
第1章 企業価値のパラダイムシフト:貸借対照表から統合的資本モデルへ
現代の企業経営は、その価値創造の源泉を再定義する大きな転換期にあります。伝統的な財務諸表中心の経営管理では捉えきれない価値の側面が、企業の長期的成功を左右する重要な要素として認識されるようになりました。この文脈において、国際統合報告評議会(IIRC)が提唱した「6つの資本」モデルは、単なる報告のトレンドではなく、現代経済における価値創造の本質的な変化に対応するための、戦略的経営における必然的な進化と言えます 1。
フレームワークの起源と背景
このフレームワークは、財務資本に偏重した従来の企業報告の限界を克服するために構想されました。企業が価値を創造する過程で利用し、影響を与える資源や関係性をより包括的に捉えることを目的としています 1。このアプローチの根底にあるのは、企業の価値創造プロセス全体を物語として示す「統合報告」の概念です。
この変革を後押ししているのは、複数の世界的な潮流です。第一に、投資家の要求が進化しています。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のような大規模な機関投資家は、非財務情報こそが企業の長期的なパフォーマンスを予測する上で不可欠であると認識し始めています 2。ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を投資判断に組み込む動きが主流となり、非財務資本の開示は企業にとって不可欠な要素となりました 1。
第二に、無形資産経済の台頭です。グローバル化し、デジタル化が進んだ経済において、企業の競争優位性はブランドの評判(知的資本)、従業員のスキル(人的資本)、ステークホルダーとの信頼関係(社会・関係資本)といった無形資産から生まれることが増えています 1。これらの資産は、従来の貸借対照表では適切に評価することが困難です。
第三に、サステナビリティと社会的責任に対する社会的な期待の高まりです。企業は経済的価値だけでなく、環境への影響や地域社会との関係性といった社会的価値を同時に創出することが求められており、6つの資本モデルは、この要請に応えるための言語と構造を提供します 1。
中核思想:「統合思考」
このフレームワークが最終的に目指すのは、経営層に「統合思考(Integrated Thinking)」を浸透させることです 5。これは、組織内の様々な事業部門と、それらが利用し影響を与える各資本との間の相互関係を常に意識することを意味します。統合思考は、真に統合された報告書を作成するための前提条件であるだけでなく、より重要なこととして、全ての資本にわたる価値創造を最適化する戦略的意思決定を行うための基盤となります 6。
したがって、6つの資本フレームワークは、単なる外部への報告ツールではなく、企業の資源基盤全体を可視化する戦略的経営フレームワークと捉えるべきです。財務KPIのみに依存した経営は、自社の長期的な成功の真の原動力を見失うリスクを伴います。このモデルをコンプライアンス目的の報告業務として形式的に捉える企業は、その戦略的価値を最大限に引き出す機会を逃すことになるでしょう。真の便益は、この思考様式を設備投資、M&A、研究開発、人事戦略といった経営の中核に組み込むことによってもたらされるのです。
第2章 6つの資本の解体:価値の構成要素
企業の持続的な価値創造を理解するためには、その基盤となる6つの資本を個別に、かつ深く分析することが不可欠です。これらの資本は、企業が利用する資源や関係性の全体像を示し、それぞれが独自の戦略的役割を担っています。
2.1 財務資本 (Financial Capital)
組織が利用できる資金のプールであり、最も伝統的に理解されている資本です。
- 構成要素: 株式、負債、助成金、内部留保など 6。
- 戦略的役割: 他のすべての資本への投資を可能にするエンジンです。効果的な管理には、リスク管理、透明性の高い財務報告、そして持続的成長を促進するための効率的な資本配分が含まれます 1。
2.2 製造資本 (Manufacturing Capital)
商品やサービスの生産・提供に使用される物理的な対象物です。
- 構成要素: 建物、設備、機械、インフラなど 6。
- 戦略的役割: 組織の物理的な生産能力と効率性を示します。この資本への投資は生産性を向上させますが、環境への影響や長期的な有用性とのバランスを考慮する必要があります 9。
2.3 知的資本 (Intellectual Capital)
組織の知識を基盤とした無形の資産です。
- 構成要素: 特許、著作権、ソフトウェア、ライセンス、組織のプロセス、ブランド価値、評判など 6。
