
Part I: Markdownの哲学と基本
このパートでは、Markdownがどのように機能するかだけでなく、なぜ作られたのか、そしてその使用を導く原則を理解するために必要な基礎知識を確立します。
Chapter 1: Markdown入門
1.1 Markdownとは何か?
Markdownは、プレーンテキスト文書に書式設定要素を追加するために設計された軽量マークアップ言語です 1。書き手がスタイルではなく内容に集中できるようにすることを目的としています 3。2004年にジョン・グルーバーによって作成され、その目的は「読みやすく、書きやすいプレーンテキスト形式を使用して書き、それを構造的に有効なXHTML(またはHTML)に変換できるようにする」ことでした 1。Markdownファイルは、通常
.mdまたは.markdownという拡張子で保存される単純なテキストファイルです 1。
1.2 指針となる哲学:何よりも読みやすさ
Markdownの主要な設計目標は、未加工のプレーンテキスト形式で可能な限り読みやすいことです 1。句読点文字で構成される構文は、その意味するものに見えるように選ばれています。例えば、アスタリスクは強調のように見えます 6。これはHTMLのような
公開形式ではなく、執筆形式です 6。この区別は、その限界と意図された用途を理解する上で極めて重要です。
1.3 なぜMarkdownを使うのか?その主な利点
Markdownの採用は、いくつかの重要な利点によって推進されています。
- 移植性とプラットフォーム非依存性: Markdownファイルは基本的にテキストファイルであるため、あらゆるデバイスやオペレーティングシステム上の任意のテキストエディタで開くことができます。これにより、Microsoft Wordのようなワードプロセッサの独自フォーマットによる囲い込みを回避できます 1。
- 将来性: プレーンテキストであるため、Markdownで書かれたコンテンツは、作成に使用したアプリケーションが時代遅れになったとしても、無期限にアクセス可能なままです。これは、重要な文書の長期保存にとって不可欠です 1。
- 遍在性: Markdownは、GitHubやRedditなどのウェブサイト、多数のアプリケーション、プラットフォームからなる広大なエコシステムでサポートされており、多用途で広く適用可能なスキルとなっています 1。
- シンプルさと効率性: 学習曲線は緩やかで、ユーザーは複雑な操作やメニューなしで、素早く整った文書を作成できます 7。
1.4 Markdownの仕組み:テキストから整形済み出力まで
Markdownの処理は、一般的に4段階のプロセスで行われます。まず、.md拡張子を持つファイルを作成します。次に、そのファイルをMarkdownアプリケーションまたはプロセッサで開きます。アプリケーションはMarkdownをHTMLに変換し、最後にそのHTMLがウェブブラウザで表示されるか、PDFなどの別の形式に変換されます 1。このプロセスは、最新のエディタではシームレスで目に見えないこともあれば 9、開発者のワークフローでは明示的に行われることもあります 2。
Markdownの核心には、その設計哲学から生じる根本的な緊張関係が存在します。その哲学とは、ソーステキストの「読みやすさ」を最優先することです 1。この目標は、構文を直感的で邪魔にならないものにすることを目指したものでした。その結果、創始者であるジョン・グルーバーは、多くのエッジケース(特殊な状況)を意図的に未定義のままにしました。これは、ソーステキストをクリーンに保つための「バグではなく仕様」でした。しかし、この意図的な曖昧さが、言語の断片化の直接的な原因となりました。厳密で包括的な仕様がなかったため、開発者たちはそれぞれ異なるパーサ(解析エンジン)を作成し、それらがエッジケースを異なる方法で処理した結果、「フレーバー(方言)」と呼ばれる多様な実装が生まれました。したがって、Markdownを本格的に使用する上での中心的な課題は、単に構文を学ぶことだけでなく、異なるレンダリング環境間の非互換性を乗り越えることです。読みやすさという哲学が、意図せずしてレンダリングにおける移植性の問題を生み出したのです。
Part II: オリジナルのMarkdown構文(基本構文)
このパートでは、ジョン・グルーバーによって定義された基本的な構文要素について、豊富な例とともに包括的に解説します。これらの要素は、ほぼすべてのMarkdownアプリケーションでサポートされています 10。
Chapter 2: 文書の構造化
2.1 見出し:アウトラインの作成
文書の構造を定義するために、Markdownは見出しの記法を提供します。
- ATX形式: #記号を使用してレベル1から6までの見出しを作成します。#が1つで見出し1(H1)、##で見出し2(H2)となり、以下同様に続きます 3。
- Setext形式: テキストの下の行に=(見出し1)または-(見出し2)を記述することで見出しを作成します 6。この形式はあまり一般的ではありませんが、オリジナルの仕様に含まれています。
- ベストプラクティス: #と見出しテキストの間には必ずスペースを入れます。読みやすさと互換性のために、見出しの前後には空行を設けることが推奨されます 13。文書のタイトルとして、H1は1つの文書に1つだけ使用するのが一般的です 13。
