抽象概念の認知的基盤は空間か?

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序論:空間に縛られた知性

人間が「時間」や「愛情」、「権力」、「社会」といった形のない抽象概念を理解し、他者とコミュニケーションする際、ほぼ例外なく物理的な「空間」のメタファーに依存する。例えば、時間は「前」に進み、地位は「上」にあり、議論は「道」を逸れ、心は「開か」れる。この現象は、単なる言語的な修辞(レトリック)ではなく、人間の認知アーキテクチャの根幹的な設計図を反映したものである。

このテーゼ、すなわち「人間は抽象概念を扱うとき、必ずといっていいほど“空間”のメタファーを使う」という認知言語学のスタンダードな知見は、本レポートの分析の出発点である。

この現象の背景には、「身体化された認知(Embodied Cognition)」という広範な理論的パラダイムが存在する。これは、人間の知性や思考が、脳という独立したコンピュータ(抽象記号処理装置)によって生み出されるのではなく、我々が持つ身体の特有の形態(例:前後があり、重力下で直立する)と、その身体が物理的環境と相互作用する経験によって、根本的に規定されているという認知科学の立場である。

本レポートは、このテーゼを基軸とし、学際的な証拠を体系的に統合・分析する。まず、第1部で、認知言語学が提示した理論的基盤、すなわち「概念メタファー理論」と「イメージスキーマ」の枠組みを概説する。第2部では、垂直性、温度、重量といった具体的な身体経験が、道徳、愛情、重要性といった抽象領域をいかに体系的に構築しているか、その実証的「カタログ」を提示する。第3部では、最も遍在する「時間」の空間メタファーを取り上げ、その普遍性と、アイマラ語の事例に見られる驚くべき文化的差異を検証し、それがテーゼを否定するどころか、むしろ補強する力を持つことを論じる。

続く第4部では、fMRI(機能的磁気共鳴画像法)研究に焦点を当て、この言語的現象が脳内で物理的にどのように処理されているかを解明する。特に、物理的ナビゲーションを司る「海馬」が、抽象的な「社会的空間」のマッピングにも再利用されているという神経科学的証拠を詳細に検討する。第5部では、この認知メカニズムが、UI/UXデザイン、教育、そして人工知能(AI)開発といった実世界にどのように応用され、またどのような限界を露呈しているかを分析する。最後に第6部では、既存理論への学術的批判を検討し、今後の研究のフロンティアを展望することで、我々の知性が「空間」という鋳型から逃れられないことの根本的な意義を結論付ける。


第1部 抽象的思考の基盤としての身体と空間

人間の思考が抽象的な高みに達するとき、その足場は常に具体的な身体経験と、我々が生きる物理空間に置かれている。この直観を学術的に定式化したのが、認知言語学における「概念メタファー理論(Conceptual Metaphor Theory: CMT)」と「イメージスキーマ」の理論である。

1.1 概念メタファー理論(CMT)の核心:Lakoff & Johnson

メタファーは長らく詩的な言語装飾と見なされてきたが、Lakoff & Johnsonは、その本質が言語表現にあるのではなく、思考そのもののプロセスにあると主張した。CMTの核心は、「身体経験を通じて把握される具体的な概念領域(起点領域:Source Domain)を用いて、抽象的な概念領域(目標領域:Target Domain)を理解する」という認知プロセスそのものである 1

例えば、「議論(ARGUMENT)」という抽象的な概念(目標領域)は、それ自体では明確な構造を持たない。我々はそれを理解するために、より具体的で身体的に経験可能な起点領域を無意識にマッピングする 1

  • ARGUMENT IS WAR(議論は戦争である): 「彼の主張は守りがたい」「その議論はを射ていない」「戦略を練る」
  • ARGUMENT IS JOURNEY(議論は旅である):筋を立てて話す」「回り道をしたが、結論達した」「出発点に戻ろう」
  • ARGUMENT IS BUILDING(議論は建築物である): 「議論の土台がしっかりしている」「彼の論理は構築的だ」「その主張は崩れる

どの起点領域(戦争、旅、建物)を選択するかによって、「議論」という概念の異なる側面が際立たされる 1

このCMTの登場は、言語研究におけるパラダイムシフトであった。Lakoff & Johnsonが「仮想の敵」としたのは、人間の言語能力を身体から切り離された生得的な文法規則(普遍文法)として捉える、合理主義に立脚したチョムスキーの生成文法であった 1。CMTは、言語研究の重心を、抽象的な構造(哲学)から、具体的な身体経験と認知のメカニズム(認知科学)へと移す強力な原動力となった。