- 戦略的役割: 現代経済における競争優位性とイノベーションの主要な源泉です。多くの場合、人的資本の効果的な活用を通じて創出されます 1。
2.4 人的資本 (Human Capital)
人々の能力、経験、意欲などです。
- 構成要素: スキル、経験、忠誠心、イノベーションへの意欲、リーダーシップ能力など 1。
- 戦略的役割: イノベーションと実行の結節点です。他のすべての資本を創造し、改善する能力を持つ唯一の資本であり、その強化には研修や企業文化への投資が不可欠です 8。
2.5 社会・関係資本 (Social and Relationship Capital)
コミュニティ、ステークホルダーグループ、その他のネットワーク内およびそれらの間の制度と関係性です。
- 構成要素: 顧客、サプライヤー、地域社会、規制当局との関係、信頼、共有された規範や価値観、「事業活動を行うためのライセンス」など 6。
- 戦略的役割: 長期的な持続可能性にとって極めて重要です。強固な社会・関係資本は、顧客ロイヤルティ、信頼性の高いサプライチェーン、良好な規制環境につながります。その毀損は重大な事業リスクとなり得ます。
2.6 自然資本 (Natural Capital)
財やサービスを提供する、再生可能および再生不可能なすべての環境資源とプロセスです。
- 構成要素: 空気、水、土地、鉱物、森林、生物多様性、生態系の健全性など 6。
- 戦略的役割: 多くのビジネスにとって重要なインプットであると同時に、資源の枯渇や気候変動といった重大なリスク、そしてグリーンテクノロジーのような機会の源泉でもあります。
これらの資本は、戦略的に2つのグループに分類して考えることで、より深い理解が得られます。財務資本、製造資本、知的資本、人的資本の4つは、企業が比較的直接的に所有・管理・最適化できる「内部志向」の資本です。これらは効率性、生産性、イノベーションの向上といった経営課題と直結します。
一方で、社会・関係資本と自然資本の2つは、企業が依存し影響を与えるものの、所有権が共有されていたり不明確であったりするため、直接的なコントロールが難しい「外部志向」の資本です 9。これらは企業が事業を行う上での「環境」や「状況」と見なすことができます。この「4+2」モデルは、企業戦略が二つの側面を持つべきであることを示唆します。すなわち、内部能力を構築・活用するための「インサイド・アウト」戦略と、外部環境との依存関係や相互作用を管理するための「アウトサイド・イン」戦略です。この視点は、6つの資本を単なるリストとして捉えるよりも、はるかに洗練された戦略的思考を可能にします。
第3章 価値創造のエンジン:資本の相互作用、転換、そしてリターン
6つの資本モデルの真髄は、資本を静的な資産としてではなく、動的なプロセスとして捉える点にあります。企業の価値創造は、これらの資本がビジネスモデルを通じて相互に作用し、転換され、最終的に新たな価値を生み出すという循環的なエンジンによって駆動されます。
「Capital to Capital」フレームワーク
統合報告モデルの中核をなすのは、この動的なフローであり、「Capital to Capitalフレームワーク」として知られています。このプロセスは一般的に以下のように図式化されます 9。
- インプット: 6つの資本は、企業が価値創造プロセスを開始するために利用する資源です 6。
- 事業活動: 企業のビジネスモデル(戦略、ガバナンス、リスク管理など)が転換エンジンとして機能し、インプットされた資本を変換します 5。例えば、自動車メーカーは財務資本や製造資本を使って自動車を生産し、その過程で人的資本や知的資本を研究開発や品質管理に活用します 6。
- アウトプット: 製品、サービス、廃棄物といった事業活動の直接的な結果です 6。
- アウトカム: アウトプットがもたらす内外への影響(正負両面)です。ここで資本ストックが変動します。例えば、自動車を販売する(アウトプット)と、収益が上がり(財務資本の増加)、ブランドの評判が高まり(社会・関係資本の増加)、同時にCO2が排出される(自然資本の減少)といった結果が生じます 6。
フィードバックループ:「創出」「保全」「毀損」
価値創造プロセスは、このアウトカムが再び資本ストックに影響を与えるというフィードバックループを形成します。この影響は、資本を増やす「創出」や「保全」、あるいは減らす「毀損」や「破壊」といった形で現れます 6。この循環こそが、持続的な価値創造の本質です。
シナジーとトレードオフ
各資本は独立しておらず、深く相互に関連しています。効果的な経営には、これらの関係性を理解し、巧みにマネジメントすることが求められます。
