ウェブブラウザ市場シェア分析レポート:世界および日本市場の動向

1. はじめに

本レポートは、世界全体および日本国内におけるウェブブラウザの市場シェアに関する最新の統計データ(2025年3月時点)を分析し、プラットフォーム別(デスクトップ、モバイル、タブレット)のシェア、過去数年間の推移、主要なトレンド、そしてデータソースの信頼性について考察するものです。

Google Chromeが依然として世界市場で圧倒的なシェアを維持していますが、AppleのSafariも特にモバイル分野で強力な地位を占めています。Microsoft Edgeはデスクトップ市場で存在感を増しており、Firefoxも一定のユーザーベースを保持しています。

特に注目すべきは日本市場であり、世界的な傾向とは異なる特徴が見られます。モバイル市場ではSafariとChromeが熾烈な競争を繰り広げ、デスクトップ市場ではEdgeが世界平均よりも高いシェアを獲得しています。本レポートでは、これらの動向を詳細なデータと共に分析し、市場の現状と将来の展望を探ります。

2. 世界のブラウザ市場ランドスケープ

2.1. 全体的な市場シェア(全プラットフォーム、2025年3月)

2025年3月時点のStatCounterのデータによると、世界全体のウェブブラウザ市場(全プラットフォーム合計)では、Google Chromeが66.16%という圧倒的なシェアを維持しています 1。これは、過去数年間にわたり64%前後で推移してきたChromeの優位性が継続していることを示しています 2

AppleのSafariは17.62%で2位を維持しており、特にApple製デバイスの普及率が高い地域での強さを示しています。Microsoft Edgeは5.17%で3位、Firefoxは2.52%で4位となっています。その他、Samsung Internet (2.22%) やOpera (2.14%) などが続いています 1

表1:世界のブラウザ市場シェア(全プラットフォーム、2025年3月)

ブラウザ市場シェア (%)
Chrome66.16
Safari17.62
Edge5.17
Firefox2.52
Samsung Internet2.22
Opera2.14
その他4.17

出典: StatCounter Global Stats 1

2.2. デスクトップ市場シェア分析(最新データとトレンド)

デスクトップ環境に限定すると、ブラウザのシェア構成は全体とは異なる様相を呈します。2025年3月のデータでは、Chromeが依然として65.72%と首位ですが、Microsoft Edgeが13.35%で2位となり、全プラットフォーム合計のシェア(5.17%)と比較して大幅に高いシェアを獲得しています 1。これは、EdgeがWindows OSとの統合性を背景に、特に企業環境などで広く利用されていることを示唆しています 3

Safariは8.24%で3位であり、これは主にmacOSユーザーによる利用を反映しています 4。Firefoxは6.03%で4位、Operaは2.91%となっています 1

表2:世界のデスクトップブラウザ市場シェア(2025年3月)

ブラウザ市場シェア (%)
Chrome65.72
Edge13.35
Safari8.24
Firefox6.03
Opera2.91
その他3.75

出典: StatCounter Global Stats 1

歴史的には、Internet Explorer (IE) が市場を支配していましたが、そのシェアは急速に低下し、Edgeに置き換えられました 4。Edgeは、特にChromiumエンジンを採用して以降、互換性とパフォーマンスが向上し、シェアを伸ばしてきました 4。このChromiumへの移行は、EdgeがFirefoxをデスクトップ市場で上回り、Chromeに次ぐ地位を確立する上で重要な要因となったと考えられます。結果として、デスクトップ市場ではChromiumベースのブラウザ(ChromeとEdge)が支配的な地位を占める状況が生まれています 1

2.3. モバイル市場シェア分析(最新データとトレンド)

モバイルプラットフォームは、ウェブトラフィックの大部分(一説には60%以上 5)を占める重要な市場です。2025年3月のデータによると、モバイル市場ではChromeが66.9%と、デスクトップ市場以上に圧倒的なシェアを誇っています 1。これは、世界的に普及しているAndroid OSの標準ブラウザであることが大きく影響しています。