1.2 イメージスキーマ:身体経験の「文法」

では、起点領域(例:旅)から目標領域(例:議論)へ、具体的に何がマッピングされるのか。その答えが「イメージスキーマ(Image Schema)」である。

イメージスキーマとは、「日常の身体経験から抽出される抽象的・一般的な認知図式」あるいは「認知の鋳型」である 2。これらは、特定の感覚モダリティに依存しない、トポロジカル(位相幾何学的)な構造の骨組みである。

我々は皆、物理世界で繰り返し特定の経験をする。

  • 我々は「容器(CONTAINER)」に物を入れたり(IN-OUT)、出したりする。
  • 我々は「道(SOURCE-PATH-GOAL)」に沿って、ある地点からある地点へ移動する。
  • 我々は重力下で「垂直性(VERTICALITY)」を経験し、物は「上(UP)」から「下(DOWN)」へ落ちる。
  • 我々は障害物(BLOCKAGE)によって「力(FORCE)」の行使を妨げられる。

これらの経験から抽出された認知図式 3 が、言語の生成・産出の土台となる 2。CMTにおいて起点領域の構造が目標領域に投射される際、このイメージスキーマの構造が保存される(不変性原理)2

このスキーマの力は、困難な内的経験の構造化において顕著に現れる。例えば、うつ病の経験に関するメタファー分析では、患者が自身の状態を推論し、他者に伝達するために、「容器(CONTAINER)」「道(PATH)」「力(COMPULSION, ENABLEMENT, BLOCKAGE)」「垂直性(VERTICALITY)」といったイメージスキーマを頻繁に使用していることが明らかにされている 4

これは、メタファーが単なる言語理解の問題ではなく、自己の内的状態(精神衛生)を評価し、把握するための不可欠な認知的ツールとして機能していることを示唆している。うつ病患者が「出口のない容器に閉じ込められている(CONTAINER)」、「前に進む道が見えない(PATH-BLOCKAGE)」、「何かに押しつぶされている(FORCE)」といったスキーマを用いる場合、それは単なる比喩ではなく、彼らが経験している世界の認知構造そのものを表している。したがって、メンタルヘルスの専門家は、患者が使用する言葉の背後にあるこれらの基本的なイメージスキーマに注意を払うことが、診断と治療において重要となる 4


第2部 空間が構築する抽象領域のカタログ

第1部で提示された理論的枠組み、すなわち「抽象概念は、身体的なイメージスキーマに基づくメタファーによって構造化される」というテーゼは、多くの実証的・実験的研究によって支持されている。本セクションでは、空間およびその他の基本的な身体感覚(垂直性、温度、重量)が、特定の抽象概念(道徳、愛情、重要性)の理解と判断にいかに直接的な影響を与えるか、その証拠をカタログ化する。

2.1 垂直性(VERTICALITY):重力下の思考

我々の身体は、常に重力という一定の力にさらされている。この経験から、「垂直性(VERTICALITY)」というイメージスキーマ(二点間の上下の次元)5 が形成され、これは高次の抽象概念を構築する最も強力な基盤の一つとなる 8

  • MORE IS UP(量は上である): 液体を注げば水面が「上がり」、物を積めば山は「高く」なる。この物理的経験から、「量が多いこと」は「上方向」と恒常的に結びつく。これは経済(「株価が上がる」)や感情(「気分が高揚する」)にマッピングされる。
  • STATUS IS UP(地位は上である): 社会的地位や権力も垂直軸で理解される。「higher-ups(お偉方)」、「ground floor(最低レベルから参加する)」 9、「社会的階層」といった表現がこれにあたる。
  • MORALITY IS UPRIGHTNESS(道徳は直立である): 健康で意識がはっきりしている状態は「直立(upright)」姿勢と関連し、病気や死、意識の喪失は「倒れる」ことと関連する。この身体的基盤が、「道徳的な正しさ」や「高潔さ」といった抽象概念にマッピングされる 8
  • RATIONALITY IS UP(合理性は上である): 「高い」位置は合理性や自尊心、肯定的な思考と関連付けられる 8。対照的に、「低い」位置は具体性や感情と関連付けられる(例:「恋に落ちる(falling in love)」)8

2.2 温度(WARMTH):体温と感情

人間は恒温動物であり、体温の維持は生命維持に不可欠である。特に幼児期において、養育者に抱きしめられる経験は、「密着」「愛情」、そして「(物理的な)温かさ」の三者を同時に経験する(共経験)10。この身体経験が、AFFECTION IS WARMTH(愛情は温かさである) 11 という概念メタファーの基盤となる。