2.2 段落と改行
- 段落: 1つ以上の連続したテキスト行で構成され、1つ以上の空行によって区切られます 6。
- 改行: ソーステキスト内の単なる改行は、通常、出力では改行として扱われません。強制的に改行(<br>タグ)を入れるには、行末に2つ以上の半角スペースを入力してから改行します 16。
- ベストプラクティス: 段落をインデント(字下げ)しないでください(リストの一部である場合を除く)。インデントすると、コードブロックとしてレンダリングされる可能性があります 18。行末の2つのスペースによる改行は、エディタ上で見えにくいため物議を醸すことがあります。プロセッサが許すなら、HTMLの
<br>タグを使用する方が明示的です 18。
2.3 区切り線:水平線
3つ以上のハイフン (—)、アスタリスク (***)、またはアンダースコア (___) を単独の行に記述することで、水平線 (<hr>) を作成します 12。一貫性を保つため、いずれか1つのスタイルに統一し、前後を空行で囲むのが良い方法です 14。
2.4 引用
テキストを引用するには、行の先頭に> (大なり記号とスペース)を付けます。これは電子メールの返信形式に似ています 3。複数段落にわたる引用では、段落間の空行にも
>を記述します 18。
>>のように記号を重ねることで、引用を入れ子にすることも可能です 3。
Chapter 3: テキストの書式設定とリスト
3.1 強調:太字、斜体、およびその組み合わせ
- 斜体 (Italic): テキストを1つのアスタリスク (*text*) またはアンダースコア (_text_) で囲みます 6。これはHTMLの
<em>タグに相当します。 - 太字 (Bold): テキストを2つのアスタリスク (**text**) またはアンダースコア (__text__) で囲みます 20。これはHTMLの
<strong>タグに相当します。 - 太字と斜体の組み合わせ: テキストを3つのアスタリスク (***text***) またはアンダースコア (___text___) で囲みます 12。
- 互換性に関する注意: 単語の途中にあるアンダースコアの扱いは、アプリケーションによって異なります。最大限の互換性を確保するため、特に単語の一部を強調する場合はアスタリスクを使用することが推奨されます 18。
3.2 リスト:順序付きリストと順序なしリスト
- 順序なしリスト: 各行の先頭にアスタリスク (*)、プラス記号 (+)、またはハイフン (-) を付けます。これらの記号は交換可能です 6。
- 順序付きリスト: 各行の先頭に数字とピリオド (1.) を付けます。入力する数字は重要ではなく、出力時には自動的に連番が振られます。これにより、項目の順序変更が容易になります 16。
- 入れ子と段落: リストを入れ子にするには、サブリストの項目を4つのスペースまたは1つのタブでインデントします 20。リスト項目内に段落などを含める場合も同様にインデントします 13。
Chapter 4: リンクと画像の操作
4.1 リンク:リソースへの接続
- インライン形式: 最も一般的な方法で、[リンクテキスト](URL “任意のタイトル”)という形式で記述します 20。タイトルは、マウスオーバー時にツールチップとして表示されます。
- 参照形式: ソーステキストをクリーンに保つために、URLの定義を文書内の別の場所に移動させる形式です。[リンクテキスト]と記述し、文書内のどこかで: URL “任意のタイトル”と定義します 6。
- 自動リンク: 多くのプロセッサはURLを自動的にリンクに変換しますが、明示的に行うにはURLを山括弧で囲みます: <https://www.example.com> 6。
4.2 画像:視覚要素の埋め込み
画像の構文はリンクとほぼ同じですが、先頭に感嘆符 (!) が付きます:  6。
- 代替テキスト (Alt text) は、画像が読み込めない場合に表示され、スクリーンリーダーにとって不可欠なアクセシビリティ情報です。
- 画像もリンクと同様に参照形式を使用できます: ![代替テキスト] 20。
Chapter 5: コードと整形済みテキスト
5.1 インラインコード
段落内で短いコード片を整形するには、バッククォート (`) で囲みます。例: const a = 1; 16。インラインコード内でリテラルのバッククォートを表示するには、二重のバッククォートで囲みます:
` 23。
5.2 コードブロック
オリジナルの仕様では、コードブロックを作成するために各行を4つ以上のスペースまたは1つのタブでインデントする方法が定義されています 24。現在では後述のフェンスされたコードブロックが主流ですが、これも基本仕様の一部です。
Chapter 6: 基本的なユーティリティ
6.1 文字のエスケープ
Markdown構文で特別な意味を持つ文字(例: *, #, _)をそのまま表示するには、その文字の前にバックスラッシュ (\) を置きます 6。例えば、
\*イタリックではない\*と書くと、*イタリックではない*と表示されます。
6.2 HTMLの統合
MarkdownはHTMLのスーパーセットとして設計されており、生のHTMLタグを文書内に直接埋め込むことができます 6。これは、下線 (
