方、高齢層にアプローチするには、伝統的メディアとの組み合わせや、ポータルサイト、ニュースサイトといった異なるオンラインコンテンツの活用を検討する必要がある 45。日本全体の平均利用時間が世界的に見て低いのは、高齢層の利用時間の短さが大きく影響している点を理解しておく必要がある。
表3: 日本における1日あたりの平均インターネット利用時間(分、令和5年度 – 総務省)
| 年代 | 平日平均利用時間 (分) | 休日平均利用時間 (分) |
| 全年代(13-69歳) | 194.2 | 202.5 |
| 10代 | 257.8 | 342.2 |
| 20代 | 275.8 | 309.4 |
| 30代 | 201.9 | 218.3 |
| 40代 | 176.2 | 176.2 |
| 50代 | 173.8 | 152.7 |
| 60代 | 133.7 | 119.3 |
出典: 総務省情報通信政策研究所「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」33。
表4: 日本におけるインターネット利用目的別平均利用時間(分、全年代、令和5年度 – 総務省)
| 利用目的 | 平日平均利用時間 (分) | 休日平均利用時間 (分) |
| メールを読む・書く | 44.7 | 20.5 |
| ブログやウェブサイトを見る・書く | 26.2 | 27.4 |
| ソーシャルメディアを見る・書く | 38.9 | 47.4 |
| 動画投稿・共有サービスを見る | 54.0 | 79.6 |
| VOD(ビデオ・オン・デマンド)を見る | 16.7 | 23.7 |
| オンラインゲーム・ソーシャルゲームをする | 24.2 | 34.0 |
| 印刷物の電子版を見る | 5.3 | 7.3 |
| 遠隔会議システムやビデオ通話利用 | 8.9 | 1.2 |
出典: 総務省情報通信政策研究所「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」33。主要な項目を抜粋。
8. デスクトップ vs モバイル利用パターン
インターネットへのアクセス方法は、デスクトップPCからモバイルデバイスへと大きくシフトしてきた。この変化は、利用時間や利用形態にも影響を与えている。
8.1. 市場シェアの再確認
前述の通り、世界的に見てモバイルデバイスからのインターネットトラフィックはデスクトップを上回っており 1、ブラウザ市場シェアもこれを反映している。グローバルではChromeがモバイル市場を支配し、Safariがそれに続く。日本では特異的にSafariがChromeとモバイル市場で拮抗している 1。
8.2. 利用時間の比較(日本 – 総務省データ)
総務省の令和5年度調査 33 によると、日本におけるデバイス別の平均インターネット利用時間は以下の通りである。
- PC: 平日 60.7分 / 休日 32.3分
- モバイル(スマートフォン): 平日 123.1分 / 休日 151.4分
- タブレット: 平日 11.4分 / 休日 12.4分
このデータは、日本においてもモバイルデバイス(主にスマートフォン)でのインターネット利用時間が、PCでの利用時間を大幅に上回っていることを明確に示している。特に休日はその差が顕著である 36。
8.3. 利用時間の比較(グローバル)
グローバルなデータを見ても、モバイルデバイスでのスクリーンタイム(インターネット接続時間)がコンピュータでのスクリーンタイムを上回る傾向が一般的である。例えば、ある調査では世界平均でモバイルが約3時間46分、コンピュータが約2時間52分と報告されている 24。米国の場合はモバイル(約3時間30分)とコンピュータ(約3時間34分)がほぼ同等というデータもあるが 24、全体的な傾向としてはモバイル優位である。日本のモバイル利用時間の長さは、このグローバルなトレンドと一致している(ただし、総利用時間は短い)。
8.4. モバイルにおけるアプリ vs ブラウザの優位性
モバイル利用に関する議論で極めて重要な点は、モバイルデバイスで費やされるインターネット時間の大部分が、ウェブブラウザではなくネイティブアプリ内で消費されているという事実である 48。複数の調査や分析が、モバイル利用時間の約90%がアプリに費やされていると指摘している 50。
モバイルウェブサイトは、多くの場合、ユーザーが特定のブランドやサービスを初めて発見したり、簡単な情報を検索したりする際に利用される。しかし、より深いエンゲージメント、長時間の利用、そして最終的なコンバージョン(特にEコマースなど)においては、ネイティブアプリが圧倒的に優位であるとされる 49。タブレット端末では、スマートフォンと比較して若干ブラウザ利用の比率が高い可能性も示唆されているが、依然としてアプリが中心であることに変わりはない 48。
8.5. モバイル利用時間 ≠ モバイルブラウザ利用時間
