新世紀エヴァンゲリオンの題材・テーマ・メッセージ

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序論

アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』は、単なる画期的なアニメシリーズとしてだけでなく、20世紀後半の重要な文化的テキストとして位置づけられる。その今日に至るまでの影響力は、メカジャンルの脱構築的アプローチに加え、心理学、神学、そして実存主義哲学との深遠な関わり合いに由来する 1。本作は、テレビシリーズ、旧劇場版『Air/まごころを、君に』、そして『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズという複数のイテレーションを通じて、人間の条件(human condition)に対する一連の弁証法的探求として最も効果的に理解することができる。本稿では、これらの探求を四つの主要なセットに分解し、それぞれが「題材」、問いとして枠付けられた中心的な「テーマ」、そして回答として枠付けられた結論的な「メッセージ」から構成されるという分析的枠組みに従って論じる。分析にあたっては、作中で明示的に言及される「ヤマアラシのジレンマ」や、フロイト的な概念である「デストルドー」といったテキスト内外のヒントが示す通り、精神分析的かつ実存主義的なレンズが採用される 3。また、庵野秀明監督自身のうつ病との闘いという個人的経験が、作品の核となるメッセージを解釈する上で極めて重要な鍵となることも指摘しておく 5

セットI:自己と個人の実存という題材

題材:自己の脆弱性と意識の重荷

『エヴァンゲリオン』における「自己」という foundational conceptは、生来のものではなく、構築され、脆弱で、外部からの承認に依存するものとして確立される。この探求の主要な器として、主人公である碇シンジが位置づけられる。彼の内面状態は、壮大な物語が崩壊した世界におけるアイデンティティと目的についての、現代的、そしておそらくは(1995年という文脈において)特に日本的な不安を反映している 2。シンジの苦闘は単に個人的なものではなく、より広範な社会的倦怠の象徴なのである 11

テーマ(問い):「僕はここに居ても良いのだろうか?」

この問いは、テレビシリーズ最終話で明確に言語化されており、シンジの全アークにおけるテーマの中核をなす 12。彼の行動は、賞賛への渇望と拒絶への麻痺的な恐怖によって決定づけられる。彼がエヴァを操縦するのは英雄的使命感からではなく、父の承認を得るため、あるいは葛城ミサトを失望させないためである 13

精神分析的に見れば、シンジの精神は弱い自我によって定義される。彼は深刻な自己嫌悪(「僕は卑怯で、臆病で、ずるくて、弱虫で」)に苦しみ、自らの存在を他者への負担と見なしている 15。これは、幼少期のトラウマ、すなわち母の喪失とそれに続く父による遺棄の直接的な結果である 16。したがって彼のアイデンティティは「他者指向的」であり、他者の視線を通してのみ自己を理解することができる 16。これは、不安定な自己感覚として現れる、愛着関連トラウマの典型的な描写である 20。彼の絶え間ない「逃げちゃダメだ」という反芻は、勇気の表明ではなく、自らが認識する無価値さに対する呪文である。バルディエル(3号機)事件などで見られる彼の決断不能は、責任を負うことへの恐怖に起因する。いかなる否定的な結果も、彼の存在が間違いであるという信念を確固たるものにしてしまうからだ 21

メッセージ(回答):「君は、君がここに居たいと願うから、ここに居ても良いんだ」

物議を醸したテレビシリーズの最終2話は、この回答を非常に抽象的かつ治療的な形式で提示する 12。シンジは自身の精神世界(「人類補完計画」)の中で、自己の意識の断片として機能する他の登場人物たちと対峙する。彼らは、シンジが世界をどう認識するかは数ある可能性の一つに過ぎず、彼自身が自らの価値を定義する力を持っていることに気づかせる。登場人物たちからの「おめでとう」という祝福は、彼が内面的な承認、すなわち「ありがとう」という言葉に到達することを可能にする外部からの承認として機能する 12。これは知的で概念的なブレークスルーであった。

対照的に、旧劇場版『Air/まごころを、君に』は、シンジに同じ結論を抽象的な対話ではなく、完全な自我喪失という恐ろしい体験を通して到達させる。彼は当初、痛みから逃れるために他者のいない世界を望み、人類補完計画の引き金を引く 25。全ての境界が溶解したL.C.L.の海の中で、彼は他者のいない世界が自己のいない世界でもあることに気づく。なぜなら、アイデンティティとは差異化によって形成されるからである 19。A.T.フィールドを再生させるという彼の決断は、傷つく可能性のある現実を受け入れるという、痛みを伴う恐ろしい選択である。なぜなら、それこそが彼が「存在する」ことができる唯一の現実だからだ。彼はもはや他者の許可を必要としない。他者の存在と共に、彼自身の存在を意志の力で取り戻すのである。

