マーケティングに役立つプロンプトをケーススタディ形式で紹介

以下では、マーケティング業務を大きくブレイクダウンしながら、それぞれの工程でどのような視点・タスクが発生するかを整理します。その後、各フェーズで実際に使える「プロンプト事例」をケーススタディ形式で紹介します。


マーケティング業務のブレイクダウン

マーケティングと一言でいっても、その内容は多岐にわたります。ここでは、主な流れを以下のステップに分解して概観します。

  1. 市場調査(Market Research)
    • 競合分析
    • ターゲット顧客のニーズ/行動/課題の把握
    • マクロ環境分析(PESTELなど)
    • 市場規模の推定 など
  2. マーケティング戦略の設計
    • セグメンテーション(セグメント分割)
    • ターゲティング(優先ターゲット選定)
    • ポジショニング(差別化ポイント・ブランドストーリー策定)
    • マーケティングミックス(4P/4C/7Pなど) など
  3. ブランド構築・コミュニケーション施策
    • ブランドアイデンティティの明確化(ミッション、ビジョン、バリュー)
    • メッセージ開発
    • 広告・PR・SNS・コンテンツマーケティング
    • クリエイティブ開発(デザイン、コピーライティング) など
  4. 実行および施策展開
    • SNS運用(各チャンネルでの投稿計画)
    • 広告運用(Google Ads、Facebook/Instagram Adsなど)
    • メールマーケティング(メールマガジン、ステップメール)
    • イベント・セミナー開催
    • オウンドメディアの運営 など
  5. 効果測定と改善
    • KPI/KGIの設定・モニタリング
    • 分析(アクセス解析、広告効果測定、CRM分析など)
    • PDCAサイクルを回し、施策の最適化
    • A/Bテスト など

ケーススタディ形式のプロンプト例

以下では、上記の各フェーズにおいて、ChatGPT等のAIを活用するときに役立つ具体的なプロンプト例を示します。それぞれ、仮想の企業や目的を設定し、「こういったケースで、こう使う」という流れをご紹介します。

ケース1:市場調査(Market Research)

シナリオ例

  • 新しいD2Cスキンケアブランドを立ち上げたいスタートアップ
  • ターゲットは20代後半~30代前半の都市部在住女性
  • 競合多数、差別化ポイントを探索したい

課題・タスク

  • 競合商品や市場動向をリサーチし、差別化できる要素を見つけたい
  • 既存のレポートや公開情報から市場規模を大まかに把握したい

プロンプト例

  1. 「20代後半~30代前半の女性向けスキンケア市場について、主要な競合ブランドとそれぞれの強み・弱みを一覧でまとめてください。特にSNS上での口コミやブランドイメージに関する情報を重視して分析してください。」
  2. 「D2Cスキンケアブランドを立ち上げる場合、市場全体の規模と今後3年間の成長見込みを推定するためのデータソースやレポートを教えてください。英語圏の情報ソースも含めて提案してください。」
  3. 「都市部在住の20代後半~30代前半女性をターゲットとした場合、一般的に想定されるスキンケア上の課題(乾燥、毛穴、エイジングなど)と、その課題を抱えるユーザーが検索エンジンでよく使うキーワードを洗い出してください。」

ケース2:マーケティング戦略の設計

シナリオ例

  • 新規に提供開始するオンライン英会話サービス
  • ターゲットは社会人・主婦層
  • すでに英会話サービスはレッドオーシャンなので、新しい切り口を検討中

課題・タスク

  • 市場セグメントの切り口を整理し、有望なターゲットを特定したい
  • 差別化ポイント(ポジショニング)を言語化し、簡易のマーケティングプランを作りたい

プロンプト例

  1. 「オンライン英会話サービス市場を、『習い始めの初心者層』『ビジネス英語強化層』『旅行や日常会話目的層』『TOEICや試験対策層』などにセグメント分けしました。それぞれの顧客層に対して刺さる価値提案と施策案を考えてください。」
  2. 「同様のオンライン英会話サービスが競合として既に数多くあります。そこで、価格競争以外の差別化ポイントを検討したいです。『講師のバラエティ』や『AIを活用した学習サポート』などの要素から、いくつかユニークなポジショニング案を提案してください。」
  3. 「ターゲットを主婦層とした場合、時間帯や学習形態(自宅で子育てしながら短時間で受講できる、など)を考慮した施策を考えています。主婦層のライフスタイルやペルソナを踏まえて、具体的な販促手段やメッセージを提案してください。」

