はじめに
パーソナルコンピュータ(PC)は、現代のビジネスおよび個人の生活において不可欠なツールであり続けています。PC上でどのようなアプリケーションが最も利用されているかを理解することは、市場動向、ユーザー行動、および技術的依存性を把握する上で重要です。「最も利用される」という定義は、インストール数、アクティブユーザー数、利用時間、市場シェア(収益ベース)など、複数の指標によって変動するため、本レポートではこれらの側面を考慮し、多角的な視点から分析を行います。特に、世界的な傾向と日本国内の状況を比較し、主要なアプリケーションカテゴリにおける利用状況を明らかにします。
分析手法と定義
本レポートでは、「最も利用されるPCアプリケーション」を特定するために、以下の指標と定義を用います。
- 市場シェア: 特定のカテゴリ(OS、ブラウザ、オフィススイートなど)におけるベンダーまたは製品の相対的な普及度を示します。主に、調査会社による市場調査レポートや販売データ(POSデータなど)に基づきます 1。
- アクティブユーザー数: 特定の期間(月間アクティブユーザー:MAU、日間アクティブユーザー:DAU)にアプリケーションを実際に利用したユーザーの数を示します 3。
- 利用時間: ユーザーが特定のアプリケーションまたはデバイスカテゴリに費やす時間を示します 5。
これらの指標は、アプリケーションの「利用」の異なる側面を捉えるため、総合的に評価することが重要です。データは、公開されている市場調査レポート、統計データ、業界分析などを基に収集・分析されました。分析対象は、グローバル市場全体と日本市場に焦点を当てています。
グローバルPCアプリケーションの利用状況
世界的に見て、PC利用の中心となるアプリケーションカテゴリは明確です。OS、Webブラウザ、オフィススイート、コミュニケーションツールが基盤となり、その上に多様な専門アプリケーションが利用されています。
オペレーティングシステム(OS)
デスクトップおよびラップトップPC市場においては、Microsoft Windowsが圧倒的なシェアを維持しています。2025年3月時点のデータによると、Windowsのシェアは約71%に達し、次いでAppleのmacOSが約16%となっています 10。Linux(デスクトップ向け)やGoogleのChromeOSも一定のシェアを持っていますが、Windowsの優位性は揺らいでいません 10。
Windows内部では、バージョン間の移行が進んでいます。2023年時点ではWindows 10が依然として主流(約71%)でしたが 11、2025年3月にはWindows 11のシェアが約43%まで上昇し、Windows 10(約54%)に迫っています 12。これは、Windows 11への移行が進んでいること、およびWindows 10のサポート終了(2025年予定)に向けた動きを反映していると考えられます 13。
デバイス全体(スマートフォン、タブレット含む)で見ると、Androidが最大のシェア(約46%)を持ち、次いでWindows(約25%)、iOS(約18%)、macOS(約6%)となります 10。これは、モバイルデバイスの普及がOS全体のシェア構成に大きな影響を与えていることを示しています。
Webブラウザ
PC利用における中心的なアクティビティの一つがWebブラウジングであり、Webブラウザは最も頻繁に利用されるアプリケーションの一つです。グローバル市場では、Google Chromeが圧倒的なリーダーであり、デスクトップブラウザ市場において約65%から68%のシェアを占めています 14。次いでAppleのSafariが約17%、Microsoft Edgeが約5%、Mozilla Firefoxが約2.5%と続きます 15。Chromeの成功は、その速度、シンプルさ、拡張性、そしてGoogleエコシステムとの連携によるものと考えられます 14。
オフィススイート・生産性向上ソフトウェア
文書作成、表計算、プレゼンテーション作成などの機能を提供するオフィススイートは、ビジネスおよび個人利用の両方で不可欠なツールです。この市場は主に、Microsoft 365(旧Office 365)とGoogle Workspace(旧G Suite)によって二分されています。
市場シェアに関するデータにはばらつきが見られますが、多くの調査でMicrosoft 365が収益ベースや大企業セグメントで優位に立っていることが示唆されています 17。一方で、ユーザー数ベースではGoogle Workspaceが30億人以上のユーザーを抱え、Microsoft 365の約2.7億人(2022年時点)を大きく上回るとの報告もあります 4。別の調査では、両者の市場シェアは拮抗しており、Google Apps(Workspaceを含む)が約50%、Microsoft 365が約45%を占めるとされています 4。