この結びつきは単なる言語的慣習ではなく、物理的感覚が社会的判断に直接影響を与える認知メカニズムであることが、数々の実験によって示されている。

  • Williams & Bargh (2008) の研究では、被験者は実験室に来た際、偶然を装って温かいコーヒー($coffee_{warm}$)または冷たいアイスコーヒー($coffee_{cold}$)の入ったカップを短時間持たされた。その後、架空の人物に関する情報(性格特性リスト)を読み、その人物の印象を評価するよう求められた。その結果、温かいコーヒーを持った被験者は、冷たいコーヒーを持った被験者よりも、その人物を「温かい」「友好的」「気前が良い」など、メタファー的に関連する次元で有意に肯定的に評価した 13
  • Zhong & Leonardelli (2008) の研究は、この因果関係が逆方向にも作用することを示した。被験者は、過去に社会的に「受容された」経験(温かい記憶)または「拒絶された」経験(冷たい記憶)を思い出すよう求められた。その後、実験が行われている部屋の室温を推定させたところ、社会的に拒絶された記憶を思い出した被験者は、受容された記憶を思い出した被験者よりも、部屋の温度を(物理的に)有意に低く推定した 13

社会心理学において「心理的温かさ」は他者の意図(信頼できるか、敵意があるか)を判断する上での根源的な次元とされるが 10、これらの研究は、その「心理的温かさ」という抽象概念が、物理的な温度感覚と認知システムにおいて深く共有されていることを示している。

2.3 重量(WEIGHT):身体的負荷と重要性

重い物体は、軽い物体よりも扱うのにより多くの筋力と、より慎重な計画(認知努力)を必要とする。落とせばより大きな損害をもたらすため、我々は重い物体に対してより多くの注意を払うよう学習する 14。この身体経験が、IMPORTANCE IS WEIGHT(重要性は重さである) という概念メタファーの基盤となる(例:「大な問題」、「みのある意見」)15

このメタファーもまた、物理的感覚が抽象的判断に一方的に影響を与えることが実証されている。

  • Jostmann et al. (2009) の研究では、被験者は(物理的に)重いクリップボードまたは軽いクリップボードを持ちながら、いくつかの無関係に見える課題に回答した。ある実験では、被験者は様々な外国通貨の価値を推定するよう求められ、重いクリップボードを持っていた被験者は、軽いものを持っていた被験者よりも、その通貨をより「価値があり重要」であると評価した 14
  • 別の実験では、大学の意思決定プロセスから学生が意図的に排除されたというシナリオを読み、学生が発言権を持つことが「どれほど重要か」を評価させた。結果は同様に、重いクリップボードを持っていた被験者の方が、その問題(正義の抽象概念)をより重要であると評価した 14

これらの知見は、知覚記号システム(PSS; Barsalou)やスキャフォールディング・モデル(Williams et al.)といった、知覚と認知が神経構造を共有するという理論的枠組みによっても支持される 16

主要な概念メタファーと身体的基盤

概念メタファー(例)目標領域(抽象概念)起点領域(具体概念)身体的基盤(体験)主要な実証研究(出典)
MORE IS UP
MORALITY IS UPRIGHTNESS
量、道徳、地位、合理性垂直性 (VERTICALITY)重力下での堆積、
身体の直立姿勢
8
AFFECTION IS WARMTH愛情、親密さ、信頼温度 (WARMTH)幼児期の養育者との
身体的接触(共経験)
10
(Williams & Bargh)
IMPORTANCE IS WEIGHT重要性、価値、正義重量 (WEIGHT)重い物体を扱う際の
身体的・認知的努力
14
(Jostmann et al.)

これらの実験が示すのは、単なる相関関係ではなく、物理的感覚から抽象的判断への一方的な因果関係である。重い物を持つ(物理)と、問題が重要に思える(抽象)。温かい物に触れる(物理)と、他者が温かく思える(抽象)。この認知メカニズムは、我々の合理的な意思決定が、いかに判断内容と無関係な「偶発的な」身体感覚によって容易に歪められるかを示している。これは、法学、経済学、政治学における「合理的な意思決定者」というモデルに、根本的な再考を迫るものである。


第3部 時間の空間的構築と文化的差異

クエリのテーゼ(空間メタファーの使用)が人間の認知における普遍的な原理であるならば、それは文化を超えてどのように現れるのか。本セクションでは、最も遍在するメタファーであり、空間から時間への写像(マッピング)の典型例である 1 TIME IS SPACE(時間は空間である) に焦点を当て、その普遍性と、注目すべき文化的特異性を検証する。