ケース3:ブランド構築・コミュニケーション施策

シナリオ例

  • 地元産のオーガニック食材を使ったカフェを新規オープンする個人事業主
  • 地域コミュニティとのつながりを強化したい
  • Instagramを中心にSNSマーケティングを展開予定

課題・タスク

  • ブランドアイデンティティやコンセプトの言語化
  • SNS向けのコンテンツアイデア出し
  • 視覚的なテーマやメッセージを整理

プロンプト例

  1. 「オーガニック食材カフェを開業します。地域コミュニティとの連携を重視するコンセプトを伝えるために、ブランドのミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を3行以内でまとめるとしたら、どのように表現できますか?」
  2. 「Instagramでの発信を想定しています。『地域連携』と『オーガニック』をキーワードに、週1回の投稿を半年続ける場合、どのようなテーマやトピックが考えられますか?カレンダー形式で案を出してください。」
  3. 「地元の自然や生産者のストーリーを伝えるために、短い動画コンテンツを作りたいです。30秒以内で、ユーザーの興味を引くストーリーテリングのアイデアを3つほど提案してください。」

ケース4:実行および施策展開

シナリオ例

  • SaaS型の顧客管理システム(CRM)を提供する企業
  • 新機能リリースに合わせてウェビナーを開催し、新規リードを獲得したい
  • すでにある程度のメールリスト・SNSフォロワーは保有している

課題・タスク

  • 新機能の魅力をわかりやすく伝える施策を短期間で立ち上げたい
  • ウェビナーへの集客施策(広告、メール、SNS)を連携させたい

プロンプト例

  1. 「CRMソフトの新機能リリースに合わせて、ウェビナーを実施します。30分で概要とデモを行い、質疑応答を含めて45分で終了する想定です。ウェビナー告知用のSNS投稿文を、Facebook/LinkedIn/Twitter向けにそれぞれ最適化して提案してください。」
  2. 「ウェビナーの告知メールを既存顧客とリード向けに配信したいです。『新機能を使えば〇〇が容易になる』という訴求点を盛り込み、申し込み率を高める件名(Subject)と本文テンプレートを提案してください。」
  3. 「ウェビナー終了後のフォローアップメールやアンケートフォームで回収したい質問項目を考えてください。目的は機能改善や将来の施策のヒントを得ることです。」

ケース5:効果測定と改善

シナリオ例

  • サブスク型のフィットネスアプリを運営する企業
  • 初月無料キャンペーンを実施したが、継続率が低い
  • 解約理由を特定し、プロダクトやコミュニケーションを改善したい

課題・タスク

  • キャンペーン後の継続率低下要因を調査・分析する
  • アンケート設計やA/Bテスト案の検討
  • 分析指標をもとに改善施策を立案

プロンプト例

  1. 「初月無料キャンペーン後の解約率が高い原因を推定したいです。考えられる主な要因を、ユーザー体験・価格・機能不足・競合との比較などの観点でリストアップし、それぞれ対策アイデアを提案してください。」
  2. 「キャンペーン参加者に対して、解約・継続の要因をアンケート調査したいです。回答率を高めるためのアンケートの設計(質問項目や順番、インセンティブなど)を考えてください。」
  3. 「A/Bテストを実施して継続率を改善する方法を探っています。『プッシュ通知の頻度』『ユーザーへのパーソナライズ提案』『アプリ内チュートリアルの長さ』など、複数のテスト案と測定するべきKPIを提案してください。」

まとめ

  1. マーケティング業務は大きく「市場調査 → 戦略設計 → ブランド構築 → 施策実行 → 効果測定と改善」の流れに分解できる。
  2. それぞれの工程で、具体的に何を調べたいのか・何を決めたいのかを明確化し、それを的確にAIへ指示(プロンプト)することで情報やアイデアを効率よく得られる。
  3. 実際のビジネスケースを想定し、プロンプトに「ターゲット」「目的」「課題」を盛り込むと、よりパーソナライズされた回答が得やすい。
  4. AIによる分析・アイデア提供だけでなく、データ分析や計算(特にボリューム推定など)にはコードインタープリターやデータ解析ツールを活用し、客観的な根拠を得ることで戦略に説得力を持たせられる。

これらのプロンプトを参考に、皆さんのビジネスでのマーケティング施策に役立てていただければ幸いです。必要に応じて、さらに具体的な数値分析やアクションプランなどを得る際は、コードインタープリターを用いて実際のデータ解析を行うことで、精度の高いインサイトを得ることができます。