個別のアプリケーションとしては、Microsoft Excel(表計算)とMicrosoft PowerPoint(プレゼンテーション)が依然として各分野で標準的なツールとして広く認識されています 14。クラウドベースのオフィススイート市場は急速に成長しており、2026年には507億米ドルに達すると予測されています 19。Software as a Service(SaaS)市場全体の中でも、オフィススイートを含む生産性向上ソフトウェアは重要な位置を占めています 20。
コミュニケーションツール
メール、チャット、ビデオ会議などのコミュニケーションツールは、特にリモートワークの普及に伴い、利用が急増しています。
- メールクライアント: WebベースのメールサービスとしてはGmailが非常に人気が高く、そのシンプルさと効率的なスパムフィルターが長年の成功要因とされています 14。ビジネス用途ではMicrosoft Outlook(Microsoft 365の一部)も広く利用されています。
- ビジネスチャット・コラボレーション: Microsoft Teamsは、特にMicrosoftエコシステムを利用する企業において広く普及しており、2024年には3億2000万人のユーザーがいると報告されています 7。Slackも人気が高く、2023年には月間アクティブユーザー(MAU)が約5410万人、日間アクティブユーザー(DAU)が約3220万人に達し、ユーザーは1日に平均90分以上アクティブに利用しているとされます 5。Zoomはビデオ会議に特化し、2024年時点で3億人のDAUを報告しており、依然として高い人気を誇ります 6。
- メッセージングアプリ: グローバルではWhatsAppが月間20億人以上のアクティブユーザーを抱え、最も人気のあるメッセージングアプリとなっています 9。Facebook Messengerも約9.8億MAUと高い利用率です 9。これらのアプリは主にモバイルで利用されますが、PC版も提供されており、クロスプラットフォームでのコミュニケーションを支えています。
セキュリティソフトウェア
サイバー脅威の増加に伴い、アンチウイルス/アンチマルウェアソフトウェアを含むセキュリティソフトウェアの重要性は高まる一方です。世界的なサイバーセキュリティ市場は2022年に約1500億米ドル規模であり、2028年には約2740億米ドルに達すると予測されています 22。アンチウイルスソフトウェア市場自体も成長が見込まれ、2024年の約49億米ドルから2037年には約130億米ドルに拡大すると予測されています 23。
この市場は、PC向けとモバイル向け、個人向けと法人向けに分かれています 23。クラウドコンピューティングやIoTデバイスの普及が、より高度な保護ソリューションへの需要を後押ししています 23。主要なグローバルベンダーには、NortonLifeLock(旧Symantec)、McAfee、Microsoft(Defenderなど)、Trend Micro、Kasperskyなどが含まれます 1。
その他のカテゴリ
- クリエイティブソフトウェア: グラフィックデザインではAdobe Photoshop、ベクター編集ではAdobe Illustratorが長年にわたり標準的なツールとして利用されています 14。ユーザーインターフェース(UI)デザイン分野では、クラウドベースで共同作業が可能なFigmaが急速にシェアを拡大しています 14。ビデオ編集分野ではAdobe Premiere Proがプロフェッショナル市場で広く使われています 27。
- ゲーミング: PCゲームの配信プラットフォームとしてはSteamが支配的であり、膨大な数のゲームカタログと多数のアクティブユーザーを抱えています(2021年時点でMAU 1.32億人、DAU 6900万人)3。人気ゲームにはPUBG: BATTLEGROUNDS、Counter-Strike 2、Dota 2などがあります 3。
日本のPCアプリケーション利用状況
日本のPCアプリケーション市場は、グローバルなトレンドを反映しつつも、独自の利用パターンや有力な国内ベンダーが存在する点で特徴づけられます。
オペレーティングシステム(OS)
グローバルと同様に、日本のデスクトップ/ラップトップPC市場でもWindowsが支配的なシェアを占めています 10。macOSも一定の存在感を示しています。
Webブラウザ