Safariは22.71%で2位であり、これはiOSデバイスのシェアを反映したものです 8。Samsung Internetは3.57%で3位に入っており、Samsung製デバイスへのバンドルが主な要因と考えられます 5。Opera (1.73%) やUC Browser (1.33%) は、特定の地域で比較的人気があります 2。Android標準ブラウザ(AOSP版など)も1.33%のシェアを持っています 1

表3:世界のモバイルブラウザ市場シェア(2025年3月)

ブラウザ市場シェア (%)
Chrome66.90
Safari22.71
Samsung Internet3.57
Opera1.73
UC Browser1.33
Android1.33
その他2.43

出典: StatCounter Global Stats 1

モバイル市場の分析において見過ごせないのが、アプリ内ブラウザの存在です。Cloudflareのレポートによると、FacebookやInstagramなどのアプリ内ブラウザ経由でのウェブアクセスが、特にAndroidプラットフォームにおいてかなりの割合(例:オーストラリアのAndroid市場で15%以上)を占めていることが示唆されています 10。これらのトラフィックは、従来のブラウザシェア統計では完全には捉えきれていない可能性があり、実際のウェブコンテンツ消費は、専用ブラウザアプリ以外でも相当量発生していることを示唆しています。これは、ウェブ開発やユーザー行動分析において考慮すべき点です。

2.4. タブレット市場シェア分析(最新データとトレンド)

タブレット市場では、長らくiPadの優位性からSafariが高いシェアを維持してきましたが、近年状況が変化しています。2025年3月のデータでは、Chromeが49.65%で首位となり、Safari (30.71%) を大きく引き離しています 1。これは、Androidタブレットの普及と、iPadユーザーの間でもChromeを選択する動きが広がっていることを反映していると考えられます 2

Android標準ブラウザ(AOSP版やWebViewコンポーネントを含む可能性 2)も16.37%と比較的存在感のあるシェアを占めています。Edge (1.07%) やOpera (0.97%) のシェアは限定的です 1

表4:世界のタブレットブラウザ市場シェア(2025年3月)

ブラウザ市場シェア (%)
Chrome49.65
Safari30.71
Android16.37
Edge1.07
Opera0.97
その他1.23

出典: StatCounter Global Stats 1

タブレット市場におけるSafariからChromeへのシェア移行は、単にブラウザの選択だけでなく、OSプラットフォームの勢力変化を映し出している側面があります。初期のタブレット市場はiPad中心でしたが、その後Androidタブレットの種類が増え、市場での存在感を増してきました。ChromeはAndroidとiPadOSの両方で利用可能であり、そのクロスプラットフォーム性やGoogleエコシステムとの連携を好むユーザーが増えた結果、たとえAppleのエコシステム内であってもChromeが選ばれるケースが増え、世界的なタブレット市場での首位交代につながったと考えられます 1

2.5. 過去のトレンドと主要な変化(過去1~5年)

過去数年間のブラウザ市場を振り返ると、いくつかの重要な変化が見られます。

  • Chromeの持続的な支配: Chromeは長年にわたり世界シェア60%以上を維持し、市場のリーダーであり続けています 2
  • IEの終焉: Internet Explorerのシェアは劇的に減少し、事実上Microsoft Edgeに置き換えられました。現在、IEのシェアは無視できるレベルです 4
  • Edgeの台頭: 特にChromiumベースへの移行後、Edgeは着実にシェアを伸ばし、世界的に見てデスクトップ市場でSafariやFirefoxを上回る2番手、全体でも3番手の地位を確立しました 1
  • Safariの安定性: Appleのエコシステム、特にモバイルとタブレットに支えられ、全体として2位の座を堅守しています。シェアに変動はあるものの、安定した地位を保っています 2
  • Firefoxのポジション: 比較的小規模ながらも重要なシェアを維持しており、プラットフォームやデータソースによって3位から5位の間で変動しています 2
  • モバイルへのシフト: インターネット利用全体がモバイルデバイスへと移行する傾向が続いており、これがブラウザ市場全体の構成にも影響を与えています 6