<u>) や文字色、複雑なテーブルなど、Markdownがネイティブでサポートしていない機能を実現するための強力な「抜け道」となります 19。ブロックレベルのHTMLタグ(
<div>や<table>など)は、前後のコンテンツと空行で区切り、インデントしないようにする必要があります 6。
Part III: 拡張構文とMarkdownフレーバー
このパートでは、オリジナルの仕様を超えて進化したMarkdownを探求し、現代的な実装で一般的になった強力な機能と、多様な「フレーバー」がもたらす複雑な状況を明らかにします。
Chapter 7: 一般的なMarkdown拡張機能
7.1 テーブル
多くの実装でサポートされているテーブル作成機能です。パイプ (|) で列を区切り、ハイフン (—) でヘッダー行を作成します。ヘッダーの区切り行でコロン (:) を使うことで、テキストの配置(左寄せ、中央寄せ、右寄せ)を制御できます 21。ただし、セル内の書式設定には制限があり、通常は見出しやリストのようなブロックレベル要素は使用できません。一部の実装では
<br>タグによる改行が可能です 19。
7.2 フェンスされたコードブロック
インデント方式よりも堅牢で一般的なコードブロックの作成方法です。コードを3つのバッククォート (“`) または3つのチルダ (~~~) で囲みます 23。この方法の最大の利点は、開始のバッククォートの後にプログラミング言語を指定する(例:
“`javascript)ことで、多くのレンダラーがシンタックスハイライト(構文の強調表示)を有効にできる点です 24。
7.3 追加のテキスト書式
- 打ち消し線: テキストを2つのチルダ (~~text~~) で囲むと、打ち消し線が引かれます 10。
- 下付き文字と上付き文字: 構文は様々ですが、~subscript~ や ^superscript^ といった記法が一般的です 10。ただし、サポートは一貫していないため、HTMLの
<sub>タグや<sup>タグを使用する方が確実です 23。 - ハイライト: テキストを2つの等号 (==text==) で囲んでハイライトします 10。サポートは限定的です。
7.4 対話的・意味的要素
- タスクリスト(チェックボックス): – [ ](未チェック)と- [x](チェック済み)を使用して、リスト内にインタラクティブなチェックリストを作成できます 10。これはGitHub Flavored Markdownの代表的な機能です。
- 脚注: [^1]で脚注への参照を作成し、文書内の別の場所で[^1]: これが脚注です。と定義します 23。
- 定義リスト: 用語を記述し、次の行にコロンと定義を続けることで作成します 10。HTMLの
<dl>, <dt>, <dd>タグとしてレンダリングされます。 - カスタム見出しID: ### 私の見出し {#custom-id}のように、見出しに手動でIDを指定して直接リンクできるようにします 10。
- 絵文字: 多くのプラットフォームでは、:joy:のような絵文字ショートコードがサポートされています 10。または、Unicodeの絵文字を直接貼り付けることも可能です 19。
Chapter 8: Markdownフレーバーの世界を航海する
8.1 方言の理解
厳格な公式仕様が存在しなかったため、Markdownには数多くの「フレーバー」または方言が生まれました。どの構文がサポートされるかは、執筆している環境(GitHub、VS Code、特定のブログプラットフォームなど)によって決まります 21。
8.2 CommonMark:標準化への推進
CommonMarkは、Markdownの明確で曖昧さのない、徹底的にテストされた標準仕様を作成するプロジェクトです 32。その目標は、異なるパーサ間の非互換性をなくすことです。多くの最新プラットフォームが、これをベースとして採用しています。
8.3 GitHub Flavored Markdown (GFM):事実上の標準
GFMはGitHubで使用される方言であり、最も人気があり影響力のあるフレーバーと言えるでしょう 21。これはCommonMarkの拡張として構築されています 32。GFMがCommonMarkに追加する主な機能には、テーブル、タスクリスト、打ち消し線、拡張自動リンクなどがあります 34。ただし、GFMの仕様書には内部的な矛盾があり、CommonMarkほど厳密に定義されていないため、一部のエッジケースは
github.com自体の挙動に依存しています 34。
Markdownの進化は、個人のためのシンプルな筆記ツールから、プロフェッショナルな文書作成システムへの成熟プロセスを示しています。当初の非公式な仕様は断片化を招きましたが、コミュニティはCommonMarkという標準化の試みで応えました。そして、業界の主要プレイヤーであるGitHubがその標準の上にGFMという強力なフレーバーを構築し、MicrosoftやGoogleのような大企業が詳細な内部スタイルガイドを公開するに至りました 13。これは、Markdownがもはや趣味のツールではなく、プロのソフトウェア開発や技術文書作成に不可欠なインフラの一部となったことを意味します。そのため、現代のユーザーにとって「Markdownを知っている」だけでは不十分であり、使用する特定のフレーバーを理解し、共同作業、保守性、明確性のためのベストプラクティスに従うことが、プロとしての能力の証となります。