3.1 標準モデル:英語圏の「未来は前方」

英語や日本語を含む世界の多くの言語において、時間は空間的な前後軸(FRONT-BACK)にマッピングされる。このマッピングには、主に二つのモデル(Ego-reference-point model)が存在する 17

  1. Moving Time(動く時間)モデル: 観察者(Ego)は静止しており、時間が「未来」からEgoに向かって流れ、「過去」へと過ぎ去っていく。(例:「来たるべき試験」「過ぎ去った日々」)
  2. Moving Ego(動く自我)モデル: 時間は静止した風景や道として存在し、観察者(Ego)がその中を「未来」に向かって進んでいく。(例:「我々は未来に向かっている」「困難な時期を乗り越えた」)

これらのモデルは異なるが、両者に共通するマッピング、すなわち「FUTURE IS IN FRONT OF EGO(未来は自我の前方)」および「PAST IS IN BACK OF EGO(過去は自我の後方)」というマッピングは、ほぼ普遍的な認知パターンであると考えられてきた 17。このマッピングの身体的基盤は、我々の身体が非対称であり、主に「前方」に知覚器官(目)が集中し、「前方」に移動(Locomotion)するという身体的経験にある。

3.2 逆転モデル:アイマラ語の「未来は背後」

この「未来は前方」という普遍的なパターンに対し、劇的な例外を提示したのが、南米アンデス高地(ボリビア、ペルー、チリ)の先住民族が用いるアイマラ語の研究である。

認知科学者のRafael NúñezとEvel Sweetserによる画期的な研究 (2006) は、アイマラ語話者が、他のほぼ全ての文化とは真逆の時間マッピングを持つことを、言語とジェスチャーの両面から実証した 17

  • 言語的証拠: アイマラ語では、過去を指す主要な単語が「前方」を意味する空間用語に由来する。逆に、未来を指す単語 qhipa は「背後」や「後ろ」を意味する 20。例えば、「未来の日」は qhipa uru、すなわち文字通り「背中の日」と表現される 20
  • ジェスチャーによる証拠: この言語的パターンは、会話中のジェスチャーによって強力に裏付けられた。Núñezが記録したインタビュー映像では、アイマラ語話者(高齢者)は、先祖や祖父母といった「過去」の出来事について話す際、腕を伸ばして前方の空間を繰り返し指し示した 21。対照的に、子孫や「未来」の世代について言及する際には、親指で背後(肩越し)を指すジェスチャーを用いた 21

この「逆転モデル」は、非合理的などでは決してない。それは、標準モデルとは異なる身体経験をマッピングの基盤として優先しているに過ぎない。アイマラ語話者にとっての認知的根拠は、「移動(Locomotion)」ではなく、「視覚(Vision)」である。

すなわち、「過去は既に起こったことであり、既知であり、自分の目の前に『見える』(in front of one’s eyes)1。一方で、「未来はまだ起こっておらず、未知であり、『見えない』(behind one’s back)20。この「既知=可視(前方)」、「未知=不可視(後方)」という、視覚に基づいた身体経験こそが、アイマラ語の時間マッピングの基盤となっている。

3.3 垂直モデル:中国語の「未来は下方」

時間の空間マッピングは、前後軸(水平軸)に限定されない。中国語(北京語)話者は、前後軸に加えて「垂直軸(VERTICALITY)」も用いて時間を概念化することが知られている 23

中国語では、先週を「週(shàng-zhōu)」、来週を「週(xià-zhōu)」と表現する 23。これは、時間の流れを「上(過去)」から「下(未来)」へとマッピングするものである(水が上から下に流れる、あるいは歴史が上から下へと書き記されるといった経験に基づくという説がある)。

時間の空間的マッピング:文化的比較

文化/言語時間軸過去 (PAST)未来 (FUTURE)身体的根拠(優先される経験)主要な研究(出典)
標準モデル
(英語, 日本語など)
前後軸 (Horizontal)後方 (IN BACK)前方 (IN FRONT)移動 (Locomotion)
(我々は前方に進む)
17
アイマラ語 (Aymara)前後軸 (Horizontal)前方 (IN FRONT)後方 (IN BACK)視覚 (Vision)
(過去は”既知/可視”,
未来は”未知/不可視”)
1
(Núñez & Sweetser)
中国語 (Mandarin)垂直軸 (Vertical)上方 (UP)下方 (DOWN)(諸説あり:例:水流、歴史の積み重ね)23

アイマラ語の事例 17 は、クエリのテーゼ(人間は空間メタファーを使う)を否定するものではない。むしろ、それを最も強力に裏付ける証拠である。なぜなら、アイマラ語話者もまた、「時間」という最も難解な抽象概念を理解するために、「空間」メタファーを使わざるを得ないからである。