3. 日本のブラウザ市場ランドスケープ

3.1. 全体的な市場シェア(全プラットフォーム、2025年3月)

日本市場に目を向けると、世界全体の傾向とは異なる特徴が見られます。2025年3月時点の全プラットフォーム合計シェアでは、Chromeが57.27%で首位ですが、世界平均 (66.16%) と比較するとやや低い水準です 13

一方、Safariは25.08%と、世界平均 (17.62%) よりもかなり高いシェアを占めています。これは、日本におけるiPhoneの高い人気を反映しています。Edgeも10.26%と、世界平均 (5.17%) の約2倍のシェアを獲得しており、日本市場での存在感の大きさを示しています。Firefoxは3.46%で4位です 13。これら上位3ブラウザ(Chrome, Safari, Edge)で、日本市場全体の約93%を占めています 14

表5:日本のブラウザ市場シェア(全プラットフォーム、2025年3月)

ブラウザ市場シェア (%)
Chrome57.27
Safari25.08
Edge10.26
Firefox3.46
Samsung Internet0.90
Opera0.58
その他2.45

出典: StatCounter Global Stats 13

3.2. デスクトップ市場シェア分析(最新データとトレンド)

日本のデスクトップ市場では、Chromeが67.25%(2025年3月)と、世界平均と同様に圧倒的なシェアを誇ります 13。しかし、2位以下の構成は世界と大きく異なります。

Microsoft Edgeが18.51%と非常に高いシェアを維持しており、世界平均のデスクトップシェア (13.35%) を大きく上回っています 1。過去のデータを見ても、Edgeは日本において20%前後のシェアを安定して維持してきました 12。Firefoxは5.72%、Safariは5.38%と続いており、FirefoxがSafariを僅かに上回る状況です 13

表6:日本のデスクトップブラウザ市場シェア(2025年3月)

ブラウザ市場シェア (%)
Chrome67.25
Edge18.51
Firefox5.72
Safari5.38
Opera0.81
その他1.33

出典: StatCounter Global Stats 13

日本におけるEdgeのデスクトップシェアの高さは、特筆すべき点です。世界的にWindowsがビジネス環境で広く使われていることを考慮すると 4、日本においても企業でのWindows利用率が高く、その標準ブラウザであるEdgeが組織的に導入・利用されている可能性が考えられます。これが、世界平均と比較して日本でEdgeのシェアが高い一因となっている可能性があります 1

3.3. モバイル市場シェア分析(最新データとトレンド – Chrome/Safariの動向に注目)

日本のモバイルブラウザ市場は、世界で最も特徴的な市場の一つです。世界市場ではChromeが60%以上のシェアで独走していますが、日本では様相が全く異なります 1

2025年3月のデータでは、Safariが47.51%、Chromeが46.22%と、両者が極めて僅差でシェアを分け合っています 13。この2つのブラウザだけで、日本のモバイル市場の93%以上を占めています 13。この状況は、日本におけるiPhone(iOS)の非常に高い普及率に起因しています 14

表7:日本のモバイルブラウザ市場シェア(2025年3月)

ブラウザ市場シェア (%)
Safari47.51
Chrome46.22
Samsung Internet2.00
Edge1.06
Firefox0.98
UC Browser0.58
その他1.65

出典: StatCounter Global Stats 13

このセグメントのトレンドは非常にダイナミックです。過去にはSafariが60%を超える圧倒的なシェアを誇っていましたが 14、近年Chromeが急速にシェアを伸ばしました。その結果、2024年末から2025年初頭にかけて、一時的にChromeがSafariを逆転する場面も見られました 12。しかし、2025年3月には再びSafariが僅差ながら首位に返り咲いています 13