8.4 主なMarkdownフレーバーの機能比較
以下の表は、ユーザーが異なる環境でどの機能が利用可能かを素早く確認するための実用的なリファレンスです。これにより、意図した通りに表示されない構文を書いてしまう問題を回避できます。
| 機能 | オリジナルMarkdown | CommonMark | GitHub Flavored Markdown (GFM) |
| 見出し | ✅ | ✅ | ✅ |
| リスト | ✅ | ✅ | ✅ |
| リンクと画像 | ✅ | ✅ | ✅ |
| テーブル | ❌ | ❌ | ✅ |
| フェンスされたコードブロック | ❌ | ✅ | ✅ |
| シンタックスハイライト | ❌ | ✅ | ✅ |
| 打ち消し線 | ❌ | ❌ | ✅ |
| タスクリスト | ❌ | ❌ | ✅ |
| 脚注 | ❌ | ❌ | 一部でサポート |
| カスタム見出しID | ❌ | ❌ | 一部でサポート |
Part IV: Markdownエコシステム:ツールとアプリケーション
このパートでは、言語そのものから、その使用を可能にする広大なソフトウェアのエコシステムに焦点を移し、ユーザーが特定のニーズに合った適切なツールを選択できるよう支援します。
Chapter 9: Markdownエディタの選択
Markdownエディタは、単純なテキスト入力ツールから、執筆ワークフロー全体を管理する統合環境へと進化しています。初期のエディタはテキストとプレビューを並べて表示するものが主流でしたが 4、VS CodeやObsidianのような現代的なツールは、拡張機能、スタイルチェック(リンティング)、バージョン管理、コマンドパレットといった、ソフトウェア開発者が使う統合開発環境(IDE)の特徴を備えています 29。これは、構造化された文章、特に技術文書の作成が、構造、ツール、バージョン管理、自動化を重視するソフトウェア開発のプラクティスに近づいていることを示しています。したがって、エディタの選択は単なる好みの問題ではなく、自身の執筆「スタック」を定義する戦略的な決定となります。
9.1 エディタのスペクトラム
- プレーンテキストエディタ: VS CodeやAtomのように、シンタックスハイライトプラグインで強化された基本的なエディタ 35。
- 2ペインライブプレビューエディタ: Markdownソースを片側に、レンダリングされたプレビューをもう片側に表示する古典的なモデル 4。
- シームレス/WYSIWYGエディタ: 入力と同時にMarkdownをレンダリングし、構文を隠すことでクリーンな執筆体験を提供するエディタ(例: Typora, Bear) 9。
- Webベース・共同編集エディタ: インストール不要で、リアルタイムの共同編集をサポートするオンラインツール(例: StackEdit, HackMD) 38。
- ナレッジ管理システム: Markdownを核として、相互にリンクされたノートや個人Wikiを構築するアプリケーション(例: Obsidian, Notion) 36。
9.2 主要なデスクトップアプリケーション
- Visual Studio Code (VS Code): 開発者に最適で、「Markdown All in One」のような拡張機能によりMarkdown編集能力が大幅に向上する、強力で無料のコードエディタ 36。
- Typora: クリーンなインターフェースと強力な機能(テーブル編集、ダイアグラムサポートなど)で知られる、独自の「シームレスライブプレビュー」エディタ 9。
- Obsidian: ローカルのMarkdownファイル上で動作するナレッジベースアプリケーション。ノート間のリンクを作成し、「第二の脳」を構築することに長けている 36。
9.3 AI搭載エディタの台頭
AIアシスタントをMarkdownワークフローに直接統合した新世代のツールが登場しています。これらは下書きの生成、コードの説明、テキストからの画像生成などを支援します。MD Editorがその代表例です 42。
9.4 Markdownエディタ機能比較表
この表は、ユーザーが自身のワークフローに基づいて戦略的なエディタ選択を行うためのものです。
| エディタ名 | 価格 | プラットフォーム | 主な特徴 |
| Visual Studio Code | 無料 | Win/Mac/Linux | 高い拡張性、Git統合、開発者向け |
| Typora | $14.99 | Win/Mac/Linux | シームレスライブプレビュー、WYSIWYG体験 |
| Obsidian | 無料 (有料同期) | Win/Mac/Linux/Mobile | ナレッジベース、双方向リンク、プラグイン |
| Notion | 無料〜 | Win/Mac/Web/Mobile | オールインワンワークスペース、共同編集 |
| iA Writer | 有料 | Mac/iOS/Win/Android | ミニマリスト、集中モード |
| StackEdit | 無料 | Web | オンライン、Google Drive/GitHub同期 |