彼らが他文化と異なるのは、マッピングの有無ではなく、マッピングの方向性だけである。この方向性の違いは、「身体経験の競合」——すなわち、どの身体経験(「移動」か「視覚」か)を、文化的な文脈の中で抽象概念の起点領域として優先的に選択するか——によって生じている。

このマッピングの可塑性は、スペイン語(標準モデル)の教育を受けた若い世代のアイマラ語話者が、未来について話す際に「前方」を指すジェスチャーを用いるようになりつつあるという報告 23 からも示唆されており、文化と言語が身体経験の解釈に深く介在することを示している。


第4部 脳科学的証拠:脳はどのように「空間」で考えるか

これまでの分析で、言語学、心理学、文化人類学が「思考の空間化」という現象を強力に支持していることが示された。しかし、これは依然として「比喩的な表現(a way of speaking)」に過ぎないのか、それとも脳の「物理的な動作原理(a way of processing)」なのか。本セクションでは、fMRI(機能的磁気共鳴画像法)25 をはじめとする神経科学の知見に基づき、抽象概念の処理が脳の「空間処理」領域を物理的に使用しているという証拠を検証する。

4.1 抽象概念処理の神経回路網

抽象概念と具体概念が脳内でどのように異なるかについては、多くの研究がなされてきた。

  • メタ分析によれば、抽象概念(例:truth, love)の処理は、具体概念(例:table, dog)の処理と比較して、下前頭回や中側頭回といった「言語システム」をより強く活性化させる傾向がある 26
  • 一方で、具体概念は、後部帯状回、楔前部、海馬傍回といった、心的イメージの生成に関わる「知覚システム」をより強く活性化させる 26

しかし、この二分法は単純すぎる可能性がある。近年の研究では、抽象概念(例:peace, justice)が脳内でどのような「意味の幾何学的配置(concept geometry)」27 を持つかをfMRIで調査した。その結果、単語の共起統計(Distributional Semantics)に基づく計算論的モデルと、**下頭頂皮質(Inferior Parietal Cortex)**における脳活動パターンとの間に有意な相関が見出された 28。下頭頂皮質は、空間認識、注意、身体イメージなど、空間的・身体的処理に深く関わる領域である。

4.2 空間認知の神経メカニズム:右脳優位性と島皮質

抽象概念の処理について見る前に、まず脳がいかに洗練された空間処理システムを備えているかを確認する必要がある。

ヒトの脳は、空間認知において顕著な「右脳優位性」を示す 29。左脳が主に「右空間」への注意に対応するのに対し、右脳は「右空間」と「左空間」の両方に対応している 29。このため、右脳を損傷すると、左側の空間を認識できなくなる「半側空間無視」という深刻な症状を引き起こすことが多い 29

この右脳優位性のメカニズムには、脳の「島皮質(Insular Cortex)」が深く関与していることが、高い時間分解能を持つ脳波(SPN)と、高い空間分解能を持つfMRI実験によって実証された 29。島皮質は、環境における重要な刺激(顕著な刺激)に注意を向ける「顕著性ネットワーク(Salience Network)」の中心領域であり、このネットワーク自体が右脳優位性を示す 29。この神経基盤の非対称性(例えば、フォンエコノモ神経(VEN)が右脳の島皮質に左脳より3割も多く存在するなど 29)が、我々の空間認知の基本的な枠組みを形作っている。

4.3 中核的知見:海馬における「ソーシャルスペース」のマッピング

本レポートのテーゼにとって最も決定的かつ強力な神経科学的証拠は、「社会的関係」という抽象概念の処理に関する近年の発見である。

伝統的に、脳の「海馬(Hippocampus)」は、物理的な空間におけるナビゲーションと記憶(エピソード記憶)を担う領域として知られてきた。動物(ラット)が特定の場所を通過する際に発火する「場所細胞」の発見以来、海馬は脳内の「GPS」として、物理空間の「認知地図(Cognitive Map)」を計算・保存する役割を担うと考えられてきた 30

しかし、Tavaresらによる画期的なfMRI研究は、海馬の役割が物理空間に限定されないことを明らかにした 30

  • 実験デザイン: 被験者はfMRIスキャナ内で、仮想のキャラクターと交流し、新しい家や仕事を見つけるというロールプレイングゲームを行った 30
  • 「ソーシャルスペース」の発見: 驚くべきことに、この実験中、海馬の活動は、被験者の物理的な移動ではなく、社会的関係を定義する二つの主要な抽象的次元、すなわち「パワー(Power:権威性)」と「アフィリエーション(Affiliation:親密さ)」によって構成される2次元の「ソーシャルスペース」における他者の位置を、正確に符号化していた 30
  • 社会的スキルとの相関: さらに、現実世界での社会的スキルが高いと自己報告した参加者ほど、海馬の活動と、この抽象的な「ソーシャルスペース」内での「移動」(例:キャラクターとの関係が親密になる、あるいは疎遠になる)との間の共分散が強かった 30