このメッセージは、単なる受動的な自己受容ではない。それは能動的で実存的な選択である。テレビシリーズが「自分には価値があると信じることを選択できる」というテーゼを提供したのに対し、旧劇場版は「無痛の虚無よりも個としての実存の苦悩を選ぶ」という過酷な実践を提供した。テレビシリーズの抽象的な「対話療法」による解決策は、多くの視聴者から物語からの逃避と見なされ、不十分だと批判された 8。これに応える形で制作された旧劇場版では、シンジに彼の精神が渇望していた究極の「逃避」である補完計画を一度体験させ、その上でそれを自らの意志で拒絶させる 25。これにより、メッセージは単なる認知的なものから、より強力で獲得された実存的な回答へと昇華されたのである。

セットII:対人関係という題材

題材:人間関係のパラドックス(ヤマアラシのジレンマ)

本作における人間関係の中心的なメタファーは、第4話でミサトによって明確に名指しされる、ショーペンハウアーの「ヤマアラシのジレンマ」(独: Stachelschwein-Gleichnis)である 3。このジレンマは、親密さが必然的に痛みをもたらし、個人は孤立による凍えと近接による傷つきのどちらでもない「適切な距離」を絶えず交渉せざるを得ない、と仮定する。『エヴァンゲリオン』はこれを解決可能な問題としてではなく、人間的相互作用の根源的かつ悲劇的な状態として描いている。

テーマ(問い):「他者を傷つけず、また傷つけられることなく、いかにして人と繋がることができるのか?」

当初は使徒が用いる物理的障壁として提示されたA.T.フィールド(Absolute Terror Field)は、後に全ての生命が持つ、一つの自我を他から隔てる境界そのもの、すなわち「心の壁」であることが明かされる 19。その存在が個人を個人たらしめるが、同時に全ての誤解、孤独、対立の源泉でもある。

この問いは、作中の人間関係を通じて探求される。シンジとミサトの関係は、代理母、上司、そして潜在的な性的緊張が複雑に絡み合ったものである。シンジは母性を渇望するが、ミサト自身が傷つきすぎており、無条件のケアを提供できない。シンジの「ミサトさんは他人なんだから」という言葉は、避けられない失望の痛みを先取りするための防衛機制である 15。シンジとアスカの関係は、このジレンマの最も強力な実例である。二人とも深く傷つき、愛情を求めているが、それぞれの防衛機制(彼の受動的逃避、彼女の攻撃的自尊心)が真の繋がりを不可能にする。彼らが互いを絶えず傷つけ合うのは、まさに彼らなりの不器用な方法で近づこうとしているからに他ならない 2。レイとの関係は、彼女がシンジの母のクローンであり、リリスの魂の器であるというその根源的な性質によって、いかなる「正常な」関係もエディプス的な文脈の中に位置づけられる 2

人類補完計画は、この問いに対する究極的かつ病理的な「解決策」である。それは、個人を定義するA.T.フィールドそのものを消滅させることによって、繋がりの痛みを根絶しようと試みる。その目標は完全な共感と一体性の状態であるが、それは自己という代償を払って得られるものである 16

メッセージ(回答):「痛みは、繋がりにとって不可分かつ必要不可欠な構成要素である」

旧劇場版におけるシンジの最終決断が、この問いへの究極的な回答となる。彼はA.T.フィールドを再生させることを選び、意図的に孤独、誤解、そして計り知れない痛みの可能性を世界に再導入する 26。彼は、他者によって傷つけられるリスクこそが、他者を持つことの代償であると受け入れるのである。

悪名高いラストシーンは、このメッセージの残酷で詩的なテーゼである。シンジとアスカは荒廃した世界の浜辺に二人きりである。彼の最初の行動は彼女の首を絞めることであり、それは彼の恐怖と混乱の表現である。それに対する彼女の反応—頬への愛撫と、それに続く「気持ち悪い」という一言—は、単純な拒絶ではない。それは、彼らの分離性の肯定である。彼らは互いを傷つけ、慰め、判断することができる、二つの別個の、独立した意識なのだ。「気持ち悪さ」とは、二つの分離した自己が触れ合う際の摩擦である。それは痛みを伴い、醜いが、しかし本物である。それは、人類補完計画の沈黙した、特徴のない一体性とは対極にある 32。関係は調和からではなく、他者性の生の、「気持ち悪い」現実から始まるのである 32