日本のブラウザ市場シェア(全デバイス合計、2025年3月時点)では、Google Chromeが約57%で首位ですが、グローバル市場ほどの圧倒的な差はありません 29。特筆すべきは、Safariが約25%と高いシェアを持っている点です 29。これは、日本におけるiPhoneの高い普及率(モバイルブラウザでSafariが約48%のシェア 30)が影響しています。デスクトップ市場に限定すると、Chromeのシェアは約67%と高まりますが、Microsoft Edgeが約19%と、グローバル(約5%)と比較して非常に高いシェアを占めている点が特徴的です 31。Firefoxは約6%、Safariは約5%と続きます 31。
このデータは、日本市場においては、モバイル(特にiOS/Safari)の影響力が全体のブラウザシェア統計に強く反映されること、そしてデスクトップ環境においては、Windows標準搭載であるEdgeがグローバル市場以上に利用されている実態を示唆しています。企業環境での標準ブラウザとしての採用や、個人ユーザーにおけるデフォルト設定からの移行が進んでいない可能性などが考えられます。
オフィススイート・生産性向上ソフトウェア
日本のオフィススイート市場も、Microsoft 365とGoogle Workspaceが主要プレイヤーですが、そのシェア関係については情報源によって見解が分かれます。一部のデータでは、Google Workspaceが日本市場で高いシェア(60%以上、あるいは80%以上との記述も)を持つとされています 17。これは、特定の調査方法や対象セグメント(例:Webサイトでの利用技術判定など)に基づいている可能性があります。
一方で、企業規模別の調査では、Microsoftシリーズ(M365含む)が全企業規模でトップシェア(全体で約25%)であり、特に大企業(従業員1000人以上)では35.5%と圧倒的なシェアを持つとのデータもあります 2。Google Workspaceは全体で約9%のシェアとされています 2。また、別の調査(2020年)では、Microsoft 365が40.5%、Google Workspaceが9.5%のシェアであったと報告されています 33。
この食い違いは、調査対象(企業規模、業種)、調査手法(収益ベース、ユーザー数ベース、特定機能の利用率)、そして「Microsoftシリーズ」の定義(M365だけでなく旧バージョンのOfficeを含むかなど)の違いによるものと考えられます。しかし、いずれのデータを見ても、MicrosoftとGoogleが二大勢力であることは共通しています。
さらに、日本市場では、KingsoftのWPS OfficeやオープンソースのLibreOfficeといった代替オフィススイートも一定の利用が見られます 34。特にWPS Officeは、価格の手頃さから個人ユーザーや一部企業で採用されています 35。
ユーザー満足度の観点からは、Microsoft 365ユーザーはWordやExcelといった使い慣れたOfficeツールへの満足度が高く、Google WorkspaceユーザーはGmailやGoogleカレンダーといった個人利用でも馴染みのあるインターフェースや、チャット・Web会議機能への満足度が高い傾向が見られます 36。これは、既存のスキルセットや情報資産、あるいはプライベートでの利用経験が、ビジネスツールの選択や評価に影響を与えていることを示唆しています。
コミュニケーションツール
日本のコミュニケーションツール市場は、グローバル市場とは大きく異なる様相を呈しています。
- メッセージングアプリ: LINEが圧倒的な存在感を持ち、月間アクティブユーザー数は9700万人に達し、日本の人口の約78%以上をカバーしています 37。個人間のコミュニケーションにおいては、WhatsAppやFacebook Messengerよりもはるかに広く利用されており 9、日常生活に不可欠なインフラとなっています。企業アカウントも300万以上存在し 37、ビジネスコミュニケーションにも利用されています。
- ビジネスチャット・コラボレーション: グローバルで人気のSlack、Microsoft Teams、Zoomも日本で利用されています。Slackは日本を重要な市場と位置づけており、トラフィック量では米国、ケニアに次ぐ3位となっています 5。Microsoft Teamsは、Microsoft 365の普及に伴い、特に企業での利用が進んでいます 40。ZoomもWeb会議ツールとして広く認知されています 42。シェアに関する具体的な数値は情報源によって異なりますが、導入企業数ではTeamsが多く 41、Slackも活発に利用されています 5。