この激しい競争の背景には、いくつかの要因が考えられます。第一に、日本国内でのOSシェアの変化が挙げられます。過去1年でiOSのシェアが減少し、Androidのシェアが増加したとの報告があり、これがSafariの基盤を揺るがし、Chromeを後押しした可能性があります 15。第二に、ユーザー行動の変化です。iPhoneユーザーであっても、Googleエコシステムとの連携やクロスプラットフォームでの利便性を求めて、標準のSafariではなくChromeを積極的に利用する人が増えていると指摘されています 12。将来的には、生成AIを活用した検索機能などがChromeに統合されることで、さらにiPhoneユーザーのChrome利用が促進される可能性も示唆されています 12。また、新型iPhoneの発売サイクルが一時的にSafariの利用率を押し上げる可能性も考えられます 17

日本のモバイル市場におけるSafariとChromeの激しい競争は、示唆に富むケーススタディと言えます。強力な標準ブラウザ(iOSにおけるSafari)が存在する市場であっても、対抗するOS(Android)がある程度のシェアを持ち、かつ代替ブラウザ(Chrome)がクロスプラットフォーム機能やエコシステム連携といった点で魅力的な価値を提供できれば、ユーザーは標準ブラウザから乗り換える可能性があることを示しています。このダイナミズムは、Androidのシェアがより大きい世界市場では見えにくい現象です 12

3.4. タブレット市場シェア分析(最新データとトレンド)

日本のタブレット市場では、モバイル市場とは異なり、世界的なトレンドに近い動きが見られます。2025年3月時点で、Chromeが46.03%で首位、Safariが39.49%で2位となっています 13。Android標準ブラウザも12.07%と一定のシェアを確保しています。

表8:日本のタブレットブラウザ市場シェア(2025年3月)

ブラウザ市場シェア (%)
Chrome46.03
Safari39.49
Android12.07
Edge1.31
Opera0.57
その他0.53

出典: StatCounter Global Stats 13

過去には、iPadの人気を背景にSafariが圧倒的なシェア(2018年7月時点で76% 18)を誇っていましたが、その後シェアは継続的に低下しています。一方、Chromeは着実にシェアを伸ばし、2024年中頃にはSafariを抜いて首位に立ちました 17。この傾向は、世界市場でのタブレットブラウザシェアの推移と一致しています 17

日本のタブレット市場が、モバイル市場のような独自の競争環境ではなく、世界的なパターン(Safariのシェア低下とChromeの台頭)に追随していることは興味深い点です。これは、世界的なタブレット市場の変化要因(例:Androidタブレットの多様化、Chromeのクロスプラットフォームでの魅力)が、日本市場においてもiPad/Safariの初期の強い影響力を上回って作用していることを示唆しています。つまり、日本のタブレット利用パターンは、モバイルとは異なり、世界標準に収斂しつつあると考えられます 13

3.5. 過去のトレンドと主要な変化(過去1~5年)

日本のブラウザ市場における過去数年間の主な変化をまとめると以下のようになります。

  • デスクトップ: Chromeの支配が継続する中、Edgeが世界平均よりも高いシェアで2位を維持し、Firefoxも健闘しています。IEはほぼ姿を消しました。
  • モバイル: 最大の変化は、長らく続いたSafariの独走状態が終わり、Chromeとの激しい競争状態に入ったことです。OSシェアの変化やユーザーの選択がこのダイナミズムを生んでいます。
  • タブレット: かつて圧倒的だったSafariのシェアが大幅に低下し、世界的なトレンドと同様にChromeがリーダーとなりました。

全体として、日本のブラウザ市場は、Chromeの台頭やIEの衰退といった世界的な潮流の影響を受けつつも、iPhoneの高い普及率に起因する独特のモバイル市場の競争環境や、デスクトップにおけるEdgeの強さといった、日本固有の要因によって特徴づけられています 12