- シナジー(相乗効果): 一つの資本を強化することが、他の資本の増加につながる関係です。例えば、従業員研修への投資(人的資本の増加)は、新たな特許やプロセスの創出(知的資本の増加)につながる可能性があります 1。
- トレードオフ(二律背反): 一つの資本を増やすために、短期的には他の資本を減らす必要がある関係です。例えば、従業員研修への投資は資金を必要とするため、人的資本と財務資本の間にはトレードオフが存在します 8。
この「トレードオフ」の概念こそが、本フレームワークにおける戦略的意思決定の核心です。財務的な視点のみを持つ経営者は、従業員の福利厚生への投資(財務資本の減少)を単なる「コスト」と見なすかもしれません。しかし、「統合思考」を持つ経営者は、これを戦略的なトレードオフとして捉えます。すなわち、短期的に財務資本を減少させることで、長期的には人的資本(離職率の低下、モチベーションの向上)と社会・関係資本(「選ばれる雇用主」としての地位確立)を増加させる投資であると理解するのです。そして、強化された人的資本と社会・関係資本は、さらなるイノベーション(知的資本)と生産性の向上を促し、最終的には当初の投資をはるかに上回る財務資本の長期的増加をもたらします。このように、6つの資本モデルは、短期的な財務レンズの下では却下されがちな長期的価値創造投資を正当化するための論理と共通言語を提供し、取締役会レベルでの戦略的対話の質を根本的に変革する力を持つのです。
第4章 フレームワークの実践:日本の統合報告先進企業にみる事例分析
理論から実践へ移行するために、日本の先進企業が6つの資本モデルをどのように活用しているかを分析します。優れた統合報告書は、画一的なテンプレートに従うのではなく、各社の独自の戦略、業界特性、企業理念を深く反映したものであることが明らかになります。
4.1 事例分析:伊藤忠商事 – 商人哲学と企業価値算定式
伊藤忠商事は、統合報告に関する様々なアワードで常にトップクラスの評価を得ている企業です 2。同社の際立ったアプローチは、その価値創造ストーリー全体を、企業理念である「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」と、独自の「企業価値算定式」というレンズを通して語っている点にあります 13。これにより、非財務活動が企業価値という定量的な概念にどう結びつくのかを明確に示しています。
資本の観点からは、商社というビジネスモデルの根幹をなす人的資本(「個の力」「人員生産性」)と社会・関係資本(「三方よし」の精神に内包される信頼関係)に特に強い重点を置いています。報告書は、CEOやCFOからの力強く明確なメッセージ、投資基準と企業理念の連動性、そして価値創造における明確なPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルの提示が高く評価されています 2。
4.2 事例分析:オムロン – ROIC経営と長期ビジョンの統合
オムロンは2012年から統合報告書を発行しており、そのアプローチは成熟しています 15。同社の価値創造ストーリーは、「ROIC(投下資本利益率)経営」という独自の経営管理手法と深く結びついています 16。特筆すべきは「ROIC逆ツリー展開」という手法で、ROICという財務指標を製造部門のKPI(設備回転率など)にまで分解し、現場の活動と企業価値向上を直接的に結びつけています。
このアプローチは、製造資本(設備効率)、人的資本(従業員の行動)、知的資本(技術)が、最終目標である財務資本のリターン向上にどう貢献するかを明確にするメカニズムとなっています。報告書は、このROIC経営システムを詳述するとともに、長期ビジョン「Shaping the Future 2030」を軸に構成されており、現在の活動と資本配分が未来の目標達成のためにどう設計されているかを示しています 16。
4.3 事例分析:MS&ADインシュアランス グループ – リスクソリューションと共通価値の創造(CSV)
保険・金融グループであるMS&ADは、リスク管理を事業の中核に据えています。同社は、その価値創造をCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)の観点から捉え、自らを「リスクソリューションのプラットフォーマー」と位置づけています 18。そのビジネスモデルは、従来の保険機能(経済的負担の軽減)を超え、リスクの予防や影響緩和にまで及んでいます。
この戦略は、社会・関係資本(「安心・安全な社会」の構築)と自然資本(「地球環境との共生(Planetary Health)」の推進)といったアウトカムを明確にターゲットとしています。自社の人的資本と知的資本(リスク分析の専門知識、データ)を活用してこれらの外部資本を強化し、それが新たな事業機会の創出につながるという好循環を描いています。報告書では、気候変動やサイバー脅威といった社会課題を特定し、それに対するソリューションを開発することで、社会課題を事業成長のドライバーへと転換するストーリーが具体的に示されています 19。