| MD Editor | 無料〜 | Web | AIアシスタント、技術ブログ向け |
Chapter 10: 実用的なユースケースとワークフロー
Markdownのシンプルさと多用途性は、多様な分野で活用されています。
10.1 技術文書
- GitHub README: ソフトウェアプロジェクトの顔となるREADME.mdファイルの構成方法 43。
- Wikiとナレッジベース: GitHub WikiやConfluenceなどのプラットフォームで、チームの内部文書を作成 7。
- 静的サイトジェネレータ: JekyllやHugoなどのツールを使い、Markdownファイルのコレクションから完全なドキュメントサイトを生成 8。
10.2 コンテンツ作成
- ブログ: Ghost、WordPress、Medium、Zenn、Qiitaなど、Markdownをサポートするプラットフォームでの記事執筆 7。
- ノートテイキング: JoplinやObsidianなどのアプリケーションで、構造化されたメモを素早く取る 40。
10.3 学術・ビジネスコミュニケーション
- レポートとマニュアル: MarkdownからPDFにエクスポートして、印刷可能な文書を作成 2。
- プレゼンテーション: Reveal.jsのようなツールを使い、Markdownファイルからスライドショーを作成 41。
- コラボレーションツール: SlackやTrelloなどのツールでメッセージを整形 7。
- AIプロンプト: ChatGPTなどの生成AIへのプロンプトをMarkdownで構造化し、出力の質を向上させる 7。
Part V: Markdownの習得:スタイルとベストプラクティス
この最終パートでは、主要な組織やコミュニティの専門家によるスタイルガイドを統合し、プロフェッショナルで読みやすく、保守性の高いMarkdownを記述するための決定版ガイドを提供します。
Chapter 11: プロフェッショナルMarkdownのためのスタイルガイド
11.1 一貫性の原則
優れたドキュメントの基盤は一貫性です。スタイルガイド(GoogleやMicrosoftのものなど)を採用し、それに従うことが重要です 15。
markdownlintのようなリンティングツールを使って、スタイルルールを自動的に強制することもできます 41。複数の選択肢がある要素(例: 順序なしリストの記号)については、1つのスタイルを選んで一貫して使用します 14。
11.2 空白と読みやすさ
- 空行: 異なるブロック要素の間(段落とリストの間など)に単一の空行を入れることで、ソースコードの可読性が向上します 13。
- 要素の周囲のスペース: インラインコードやリンクの周囲にスペースを入れることで、レンダリング後のテキストとの区別が明確になります 22。
- タブ vs. スペース: レンダリングの問題を避けるため、常にスペースを使用し、ハードタブは避けます 13。
11.3 構造の整合性
- 見出しの階層: 見出しは順番に使用し、レベルを飛ばさないでください(例: H2からH4に飛ばない)。これにより、論理的な文書構造が維持されます 13。明確さのために、見出しの深さはH3またはH4に制限することが推奨されます。
- 文書レイアウト: 良い文書は、単一のH1タイトル、短い導入部、そしてH2のトピックという標準的な構造に従います 15。
11.4 行の長さと折り返し
行の長さを80〜120文字に制限します 13。これにより、
git diffの可読性が劇的に向上し、変更のレビューが容易になります。
11.5 高度なテクニックと「ハック」
純粋なMarkdownが望ましいですが、特定の結果を得るためにHTMLを使用する必要がある場合もあります。
- テキストの中央揃え: <center>タグやCSS (<p style=”text-align:center”>) を使用します 19。
- 画像のサイズ変更: <img> HTMLタグとwidth、height属性を使用します 19。
- コメント: [comment]: # (これはコメントです)という構文を使用して、出力には表示されないコメントを作成します 19。
- 複雑なテーブル: 複数行のコンテンツやリストを含むテーブルには、HTMLの<table>構文を直接埋め込みます 19。
結論
Markdownは、単なる構文の集合体ではなく、読みやすさを核とする執筆哲学であり、それを支える広大なツールエコシステムです。そのシンプルさは最大の強みであると同時に、多様な「フレーバー」を生み出す複雑さの源泉でもあります。Markdownを真に習得するには、その歴史的背景、方言による差異、そして進化し続けるツール群を理解することが不可欠です。
現代のMarkdownは、もはや個人のメモ書きツールにとどまりません。CommonMarkによる標準化の動き、GFMのような事実上の業界標準の確立、そして主要企業によるスタイルガイドの整備は、Markdownがプロフェッショナルな技術文書作成とソフトウェア開発の現場で不可欠な要素へと成熟したことを示しています。エディタが単なるテキスト入力ツールから、バージョン管理や自動化機能を備えた「執筆者のための統合開発環境(IDE)」へと進化している事実は、この変化を象徴しています。