日本市場特有の現象として、グローバルスタンダードであるWhatsAppやMessengerの普及率が相対的に低いことが挙げられます 9。これは、LINEが早期に普及し、強力なネットワーク効果(周囲の人が使っているから自分も使う)を確立したためと考えられます。この状況は、日本市場でビジネスを行う企業や、日本人とコミュニケーションを取る必要がある人々にとって、LINEへの対応が不可欠であることを意味します。単にグローバルで成功しているツールであっても、日本特有の利用習慣やネットワークを無視できないことを示しています。
表1: 主要コミュニケーションツールの利用指標(日本市場中心)
| ツール | 主要指標(日本市場) | 主な用途 | 特記事項/出典例 |
| LINE | MAU 9700万人超、人口カバー率78%超 37、お気に入りSNS率上位 9 | 個人間メッセージング(主)、ビジネス | 日本で圧倒的No.1、企業アカウント多数 37、全年代で利用 43 |
| Slack | グローバルMAU 5410万人 (2023) 5、日本は重要市場(トラフィック3位)5 | ビジネスチャット、コラボレーション | アクティブ利用時間長い 5、連携ツール豊富 40 |
| Microsoft Teams | グローバルユーザー数 3.2億人 (2024) 7、日本での導入企業数多い 41 | ビジネスチャット、Web会議、コラボレーション | M365との連携強い 40、無料プランのWeb会議制限あり 40 |
| Zoom | グローバルDAU 3億人 (2024) 6 | Web会議 | ビデオ会議ツールとして高い認知度 |
| WhatsApp/Messenger | グローバルMAUは巨大だが、日本での普及率は限定的 9 | メッセージング | 日本ではLINEが主流のため、利用者は限定的 |
セキュリティソフトウェア
日本のセキュリティソフトウェア市場も活発であり、グローバル市場で3位の規模(2022年時点で約85億米ドル)を持っています 22。個人向け市場(特に家電量販店などのPOSデータに基づくランキング)では、長年にわたりNortonLifeLock(旧Symantec)とTrend Microがトップ争いを繰り広げています 1。BCN AWARDのデータを見ると、年によって首位は入れ替わるものの、この2社が市場をリードし続けていることがわかります 1。Sourcenextも常に上位にランクインしており、近年ではCanon Marketing Japan(ESET製品の販売代理店)も存在感を増しています 1。Trend Microは、BCN AWARDでの連続受賞をアピールしています 44。
ただし、これらのPOSデータに基づくランキングは、主に個人消費者やSOHO(Small Office/Home Office)市場の動向を反映している可能性が高い点に注意が必要です。企業向けのセキュリティソリューション市場では、Microsoft(Microsoft Defender、Microsoft 365に含まれるセキュリティ機能)、Palo Alto Networks、CrowdStrikeといった、小売チャネルでは目立たないベンダーも重要な役割を果たしています 26。NortonLifeLockとTrend Microが数十年にわたり個人向け市場でトップを維持している事実は 1、強力なブランド認知度、チャネル戦略、そして既存ユーザーの乗り換え障壁の高さを示唆しており、新規参入プレイヤーがこのセグメントでシェアを獲得することの難しさを物語っています。
表2: セキュリティソフトウェアベンダーシェアランキング(日本 – BCN AWARD、個人向け市場中心)
| 年(BCN AWARD) | 1位ベンダー(シェア率) | 2位ベンダー(シェア率) | 3位ベンダー(シェア率) |
| 2025 | ノートンライフロック (43.0%) | トレンドマイクロ (28.4%) | ソースネクスト (11.0%) |
| 2024 | トレンドマイクロ (36.5%) | ノートンライフロック (29.9%) | キヤノンMJ (13.9%) |
| 2023 | トレンドマイクロ (33.7%) | ノートンライフロック (33.4%) | キヤノンMJ (14.5%) |
| 2022 | ノートンライフロック (34.0%) | トレンドマイクロ (31.2%) | ソースネクスト (11.7%) |
| 2021 | トレンドマイクロ (44.7%) | ノートンライフロック (18.6%) | ソースネクスト (14.8%) |
| … | … | … | … |
出典: 1 (主要データ)44 (文脈)
ビジネスソフトウェア(日本市場特化)