4.4 事例分析:大成建設 – 建設業における価値創造
建設業界のリーディングカンパニーである大成建設は、その事業が物理的に社会や環境に直接的な影響を与える特性を持っています。同社の価値創造は、コーポレートスローガンである「地図に残る仕事。」と、長期ビジョン「TAISEI VISION 2030」に結びつけられています 21。
その事業の性質上、製造資本(建設技術、設備)、人的資本(技術者の専門知識、安全管理能力)が中核となり、それらが自然資本(土地利用、資源消費、レジリエントなインフラ構築)や社会・関係資本(地域社会への影響)とどう相互作用するかが価値創造の鍵となります。報告書では、「自由闊達」な企業風土改革、サステナビリティ、技術革新といったテーマを中心に、中核事業の文脈で価値創造プロセスが語られています 21。
4.5 先進企業における資本戦略の比較分析
これらの事例は、6つの資本フレームワークが、企業の業種や理念に応じて柔軟に適用される強力なツールであることを示しています。以下の表は、各社のアプローチの違いを比較したものです。
| 特徴 | 伊藤忠商事 | オムロン | MS&ADインシュアランス グループ | 大成建設 |
| 中核となる戦略ドライバー | 「三方よし」と企業価値算定式 | ROIC経営と長期ビジョン「Shaping the Future 2030」 | 共通価値の創造(CSV)と「リスクソリューションのプラットフォーマー」 | 「地図に残る仕事。」と「TAISEI VISION 2030」 |
| 重点を置く主要資本 | 人的資本、社会・関係資本 | 財務資本、知的資本、製造資本 | 社会・関係資本、自然資本 | 製造資本、人的資本、自然資本 |
| 主要な取り組み・KPI | 人員生産性、投資・撤退基準、CxOメッセージ | ROIC逆ツリー展開、現場のKPI、長期ビジョンの進捗 | Planetary Healthへの貢献、Resilienceソリューション、Well-beingサービス | 企業風土改革、安全指標、サステナブル建設プロジェクト |
| 価値創造の物語 | 信頼される商人ネットワークと卓越した個の力を通じた価値創造。 | 規律ある資本配分と技術革新による社会課題解決を通じた価値創造。 | 社会的リスクを事業機会に転換し、よりレジリエントな世界を構築することによる価値創造。 | 次世代の社会を形作る、高品質で持続可能な物理的インフラの構築による価値創造。 |
この比較から、フレームワークの真の価値は、企業が自社のユニークな価値創造ストーリーを明確に描き出し、ステークホルダーに伝えるための羅針盤として機能する点にあることがわかります。
第5章 未踏領域への挑戦:測定、マテリアリティ、戦略的統合の課題
6つの資本モデルは強力なフレームワークである一方、その実践にはいくつかの重要な課題が存在します。これらの困難を認識することは、モデルをより効果的に活用するための第一歩です。
測定の課題
最大のハードルの一つは、非財務資本の定量化の難しさです。財務資本は容易に測定できますが、「ブランドの評判」や「従業員の士気」といった資本に正確な金銭的価値を割り当てることは極めて困難です 4。このため、開示情報が抽象的になり、信頼性に欠けるという批判につながることがあります。
「定型文」化のリスク
統合報告が、企業のコア戦略と真に結びつくことなく、単に6つの資本の項目を埋めるだけの「チェックボックス」的な作業に陥る危険性があります。多くの報告書は「規定演技」は美しいものの、非財務情報と事業との本質的な関連性を示せていないとの指摘もあります 11。
マテリアリティ(重要性)の特定
企業は、自社の価値創造能力に真に重要な影響を与える資本や指標は何かを特定しなければなりません。あらゆる情報を開示することは、かえって報告の焦点を曖昧にします。鍵となるのは、非財務情報を将来の企業価値と結びつけて説明することです 27。
データ収集とシステム
多くの企業では、非財務データを効果的に収集、管理し、その品質を保証するための社内システムが十分に整備されていません。これらのデータは、人事、サステナビリティ、事業部門など、組織内に分散していることが多く、統合的な管理を困難にしています 26。
これらの課題、特に測定の難しさは、フレームワークを放棄する理由にはなりません。むしろ、それはパフォーマンス管理におけるイノベーションを促す原動力と捉えるべきです。先進企業は、完璧な測定基準の登場を待つのではなく、独自の工夫を凝らしています。オムロンはROICという強力な代理指標を用いて、現場の活動と財務的成果を結びつけています 16。伊藤忠商事は独自の企業価値算定式を活用しています 14。
