MarpとPandocは、どちらもMarkdownを利用して文書を作成したり、プレゼンテーションを作成したりするためのツールですが、それぞれ異なる目的と機能を持っています。以下にMarpとPandocの主な違いと共通点について説明します。
Marp
- 目的: Marpは主にプレゼンテーションの作成に特化したツールです。Markdownでスライドを作成し、そのスライドをPDFやHTML形式にエクスポートすることができます。
- 特徴:
- シンプルなスライド作成: Markdownの文法を使って簡単にスライドが作成でき、スライドの分割には
---という記号を使います。 - スライドテーマとカスタマイズ: スライドの見た目を簡単にカスタマイズするためのテーマやCSSをサポートしています。
- プレビュー機能: エディタ(特にVS Codeなど)でMarpを利用すると、リアルタイムでプレビューしながらスライドを作成することが可能です。
- ユーザーフレンドリー: 開発者やデザイナーでなくても簡単に利用できるように設計されています。
Pandoc
- 目的: Pandocは汎用的なドキュメントコンバータであり、Markdownをはじめとする様々な形式の文書を相互に変換することができます。
- 特徴:
- 多くのフォーマットに対応: PandocはMarkdown、HTML、LaTeX、PDF、DOCX、EPUBなど、多くのフォーマットに対応しています。たとえば、MarkdownファイルをWord文書(DOCX)やLaTeX、PDFなどに変換することができます。
- 拡張機能: PandocはMarkdownの拡張機能(Pandoc Markdown)をサポートしており、数式、脚注、表、コードブロックのハイライトなど、標準的なMarkdownの機能を拡張することができます。
- スクリプトとしての利用: Pandocはコマンドラインから実行するツールであり、自動化したりスクリプトの一部として利用したりすることが容易です。
- 学術文書の作成に便利: 引用や文献管理(BibTeXなどのサポート)にも対応しているため、学術文書の作成に特に便利です。
MarpとPandocの共通点
- Markdownの利用: 両方ともMarkdownを使用して文書を作成します。Markdownを使うことで簡潔で読みやすいテキストを書き、それを他の形式に変換することができます。
- 出力形式の多様性: どちらもMarkdownからPDFやHTMLなどの形式に変換することができます(ただし、Pandocの方が対応形式の種類が圧倒的に多い)。
- コマンドラインのサポート: どちらもコマンドラインから使用することができるため、自動化やスクリプトに組み込んで使うことが可能です。
MarpとPandocの違い
- 目的と用途:
- Marpはプレゼンテーションの作成に特化しており、スライドをMarkdownで手軽に書くことを目的としています。
- Pandocは汎用的な文書変換ツールであり、複数のフォーマット間の相互変換に使用されます。
- 機能の範囲:
- Marpはスライドテーマやレイアウトのカスタマイズに焦点を当てており、視覚的なプレゼンテーションを作成するための機能を提供します。
- Pandocは文書の変換や拡張Markdownの利用を通じて、論文やレポート、書籍など幅広い文書形式に対応します。
- ユーザビリティ:
- MarpはGUIをサポートし、視覚的にスライドをプレビューしながら編集するのが容易です。
- Pandocは基本的にコマンドラインベースであり、利用にはある程度の技術的な知識が必要です。
まとめ
- MarpはMarkdownでスライドを作りたい場合に非常に便利なツールです。シンプルにスライドをデザインし、短い時間でプレゼンテーションを作成できます。
- Pandocは多目的な文書変換ツールであり、Markdown文書を多くの形式に変換したいときに非常に役立ちます。学術文書や様々なフォーマットに対応するためのツールとして利用されることが多いです。
どちらを使うかは、目的によって選ぶと良いでしょう。プレゼンテーション作成が目的ならMarp、様々な形式で文書を取り扱いたい場合や複雑な文書を扱いたい場合にはPandocが適しています。
MarpとPandocの比較表
それぞれの特徴と違いを視覚的に簡潔に理解できるようにまとめています。
| 項目 | Marp | Pandoc |
|---|---|---|
| 主な用途 | プレゼンテーションの作成 | 汎用的な文書変換ツール |
| Markdownの利用 | はい(スライド作成用) | はい(様々なフォーマットに変換可能) |
| 対応フォーマット | MarkdownからPDF、HTML | Markdown、HTML、PDF、DOCX、EPUBなど多岐 |
| カスタマイズ | テーマ、CSSでスライドをカスタマイズ | 文書のスタイル設定に柔軟なカスタマイズ |
| リアルタイムプレビュー | あり(VS Codeなどのエディタで対応) | なし(コマンドラインで変換後に確認) |
| 特化機能 | スライド作成・簡単なレイアウト | 引用、脚注、学術文書の作成に便利 |
| コマンドラインサポート | はい | はい |
| ユーザビリティ | 簡単、視覚的に作成しやすい | やや技術的、コマンドライン利用が中心 |
| 対象ユーザー | プレゼンテーションが必要なユーザー | 論文やレポート、書籍の作成者 |
| 自動化の容易さ | コマンドラインからの利用が可能 | コマンドラインでスクリプト化が可能 |
| 学術的なサポート | 限定的 | 引用や文献管理(BibTeXなど)に対応 |
Marpを使ったプレゼンテーションのサンプルコード
MarpでMarkdownを使って簡単なプレゼンテーションを作成する例です。Markdownファイル(たとえば presentation.md という名前)に以下の内容を記述します。
---
marp: true
theme: default
paginate: true
---
# タイトルスライド
ここにプレゼンテーションのタイトルを書きます。
---
## セカンドスライド
- これはリストのアイテム1
- これはリストのアイテム2
---
## 画像の挿入

---
## コードブロック
python
def hello():
print("Hello, Marp!")
---
## 最後に
このスライドはMarpで作成されました。
このプレゼンテーションをHTMLまたはPDFに変換する方法
コマンドラインで以下のコマンドを実行します。事前にMarp CLIをインストールする必要があります。
# HTMLに変換
npx @marp-team/marp-cli presentation.md --html
# PDFに変換
npx @marp-team/marp-cli presentation.md --pdf
Pandocを使った文書変換のサンプルコード
次に、Pandocを使ってMarkdownからPDFまたはWord文書に変換する方法を示します。
まず、Markdownファイル(たとえば document.md)に以下の内容を記述します。
# タイトル
これはPandocを使って変換するためのMarkdownドキュメントです。
## セクション 1
ここはセクション1の内容です。
- リストアイテム1
- リストアイテム2
## コードブロック
python
def greet():
print("Hello, Pandoc!")
```
#### このMarkdownファイルをPDFまたはWord文書に変換する方法
コマンドラインで以下のコマンドを使用します。
bash
PDFに変換
pandoc document.md -o document.pdf
Word文書(.docx)に変換
pandoc document.md -o document.docx
#### 引用付きのドキュメントを作成する場合のサンプル
Pandocは引用や文献管理にも対応しており、たとえば `references.bib` というBibTeXファイルを使用して、以下のようにMarkdownで引用を行うことができます。
markdown
学術ドキュメント
これは引用の例です [@sample2023]。
参考文献
Pandocは文献管理もサポートしています。
このファイルをPDFに変換するには、以下のように文献ファイルを指定します。
bash
pandoc document.md --bibliography=references.bib -o document.pdf
```
まとめ
- Marpのサンプル: Markdownを使ってプレゼンテーション用のスライドを作成し、
npx @marp-team/marp-cliでHTMLやPDFに変換。 - Pandocのサンプル: Markdownを使って文書を作成し、
pandocでPDFやWord文書に変換。また、文献管理も簡単にできる。