日本のビジネスソフトウェア市場では、グローバルリーダーと強力な国内ベンダーが共存し、独自の生態系を形成しています。
- クラウド会計ソフト: 特に個人事業主や中小企業向け市場では、弥生(やよい)が圧倒的なシェア(約57%)を誇り、次いでfreee(約21%)、マネーフォワード(約15%)となっています 46。依然としてExcelや手書きで会計処理を行っている層も多く存在します 47。これは、日本の複雑な税制や商習慣に対応したローカライズの重要性を示しています。
- CRM (顧客関係管理): グローバルリーダーであるSalesforceは日本市場でもNo.1 CRMとして認知されています 48。これは世界的な傾向とも一致します 49。しかし、国内のランキングや導入事例では、Sansan(名刺管理連携)やサイボウズのkintone(業務アプリ開発プラットフォーム)といった国内プレイヤーも非常に高い評価と利用率を得ています 51。グローバルではMicrosoftやOracleも上位に位置します 49。
- ERP (統合基幹業務システム): 大企業向けではグローバルスタンダードであるSAP(SAPジャパン経由)やOracle(日本オラクル経由)が強い影響力を持っています 52。しかし、特に中堅・中小企業(SME)市場においては、大塚商会の「SMILEシリーズ」や富士通の「GLOVIAシリーズ」といった国産ERPが非常に高いシェアを維持しています 53。国内ERP市場はデジタルトランスフォーメーション(DX)の需要に後押しされ、成長を続けています 54。
- グループウェア: オフィススイートの項で触れたように、Microsoft 365が全体的なシェアではリードしていますが、サイボウズ(サイボウズOffice、Garoon)やネオジャパン(desknet’s NEO)といった国産グループウェアが、特に日本企業の働き方に合わせた機能やインターフェースを提供し、高いシェアを獲得しています 2。
- SaaS全般: 日本においてもSaaS市場は急速に成長しており、特定の業務領域に特化した国内ベンダーが多数存在し、活況を呈しています 57。クラウドサービスの採用拡大がこの流れを加速させています 20。
これらのビジネスソフトウェアカテゴリ全体を通して見られるパターンは、グローバルスタンダード製品が(特に大企業で)広く利用される一方で、日本の商習慣、規制、ユーザーインターフェースへの期待、価格帯、サポート体制などに最適化された国産ソリューションが、特に中小企業セグメントや特定のニッチ市場で根強い人気と高いシェアを維持している点です。これは、グローバルな「ワンサイズ・フィット・オール」のアプローチだけでは、日本市場の多様なニーズを完全には満たせないことを示唆しています。国内ベンダーは、日本特有の要件(例えば、複雑な経費精算ルール、ハンコ文化への対応、日本語特有のUI/UXなど)への深い理解を武器に、グローバル企業との差別化を図り、成功を収めていると考えられます 2。
表3: 主要ビジネスソフトウェアのシェア/ランキング(日本 – 選択カテゴリ)
| カテゴリ | 1位ベンダー/プラットフォーム | 2位ベンダー/プラットフォーム | 3位ベンダー/プラットフォーム | 出典例 |
| クラウド会計(個人事業主) | 弥生 (約57%) 46 | freee (約21%) 46 | マネーフォワード (約15%) 46 | 46 |
| CRM(主要プレイヤー) | Salesforce 48 | Sansan 51 | Microsoft 49 | 48 |
| ERP(国内SME中心) | 大塚商会 (SMILE) 53 | 富士通 (GLOVIA) 53 | SAPジャパン 53 | 52 |
| グループウェア(全体シェア) | Microsoftシリーズ (約25%) 2 | サイボウズOffice (約15%) 2 | Google Workspace (約9%) 2 | 2 |
その他のカテゴリ(日本市場)
- クリエイティブソフトウェア: ビデオ編集では、プロフェッショナル用途でAdobe Premiere Proが人気ですが 27、Macユーザーには標準搭載のiMovieも広く使われています 27。PowerDirector 28 やFilmora 60 といった買い切り型や比較的安価なソフトウェア、さらには無料のAviUtl 28 など、多様な選択肢が存在します。
- ゲーミング: 日本のゲーム市場全体ではスマートフォンが中心ですが 61、PCゲーム市場も存在し、熱心なプレイヤー層(ヘビーゲーマー)は非常に長い連続プレイ時間を持つ傾向があります 61。一方で、週3時間未満しかプレイしないカジュアル層も多いことが指摘されています 62。人気タイトルには、Counter-Strike 2、VALORANT、Apex Legendsなどが挙げられます 63。