この事実は、進むべき道が単一の普遍的な非財務会計基準の確立ではなく、各社が自社の独自戦略に沿ったKPIを開発することにあることを示唆しています。これらのKPIは、各マテリアル資本の健全性を示す信頼性の高い代理指標として機能します。したがって、焦点は完璧で普遍的な測定の追求から、企業の独自戦略と深く統合された、頑健で方向性を示す管理指標の開発へと移行すべきです。
第6章 戦略的必須事項:永続的な競争優位性のための6つの資本の組込み
本報告の分析を総括し、組織が6つの資本モデルを単なる報告義務から、長期戦略の中核的支柱へと昇華させるための実践的な提言を以下に示します。
報告から経営管理へ
最も重要なことは、このフレームワークを年次報告書の作成ツールとしてではなく、戦略的な対話と意思決定のためのツールとして活用することです。そのためには、「統合思考」を企業文化に深く根付かせることが求められます。
カスタマイズされた価値創造ストーリーの構築
汎用的なテンプレートの使用は避けるべきです。事例分析が示したように、このモデルの力は、企業が自社独自の価値創造への道筋を明確に描き出すことを助ける点にあります。自社のビジネスにとって真にマテリアルな資本は何かを特定し、それを中心に物語を構築することが重要です。
部門横断的な協業の促進
価値創造は特定の部門だけで完結するものではありません。財務、人事、研究開発、事業部門間の壁を取り払い、資本間のトレードオフやシナジーを効果的に管理できる体制を構築する必要があります。オムロンが全社横断的な編集委員会を組織しているように、統合報告書の作成プロセス自体が、この協業を促進する強力な触媒となり得ます 16。
パフォーマンス管理の革新
重要と特定した6つの資本すべての健全性を追跡するための、バランスの取れたKPI群(バランス・スコアカード)を開発すべきです。そして、役員報酬や資源配分の決定を、短期的な財務成果だけでなく、この広範な指標群におけるパフォーマンスと連動させることが求められます。
積極的なステークホルダー対話の実践
統合報告書を、投資家やその他のステークホルダーとのより深く、実質的な対話の出発点として活用すべきです 1。自社の戦略、資本配分の決定、そして長期にわたる持続的な価値を創造するために、資本ポートフォリオ全体をどのように管理しているかを明確に説明することが、信頼の獲得につながります 14。
結論として、6つの資本モデルは、企業が自らの価値創造の論理を再評価し、長期的な視点に立った戦略を策定・実行するための強力な羅針盤です。これを遵守事項としてではなく、競争優位性を築くための経営哲学として受け入れる企業こそが、不確実な未来において持続的な成長を遂げることができるでしょう。
引用文献
- 6つの資本:持続可能な企業成長の秘訣 – リンクソシュール https://www.link-ss.co.jp/column/topics/article15.html
- GPIFの国内株式運用機関が選ぶ「優れた統合報告書」に最多得票で選出 – 伊藤忠商事 https://www.itochu.co.jp/ja/news/press/2025/250312.html
- 【2023年版】統合報告書アワード全社まとめ|評価企業の成功法則 – https://consulting.kotora.jp/esg/column_integrated-report/
- 非財務情報の開示はなぜ求められる?世界の動向や現状の課題 | Koto Online https://www.cct-inc.co.jp/koto-online/archives/158
- 国際統合報告評議会(IIRC) 国際統合報告フレームワークの … https://jicpa.or.jp/specialized_field/ITI/journal/files/kokusai-journal-other-integrated_201404.pdf
- 価値創造に必要な6つの資本(企業価値とESG #3) – coki (公器) https://coki.jp/article/column/32659/
- 統合報告に必要な、6つの統合思考原則 | サステナビリティコミュニケート | YUIDEA https://sustainability-communicate.com/posts/tips-princilpes-integrates-reporting
