ケーススタディー 1: 「上司との折り合いが悪い」
事例
Aさんは新しいプロジェクトで上司と仕事をすることに。ところが、上司からの指示が曖昧だったり、細かいミスをしつこく指摘されることで、モチベーションが下がってしまいました。「上司は自分に悪意があるのでは?」と感じるようになり、コミュニケーションを避けがちに。結果としてプロジェクトの進捗もうまくいかなくなり、Aさんはますます不満を募らせています。
盲点をつくためのプロンプト
- 上司の立場・状況を知ろう
- 「もし私が上司と同じ立場・責任を持っていたら、同じような行動を取ってはいないだろうか?」
- 「上司が曖昧な指示を出す理由は、もしかすると“過度に忙しく情報整理が追いついていない”からではないか?」
- 上司がいなくなった未来を想像する
- 「もし上司が突然いなくなったとしたら、自分の仕事はやりやすくなる? それとも別の混乱が起きる?」
- 「上司との関係の中で、実は自分が得ていたサポートは何か?」
- 自分が主役にならない視点を探す
- 「上司は自分に悪意を持っている」と思い込む代わりに、上司の視点から“自分はどう見えているだろうか?”を考えてみる。
- 「上司にとっては、自分(Aさん)が“ただの一メンバー”にすぎないかもしれない」など、“自分が特別視されている”前提を疑う。
ケーススタディー 2: 「勉強しているはずなのに成果が出ない」
事例
Bさんは資格試験の勉強中。毎日それなりに時間を確保しているつもりなのに、模擬テストの点数が思ったより伸びません。モチベーションが下がり、「自分には才能がないのかも」と思いはじめています。一方で、勉強環境や学習方法を見直すこともせず、ただ落ち込む日々を過ごしてしまっています。
盲点をつくためのプロンプト
- 「毎日“何分”集中しているか」を数値化する
- 「実際にストップウォッチなどで“純粋に勉強に集中できている時間”を計ってみよう」
- 「勉強したつもり」なのか「本当に勉強したのか」を客観的に確認できる。
- 「学習方法の盲点」を探す
- 「同じ内容をただ反復しているだけか? ほかの視覚教材や音声教材、別の問題集を試してみていないか?」
- 「自分が今の学習方法を始めたきっかけは何? それは誰かのアドバイス? 思い込み? 変えずに続けている理由は?」
- もし“試験勉強の期限”が消えたらどうなるか
- 「資格の合格・不合格に縛られないと仮定したら、勉強する理由や目的は何だろう?」
- 「どうしても合格したいと思っているが、その『欲求の源泉』はどこから来ている?」
ケーススタディー 3: 「SNSでの意見の対立」
事例
CさんはTwitterやInstagramなどのSNSを頻繁に利用しています。あるとき、政治的な議題で他のユーザーと意見が衝突し、長時間の口論に。Cさんは怒りで頭がいっぱいになり、時間を大幅に浪費。「相手は完全に間違っている」と確信していますが、いくら説明しても相手は譲らない状況です。
盲点をつくためのプロンプト
- 「自分が“論破”よりも求めているものは何か?」
- 「本当にただ相手を論破して優位に立ちたいのか、それとも問題の解決や理解を深めたいのか?」
- 「SNS上では、自分の期待している“対話”が実現しにくい構造があるのではないか?」
- 他人は「自分とまったく違う現実」を見ている
- 「相手のバックグラウンド(地域、環境、家族、交友関係)を想像してみると、全く違う“世界の見え方”になっていても不思議ではない、という視点はあるか?」
- 「自分自身も何かを前提にして物事を語っていないか?(信頼するメディア、リーダー、論拠など)」
- 「論点をあえて完全否定」してみる
- 「自分が熱く主張しているポイントを、一度“真逆の立場”で考えてみるとしたら、どんな根拠を拾えるだろうか?」
- 「意見を戦わせるより、一時的に相手の意図や本音を“聞く”ことにフォーカスする」とはどういうことか?
ケーススタディー 4: 「過去の成功体験から抜け出せない」
事例
Dさんは数年前、大きなプレゼンテーションで成功を収めたことがあり、そのときのやり方を今でも繰り返しています。しかし、最近のプロジェクトではその方法がまったく通用せず、結果が出ません。Dさんは「自分の成功パターンが通用しないなんておかしい」と感じつつ、新たなやり方を試そうとはしない状態です。
盲点をつくためのプロンプト
- 成功体験の“副作用”を探す
- 「過去の成功体験を大事にしすぎることで、何を失っている可能性があるか?」
- 「成功体験は、そのときの状況・環境があって初めて成り立つものである」ことを思い出してみる。
- “そこそこ失敗しそうな新アプローチ”をあえて試す
- 「失敗のリスクがあるからこそ、学べるものは何か?」
- 「“新しい試みをして失敗すること”と、“古いやり方に固執して失敗すること”の違いを比べる。どちらが建設的か?」
- “学んだこと”をアップデートできているか?
- 「あのとき成功した要因は何か? 当時の状況(時代背景、チーム構成、ターゲットニーズなど)が変わっていないか?」
- 「成功・失敗を繰り返すプロセス全体から自分は何を得たか? 同じやり方が通用しないヒントはそこにあったかもしれない。」
ケーススタディー 5: 「結婚や引っ越しなど、大きなライフイベントへの不安」
事例
Eさんは近々引っ越しを考えていますが、新しい土地で人間関係がうまくいくか、家のローンが払っていけるかなど不安が募り、なかなか決断できません。漠然とした「何か悪いことが起こるかも…」という思いが、頭から離れない状態です。
盲点をつくためのプロンプト
- 「漠然とした不安」を言語化する
- 「具体的に、どんな最悪のシナリオを想定しているか?」
- 「その最悪のシナリオに対して、“実際に備えられること”は何か?」
- 不安がなかったらどうなる?
- 「もし不安がゼロだったら、自分は今と違う行動を取るか? 具体的に何をするか?」
- 「その行動を少しだけ実行に移す方法はあるか? 小さなリスクテストをしてみるとしたら?」
- 今いる場所・状態のリスクも客観的に評価する
- 「新しい場所・新しい暮らしだけがリスクなのではなく、現状維持にもリスクはある。現状にとどまることで生じるデメリットは何か?」
- 「変化しないリスクと、変化するリスクを天秤にかけてみると、どちらが“自分にとって”本当に怖いのか?」
まとめ
- ケーススタディーを設定することで、抽象的な「盲点をつくプロンプト」をより具体的に実感できるようになります。
- 「相手がいなくなったら?」「主役視点を外す」「真逆の視点で考える」「曖昧な不安を可視化する」など、盲点に気づくための問いを組み込むと、日常では見過ごしがちな事実や自分の思い込みを再確認できます。
- 大切なのは、「自分のバイアスを疑う」「思考の幅を広げる」「意図的に価値観を揺さぶる」こと。これらのプロンプトを参考に、日常の思考や行動を一段深く振り返ってみてください。