したがって、これからのMarkdownユーザーに求められるのは、構文を覚えるだけでなく、自身の目的とワークフローに最適なツールを選択し、一貫性のあるスタイルで保守性の高い文書を作成する能力です。Markdownの世界は、今後もソフトウェア開発の実践と歩調を合わせ、さらなる標準化とツール統合の道を歩んでいくでしょう。
付録
Appendix A: 基本構文クイックリファレンス
| 要素 | 構文 |
| 見出し | # H1 ## H2 ### H3 |
| 太字 | **太字テキスト** または __太字テキスト__ |
| 斜体 | *斜体テキスト* または _斜体テキスト_ |
| 引用 | > 引用文 |
| 順序付きリスト | 1. 項目1 2. 項目2 |
| 順序なしリスト | – 項目 * 項目 + 項目 |
| インラインコード | `code` |
| 水平線 | — または *** |
| リンク | [タイトル](https://www.example.com) |
| 画像 |  |
| エスケープ | \*` |
Appendix B: 拡張構文クイックリファレンス
| 要素 | 構文 |
| テーブル | | ヘッダー1 | ヘッダー2 | | — | — | | セル1 | セル2 | |
| フェンスされたコードブロック | “`json { “key”: “value” } “` |
| 脚注 | 脚注付きの文章。[^1] [^1]: これが脚注です。 |
| 見出しID | ### 私の見出し {#custom-id} |
| 打ち消し線 | ~~打ち消されたテキスト~~ |
| タスクリスト | – [x] 完了したタスク – [ ] 未完了のタスク |
| ハイライト | ==ハイライトされたテキスト== |
| 下付き文字 | H~2~O (または <sub>2</sub>) |
| 上付き文字 | X^2^ (または <sup>2</sup>) |
引用文献
- Markdown 入门指南| Markdown指南中文版 https://www.markdown.xyz/getting-started/
- Getting Started | Markdown Guide https://www.markdownguide.org/getting-started/
- Markdown 语法参考 – Coding https://coding.net/help/docs/management/markdown.html
- MarkdownPad – The Markdown Editor for Windows http://markdownpad.com/
- Markdown 教程 https://markdown.com.cn/
- Markdown 語法說明 https://markdown.tw/
- What is Markdown? Convertible to Various Formats! Explanation of Benefits, Challenges, and Solutions! https://www.science.co.jp/en/document_blog/41977/
- What Is Markdown? Uses and Benefits Explained – Medium https://medium.com/@AlexanderObregon/what-is-markdown-uses-and-benefits-explained-947300e1f955
- Typora — simple yet powerful Markdown reader. https://typora.io/
- Markdown Cheat Sheet https://www.markdownguide.org/cheat-sheet/
- Markdown Basic Syntax – Doks https://getdoks.org/docs/reference/markdown-basic-syntax/
- Markdown記法一覧 – Qiita https://qiita.com/oreo/items/82183bfbaac69971917f
- Markdown のベスト プラクティス – PowerShell – Microsoft Learn https://learn.microsoft.com/ja-jp/powershell/scripting/community/contributing/general-markdown?view=powershell-7.5
- マークダウン(Markdown)記法完全チートシート – Qiita https://qiita.com/masterpiecehack/items/990683b706b70b88b4c7
- Markdown style guide | styleguide – Google https://google.github.io/styleguide/docguide/style.html
- 覚えてしまえばすごく楽!Markdown記法を使ってみよう – 運用ナビ https://un4navi.com/prologue/20079/
