LLM初心者に向けた基本的なプロンプトのワークシート

以下に、LLM(大規模言語モデル)を初めて使う人が「プロンプト」を作成・改善するためのワークシート例を提示します。必要に応じて自分の目的や扱うトピックに合わせて書き加えたり修正して使ってみてください。


1. プロンプトワークシートの全体像

  • 目的/ゴール
    例:「〇〇という課題を解決するためのアイデアを得たい」「業務上のドキュメント作成時間を短縮する」「記事の要約を作りたい」など。
  • 背景/状況
    例:「どのような状況下で使うのか」「対象の読者やユーザーは誰か」など。
  • 具体的リクエスト(初期プロンプト)
    例:「実行したいタスクを端的に書く」「得たい結果をなるべく明確に書く」など。
  • 想定される入力の形式やデータ
    例:「テキスト」「画像」「プログラムコード」「数値」など、どんなデータを入力するか。
  • 出力の形式や期待されるレベル
    例:「短文のサマリー」「Markdown形式で出力」「500文字以内で」「Web記事として読めるレベル」など。
  • 補足情報/制約条件
    例:「文体は丁寧に」「専門用語はできるだけ使わない」「法律や社内規定に則った内容にする」など。
  • 評価方法/次のアクション
    例:「回答のうち不要な要素はどこか」「要約精度をどう測るか」「次にどう改善するか」など。

2. ワークシートのセクションごとのサンプル

以下の項目を参考に、初めてLLMにプロンプトを出す際のワークシートを作りましょう。

A. 目的と背景

項目記入例
目的– 新商品のアイデアを洗い出したい- 社内ドキュメントを短時間で整備するための見出し案を得たい
背景– チームでブレインストーミングする前に、大まかなアイデアを拾う- すでに社内に似たドキュメントがあるが更新が遅れている
対象– 読者:上司や社内メンバー- 形式:社内ポータルで共有

解説: 「目的」を明確にすることで、LLMに期待する回答の質と方向性がブレずに済みます。背景情報を具体的に書くと、モデルが回答の文脈を正しく理解しやすくなります。


B. 初期プロンプト(ベースとなるメッセージ)

項目記入例
最初の問いかけ(骨格)「新商品アイデアのブレインストーミングをしたい。ユーザーが抱えている悩みを洗い出して、それを解決できるようなアイデアをいくつか出してください。」
詳細や制約条件の追加「健康や環境への配慮を重視すること」「低コストで導入できること」「5~10個のアイデアを提示し、可能であればメリット・デメリットも考慮すること」など
表現や語調の指定「専門用語は最小限にし、なるべく平易な日本語で説明」「文体は敬体(です・ます調)」など
やり取りのスタイル/形式の希望「最終的に箇条書きでまとめてください」「それぞれのアイデアに簡潔な説明を付けてください」「2~3行程度のコメントを添えてください」など
追加リクエストまたは参照情報「過去に類似製品があれば、それらとの比較ポイントも教えてください」「参照すべきサイトや文献があればリストに追加してほしい」など

解説: 初期プロンプトはなるべく具体的に、かつ分量も過不足ないようにします。最初に曖昧すぎる注文をすると、答えがぼやけたり無駄に長くなりがちです。


C. 出力に期待する内容

項目記入例
内容の形式– 箇条書き- テーブル形式- 実際の文章形式(300~500文字程度)
内容のレベル– 初心者向けにわかりやすく- 社内の専門家も納得する水準
言語またはスタイル– 日本語で出力- 英語と日本語の対訳- カジュアルな文体か、フォーマルな文体か
参考例(フォーマット)例えば「以下のフォーマットで答えてください」と事前に指定し、1. 見出し2. 内容の説明3. 事例や補足のように段階的にまとめてもらう

解説: LLMに期待する最終的な形やスタイルを指示しておくと、手戻りが少なくなり、後から修正する手間を減らせます。


D. 追加情報/制約・ルール

項目記入例
取り扱う情報の範囲– 特定分野(医療、法律、プライバシーなど)- 社内秘情報を含むかどうか(※機密情報はやり取りに含めないよう注意)
制約条件– 法律や規約上問題ないか- 公序良俗に反しないか- 公開範囲はどうするか
使用言語ソースの指定– 日本語以外の情報も参照してかまわない- ただし出典を明記する、など
注意点– モデルの回答はあくまで参考程度にし、最終的な判断は専門家に確認- AIで生成した文章をそのまま流用しない(誤情報の可能性があるため)