4. データソースと分析手法の分析

4.1. 主要なデータ提供元の概要

ブラウザ市場シェアのデータは、いくつかの主要な分析サービスによって提供されています。

  • StatCounter: 本レポートで主に参照しているソースであり、世界中の150万以上のウェブサイトに設置されたトラッキングコードから、毎月数十億のページビューを分析しています 21。グローバル、地域別、プラットフォーム別のデータを頻繁に更新しており、多くの情報源で信頼できるソースとして引用されています 1
  • NetMarketShare: かつては主要な情報源の一つでしたが、2020年後半にサービスを終了しました 24。ユニークビジター数と国別の重み付けを用いていました 6。現在は過去のデータ参照にのみ有用です。
  • W3Counter: 別のデータソースであり、約8万サイトから直近15,000ページビューをサンプリングする手法を用いています 6。トレンドチャートなども提供しています 7
  • Cloudflare: 比較的新しい情報源で、同社の広大なネットワークを通過するトラフィックを分析しています 10。User-Agent文字列やClient Hintsを利用し、直接的なリクエストを分析するため、一部のブロッキング技術の影響を受けにくい可能性があります。アプリ内ブラウザの分析も行っています 10
  • Wikimedia: WikipediaなどのWikimedia財団のサイトへのアクセスに基づいたデータです 6。大規模なユーザーベースを反映しますが、インターネット全体の利用状況を代表するとは限りません。

4.2. 分析手法の比較

各データソースは、異なる手法で市場シェアを測定しており、これが結果の違いを生む要因となります。

  • 測定基準: StatCounterはヒット数(ページビュー)を基準にしています 6。NetMarketShareはユニークビジター数を基準としていました 6。W3Counterはページビュー(サンプリング)を使用します 6。Cloudflareはリクエストヘッダーを分析します 10。一般的に、市場シェアは実際のブラウザ「利用状況」を反映するものとされています 26
  • 重み付け: NetMarketShareは国別の重み付けを行っていましたが 6、StatCounterは人工的な重み付けを行わないことを明言しています 6。W3CounterやCloudflareの手法説明では、重み付けに関する言及は見られません 6
  • サンプリング: StatCounterは150万以上のサイトからの数十億ヒットに基づきます 21。NetMarketShareは約4万サイト、月間約1.6億ユニークビジターでした 6。W3Counterは約8万サイトから各15,000ページビューをサンプリングします 6。Cloudflareは自社ネットワークを通過するサイトのトラフィックを利用します 10
  • 調整と精度: StatCounterはボットトラフィックの除去やChromeのプリレンダリングに対する調整を試みています 21。ボット、キャッシュ、広告ブロッカーなどは、すべての手法にある程度の影響を与える可能性があります 6。Cloudflareの直接リクエスト分析は、クライアント側のブロッキングの影響を受けにくい可能性があります 10

表9:データソースの分析手法比較

データソース主要な測定基準重み付けサンプルベース主な特徴・限界
StatCounterヒット/ページビューなし150万+サイト、数十億ヒット/月生のトラフィックパターン、地域別偏りの可能性、頻繁な更新
NetMarketShare (過去)ユニークビジター国別約4万サイト、約1.6億ユニークビジター/月ユーザーシェアに近い指標を目指す、トラッキング限界、サービス終了
W3Counterページビュー(上限あり)不明約8万サイト、各サイト直近15,000PV大規模サイトの影響を制限、中小サイトのパターンを反映しやすい可能性
Cloudflareリクエストヘッダー不明Cloudflareネットワーク上のサイトトラフィック大規模、直接リクエスト分析、アプリ内ブラウザ追跡可能、Cloudflare利用サイトへの偏り