このA.T.フィールドは、ジャック・ラカンの精神分析理論を文字通り具現化したものとして機能する。ラカンの「鏡像段階」理論は、幼児が鏡に映った自己の姿を認識することによって、初めて統一された「私」を確立すると説く。これは、内的な経験と自己の外的イメージとの間に根源的な分離を生み出す 19。A.T.フィールドとは、まさにこの分離を創り出す「心の壁」であり、「私」を「私でないもの」(他者)から区別する。人類補完計画はこのフィールドを溶解させ、人類をL.C.L.という原初のスープ、すなわち個々の意識なき一体性の状態へと回帰させる。これは「自己」も「他者」も存在しない、鏡像段階以前の存在状態に類似する。L.C.L.の海の中でシンジが「他者のいない世界では、自己も存在し得ない」と悟る場面は 19、主体が他者との関係性および差異性を通じて構成されるというラカン派の原理を直接的に表現している。したがって、彼がA.T.フィールドを再生させるという選択は、言語、分離、そして欲望の世界である「象徴界」へと再参入する選択であり、そこでは痛みが可能であると同時に、アイデンティティもまた可能となるのである。

セットIII:親子という元型

題材:エディプス的葛藤と無条件の愛の探求

本作の深層構造は、精神分析的な家族ドラマとして分析できる。使徒との戦いは、碇家内部の核心的葛藤に従属する。物語全体が、失われた妻ユイとの再会を願う父ゲンドウの欲望と、自身を捨てた父からの承認を求めるシンジの絶望的かつ両義的な探求によって駆動されている 13。この力学は、歪められてはいるが、明確なエディプス・コンプレックスの表象である 18

テーマ(問い):「いかにして父を乗り越え、母からの自立を達成するのか?」

碇ゲンドウは単に距離のある父親なのではなく、心理的なブラックホールである。彼は息子を人格としてではなく、自身の「人類補完計画」のための道具としてしか見ていない。そしてその計画自体、SEELEの計画を利己的に歪曲したものであり、その目的はただユイと再会することにある 40。彼の冷酷さは、彼自身の弱さと繋がりへの恐怖の投影である 43。シンジの葛藤は、この圧倒的で拒絶的な父性という力に対して自己を定義することにある。

一方、碇ユイは受動的な犠牲者ではない。彼女の魂はエヴァ初号機に吸収されており、エヴァは文字通り母体の延長となる 33。シンジがエヴァを操縦する時、彼は神経的、精神的に母と融合している。シンジを守るためにエヴァが暴走する状態は、この根源的な母性本能の発露である 46。しかし、これは同時に罠でもある。エヴァの内部で安全であることは、子宮のような状態への退行であり、個性化の挑戦からの逃避を意味する。自立は「ロボットから降りる」こと、すなわち母からの象徴的な分離を要求する 16。綾波レイの存在は、ユイのクローンであることから、シンジの置き換えられたエディプス的欲望の直接的な対象となる 2。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』で彼女を救おうとする彼の衝動は、母なる人物を救出しようとする必死の試みであり、ニアサードインパクトという破滅的な結果を招く 13。これは、未解決の親への執着が持つ破壊的な性質を浮き彫りにしている。

メッセージ(回答):「成熟とは、父殺しや拒絶によってではなく、共感と対話を通じて達成される」

旧劇場版におけるこの葛藤の解決は悲劇的である。ゲンドウは初号機(ユイ)の幻影に喰われ、再会を拒絶され、その罪を断罪される 17。シンジはユイとレイの母性的な魂に導かれ、父の世界と補完計画という偽りの救済を拒絶する。ユイ(初号機)が人類の永遠の記念碑として宇宙を漂流するにつれて、彼は母から分離する 47。これは、過激な分離と両親の遺産の拒絶を通じた一種の成熟である。

対照的に、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は、全く異なる、より治療的な回答を提示する。クライマックスは宇宙的な戦闘ではなく、形而上学的な空間における父と子の対話である 43。大人になったシンジは対話を強要し、「父さんのことを知りたい」と告げる 43。この行為が連鎖を断ち切る。ゲンドウは自らの弱さ、恐怖、そして孤独を告白し、彼とシンジがいかに「似た者同士」であるかを明らかにする 32。この共有された脆弱性を通じて、彼らは相互理解に達する。ゲンドウはシンジを救うために自己を犠牲にし、真の父性による最後の行為を成し遂げる。これにより、シンジは適切に母に別れを告げることが可能になる。これは共感を通じた成熟である。