この「モバイル利用時間の大半はアプリ内」という現実は、データ解釈において重要な意味を持つ。総務省のデータなどで示される「モバイル(スマートフォン)でのインターネット利用時間」 33 は、モバイルデバイス全体でのオンライン活動時間を示すが、その内訳としてモバイルウェブブラウザの利用時間はごく一部に過ぎない可能性が高い。
アプリがこれほどまでに優位性を持つ理由はいくつか考えられる。第一に、アプリは特定の機能やコンテンツに最適化されたユーザー体験を提供できる。第二に、デバイスの機能を活用し、ウェブサイトよりも高速な動作やオフラインでの利用が可能になる場合が多い 49。第三に、ソーシャルメディア、動画視聴、メッセージング、ゲームといった、モバイルで多くの時間が費やされる主要な活動は、ほとんどの場合、専用のアプリを通じて行われる 33。第四に、プッシュ通知機能により、ユーザーの再訪を効果的に促すことができる 53。
これに対し、モバイルブラウザは、検索エンジン経由での情報探索や、アプリが提供されていないウェブサイトへのアクセス、一時的なタスクの実行などに使われることが多く、アプリと比較してセッション時間が短くなる傾向がある 49。
したがって、モバイル「ブラウザ」の市場シェアや利用時間統計だけを見てモバイル戦略を立てることは、ユーザーの実際の行動の大部分を見落とすリスクがある。特にEコマース、メディア、ソーシャルネットワーキングなどの分野で深いユーザーエンゲージメントを目指す企業にとって、モバイルウェブサイトの最適化と並行して、強力なネイティブアプリ戦略を展開することが不可欠である。モバイルブラウザの利用時間統計は、モバイルデバイスにおける総デジタル消費時間を大幅に過小評価している可能性が高い。
表5: 日本におけるデバイス別1日あたり平均インターネット利用時間(分、全年代、令和5年度 – 総務省)
| デバイス | 平日平均利用時間 (分) | 休日平均利用時間 (分) |
| PC | 60.7 | 32.3 |
| モバイル(スマートフォン) | 123.1 | 151.4 |
| タブレット | 11.4 | 12.4 |
出典: 総務省情報通信政策研究所「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」33。
9. インターネット利用時間の推移
インターネット利用時間は、技術の進化、サービスの多様化、社会状況の変化などを受けて、長年にわたり変化してきた。
9.1. グローバルトレンド
世界的に見ると、過去10年間で平均スクリーンタイム(インターネット利用時間)は増加傾向にあった 24。特に2013年から2017年にかけて顕著な増加が見られたとの報告もある 27。しかし、直近の数年間では、その増加ペースが鈍化したり、若干の減少が見られたりするなど、飽和状態に近い、あるいは変動の大きい局面に入っている可能性も指摘されている 24。新型コロナウイルスのパンデミックは、在宅時間の増加などにより、一時的に利用時間を押し上げる要因となった可能性も考えられる 28。
9.2. 日本市場のトレンド
日本の状況を総務省の調査データで追うと、平均インターネット利用時間は、平日・休日ともに長期的に増加傾向にあることが確認できる 35。特筆すべきは、近年、平日のインターネット利用時間が、テレビ(リアルタイム視聴)の平均利用時間を上回るようになった点である 37。
この利用時間増加の主な牽引役となっているのが、動画視聴(YouTubeなどの動画共有サービスやVOD)とソーシャルメディア利用である 36。これらの活動に費やされる時間は、特に若年層を中心に、年々増加している 36。一方で、伝統的なメディアであるテレビの視聴時間は、特に若年層で減少傾向が続いている 36。デバイス別に見ると、モバイルデバイス経由での利用時間が急速に増加しているのに対し、PC経由の利用時間は比較的安定している 36。
9.3. 動画とソーシャルメディアが成長を牽引
これらのトレンドから、インターネット利用時間の増加、特に日本における増加は、主に動画コンテンツ(ストリーミングサービス、YouTubeなど)の消費拡大と、ソーシャルメディアへのエンゲージメント深化によってもたらされていると考えられる。これらの活動は、総務省の調査でも平均利用時間が長く、特に若年層や休日にその傾向が強いことが示されている 33。また、これらの活動の利用時間は、経年変化を見ても顕著な伸びを示している 36。そして、これらのコンテンツやサービスへのアクセスは、多くの場合モバイルデバイスを通じて行われており、モバイルインターネット利用時間の増加と密接に関連している 33。伝統的なテレビ視聴時間の減少(特に若年層)は、メディア消費習慣がオンライン動画へとシフトしていることを裏付けている 36。
この事実は、今後のデジタルエンゲージメントとオンライン時間の大部分が、動画とソーシャルプラットフォームに集中することを示唆している。企業は、これらのフォーマットを効果的に取り入れた戦略を構築する必要がある。さらに重要な点として、この成長の大部分は、これらの活動に特化したモバイル「アプリ」内で起こっている。これは、前述したアプリ対ブラウザの力学をさらに強調するものである。
