文章が書けない。議論が噛み合わない。会議が空回りする。
その原因は、能力でも熱量でもなく、だいたい 「言葉の役割が混線している」 ことにある。
特に厄介なのが、トピック・テーマ・主題・問い・イシュー・命題。
どれも「中心っぽい」顔をしているせいで、入れ替わっても気づきにくい。
しかし一度ズレると、思考は進まない。いや、進んでいる“つもり”のまま迷子になる。
ここでは、用語を 役割で固定する。
まず大原則:真偽が問えるのは「命題」から
この整理の軸はシンプルだ。
- 真偽が問えないもの:トピック/テーマ/主題
- 真偽が問えるもの:命題(前提命題・中間命題・結論命題を含む)
「正しい?間違い?」が成立するかどうか。
それだけで用語の混線の8割は止まる。
用語の位置関係:一本線にするとこうなる
トピック(話題領域ラベル)
↓
テーマ(視点・角度・アングル)
↓
主題(判断対象=オブジェクト)
↓
問い(述語探索)
↓
イシュー(判断軸として確定した問い)
↓
命題(対象+述語+断定)
↓
結論命題(命題体系の収束点)
ポイントはこれ。
- 主題=対象(オブジェクト)
「何について判断するのか」の確定であって、「主たるもの」の意味ではない。 - イシューも問いも主題ではない
どちらも 述語側(操作側) に属する。
【一覧表】用語集(サッカー例つき)
| 用語 | 定義(厳密) | 役割・機能 | 真偽が問えるか | サッカーを例にすると |
|---|---|---|---|---|
| トピック | 話題の範囲・領域を示すラベル | 思考の入口・分類 | 問えない | サッカー |
| テーマ | トピックを見る視点・角度・アングル | 主題を切り出す観点 | 問えない | 戦術の観点で見る |
| 主題 | 判断・検討の対象(オブジェクト) | 判断される対象 | 問えない | ある特定の試合 |
| 問い | 主題にどの述語を与えるかを探る文 | 述語探索・発散 | 問えない | なぜこの試合は負けたのか? |
| イシュー | 判断軸として確定した問い | 意思決定の焦点 | 間接的に問える | 守備戦術は機能していたか? |
| 命題 | 主題に述語を与え断定した文 | 主張・判断の最小単位 | 問える | この試合では守備戦術が機能していなかった |
| 前提命題 | 他の命題を支える条件となる命題 | 推論の材料 | 問える | フォーメーションが途中で崩れていた |
| 中間命題 | 結論に至る途中の検証用命題 | 論証ステップ | 問える | 中盤で数的不利が生じていた |
| 結論命題 | 命題体系を束ねる収束点 | 判断の終点 | 問える | 敗因は戦術設計ではなく中盤運用にあった |
テーマは「視点・角度・アングル」で正確か?
かなり正確。理由はこうだ。
- トピックは「風景」
- テーマは「カメラの位置・角度」
- 主題は「フレーム内に入った被写体」
この比喩の強みは、主題(対象)と混線しにくいこと。
ただし、テーマが断定文に化けた瞬間にズレる。
- ❌「守備戦術は間違っている」→ これはテーマではなく 命題
- ⭕「守備戦術の観点で見る」→ これは テーマ
イシューはどっち?問いはどっち?
どちらも 述語側。ただし精度が違う。
- 問い:述語探索(まだフワフワしてて良い)
- イシュー:判断軸として固定した問い(もう逃げない)
言い切るなら、
イシューとは、問いの中から「これで判断する」と決めたもの。
迷子にならないための3つのチェック
1) 「それは真偽が問えるか?」
- YES → 命題
- NO → トピック/テーマ/主題/問い
2) 「それは対象か? 観点か?」
- 対象 → 主題
- 観点 → テーマ
3) 「それは判断軸として固定されているか?」
- 固定されている → イシュー
- まだ探索中 → 問い
まとめ:言葉が揃うと、思考が加速する
最後に一文で固定しておく。
トピックは範囲、テーマは視点、主題は対象。
問いとイシューは述語操作、命題は断定、結論命題は収束である。
この整理が入ると、文章も議論も、なぜか速くなる。
理由は簡単で、ズレた言葉を直す「脳内デバッグ」が消えるからだ。