メッセージは、欠陥のある親の世界を拒絶することによって親を乗り越えるという悲劇的で古典的なモデルから、親自身を欠陥のある個人として理解することによって成熟を見出すという現代的で心理学的なモデルへと進化した。これにより、受け継がれたトラウマの連鎖から自らを解放するのである。この物語構造は、庵野監督自身の創作物とその観客との関係性に関するアレゴリーとしても解釈できる。ゲンドウが自身の目的(ユイとの再会)のために「子供」(作品/シンジ)を利用する創造主を象徴する一方で 42、シンジは創造主の意図の重圧の下で苦しみ、自らの意味を見出そうとする作品そのものと観客の両方を表している 27。『シン・エヴァンゲリオン』の結末で、シンジが連鎖から解放され「エヴァの無い世界」を創造する場面は、庵野監督が最終的にフランチャイズを手放し、創造物/観客(シンジ)を解放して新しい現実へと歩ませるという、メタ物語的な和解として読み解くことができる。

セットIV:人類の目的という題材

題材:欠陥のある人間という条件と神格化への誘惑

本セクションでは、シリーズの壮大な形而上学的対立を扱う。使徒との戦いは、「生命の種」であるアダムとリリスから生じた二つの分岐した進化経路間の惑星支配を巡る闘争として枠付けられる 33。リリスから生まれた人類(リリン)は「知恵の実」(知性、文化、科学、しかし同時に孤独と死すべき運命)を持つ。アダムから生まれた使徒は「生命の実」(S²機関による不死、純粋な力、しかし単独の存在)を持つ 35。これは、人間存在そのものの性質と価値についての根源的な問いを提起する。

テーマ(問い):「人類に固有の不完全さは、補完され、完璧で統一された全体となるべき欠陥なのか?」

秘密結社SEELEが構想する人類補完計画は、このテーマの究極的な表現である。彼らは、人類の個性(A.T.フィールドによって定義される)を全ての苦しみの源泉と見なす。彼らの目標は、全ての人間の魂を単一の神のような存在へと融合させることで人工的な進化を強制し、それによって彼らの不完全さを「補完」し、全ての争いを終わらせることである 4。これは、個としての実存という物質世界を、精神が脱出すべき欠陥のある牢獄と見なすグノーシス主義的信念を反映している。SEELEの動機が哲学的・準宗教的であるのに対し、ゲンドウの動機は純粋に自己愛的・個人的である。彼は人類を救うためではなく、彼自身の存在を承認してくれた唯一の人物であるユイとの再会を強いるために、自らが神となるべく計画を乗っ取る 40

使徒は、他者を必要としない、自己完結した完全な存在という、もう一つの「完璧さ」の形を提示する。彼らがアダム/リリスに到達しようとする試みは、進化の時計をリセットし地球を取り戻そうとする本能的な衝動である 50。彼らの存在は常に問いを投げかける:我々の生き方は、その全ての痛みを伴って、本当に優れているのか? 2

メッセージ(回答):「生命の意味は、誕生、死、そして不完全な個人の葛藤というサイクルの中に見出される」

シンジによる補完計画の拒絶を通じて伝えられる究極のメッセージは、人間という条件そのものに対する力強い肯定である。彼は、無痛だが無意味な神性よりも、個人、痛みと喜び、繋がりと喪失の世界を選択する 16。シリーズのタイトルそのもの—『新世紀エヴァンゲリオン』(「新しい始まりの福音」)—が、この瞬間に成就される。「新しい始まり」とは、新たな生命形態への超越ではなく、その価値への新たな認識を携えて、古い生命形態へと回帰することなのである。

最終作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』はこのメッセージをさらに明確にする。シンジは自らの力を、完璧な世界を創造するためではなく、「ネオンジェネシス」—エヴァンゲリオンも使徒もインパクトの脅威もない世界—を創造するために用いる。それは、登場人物たちが成長し、年を重ね、普通の生活を送ることができる、正常性へと回帰した世界である 13。最後のショットが現実世界の駅であることは、目標が常に、ファンタジーや神格化による逃避ではなく、現実の中に意味を見出すことであったという決定的な声明である 24

人類と使徒の対立は、実は見せかけの二項対立である。真の敵は、SEELE、ゲンドウ、そして当初のシンジの中に存在する、人間という条件そのものから逃避したいという欲望である。使徒は、この内なる葛藤を表面化させる触媒に過ぎない。使徒の目的(始祖と再会し生命をリセットする)とSEELE/ゲンドウの目的(人類を単一の存在に統合する)は、構造的に類似している。両者とも、分離した個人の現在の現実を消去し、統一された状態を志向する 35。シンジの最終決戦は使徒に対してではなく、レイ/リリス/アダムの融合体が彼に提示した補完計画という誘惑に対するものである 25。したがって、このシリーズは人類が生き残れるかどうかではなく、その現在の形で生き残るに値するか、あるいは生き残りたいと願うべきかどうかを問うているのである。