この研究 30 こそが、クエリのテーゼに対する最も強力な物理的証拠である。我々が「社会的地位が上(パワー)」や「彼とは距離がある(アフィリエーション)」といった空間メタファーを使うのは、単なる言葉のあやではない。それは、我々の脳(海馬)が、物理的空間ナビゲーションのために進化した計算メカニズムを文字通り「再利用」して、これらの抽象的な関係性をマッピングし、社会的なナビゲーションを行っているからである 9

これは、進化における「外適応(Exaptation)」(あるいは神経科学における「ニューラル・リサイクリング」)の典型例である。我々の脳は、「社会的関係モジュール」をゼロから進化させる代わりに、既存の「GPS(海馬)」をハッキングし、ソーシャルスペースをマッピングするために流用した。この進化的(あるいは脳発達的)な”節約”こそが、我々の抽象的思考が空間メタファーから逃れられない、根本的な神経科学的理由である。


第5部 応用と実践:設計された認知空間

人間の認知が空間と身体に深く根ざしているという事実は、情報を設計し、伝達し、学習する方法論、すなわちヒューマン・コンピュータ・インタラクション(HCI)、教育、人工知能(AI)といった実践領域に、 profound な影響を与える。

5.1 デジタルインターフェースにおける空間メタファー (UI/UX)

HCIの分野において、メタファーはユーザーが物理的世界で得た既存の知識を、未知のデジタル環境へと転移させるための不可欠なツールである 33。我々が「空間」で考えるという原理は、現代のグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)設計の根幹をなしている 34

  • 初期のメタファー(スキューモーフィズム): 初期のGUI、特にiPhoneの初期OS(iOS)は、物理的なオブジェクトの見た目や質感を忠実に模倣する「スキューモーフィズム」を多用した 37。メモアプリは黄色いリーガルパッドの質感を持ち、カメラアプリは物理的なシャッターボタンの見た目をしていた 37。これは、ユーザーが「タッチスクリーン」という新しい操作に習熟するため、現実世界のメタファー(例:虫眼鏡は拡大 38)によって直感的な操作を促すためであった。
  • 現代のメタファー(フラットデザイン): ユーザーがタッチ操作というデジタル空間の「物理法則」に習熟するにつれ、これらの装飾的なメタファーは、よりシンプルで機能的な「フラットデザイン」へと置き換えられた 37
  • 残存するメタファー: しかし、メタファーの認知的重要性は消滅していない。「ベル」のアイコンは(物理的なベルの音を連想させ)「通知」を示し、「ペン」のアイコンは(物理的な筆記具を連想させ)「編集」を示す 37。「フロッピーディスク」のアイコンは、その物理的実体がほぼ使われなくなったにもかかわらず、「保存」という抽象的な機能のメタファーとして(ただし、時代遅れになりつつも)機能し続けている 38

5.2 事例研究:ズーミングUI (ZUI) の約束と限界

空間メタファーが強力であるならば、インターフェース全体を「空間」として設計すれば、究極の直感性を実現できるのではないか。この思想に基づき、1990年代から「ズーミング・ユーザー・インターフェース(ZUI)」が研究されてきた 39

  • ZUIの概念: ZUIは、従来のウィンドウ、メニュー、フォルダといった階層構造 39 の代わりに、「無限の2次元空間」と「スケールの動的変更(ズーム)」を用いて情報を整理する 40
  • 認知的利点(期待): ZUIは、情報の論理的な階層構造を、直感的な「空間移動」として提示できる。カメラが「近づく(ズームイン)」なら詳細レベルへ、カメラが「離れる(ズームアウト)」なら上位レベル(概要)へ、といった空間的移動が、情報の全体像と部分の関係性を認知的にサポートすると期待された 41
  • 認知的課題(現実): しかし、ZUIの壮大なビジョン(例:ZoomWorld)は、一部のニッチな応用(例:Figma, Miroなどのキャンバス 39)を除き、主流とはならなかった 40
  • ZUIの限界: ZUI研究の第一人者であるBen Bedersonらは、その理由を「短期記憶への過度な負荷」にあると指摘する 42。人間は、物理的なデスクの上に全ての書類を際限なく広げたりはしない。なぜなら、どこに何があるかを見失うからだ 42。ZUIが提供する「無限の視覚的概要」は、実際にはユーザーに「空間内のどこに何があったか」を記憶し続ける重い認知負荷を強いる。結果として、複雑な視覚探索(スキャン)は、単純なハイパーリンクや検索機能よりも非効率であった 42