10. 主要なデータ提供元
本レポートで参照したブラウザ利用統計やインターネット利用時間に関するデータは、様々な調査機関や企業によって提供されている。主要な提供元とその特徴を以下にまとめる。
- StatCounter: グローバルおよび国別のブラウザ市場シェア(デスクトップ、モバイル、タブレット、全体)に関する主要な情報源。世界中の150万以上のウェブサイトに設置されたトラッキングコードから得られるヒット数(ページビュー)に基づいてデータを集計している 2。ユニークビジター数ではなくヒット数を基にしており、重み付けは行われていない 3。頻繁に更新されるため、市場トレンドを把握する上で広く利用されている。
- 総務省情報通信政策研究所 (MIC), Japan: 日本国内のインターネット利用時間、利用目的、利用デバイス、利用者の属性などに関する最も権威ある情報源の一つ。毎年実施される「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」では、日記式調査とアンケート調査を組み合わせて詳細なデータを収集・公表している 33。
- SimilarWeb: ウェブサイトのトラフィック分析、エンゲージメント指標(平均滞在時間、直帰率など)、競合分析、市場インテリジェンスを提供するプラットフォーム。直接測定、公開データのインデックス化、統計的推計などを組み合わせた独自のデータ収集・分析手法を用いている 1。アプリの利用状況やエンゲージメントに関するデータも提供している 71。
- GWI (GlobalWebIndex): 世界規模でのインターネット利用時間、ソーシャルメディア利用、デバイス利用習慣などに関する調査データを提供。大規模な消費者調査に基づいており、DataReportalなどの他のレポートで頻繁に引用されている 22。
- DataReportal: GWI、StatCounter、Statistaなどのデータを統合し、包括的なグローバルデジタルレポートを年次で発行している 26。
- Comparitech: スクリーンタイムやデジタル利用に関する調査レポートを発行。しばしばDataReportalやGWIのデータを引用している 24。
- Nielsen Digital: 日本国内のウェブサイトやアプリのオーディエンス測定データ(利用者数、利用時間など)を提供。「デジタルコンテンツ視聴率」としてMonthly Totalレポートなどを公表している 76。
- MM総研 (MMRI): 日本の調査会社。携帯電話の利用料金やサービス利用実態に関する調査を定期的に実施しており、その中でスマートフォンやタブレットの利用時間に関するデータも収集・発表している 80。
- VALUES (eMark+): 日本国内の大規模なモニターパネル(約20万人)の行動ログデータを活用し、ウェブサイトのアクセス状況、ユーザー属性、検索キーワード、滞在時間などの分析サービスを提供している 84。
- NetMarketShare, W3Counter, Wikimedia: StatCounterと同様にブラウザ市場シェアデータを提供しているが、収集・集計方法が異なるため、数値に差異が見られることがある 3。
10.1. データ収集方法の多様性と解釈
これらのデータ提供元は、それぞれ異なる手法を用いて情報を収集・分析している。StatCounterのようなサイト中心のトラッキングは、参加サイトへのアクセス数(ヒット数)を基にするため、必ずしも全インターネット利用者の時間配分やユニークユーザー数を正確に反映するとは限らない。また、参加サイトの偏りが結果に影響する可能性もある 3。GWIや総務省のような調査は、自己申告に基づくため回答者の記憶違いなどのバイアスがかかる可能性があるが、利用者の属性情報や利用目的といった詳細な情報を得られる利点がある 55。VALUESやNielsenのようなパネルベースのログ分析は、実際の行動を捉えられるが、パネルの代表性や、全てのトラフィックやデバイスを網羅できないといった限界も存在する。SimilarWebはこれらを組み合わせたハイブリッドなアプローチを取っている。
各手法にはそれぞれ長所と短所があり、単一のデータソースに依存すると、不完全または偏った理解に至る可能性がある。したがって、利用可能な場合は複数の異なる手法に基づくデータを比較検討(三角測量)し、それぞれのデータの限界を認識した上で解釈することが、より正確で頑健な洞察を得るために重要である。例えば、StatCounterはリアルタイムに近い市場シェアトレンドを把握するのに優れている一方、総務省調査は日本における自己申告ベースの利用時間や活動内容に関する権威あるデータを提供する。目的に応じて最適なデータソースを選択し、その特性を理解して活用することが求められる。
11. 戦略的洞察と結論
本レポートで分析したウェブブラウザおよびインターネット利用に関する統計データは、デジタル戦略を策定する上で多くの重要な示唆を与えている。
11.1. 主要な分析結果の要約
