フレームワークという言葉は、ビジネスの世界では便利な道具のひとつとして扱われている。
しかし、その語源をたどると少し意外な景色にたどりつく。
そこにあるのは、専門書ではなく、木の柱と梁が組まれた“家の骨組み”だ。
もともと framework とは、建築の「骨格そのもの」を指した。
梁や柱が、何を支え、どこに荷重を逃がし、どの範囲を“内側”と見なすか。
この物理的な構造が、のちにビジネスの世界に持ち込まれて“考えるための骨格”という意味に広がった。
つまりフレームワークとは、比喩ではなく、語源の段階で建築そのものなのだ。
この視点で見ると、STPなどの戦略ツールがときどきうまく働かない理由も腑に落ちる。
建物がどれだけ立派でも、地盤が悪ければ傾くように、
フレームワークも「前提となる地盤」が弱いと、どんな正しい手順を踏んでも結果は揺らぐ。
市場をどう定義するか。
顧客はどんなゴールを求めているか。
どこまでを“この家の敷地”として扱うのか。
これらが曖昧なら、SもTもPもまっすぐ立つはずがない。
ワークの前にフレームがあり、フレームの前に地盤がある。
語源が建築であるという事実は、戦略にも「基礎工事が必要だ」ということを思い出させてくれる。
思考の世界も、構造物と同じだ。
どの構造も、環境次第で揺れたり沈んだりする。
だからこそまず地盤を固め、柱を立て、梁を渡す。
そうしてはじめて、フレームワークは“働く”。
この気づきは、戦略の道具を使うときの態度を変えてくれる。
大事なのはツールではなく、ツールが置かれる土台だ。
語源を知ることは、物事の芯に触れる一番の近道かもしれない。