- ユーティリティソフトウェア: ファイル圧縮・解凍ソフト(例:Lhaplus 34)、PDF関連ツール(例:PDFelement, いきなりPDF, DocuWorks 34)、日本語入力システム(例:Google日本語入力 64)などは、日常的なPC利用において重要な役割を果たしています。無料のオフィスソフト代替(LibreOffice 34)も一定の需要があります。
- 音楽再生ソフト: Windows Media Playerの代替として、PowerDVD、KMPlayer、GOM Player、VLC media playerなどが利用されています 65。高音質再生(ハイレゾ、DSD)を求めるユーザー向けには、TuneBrowserのような専門的なソフトウェアも存在します 66。音楽の聴取方法自体は変化しており、若年層の音楽への関心低下も指摘されています 67。PCソフトウェア単体の利用シェアに関する詳細データは限定的です。
利用パターンの比較:業務用途 vs. 個人用途
PCアプリケーションの利用パターンは、業務目的か個人目的かによって大きく異なります。
- 業務用途:
- 中心: オフィススイート(Microsoft 365, Google Workspace)、グループウェア(国産含む)、ビジネスコミュニケーションツール(Teams, Slack, Zoom, 日本ではビジネス用途のLINEも)が基盤となります。
- 専門ツール: CRM、ERP、業界特化型ソフトウェア、開発ツール、CADソフトなどが、職種や業種に応じて利用されます。
- セキュリティ: 企業ポリシーに基づいた統合的なセキュリティソリューション(エンドポイント保護、ネットワークセキュリティなど)が導入される傾向があります 24。
- 特徴: 生産性、効率性、コラボレーション、セキュリティ、コンプライアンスが重視されます。多くの場合、企業によって導入されるソフトウェアが決まっています。
- 個人用途:
- 中心: Webブラウザ(情報収集、SNS、ショッピング)、メール、メッセージングアプリ(日本ではLINEが支配的)、メディアプレーヤー(音楽、動画)が頻繁に利用されます。
- エンターテイメント: ゲーム(Steamなど)、動画配信サービス視聴用アプリなどが利用されます。
- 趣味・学習: クリエイティブソフト(写真・動画編集)、学習用ソフト、プログラミングツールなどが個人の関心に応じて使われます。
- ユーティリティ: 無料または安価なオフィスソフト、PDFリーダー、ファイル圧縮ソフト、個人向けセキュリティソフトなどが利用されることが多いです 1。
- 特徴: コミュニケーション、エンターテイメント、情報収集、自己表現が主な目的となります。ソフトウェアの選択は個人の好みや予算に大きく依存します。
Webブラウザやメールクライアントのように、業務・個人双方で利用されるアプリケーションも多数存在しますが、利用目的や頻度、求められる機能(特にセキュリティや管理機能)には違いが見られます。
利用時間に関する分析
ユーザーがPCアプリケーションに費やす時間は、その重要性を示すもう一つの指標です。
- グローバル: 2023年第3四半期時点で、世界のインターネットユーザー(16~64歳)は、様々なデバイスを通じて1日平均6時間40分をスクリーン上で過ごしています 8。これは週あたり約46時間40分に相当します。
- 米国: 米国ユーザーの平均スクリーン時間は1日7時間3分と、世界平均よりやや長めです 8。内訳を見ると、PCでのインターネット利用に1日平均42分、PCでの動画視聴に17分が費やされています 8。スマートフォンでのアプリ/Web利用時間は2時間21分と、PC利用時間を上回っています 8。
- 日本: 日本のユーザーの平均スクリーン時間は、世界的に見て著しく短いことが特徴です。1日平均3時間56分(または3時間45分とのデータも)と報告されており、世界平均よりも2時間以上短くなっています 8。PCの利用時間も、他国と比較して短い傾向が見られます 68。
特定のPCアプリケーションごとの正確な利用時間データを得ることは困難ですが、いくつかの断片的な情報があります。
- Slackのアクティブユーザーは1日平均90分以上利用しているとされます 5。
- WhatsAppはメッセージングアプリの中で、月間平均利用時間が最も長い(約17時間)と報告されています(主にモバイル利用)9。
- 日本のヘビーゲーマー(週20時間以上プレイ)は、世界で最も長い連続プレイ時間(平均5.33時間)を記録しています 61。しかし、オンラインゲーム行為者全体の平均時間は平日104.3分とのデータもあります 69。