特徴SEELEの人類補完計画碇ゲンドウのアダム/エヴァ融合計画
根底にある哲学グノーシス主義的。個性は欠陥であり、苦しみの源泉。人類は補完されるべき不完全な集合体である。唯我論的。ユイとの関係のみが意味を持つ。他の人類は目的達成のための手段に過ぎない。
最終目標単一で完全な神的存在への強制的進化。痛み、孤独、個人意識の終焉。停滞したユートピア。個人的な神格化。アダムとリリスと融合し、現実を支配し、ユイの魂と再会すること。
人類観同意の有無に関わらず、自己から「救済」されるべき欠陥のある種。完成されるべき集合体。障害であり、資源。失ったものを取り戻すための個人的シナリオにおける駒。
碇シンジの役割サードインパクトに不可欠なトリガー。予め定められた儀式における重要な構成要素。決定的だが使い捨て可能な道具。儀式のために初号機が必要な性能を発揮するよう、精神的に破壊されるべき心理的な駒。
典拠1613

結論

本稿で分析した四つの核となるメッセージは相互に連関している。個としての自己の受容(セットI)が、他者との痛みを伴う繋がりを受容することを可能にし(セットII)、この成熟は親の失敗を理解し乗り越えることによって達成される(セットIII)。この個人的な旅路全体が、停滞した統一的完成よりも、欠陥のある循環的な実存を人類が集合的に選択するミクロコズムとなっている(セットIV)。

結論として、『新世紀エヴァンゲリオン』は、その終末論的なイメージ、複雑な伝承、そして遍在する絶望感にもかかわらず、最終的には深くヒューマニスティックな作品である。全ての結末を通じて一貫しているその最終的なメッセージは、ありのままの生—他の分離した個人が存在する世界における、分離した意識ある個人としての生—の深遠な価値を擁護するものである。意味とは、逃避や超越の中に見出されるのではなく、繋がり、理解し、そして耐え忍ぶという、困難で、痛みを伴い、そして美しい葛藤の中に見出されると、本作は仮定している。それは、それ自身の苦悶に満ちたやり方で奏でられる「人間讃歌」なのである 32

引用文献

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  5. なぜエヴァンゲリオンの庵野秀明は自殺しようとしたのか? – ひたすら映画を観まくるブログ https://type-r.hatenablog.com/entry/20150411
  6. 「シン・エヴァンゲリオン」でのシンジのうつ回復プロセスは正しいのか、専門家に聞いてみた https://dime.jp/genre/1150155/
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  48. いまさらわかる新世紀エヴァンゲリオン㉝劇場版第26話『まごころを、君に』Part.2(終) – note https://note.com/dddrill/n/n98ff28dfd3c6
  49. 【考察】シン・エヴァで伝えたかったことを考えてみた【ネタバレあり】 – note https://note.com/tama_nattsu/n/n218f453fca76
  50. 使徒 (新世紀エヴァンゲリオン) – Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%BF%E5%BE%92_(%E6%96%B0%E4%B8%96%E7%B4%80%E3%82%A8%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%B3)
  51. 新世紀エヴァンゲリオンの用語一覧 – Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E4%B8%96%E7%B4%80%E3%82%A8%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%81%AE%E7%94%A8%E8%AA%9E%E4%B8%80%E8%A6%A7
  52. 【全使徒13種】新劇場版エヴァの使徒の正体と役割、インパクトとの関係を解説・考察 – YouTube https://www.youtube.com/watch?v=y7-G99oJN8w
  53. いまさらわかる新世紀エヴァンゲリオン㉚劇場版第26話『まごころを、君に』Part.1 – note https://note.com/dddrill/n/n6f5077d22222
  54. エヴァンゲリオンにおける使徒とは何だったのか – 北村正裕 http://masahirokitamura.my.coocan.jp/eva-sito.htm
  55. 【衝撃の伏線回収】シンエヴァンゲリオンで回収されたメインキャラの伏線を解説考察 – YouTube https://www.youtube.com/watch?v=EE_Z6KB4TLM
  56. エヴァンゲリオン解説その10:人類補完計画まとめの巻 – 音楽図鑑 – 近況報告 https://harnoncourt.hatenablog.com/entry/20061021/p1