出典: 6 に基づく合成

4.3. データ解釈への影響

分析手法の違いは、データの解釈に以下の影響を与えます。

  • 数値の差異: 手法の違い(ヒット対ユニーク、重み付けの有無、サンプル構成)により、ソース間で報告されるパーセンテージが異なるのは自然なことです 6。これは必ずしもどちらかのソースが間違っていることを意味するのではなく、測定方法の違いを反映しています。
  • 各手法の特性:
  • StatCounter(ヒットベース): セッションあたりのリクエスト数が多いブラウザがやや有利になる可能性があります。重み付けがないため、インターネット人口比とは異なる地域構成のトラフィックを反映する可能性があります 6
  • W3Counter(上限付きPV): 巨大サイトの影響を抑えるため、中小規模サイトの利用傾向をより強く反映する可能性があります 6
  • Cloudflare(ネットワークトラフィック): 大規模なデータを提供しますが、Cloudflareを利用するサイト(技術志向やセキュリティ意識の高いサイトが多い可能性)に偏る可能性があります。アプリ内ブラウザのデータは独自の価値を持ちます 10
  • 信頼性と文脈: StatCounterは頻繁に更新され、手法の透明性も比較的高いため、現状のシェアやトレンドを把握する上で強力な情報源です 21。Cloudflareは現代的な視点を提供する貴重な代替ソースです。しかし、「完璧な」単一のソースは存在しません。各ソースの手法を理解し、可能であれば複数のソースで傾向を確認することが重要です 23
  • 市場シェアの意味: 市場シェアは、特定のサンプルにおけるブラウザの「利用率」を示すものであり、インストール数や絶対的なユーザー数ではありません 26。対象ユーザー層、地域、デバイスの種類などが結果に大きく影響します 26。個々のウェブサイトにとっては、自身のアクセス解析データが最も重要です 23

結局のところ、単一の数値に固執するのではなく、手法の違いを認識し、複数の情報源から一貫した傾向を探ることが、より堅牢な理解につながります。分析者は、データの背後にある「なぜ」を理解し、不確実性を認めつつ、最も確からしい状況を報告する役割を担います 6

5. 結論

本レポートの分析から、以下の点が明らかになりました。

  • Chromeの揺るぎない地位: Google Chromeは、世界市場および日本市場全体において、依然として支配的なウェブブラウザです。そのシェアはデスクトップ、モバイル、タブレットの各プラットフォームで高い水準を維持しています。
  • Safariの重要性: AppleのSafariは、特にiOSデバイスの普及率が高い市場(日本を含む)のモバイルおよびタブレット分野でChromeに次ぐ、あるいは匹敵する重要な地位を占めています。
  • Edgeの成長と特性: Microsoft Edgeは、特にデスクトップ市場で着実な成長を遂げ、世界的に3位、日本では2位の座を確立しました。日本におけるデスクトップシェアの高さは注目に値します。
  • プラットフォームによる差異: ブラウザの市場シェアは、デスクトップ、モバイル、タブレットで大きく異なります。モバイル利用の増加に伴い、モバイルプラットフォームの動向が市場全体に与える影響は増大しています。
  • 日本市場の独自性: 日本市場は、世界的なトレンドと共通する部分(Chromeの全体的な優位性、Edgeのデスクトップでの強さ、タブレットでのChromeの台頭)と、独自の部分(モバイル市場でのSafariとChromeの熾烈な競争)を併せ持っています。
  • データ解釈の留意点: 市場シェアデータは、測定手法(ヒット数 vs ユニークビジター数、重み付けの有無、サンプリング方法など)によって変動します。複数の情報源を参照し、その手法を理解した上で傾向を読み取ることが重要です。市場シェアは「利用率」を反映するものであり、様々な要因の影響を受けます。

今後の展望:

今後、ブラウザ市場はいくつかの要因によって変化していく可能性があります。Edgeがデスクトップでの地位をさらに強化できるか、Firefoxがプライバシー意識の高まりなどを背景に存在感を維持・拡大できるか注目されます。日本のモバイル市場におけるSafariとChromeの競争が今後どのように推移するかは、OSのシェア変動やユーザーの選択、新機能(AI統合など 12)の導入によって左右されるでしょう。プライバシーを重視するBraveのようなブラウザ 4 が、ニッチながらも影響力を増す可能性もあります。根本的には、iOSとAndroidという二大モバイルOS間の競争が、今後もモバイルブラウザのシェア動向に大きな影響を与え続けると考えられます。

