フレームワークは「探す」ものではなく「作る」もの

フレームワークという言葉を聞くと、多くの人は
「MECE」「SWOT」「3C」「PDCA」
といった、すでに名前のついた“完成品”を思い浮かべます。

そして、こう考えがちです。
「どのフレームワークを使えば正しい答えが出るのか」と。

しかし、少し立ち止まって考えてみてください。
あなたが今向き合っている課題は、本当に誰かが過去に作った枠組みと完全に一致しているでしょうか。

ほとんどの場合、答えは「いいえ」です。


フレームワークとは「構造を固定する道具」です

フレームワークの本質は、思考を整理することではありません。
思考の前提を固定し、判断の揺れ幅を制御することにあります。

言い換えるなら、フレームワークとは

  • 何を見るか
  • 何を見ないか
  • どう分解するか

先に決めてしまうための構造物です。

だからこそ、フレームワークを使うと結論が「安定」します。
逆に言えば、フレームワークが違えば、同じ情報からでも結論は簡単に変わります。

この時点で重要なことが一つあります。
フレームワークは中立ではありません。
必ず、作り手の目的と前提を内包しています。


フレームワーク作りの出発点は「問い」ではありません

一般的な説明では、
「良い問いを立てましょう」
と言われがちです。

しかし、フレームワークを作る際に最初に決めるべきなのは問いではありません。

先に決めるべきは、次の一点です。

「どの結論を安定させたいのか」

フレームワークとは、結論に至るための道筋を均す装置です。
つまり、ゴールが曖昧なまま枠組みだけ作っても、役に立ちません。


フレームワークを作る4つの手順

ここから、実際の作り方を整理します。

① 結論の形を決める

まず、「どんな形の結論が出れば成功か」を言語化します。
Yes / No なのか、A / B / C の選択なのか、優先順位付けなのか。

この段階で、結論のフォーマットを固定します。

② 結論を左右する要素を書き出す

次に、その結論が変わる要因を洗い出します。
ここでは網羅性よりも、「影響の大きさ」を重視します。

ポイントは、
情報ではなく“判断が揺れる軸”を列挙することです。

③ 要素同士の関係を決める

要素が出そろったら、それらが

  • 並列なのか
  • 因果なのか
  • トレードオフなのか

を決めます。

ここで初めて「構造」が生まれます。
単なるリストから、フレームワークに変わる瞬間です。

④ 使わない要素を明示する

最後に重要なのが、「今回は扱わないもの」を決めることです。

フレームワークの強さは、含めた要素の多さではなく、
切り捨ての明確さで決まります。


良いフレームワークは「再利用」できません

少し挑発的な言い方をします。

本当に役に立つフレームワークほど、他人には使いにくい

なぜなら、それは

  • 特定の目的
  • 特定の前提
  • 特定の文脈

に最適化されているからです。

逆に、誰にでも当てはまるフレームワークは、
誰にとっても決定力が弱い。

だからこそ、フレームワークは
「探して当てはめるもの」ではなく
「毎回、作り直すもの」なのです。


フレームワークを作れる人は、意思決定を外注しません

フレームワークを作るという行為は、
思考を整理することではありません。

自分は、何を前提に、何を正解とするのかを引き受けることです。

この力を持つと、

  • 流行の理論に振り回されなくなり
  • 専門家の意見を鵜呑みにせず
  • AIの出力も「材料」として扱える

ようになります。

フレームワークとは、
思考のテンプレートではなく、
責任の所在を固定する装置なのです。