解説: 特に業務用や専門分野で使う場合は、情報漏洩や法的リスクを防ぐために制約事項をきちんと明示しましょう。


E. 回答内容の評価・次アクション

項目記入例
結果の評価ポイント– 提示されたアイデアや情報は妥当か- 過不足はないか- 誤解を生む表現はないか
評価の基準・指標– 提案アイデアの実現性- 専門家によるレビュー- 文章の可読性やわかりやすさ
フィードバックの内容– 「具体例が少ないので増やしてほしい」「一部に誤りがあるので修正を求める」など
次のアクション– プロンプトを再調整して再度問い合わせる- モデルへの指示を追加して精度を上げる- 生成されたアイデアをチームで検証するなど
ログや履歴の保存方法– どのプロンプトでどの回答が得られたか記録し、後から比較できるように- バージョン管理ツールやノートアプリで履歴をとる

解説: モデルから返ってきた回答に対して、「何がよかったか」「どこを直せばいいか」を明確にしながら次回のプロンプトを改善していきましょう。


3. ワークシートを使用した流れの例

  1. 目的と背景を決める
    → 「新しいサービスの特徴をまとめたい」など具体的に。
  2. 初期プロンプトを書く
    → LLMに「どんな情報を、どんな形式で求めているのか」を明確に記述。
  3. 追加の要件/制約を書く
    → 文字数、言語、スタイル、守るべきルールなど。
  4. テスト実行する
    → 実際にプロンプトを投げて回答を得る。
  5. 結果を評価し、必要に応じて修正
    → 回答の質を評価し、足りない部分や不要な部分を再調整してプロンプトを書き直す。
  6. 改善したプロンプトで再度問い合わせる
    → 改善サイクルを回していく。

4. 参考:プロンプト改良の実践ポイント

  • 具体性
    「わかりやすくして」だけでなく、「小学生でもわかるように、例を3つ挙げてください」と指示するように。
  • 制限をつける
    「300文字以内」「箇条書き5項目」「ソースURLを必ず含める」など。
  • 段階的に訊く
    一度にまとめて聞くより、段階を踏んで追加質問・追加要望を伝えると精度が上がりやすい。
  • 失敗例を共有する
    「以前このように書いたが、回答に無関係な内容が多く含まれてしまった」「重要ポイントが回答されなかった」など、学習のために履歴を残す。
  • 実際の使用シーンを想定する
    スマホ画面や会議で表示する際のレイアウト、利用者の情報レベルなどを踏まえた指示にするとより目的に合った回答を得やすい。

5. コードインタープリターと組み合わせた例

前提: 「Code Interpreter(コードインタープリター)」などを使って数値計算・データ解析する場合、具体的に「どんなデータをどう分析してほしいか」を明示します。

使用イメージ例

  1. 目的
    Excelで管理していた売上データ(CSV)をもとに、売上推移を可視化したグラフを作成したい。
  2. 背景
    チームでこれまで売上推移を確認したことがなく、定例会議でわかりやすく見せたい。
  3. 初期プロンプト コードインタープリターを用いて、以下のCSVファイルの月次売上データを読み込み、売上推移を折れ線グラフにして表示してください。縦軸は売上金額、横軸は月別の数字とし、可能であれば対前年比の比較も行ってください。
  4. 追加要件/制約条件
    • グラフの色はモノクロでも分かりやすいように太さを変える。
    • 期間は直近12か月だけを取り出す。
    • さらに出来高トップ3の商品名と月ごとの売上を棒グラフでも表示する。
  5. 期待する出力
    • 折れ線グラフと棒グラフ(それぞれPNG出力やNotebook上で表示)
    • 解説:前年比に関するコメント(上昇率・下降率)

まとめ

  • ワークシートを使うメリット
    • 目的・背景・期待する成果を明確化しやすくなる。
    • 回答を受け取った後の評価と再プロンプトがスムーズになる。
    • LLMが補助ツールとして最適に動くよう誘導しやすくなる。
  • まずはシンプルに始める
    • いきなり完璧なプロンプトを作るのは難しい。
    • 試行錯誤で「どのように書くと欲しい答えが出やすいか」を学ぶプロセスが大切。

上記を参考に、自分のタスクやプロジェクト内容を盛り込みながら、独自の「プロンプトワークシート」を作成してみてください。必要に応じてこのフォーマットを拡張・修正し、継続的にアップデートしていくと、より使いやすいテンプレートに成長していきます。