【目次】
- 事前準備
- インタビュー構成の全体像
- 質問例(詳細)
- 3-1. 導入(起)
- 3-2. 課題・困難(承)
- 3-3. ブレイクスルー(転)
- 3-4. 成果・まとめ(結)
- インタビュー後の整理・編集ポイント
1. 事前準備
1-1. 事前リサーチ
- 被取材者(担当者やチーム)の背景、企業の歴史、取り組みの概要や目的、競合他社の状況などを把握する。
- 技術的要素がある場合は、最低限の専門用語や開発の流れを把握しておく。
- 「なぜこのプロジェクトが必要とされているのか?」という社会的・時代的意義を確認しておく。
1-2. 質問リストの作成
- 以下で紹介する質問をベースに、取材対象のプロジェクト特有の情報を付け加える。
- 導入(起) → 困難(承) → 転機(転) → 成果(結) の流れを踏まえながら、無理なくストーリーを組み立てられるように段取りをチェック。
1-3. インタビュー環境の整備
- 音声や映像の録画機材など、正確に記録するための準備をする。
- 質問に対してじっくり考えてもらえるよう、座りやすい椅子や会議室の確保など、取材場所のセッティングを整える。
2. インタビュー構成の全体像
- 導入(起)
- 【目的】被取材者の自己紹介や背景を引き出し、読者・視聴者が“物語”に入り込めるようにする。
- 【ポイント】プロジェクトの始動背景や社会的意義を軽く触れる。
- 課題・困難(承)
- 【目的】「なぜこの取り組みが難しかったのか」「どんな壁にぶつかったのか」を具体的に示す。
- 【ポイント】リアリティを高めるため、失敗談・苦労話などを具体的に引き出す。
- ブレイクスルー(転)
- 【目的】転機となったアイデアや人間関係、突然のひらめきなど「突破口」を語ってもらう。
- 【ポイント】チームワークや人的ドラマを強調しつつ、技術的・組織的な解決策を明確にする。
- 成果・まとめ(結)
- 【目的】最終的に得られた成果や社会的影響、担当者の感慨などを紹介し、インタビューを結ぶ。
- 【ポイント】読者・視聴者が学びや希望を感じられるよう、メッセージ性を持たせる。
3. 質問例(詳細)
3-1. 導入(起)
- 「まずは自己紹介をお願いします」
- 担当部署・役職、現在の業務内容などを簡単に。
- 補足: プロジェクトの概要や、どのように関わってきたかを話してもらうことで、読者が背景を把握。
- 「このプロジェクトはどういう経緯で始まったのですか?」
- 企業・組織の抱える課題や社会的・時代的背景に触れてもらう。
- 補足: “なぜ今このプロジェクトが必要なのか”を明確にする。
- 「プロジェクトの着手当初、どんな想いや目標を抱いていましたか?」
- 被取材者の個人的な動機、最初の熱意などを引き出す。
- 補足: “人としての想い”を語ってもらうことで、読者が共感しやすくなる。
3-2. 課題・困難(承)
- 「具体的に、最初に直面した大きな壁は何だったのでしょうか?」
- 技術的ハードル、予算・組織の問題、人間関係の軋轢など多角的に。
- 補足: 漠然とした“苦労”ではなく、できるだけエピソードや具体的数字を出してもらう。
- 「社内(あるいは外部)からの反対やプレッシャーはありましたか?」
- 経営側や別部署の反応、社外のステークホルダーとのやりとりなど。
- 補足: コンフリクトや摩擦を描くことで、リアルなドラマ性を高める。
- 「個人的に、一番つらかった(あるいは悩んだ)瞬間はどんなときでしたか?」
- モチベーションが下がった、体調面で苦労した、家族とのエピソードなど、人間味を感じさせる話題を掘り下げる。
- 補足: 担当者の人間性や苦悩を深掘りすることで読者の感情移入を促す。
3-3. ブレイクスルー(転)
- 「課題を乗り越えるにあたって、どういったきっかけやアイデアが生まれたのですか?」
- 何気ない失敗や雑談、社外の知見が手がかりになった…などのエピソードを聞き出す。
- 補足: ドキュメンタリー的には“小さな成功体験”や“偶然の発見”が盛り上がりを作る。
- 「そのアイデアを形にするために、チームや周囲の協力はどう得ましたか?」
- チームワークや他部署との連携、意思決定の過程を具体的に。
- 補足: 誰がどのようにサポートしたかなどを聞くことで、“人と人との物語”が立ち上がる。
- 「実際に突破口が見えたとき、プロジェクトメンバーの雰囲気はどう変わりましたか?」
- モチベーションの変化、成功体験に伴うチームの団結力などを描いてもらう。
- 補足: 感情の起伏を描写することで、物語がよりドラマチックに。
3-4. 成果・まとめ(結)
- 「プロジェクトとして最初の“大きな成果”を得た瞬間は、どのような状況でしたか?」
- 製品の初リリース、テスト成功の瞬間など、具体的なエピソードを聞く。
- 補足: そのときの担当者の気持ちやチームの様子を詳しく語ってもらう。
- 「結果的に、企業や社会にどんな影響・インパクトをもたらしたと感じていますか?」
- 売上・業績面だけでなく、社会的課題の解決やステークホルダーの利益など“広い視点”で尋ねる。
- 補足: “どのように世界を変えたか”を具体的に語ってもらうと、読者に刺さる。
- 「この経験を通じて、学んだことや伝えたいメッセージはありますか?」
- 苦労したからこそ得られた学びや発見、若い世代・読者へのメッセージを最後に引き出す。
- 補足: 未来への展望や今後の計画に触れてもらうことで、“終わり”ではなく“新たな始まり”を予感させる余韻を作る。
4. インタビュー後の整理・編集ポイント
- 発言を整理する際は、“時系列”と“起承転結”を組み合わせる
- 実際の受け答えが前後していても、編集段階で**「課題 → 転機 → 成功 → まとめ」**の流れに再構成するとドキュメンタリー感が出る。
- ドラマ性を高める“キーフレーズ”やエピソードを抜き出す
- 印象的な言葉やエピソード(例: 「あの一言が救いになった」「突然のトラブルが逆にチャンスになった」など)は、見出しやリード文で強調すると効果的。
- 数字や資料、写真を補足して“事実ベース”を確保する
- ドキュメンタリー的演出でも、「これは事実なんだ」という説得力が重要。
- 「売上〇%アップ」「故障率〇%改善」「導入から〇年で〇件の導入実績が…」など具体的事例を意識的に盛り込む。
- 「エピソードの深堀り」が共感を生む
- 大まかな話よりも、「深夜2時にテストで…」「予算ゼロの日々で…」といった**具体的“状況描写”**が記事の説得力を高める。
■ まとめ
本マニュアルの質問項目と進行順序をベースにインタビューを実施することで、ドキュメンタリーさながらのドラマ性と臨場感を備えた取材が可能になります。重要なのは、
- 導入で被取材者やプロジェクトの背景をしっかり把握し、読者の興味を引く
- 困難(課題)を掘り下げ、具体的エピソードで臨場感を生み出す
- 転機(ブレイクスルー)を印象的に描き、担当者のモチベーションやチームワークの物語を浮き彫りにする
- *成果(結)で社会的インパクトやメッセージを示し、感動と学びを提供する
という4ステップをしっかり押さえることです。
最後に、録音データや映像を後から振り返る際には、キラーフレーズや象徴的な場面を見逃さないよう注意し、記事化・動画化の段階でうまく配置してください。多くの方の心に響くインタビュー記事・番組制作の一助となれば幸いです。