「その議論、どこが間違っているのか?」
そう感じても、うまく言語化できないことがよくあります。
相手の主張がモヤッと気持ち悪い。
しかし、「どこがおかしい」と指摘しようとすると、自分も混乱してしまう。
この混乱は、多くの場合、
主語・述語・前提・結論がごちゃ混ぜになっていることから生まれます。
ここで使えるのが、S・P・A・C という4分割です。
- S:Subject(主語)
- P:Predicate(述語)
- A:Assumption(前提)
- C:Conclusion(結論)
たったこれだけですが、これを意識するだけで、議論の見え方が変わります。
1. まず「何について話しているのか(S)」を確定する
議論が噛み合わない典型パターンは、
主語がすり替わっているときです。
- Aさんは「この政策」について話しているつもり
- Bさんは「この政権」について批判しているつもり
主語がずれているのに、「賛成か反対か」を話し始めるから、
話がいつまでたってもかみ合わない。
最初にやるべきは、
「私たちは、いま 何について 話していますか?」
をはっきりさせることです。
これが S(主語)です。
2. 次に「何を述べているのか(P)」を切り出す
主語が決まったら、次は述語です。
- 「この政策は 危険だ」
- 「この企業は 成長性が高い」
- 「AI は 人間の仕事を奪う」
S と P を分けてみると、
「何が事実認識で、何が評価なのか」が見えやすくなります。
たとえば、
「この政策は危険だ」
は、事実のように聞こえますが、
実際には「どういうリスクを危険とみなすか」という
価値判断がすでに混ざっています。
3. 一番見えにくいのが「前提(A)」
議論がヒートアップし始めるとき、
たいてい争っているのは「意見」ではなく、前提です。
「この政策は危険だ」の裏には、たとえばこんな前提があります。
- 危険かどうかは、どの指標で測るのか
- 比較対象は現状なのか、他の案なのか
- 危険性とメリットのどちらをどれだけ重視するのか
これらは、ふつう文章には書かれません。
「そんなの、わざわざ書かなくても分かるでしょ」という顔をして、
暗黙のまま放置されている。
しかし実際には、ここが一番ズレます。
だからこそ、S と P を取り出したら、こう自問するのが有効です。
「この S と P を結びつけるために、
自分はどんな前提(A)を勝手に置いているか?」
A が見えた瞬間に、
「自分が何を前提にしているのか」「相手とどこが違うのか」が
一気にクリアになります。
4. 最後に「だから何をするのか(C)」を切り分ける
議論のゴールは、たいてい 何かを決めること です。
- 法案を通すかどうか
- 投資するかどうか
- プロジェクトをやめるか続けるか
つまり、結論(C)のレベルでは、必ず 行動 が関わってきます。
S・P・A を整理したうえで、
「だから、私は こうする/こう主張する」
までを C として明示する。
これを癖にすると、
- どの部分が「事実の争点」なのか
- どの部分が「価値・優先順位の争点」なのか
- どの部分が「リスク許容度の違い」なのか
が分解され、議論が感情論だけで終わりにくくなります。
5. まとめ:思考を4つに割る
S・P・A・C で考えるとは、要するにこういうことです。
- S(主語):何について話しているのか
- P(述語):それをどう述べているのか
- A(前提):その主張が成り立つために、何を暗黙に仮定しているのか
- C(結論):だから、具体的に何を決める/どう行動するのか
この4つに分けて書き出してみるだけで、
自分の頭の中の「もやもや」が、かなりの部分、構造として見えてきます。
- なんとなくイラッとする記事
- なんとなく納得できないプレゼン
- なんとなく不安な政策
を見たときこそ、一度 S・P・A・C に分解してみる。
そのプロセス自体が、
「自分の世界観と価値観を見直すトレーニング」になります。
S と P と A と C。
4つに割って観察することから、
思考の精度はかなり上げられます。