引用文献

  1. Browser Market Share Worldwide | Statcounter Global Stats, https://gs.statcounter.com/browser-market-share
  2. Browser Market Share Of 2025 (Different Regions & Devices) – Yaguara, https://www.yaguara.co/browser-market-share/
  3. Browser Market Share Statistic 2025 (Global Data) – Demand Sage, https://www.demandsage.com/browser-market-share/
  4. Global Desktop Browser Market Share – Kinsta, https://kinsta.com/browser-market-share/
  5. Understanding Browser Market Share: Which browsers to test on in 2024 | BrowserStack, https://www.browserstack.com/guide/understanding-browser-market-share
  6. Usage share of web browsers – Wikipedia, https://en.wikipedia.org/wiki/Usage_share_of_web_browsers
  7. Web Browser Market Share Trends – W3Counter, https://www.w3counter.com/trends
  8. Web Browser Market Share In 2025: 85+ Browser Usage Statistics – Backlinko, https://backlinko.com/browser-market-share
  9. Key Browser Statistics in 2024 – LambdaTest, https://www.lambdatest.com/blog/key-browser-statistics/
  10. Chrome dominates Q4 2024 browser market with 64.7% share – PPC Land, https://ppc.land/chrome-dominates-q4-2024-browser-market-with-64-7-share/
  11. Chrome dominates with 63% market share, Safari trails at 17% – PPC Land, https://ppc.land/chrome-dominates-with-63-market-share-safari-trails-at-17/
  12. 【2024年12月版】世界・日本におけるブラウザシェア率ランキング …, https://www.qbook.jp/column/1630.html
  13. Browser Market Share Japan | Statcounter Global Stats, https://gs.statcounter.com/browser-market-share/all/japan
  14. 【2022年12月】PC・モバイルWEBブラウザシェアランキング(日本&グローバル) – Deha magazine, https://deha.co.jp/magazine/browserrank-202212/
  15. 世界のブラウザシェアランキング【2025年1月最新版】, https://www.arc-c.jp/web/blog/250205/
  16. WEB制作関連の各部門シェア調査:内製グラフのチャットAIによる分析結果と問い合わせ結果 – 第010回(2025年02月までの年間データ) – Webサイトつくり隊, https://wscc-shane.com/wp/?p=1134
  17. 【2025年3月】日本・世界のWebブラウザシェア率のランキングと …, https://ohdo.at21.jp/web/browser-market-share/
  18. ブラウザのシェアを素早く調査できる StatCounter – WebNexty, https://webnexty.com/statcounter/
  19. 【2024年12月】日本とグローバルのWEBブラウザシェアランキング(PC・モバイル) – SHIFT ASIA, https://shiftasia.com/ja/column/2024%E5%B9%B412%E6%9C%88web%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%82%B6%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%82%A2/
  20. ウェブブラウザ 日本でのシェア1位は?, https://seopack.jp/seoblog/20160522-browsers-jp/
  21. FAQ | Statcounter Global Stats, https://gs.statcounter.com/faq
  22. Browser Version Market Share Worldwide | Statcounter Global Stats, https://gs.statcounter.com/browser-version-market-share
  23. What is the best browser market share data source? – Webmasters Stack Exchange, https://webmasters.stackexchange.com/questions/587/what-is-the-best-browser-market-share-data-source
  24. NetMarketShare: Market share for mobile, browsers, operating systems and search engines, https://netmarketshare.com/
  25. Global Web Stats – W3Counter, https://www.w3counter.com/globalstats.php
  26. How Browser Market Share is Calculated — SitePoint, https://www.sitepoint.com/how-browser-market-share-is-calculated/
  27. Why doesn’t Brave Market Share show up on market share tracking sites?, https://community.brave.com/t/why-doesnt-brave-market-share-show-up-on-market-share-tracking-sites/75063