ZUIの失敗は、空間メタファーが万能ではないことを示す重要な事例である。我々の脳は「空間」で考える(第4部参照)が、それは我々が進化の過程で適応してきた「3次元物理空間」と、それに関連する「短期記憶の制約」42 に基づいている。ZUIが試みた「無限の2次元空間での情報ナビゲーション」は、我々の身体的・進化的基盤に適合しないタイプの空間であり、かえって認知負荷を増大させたのである。

5.3 教育におけるメタフォリカル・コンピテンス(MC)

応用認知言語学の知見は、外国語教育の現場にも応用されている。抽象的な語彙や文法の習得において、概念メタファーの理解は不可欠である 44

  • メタフォリカル・コンピテンス(MC): これは、「概念メタファーに基づいたメタファー表現を識別・理解・産出する能力」を指す 44
  • 指導法の比較: 中国人日本語学習者を対象とした研究では、従来の「暗記法」(単語と訳語を暗記する)と、概念メタファー理論(例:「重要は大きい、非重要は小さい」)を明示的に解説しながら指導する「認知法」の効果が比較された 44
  • 結果: 「認知法」で指導されたグループは、単なる暗記効果を保持するだけでなく、未習のメタファー表現の理解力においても、「暗記法」のグループより持続的な向上を示した 44。これは、メタファーの「根」にある概念(イメージスキーマ)を理解することが、外国語学習における流暢性やコミュニケーション能力の発達に重要であることを示している 44

5.4 AIとメタファーの壁 (NLP)

メタファーは人間の思考形成とコミュニケーションに不可欠であるため 45、人工知能による自然言語処理(NLP)にとっても、メタファーの理解は「聖杯」の一つとされてきた 46

  • LLMの限界: 近年の大規模言語モデル(LLM)は、文脈推論や知識統合において驚異的な能力を示す一方で、メタファーの根本的な理解においては深刻な限界を抱えている 47
  • 概念マッピングの失敗: ある研究では、LLMがメタファー表現(例:”fall in love”)を解釈する際、15〜25%の割合で、文字通りの意味(例:”drop down from love”)と誤解するなど、概念的に無関係な解釈を生成することが報告された 47。LLMは、メタファーの解釈において、文脈的な手がかりよりも訓練データ内の表層的な指標に依存し、構文的な異常には敏感だが、その背後にある概念構造の理解は欠如している 47
  • 根本的欠陥(身体性の欠如): なぜLLMは失敗するのか。それは、LLMが膨大なテキストデータから統計的な「共起」(どの単語がどの単語と共起しやすいか)45 を学習することはできても、メタファーの「起点領域」となる身体経験(重力、温度、空間、力)を一切持たないからである。
  • 子供の学習との対比: 人間の子供は、まず学習しやすい具体的な「空間」概念(例:高い/低い)を習得し、次にそれを足場(スキャフォールド)として利用して、学習しにくい抽象的な概念(例:音の「ピッチ」が高い/低い)へと単語の意味を拡張していく 48。空間メタファーは、子供の抽象概念の習得を助けるために不可欠な認知的足場である 48。LLMには、この「足場」自体が決定的に欠如している。

これは、現在のAI開発のアプローチ(巨大データによる統計処理)が直面する「ガラスの天井」を示唆している。「知性」が「身体」から切り離され得ると考えるデカルト的なアプローチでは、人間のメタファー的思考(=真の抽象思考)48 は永久に再現できない可能性がある。真のメタファー理解能力を持つ汎用人工知能(AGI)は、物理的な身体(あるいはその高忠実度シミュレーション)を持ち、空間、重力、温度といった物理法則と相互作用する「身体化されたエージェント」として設計される必要があるかもしれない。


第6部 理論的フロンティアと結論

本レポートで検証してきたテーゼ、すなわち「抽象概念は空間メタファーによって構造化される」というCMTの知見は、認知科学において支配的な地位を占めている。しかし、この理論は無批判に受け入れられているわけではなく、その限界と、より洗練されたモデルの必要性も指摘されている。本セクションでは、CMTへの主要な批判と、より動的な理論モデルを検討し、総括的な結論を導く。

