機械学習モデルにおける事前学習、ファインチューニング、プロンプトの違い

事前学習、ファインチューニング、プロンプトの違いについて説明しますね。

  1. 事前学習(Pre-training):
    事前学習は、大量のデータを使用して機械学習モデルを初めて訓練する過程です。この段階では、モデルは広範囲の知識を学びますが、特定のタスクには最適化されていません。例えば、言語モデルがウェブから得られるテキストを使って言語の構造を学ぶことがこれに該当します。
  2. ファインチューニング(Fine-tuning):
    ファインチューニングは、事前学習済みのモデルを特定のタスクやデータセットに合わせて調整する過程です。このステップでは、モデルのパラメータを少しずつ調整して、タスク特有のパフォーマンスを向上させます。例えば、汎用的な言語モデルを法律文書の理解に特化させるためにファインチューニングすることがあります。
  3. プロンプト(Prompting):
    プロンプトは、特に事前学習済みのモデルに対して、具体的な指示やクエリを提供することで、望む出力を得る手法です。プロンプトはモデルを再トレーニングすることなく、即座に特定のタスクを遂行させるために使用されます。例えば、GPTモデルに「東京の観光スポットを教えて」と尋ねることがプロンプトの一例です。

これらの違いは、基本的にモデルがどのように学習され、どのように利用されるかに基づいています。事前学習は広範囲な知識の獲得、ファインチューニングは特定のタスクへの適応、プロンプトは既存のモデルを活用して即時のタスクを解決する手法として位置づけられます。

特徴事前学習 (Pre-training)ファインチューニング (Fine-tuning)プロンプト (Prompting)
目的広範囲のデータから基本的な知識やパターンを学習する。特定のタスクやデータセットにモデルを最適化する。事前学習済みモデルを使い、特定の応答を得るための指示を与える。
学習データ大量で多様なデータセット。タスク固有のデータセット。学習データは不要。直接的な入力(プロンプト)が用いられる。
学習プロセスランダムな初期値から学習を開始し、一般的な知識を獲得する。事前学習済みのパラメータを出発点として、特化した知識を深める。再学習は行われず、入力されたプロンプトに基づいて応答する。
応用あらゆるタスクに対して汎用的な基盤モデルとして機能する。特定のタスクや業界、問題に対してカスタマイズされたモデル。特定のタスクを遂行するために、その場で入力を調整する。
パラメータ調整全パラメータが最初から学習される。一部のパラメータが調整され、事前学習に基づいて更に精度を高める。パラメータは固定されており、調整は行われない。

この表から分かるように、事前学習はモデルに幅広い知識の基礎を提供し、ファインチューニングはその知識を特定の領域やタスクに適応させるために使われます。プロンプトは、学習済みモデルを直接利用して特定の問いかけに答えるための手段として用いられ、モデルの再学習は不要です。これにより、速やかに対応が可能となります。