── 集めすぎない、混ぜない、決めさせない
NotebookLMを使うと、
根拠は簡単に集まります。
問題は、その後です。
- 根拠が増えるほど決められなくなる
- どれもそれっぽく見えて差が分からない
- 最後は「声の大きい根拠」が勝つ
これはAIの限界ではありません。
根拠を管理・比較する設計がないだけです。
最初に固定すべき前提
まず、これをはっきりさせます。
NotebookLMは「根拠を決める装置」ではない。
根拠の差を見える化する装置である。
ここを誤ると、
AIに判断を委ね始め、
前提と責任が一気に曖昧になります。
根拠管理は4レイヤーで考える
NotebookLMで根拠を扱うときは、
次の4層に分けると安定します。
L1:根拠の収集(材料)
L2:根拠の正規化(同じ土俵に乗せる)
L3:根拠の比較(差を出す)
L4:根拠の採否ログ(後で検証できる形に残す)
この順序を崩すと、
ほぼ確実に事故ります。
L1:根拠は「材料」として集める
この段階でやることは一つだけ。
評価しない。判断しない。
集める対象は何でもいい。
- データ・統計
- 報告書・契約書・規程
- 過去事例・他社事例
- 専門家の意見
- 現場の経験談
- 制約条件
NotebookLMには、
**「根拠候補置き場」**として放り込む。
ここで結論を考え始めると、
後工程が全部歪みます。
L2:根拠を正規化する(最重要)
集めただけでは、比較できません。
必ず同じ項目で揃える必要があります。
正規化の基本項目
- 根拠の種類(データ/先例/意見など)
- 出典
- 時点
- 適用条件
- 想定している前提
- 支えようとしている結論
- 弱点・反証可能性
ここで重要なのは、
データは、この工程を経て初めて「根拠」になる
という点です。
L3:根拠を比較する(NotebookLMが最も効く)
比較とは、
「どれが正しいか」を決めることではありません。
同じ結論に対して、
根拠Aと根拠Bは何が違うかを見ること
比較の軸(例)
- 前提依存度:どの前提が崩れると使えなくなるか
- 更新耐性:情報が古くなったときの劣化度
- 再現性:他の状況でも使えるか
- 反証耐性:反対データが出た場合どうなるか
- 説明コスト:第三者に説明しやすいか
NotebookLMにやらせるのは、
- 差分の抽出
- 対比表の作成
- 前提の可視化
まで。
採用するかどうかは、まだ人が決めない。
L4:根拠の採否をログに残す
最後に、ここをやらないと知は蓄積しません。
採否ログに残すもの
- 採用した根拠/採用しなかった根拠
- 採否理由
- 当時の前提
- 判断者
- 見直し条件(いつ再検討するか)
これをNotebookLMに残すと、
- 「なぜそう決めたか」が再現できる
- 根拠の賞味期限が見える
- 後出し批判が減る
意思決定が履歴を持つようになります。
よくある失敗パターン
❌ 根拠を量で競わせる
→ 資料を一番集めた人が勝つ
❌ 根拠を正しさで決めさせる
→ 前提が隠れる
❌ 根拠と前提を混ぜる
→ 議論が崩壊する
NotebookLMは、
混ぜると破壊力が上がるツールです。
一文でまとめると
このコラムの結論です。
NotebookLMでの根拠管理とは、
根拠を集めることではなく、
根拠同士の「前提・弱点・射程」の差を見える化することである。
実務での最小構成(これだけで回る)
時間がないなら、これだけでいい。
- 根拠を材料として集める
- 同じ項目で正規化する
- 差分だけを比較する
- 採否理由をログに残す
おわりに
NotebookLMは、
思考を代替する道具ではありません。
根拠を整え、
最後に残る判断を、人に返す道具です。
だからこそ、
根拠はAIに管理させ、
決断は人が引き受ける。
この分業ができたとき、
NotebookLMは初めて「意思決定の道具」になります。