6.1 CMTへの批判的検討:Vervaeke & Kennedy

Lakoff & JohnsonのCMT(特にDavid Ritchieらが擁護する強力なバージョン)49 に対し、Vervaeke & Kennedy (1996) らは、それが「還元主義(reductionism)」の危険性を孕んでいると批判した 49

  • 還元主義の危険性: CMTは、「抽象的思考の多くが身体化された経験からの比喩的投射に依存する」と主張する 49。しかしこれは、抽象的な事柄(例:議論)が、それよりも原始的で単純な材料(例:戦争)に還元されてしまう危険性を持つ。
  • ターゲットドメインの受動性への異議: CMTはしばしば、抽象的な目標領域(Target Domain: 例「議論」)を、具体的な起点領域(Source Domain: 例「戦争」)によって一方的に構造化される「受動的」なものとして描く。
  • 「ブランクスレート(白紙)」問題: Vervaeke & Kennedyは、この見方は誤りであり、目標領域は「白紙(blank slate)」ではないと主張する 49。我々が持つ「議論」に関する事前の(非メタファー的な)知識や理解が、どの起点領域(「戦争」か、「旅」か、「建物」か)が適切であるかを「能動的に」制約し、選択している 49。例えば、異なる身体的ソース(「I see your point」=視覚、「I grasp your point」=触覚)に基づく表現が、ほぼ同じ抽象的な意味(「理解」)に収斂するという事実は、ターゲットドメイン(理解)がメタファーに先立って独立した認知的構造を持っていなければ説明が困難である 49

彼らは、身体化された経験への一方的な依存に代わり、より高次の「認知的(cognitive)」な説明、すなわち手続き的知識や手続き的類似性 49 に基づくマッピングの制約を考慮に入れるべきだと提案している。

6.2 メタファーのグラデーション理論(Gradient Theory)

従来のCMTは、メタファーが「使われている」か「いない」か、あるいは「生きている(waking)」か「死んでいる(sleeping)」かという二元論に陥りがちであった。

これに対し、Müller (2008a) や Steen (2008) らが提唱する「動的ビュー(dynamic view)」や「グラデーション理論(Gradients Theory)」51 は、この二元論を克服しようとする。この見方では、メタファー性はON/OFFのスイッチではなく、連続的な「グラデーション」を持つ 52

多くのメタファーは、日常的な使用の中で「睡眠メタファー(sleeping metaphor)」として潜在的に存在する 51。しかし、特定の文脈的要因や、話し手の意図、あるいは注意のダイナミクスによって、そのメタファー性は「活性化(activated)」または「覚醒(waking)」し、その起源である起点領域のイメージ(例:「議論」を聞いて「戦争」のイメージ)が一時的に意識される 51。この動的なプロセスは、メタファーが文脈の中でいかに柔軟に機能するかを説明する、より洗練されたモデルを提供する。

6.3 総括的結論:空間に書き込まれた知性

本レポートは、ユーザー提示のテーゼ「人間は抽象概念を扱うとき、必ずといっていいほど“空間”のメタファーを使う」という知見が、認知言語学 1、実証心理学 13、文化人類学 17、そして神経科学 30 という、多岐にわたる学術領域からの証拠によって強力に支持されることを確認した。

我々の知性は、真空の中で生まれた抽象的な論理演算ではなく、重力に対抗して直立し、物理空間を移動し、他者の体温を感じ、物体の重さを測るという、具体的な身体経験によって深く規定されている。

  • 我々は、進化の過程で獲得した物理的空間ナビゲーション能力(海馬の認知地図)を、抽象的な「社会空間」を生き抜くためのツールとして「リサイクル」することで、複雑な社会を構築した 30
  • 我々は、幼児期に経験した物理的な「温かさ」を、「愛情」という抽象概念の基盤として「スキャフォールド」する 10
  • 我々が「時間」について思考する際、その思考は、前方へ「移動」するか 17、あるいは前方を「視る」か 20 という、いずれかの空間的・身体的スキーマに依存せざるを得ない。

この事実は、我々の知性が「空間」という具体的な足場から完全に自由にはなれないという「限界」を示すと同時に、我々の身体と環境がいかにリッチな思考の源泉であるかという「可能性」をも示している。

この人間の認知アーキテクチャへの深い理解は、単なる学術的探求に留まらない。それは、より直感的で認知負荷の低いテクノロジー(ZUIの失敗の教訓 42 を活かしたUI/UX)の設計、より効果的な教育法(メタフォリカル・コンピテンスの養成 44)、そして「身体性」という次のフロンティアを目指すAI開発 47 にとって、不可欠な羅針盤となるであろう。我々の知性は、空間に書き込まれているのである。

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