これらのデータから、グローバル全体でスクリーンタイムは依然として長いものの、国によって大きな差があること、特に日本では平均時間が短いことがわかります。また、特定の高エンゲージメントアプリ(ビジネスチャットや人気メッセージングアプリ)や、熱心なユーザー層(ヘビーゲーマー)においては、長時間の利用が見られることが示唆されます。
結論と今後の展望
本レポートの分析に基づき、PCで最も利用されるアプリケーションについて以下の結論が導き出されます。
- グローバルでの主要アプリケーション: 世界的に見ると、Webブラウザ(特にGoogle Chrome)とオフィス生産性スイート(Microsoft 365およびGoogle Workspace)が、利用シェア、アクティブユーザー数、ビジネス/個人双方での必要性の観点から、最も広く利用されているPCアプリケーションカテゴリと言えます。これらはPC利用の基本的なインターフェースおよびツールとして機能しています。OSとしてはWindowsがデスクトップ市場で支配的です。ビジネスコミュニケーションではMicrosoft Teamsが、ゲーミングプラットフォームではSteamが高い利用率を誇ります。
- 日本市場の独自性: 日本市場もこれらのグローバルアプリケーション(Chrome, M365, Google Workspaceなど)が高い浸透率を示していますが、顕著な違いが存在します。
- コミュニケーション: LINEが個人間のメッセージングにおいて圧倒的な地位を築いており、グローバルなメッセージングアプリの普及を限定的にしています。
- ビジネスソフトウェア: グループウェア、中小企業向けERP/会計ソフトなどの分野で、国産ベンダーのソリューションがグローバルリーダーと並んで高いシェアと評価を得ています。これは、日本特有のニーズへの対応力の高さを示唆します。
- ブラウザ: デスクトップではMicrosoft Edgeがグローバルよりも高いシェアを持ち、全体ではモバイル(特にiPhone/Safari)の影響が強く現れます。
- 利用時間: 平均スクリーンタイムが世界的に見て著しく短い傾向にあります。
- 「最も利用される」の多義性: どのアプリケーションが「最も利用される」かは、測定指標(市場シェア、アクティブユーザー数、利用時間など)によって異なります。
- デスクトップOSシェアではWindows。
- デスクトップブラウザシェアではChrome(グローバル・日本)。
- オフィススイート市場(収益/企業導入)ではMicrosoft 365が有力(グローバル)。日本市場は混在。
- ビジネスコミュニケーション(アクティブユーザー)ではMicrosoft Teams(グローバル)。
- 個人コミュニケーション(アクティブユーザー、日本)ではLINE。
- ゲーミングプラットフォーム(アクティブユーザー)ではSteam(グローバル)。
- 今後のトレンド:
- AIの統合: AI機能がOS(AI PC)や各種アプリケーション(RPA、サイバーセキュリティ、オフィススイートなど)に組み込まれる動きが加速しており、生産性向上や新たな利用体験をもたらす可能性があります 70。
- クラウド/SaaS化の進展: ソフトウェアの提供形態としてクラウドおよびSaaSモデルへの移行は今後も続き、リモートワークやコラボレーションをさらに促進すると考えられます 20。ただし、日本においてはオンプレミス環境も依然として重要な位置を占めています 73。
- OS更新サイクル: Windows 10のサポート終了に伴うPC買い替え需要が、法人市場を中心にOS(Windows 11)および関連ソフトウェアの導入を後押しする可能性があります 13。
総括すると、PC利用の中心は依然としてWebブラウザとオフィススイートですが、コミュニケーションツールの重要性が増しています。日本市場においては、グローバルな潮流に乗りつつも、LINEの存在感や国産ビジネスソフトウェアの強さといった独自の市場構造が維持されています。今後、AI技術の進化とクラウド化の更なる浸透が、PCアプリケーションの利用状況にどのような変化をもたらすか注視していく必要があります。
引用文献
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- Japan Software Market Size, Share, Trend, Forecast to 2033 – Spherical Insights, https://www.sphericalinsights.com/reports/japan-software-market



