LangChainを使用してRAG(Retrieval-Augmented Generation)システムを構築する手順を具体的に説明します。RAGは、知識検索と生成モデルを組み合わせて、より精度の高い応答を生成するシステムです。以下の手順でLangChainを使用してRAGシステムを構築します。
ステップ1: 環境の準備
まず、必要なライブラリをインストールします。Python環境で以下のパッケージをインストールします。
pip install langchain openai faiss-cpu
ステップ2: データの準備
RAGシステムでは、検索対象となる知識ベース(ドキュメントやテキストの集合)が必要です。ここでは、シンプルなテキストデータを用意します。
documents = [
{"content": "LangChainは、大規模言語モデルの能力を活用するためのフレームワークです。"},
{"content": "RAGは、情報検索と生成モデルを組み合わせたシステムです。"},
{"content": "Pythonは、データサイエンスや機械学習で広く使われるプログラミング言語です。"}
]
ステップ3: ベクトルインデックスの構築
次に、テキストデータをベクトル化し、検索可能なインデックスを作成します。ここでは、FAISS(Facebook AI Similarity Search)を使用してインデックスを作成します。
from langchain.embeddings import OpenAIEmbeddings
from langchain.vectorstores import FAISS
# OpenAIの埋め込みモデルを使用してテキストをベクトル化
embedding_model = OpenAIEmbeddings()
text_embeddings = [embedding_model.embed_query(doc["content"]) for doc in documents]
# FAISSインデックスを作成
index = FAISS.from_embeddings(text_embeddings)
ステップ4: 知識ベースからの検索
ユーザーのクエリに基づいて、関連するドキュメントを検索します。
query = "RAGとは何ですか?"
query_embedding = embedding_model.embed_query(query)
# FAISSを使用して類似ドキュメントを検索
results = index.similarity_search(query_embedding, k=1) # kは返す結果の数
print("検索結果:", results)
ステップ5: 検索結果を使用した生成
検索結果をもとに、生成モデル(例えば、GPT-4o mini)を使用して最終的な応答を生成します。
from langchain.llms import OpenAI
# 検索結果の内容を結合してプロンプトとして使用
context = " ".join([result["content"] for result in results])
final_prompt = f"ユーザーの質問: {query}\n関連情報: {context}\n応答:"
# GPT-4o miniなどの生成モデルを使用して応答を生成
llm = OpenAI(temperature=0.7)
response = llm.generate(final_prompt)
print("生成された応答:", response)
ステップ6: システムの統合
上記の各ステップを統合して、クエリを受け取り、検索、生成までを一貫して処理するシステムを構築します。
def rag_system(query):
query_embedding = embedding_model.embed_query(query)
results = index.similarity_search(query_embedding, k=1)
context = " ".join([result["content"] for result in results])
final_prompt = f"ユーザーの質問: {query}\n関連情報: {context}\n応答:"
response = llm.generate(final_prompt)
return response
# システムの実行例
query = "LangChainについて教えてください。"
response = rag_system(query)
print("RAGシステムからの応答:", response)
ステップ7: 追加の最適化とカスタマイズ
RAGシステムはさらにカスタマイズ可能です。例えば、インデックス作成時に使用するベクトル化モデルの変更、複数のドキュメントを統合して応答を生成するロジックの追加、検索結果のフィルタリングなどを行うことで、応答精度やシステムの応答速度を改善できます。
以上が、LangChainを使用してRAGシステムを構築する手順です。この手順をベースに、ニーズに合わせた高度なRAGシステムを構築することが可能です。