分析を通じて、以下の点が明らかになった。第一に、Google Chromeは依然としてグローバルブラウザ市場の支配者であるが、プラットフォームや地域によってその優位性の度合いは異なる。第二に、日本市場は、特にモバイルにおいてSafariがChromeと激しく競合するという、世界的に見て特異な構造を持っている。第三に、デスクトップとモバイルでは利用パターンが大きく異なり、モバイル利用時間の大部分はブラウザではなくアプリ内で費やされている。第四に、インターネット利用時間は世界的に増加傾向にあるが、その伸びは動画視聴とソーシャルメディア利用によって牽引されており、特にモバイルデバイスが中心となっている。第五に、日本の平均インターネット利用時間は世界平均より大幅に短いが、モバイルへの依存度は高く、世代間の利用格差が大きい。
11.2. アプリ戦略の必要性
モバイルデバイスにおける利用時間の圧倒的大部分(約90%)がネイティブアプリ内で費やされているという事実は 50、モバイル戦略におけるアプリの重要性を強調している。特にEコマース、メディア、ソーシャルネットワーキング、ゲームといった分野で、深いユーザーエンゲージメント、高いコンバージョン率、ブランドロイヤリティの向上を目指す企業にとって、最適化されたモバイルウェブサイトの提供だけでは不十分であり、ネイティブアプリへの投資が不可欠である。アプリは、プッシュ通知による再エンゲージメント、デバイス機能の活用、オフラインアクセス、より快適なユーザー体験といった、ウェブサイトにはない利点を提供する 49。モバイルブラウザのシェア統計だけを追うのではなく、アプリを含めたモバイルエコシステム全体を視野に入れた戦略が求められる。
11.3. ウェブ開発とテストへの示唆
ブラウザシェアのデータは、ウェブ開発とテストの優先順位付けに直接的な影響を与える。グローバル市場向けにはChromeへの対応が最優先となるが、クロスブラウザ互換性の確保は依然として重要である。日本市場においては、モバイル向け開発ではSafariをChromeと同等の最重要ターゲットとして扱う必要がある 9。また、日本のデスクトップ市場ではEdgeのシェアがグローバル平均より高いため、Edgeでのテストと最適化の重要度が増す 8。レスポンシブデザインは当然の前提であるが、各プラットフォームと主要ブラウザの組み合わせにおける最適な表示と動作を確認することが不可欠である。
11.4. デジタルマーケティングとコンテンツ戦略への示唆
利用時間と利用目的のデータは、マーケティング戦略とコンテンツ戦略の方向性を示す。グローバルキャンペーンではChromeユーザーを意識した広範なリーチが基本となるが、日本市場ではモバイルにおけるSafariとChromeの両ユーザーを効果的に捉える戦略が必要となる。日本の平均利用時間が短いことは、ユーザーの注意を引きつけ、短時間で価値を伝えられるような、簡潔でインパクトのあるコンテンツや効率的なユーザージャーニーの設計が重要であることを示唆している。ユーザーが多くの時間を費やしている動画やソーシャルメディアといった活動 33 は、コンテンツフォーマットや配信チャネル選定における重要な考慮事項となる。特に日本の若年層をターゲットとする場合は、これらのプラットフォームの活用が不可欠である。さらに、日本における顕著な世代間格差は、ターゲットとする年齢層に応じたメッセージ、コンテンツ、チャネルの使い分け(エイジ・セグメンテーション)が極めて重要であることを示している 33。
11.5. 今後の展望
ブラウザ市場とインターネット利用動向は、今後も変化を続けると考えられる。日本においてChromeはモバイルでのシェアをさらに拡大し、Safariとの競争は新たな局面を迎えるだろうか?世界的なインターネット利用時間は、飽和点を迎えるのか、あるいは新たな技術やサービスによって再び増加に転じるのか?AIアシスタント、VR/ARといった新しいインターフェースは、従来のブラウザやアプリ中心の利用パターンをどのように変えていくのか?これらの問いに答えるためには、StatCounterや総務省調査といった信頼できるデータソースを継続的に監視し、変化の兆候を捉えていく必要がある。
11.6. 結論
ウェブブラウザとインターネットの利用統計を理解することは、急速に進化するデジタル環境を航海するための羅針盤となる。本レポートで明らかになったように、グローバルなトレンドを把握すると同時に、日本市場の持つ独自の特性(特にモバイルにおけるSafariの強さ、世代間の利用格差、全体的な利用時間の短さ)を深く理解することが、効果的なデジタル戦略を立案・実行する上で不可欠である。さらに、モバイル利用時間の大部分がアプリ内で費やされているという現実は、今後のモバイル戦略においてアプリが果たすべき役割の重要性を強く示唆している。これらのデータに基づいた洞察を活用し、変化に対応していくことが、今後の成功の鍵となるだろう。
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