- 国際統合報告フレームワークの概要・改訂案 – 大和総研 https://www.dir.co.jp/report/research/law-research/commercial/20200909_021755.pdf
- 統合報告と企業価値創造(3)~Capital to Capitalフレームワーク … https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=23583
- 「統合思考」を理解すれば、 サステナビリティ経営が見えて … – PwC https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/2022/assets/pdf/sustainability-management-through-integrated-thinking2022.pdf
- 伊藤忠商事が圧倒的評価-「統合報告書アワード/ランキング」考察(2025) https://andomitsunobu.net/?p=21872
- 統合レポート|伊藤忠商事株式会社 https://www.itochu.co.jp/ja/ir/doc/annual_report/index.html
- 制作実績 | 伊藤忠商事 統合報告書2022 – エッジ・インターナショナル https://www.edge-intl.co.jp/itochu-report-2022/
- 統合レポート2025 – 伊藤忠商事 https://www.itochu.co.jp/ja/files/ar2025J_A4.pdf
- オムロン、「統合レポート2024」を発行 | オムロン株式会社のプレスリリース – PR TIMES https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000093.000120244.html
- オルタナ総研統合報告書レビュー①オムロン https://www.alterna.co.jp/41011/
- 統合レポート2024 | オムロン – Omron https://www.omron.com/jp/ja/integrated_report/
- MS&AD統合レポート 2023 https://kitaishihon.s3.isk01.sakurastorage.jp/IrLibrary/8725_integrated_2022_koo5.pdf
- MS&ADの「価値創造ストーリー」とビジネスモデル | MS&ADと … https://www.ms-ad-hd.com/ja/csr/summary/businessmodel.html
- MS&ADホールディングス: 価値創造ストーリー https://www.msad-csv.com/
- 統合報告書|レポート|ライブラリー(ESG報告等) – 大成建設サステナビリティ https://www.taisei-sx.jp/library/
- 統合レポート 2024 – 大成建設サステナビリティ https://www.taisei-sx.jp/library/pdf/2024/ir2024_a3.pdf
- 統合レポート2023(和文) – in-Report https://in-report.com/library/pdf/1801_2023.pdf
- 「大成建設グループ統合報告書2025」を公開 | 大成建設株式会社 https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2025/250925_10645.html
- 「大成建設グループ統合レポート2024」を公開 | 大成建設株式会社 https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2024/240905_10077.html
- あるべき非財務情報開示とは – PwC https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/2022/assets/pdf/non-financial-information-disclosure.pdf
- 新時代の非財務情報開示のあり方に関する 調査研究報告書 https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/pdf/csrreports30report.pdf
- 非財務情報とは?非財務情報開示の動きと課題 – NTTデータ グローバルソリューションズ https://www.nttdata-gsl.co.jp/related/column/what-is-non-financial-information.html



