物語創作における「構成」「アウトライン」「プロット」の関係は、入れ子構造のようなものと考えると分かりやすいでしょう。 家を建てることに例えて説明します。
- 構成(全体設計図): 家全体の設計図。家の外観、間取り、部屋の配置、使用材料、配線、配管など、全てが含まれます。物語で言えば、テーマ、ジャンル、語り口、文体、プロット、伏線、キャラクター設定、世界観設定など、物語の全てを包括する設計図です。
- アウトライン(基本設計図): 家の基本設計図。家の大きさ、部屋数、主な機能(リビング、キッチン、寝室など)の配置、だいたいの外観などが示されます。物語で言えば、主要な登場人物、舞台設定、物語の始まりと終わり、各章/幕ごとの大まかな流れ、主要なプロットポイントなどが含まれます。構成の一部であり、プロットを作るための土台となります。
- プロット(構造設計図): 家の構造設計図。柱や梁の配置、壁の厚さ、屋根の形状など、家の骨組みを詳細に示します。物語で言えば、因果関係で繋がった一連の出来事、つまり物語の筋書きです。アウトラインに沿って作られ、構成の一部を成します。
関係性をまとめると:
- 構成 > アウトライン > プロット
- プロットはアウトラインの一部であり、アウトラインは構成の一部です。
もう少し具体的に物語で例えると:
- 構成: ミステリー小説で、一人称視点で語り、叙述トリックを使い、最後はどんでん返しで終わる。舞台は閉鎖された洋館で、登場人物は屋敷の主人とその家族、使用人、そして探偵。テーマは「人間の隠された悪意」。
- アウトライン: 主人公の探偵が、殺人事件の依頼を受けて洋館を訪れる。屋敷の住人たちに話を聞きながら捜査を進める中で、それぞれのアリバイや秘密が明らかになる。事件は二転三転し、最終的に意外な犯人が判明する。
- プロット: 探偵が洋館に到着 → 使用人が死体で発見される → 各登場人物のアリバイを確認 → 第一の容疑者が浮上 → 新たな証拠が発見され、容疑者が変わる → 意外な人物が犯人として浮かび上がる → 真犯人と探偵の対決 → 犯人の動機とトリックが明らかになる → 事件解決。
このように、構成は物語全体の設計図、アウトラインはその骨子となる部分、そしてプロットは物語の筋書きという関係になっています。
それぞれの段階を踏むことで、より精緻で完成度の高い物語を創作することが可能になります。
エッセイやブログの場合、フィクションの物語とは少し異なりますが、構成・アウトライン・プロットの考え方は応用できます。特に、長いエッセイや、ストーリー性のあるブログ記事を書く際に役立ちます。
エッセイの場合:
- 構成(全体設計): エッセイ全体の構成。導入、本論、結論といった大きな流れや、筆者の主張、読者に伝えたいメッセージ、全体のトーンや雰囲気などが含まれます。
- アウトライン(段落構成): 各段落で何を伝えたいかを箇条書きにしたもの。それぞれの段落がどのように筆者の主張を支え、論理的に展開していくかを示します。導入で読者の興味を引き、本論で具体的な事例や根拠を示し、結論で全体をまとめる、といった流れを明確にします。
- プロット(展開): エッセイにおけるプロットは、必ずしも物語のような因果関係を持つ必要はありませんが、読者を飽きさせずに読み進めてもらうための展開を指します。例えば、個人的な経験から普遍的なテーマに繋げる、具体的な事例から抽象的な概念を導き出す、問題提起から解決策を提示する、といった流れを作ることで、エッセイに「展開」を持たせることができます。
ブログの場合:
- 構成(全体設計): ブログ記事全体の構成。記事の目的(情報提供、意見表明、商品紹介など)、ターゲット読者、SEOキーワード、記事のトーンや雰囲気、デザイン、画像、動画の利用など、ブログ記事全体に関わる設計図です。
- アウトライン(見出し構成): 各見出しで何を伝えたいかを箇条書きにしたもの。見出しによって記事の内容を構造化し、読者が情報を探しやすくします。導入で記事の要約を伝え、本論で詳細な情報を提供し、結論でまとめと次の行動への促しを行う、といった流れを明確にします。
- プロット(ストーリー): 特にストーリー性のあるブログ記事の場合、プロットが重要になります。読者の共感を呼ぶような個人的な体験談、問題提起と解決策、商品紹介と利用者の声など、読者を惹きつけるストーリー展開を設計します。
エッセイとブログにおける構成・アウトライン・プロットの例:
テーマ:「読書の効用」
- エッセイ:
- 構成: 読書経験を通して、読書が人生にもたらす様々な効果を論じる。読者に読書の重要性を再認識してもらうことを目的とする。
- アウトライン: 導入(読書との出会い)、本論(知識の獲得、思考力の向上、想像力の刺激、共感力の育成、心の癒し)、結論(読書習慣の勧め)
- プロット: 子供時代の読書体験から始まり、読書を通して得られた知識や経験、読書が人生に与えた影響などを具体的に描写し、最終的に読書の重要性を訴える。
- ブログ:
- 構成: 読書の効用を科学的な根拠に基づいて解説する。読書に興味を持つ読者をターゲットに、SEOキーワード「読書 効用」を意識して書く。
- アウトライン: 導入(読書のメリット)、見出し1(脳への影響)、見出し2(精神への影響)、見出し3(人生への影響)、結論(読書習慣を身につける方法)
- プロット: 読書が脳に与えるポジティブな影響を科学的なデータに基づいて説明し、具体的な読書方法やおすすめの書籍を紹介することで、読者に読書習慣を身につけることを促す。
このように、エッセイやブログでも構成・アウトライン・プロットを意識することで、より分かりやすく、読みやすく、そして読者の心に響く文章を書くことができます。 目的に合わせてこれらの要素を効果的に活用することが重要です。