- Markdown Syntax for Files, Widgets, Wikis – Azure DevOps | Microsoft Learn https://learn.microsoft.com/en-us/azure/devops/project/wiki/markdown-guidance?view=azure-devops
- Basic Syntax – Markdown Guide https://www.markdownguide.org/basic-syntax/
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- Markdown Basics – Daring Fireball https://daringfireball.net/projects/markdown/basics
- 如何使用Markdown 語言撰寫技術文件 – Experience League – Adobe https://experienceleague.adobe.com/zh-hant/docs/contributor/contributor-guide/writing-essentials/markdown
- キレイなMarkdownを書く | 東京科学大学デジタル創作同好会traP https://trap.jp/post/2338/
- Extended Syntax – Markdown Guide https://www.markdownguide.org/extended-syntax/
- Markdown 扩展语法| Markdown指南中文版 https://www.markdown.xyz/extended-syntax/
- Markdown Reference – CommonMark https://commonmark.org/help/
- Markdown記法 特殊文字をエスケープする – Qiita https://qiita.com/miriwo/items/f94e8a924615b6806fc6
- Markdown記法と書き方 – ダッシュボード – DocBase https://help.docbase.io/posts/13697
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- Markdown Extended – Visual Studio Marketplace https://marketplace.visualstudio.com/items?itemName=jebbs.markdown-extended
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- CommonMark と GitHub Flavored Markdown (GFM) の違いと使い方 – sakakinox.net https://sakakinox.net/posts/p33/
- Markdown標準記法では物足りない開発者のためのMarkdown拡張記法まとめ(CommonMark、GFM、Extraなど) – NotePM https://notepm.jp/blog/6932
- GitHub Flavored Markdown は何であって何でないか #CommonMark – Qiita https://qiita.com/tk0miya/items/6b81e0e4563199037018
- Markdownエディタおすすめ10選!選び方も解説【2022年最新】 – ITプロマガジン https://itpropartners.com/blog/8457/
- 【2025年最新】マークダウンエディタ10選!書きやすさで比較 – ONES.com https://ones.com/ja/blog/tool-comparison/markdown-editors-comparison/
- Markdownが書ける「簡単・高機能・OS依存なし」のエディタ厳選4選! – 侍エンジニア https://www.sejuku.net/blog/77296
- 【ブラウザ専用】オンラインMarkdown(マークダウン)エディタ おすすめ4選 – NotePM https://notepm.jp/blog/1147
- StackEdit – In-browser Markdown editor https://stackedit.io/
- A collection of awesome markdown editors & (pre)viewers for Linux, Apple OS X, Microsoft Windows, the World Wide Web & more – GitHub https://github.com/mundimark/awesome-markdown-editors
- 【2025年版】Markdown(マークダウン)エディタ厳選まとめ<Win/Mac/iOS/Android> – NotePM https://notepm.jp/blog/724
- MD Editor – AI-Powered Markdown Editor for Tech Writers | MD Editor https://mdedit.ai/
- GitHubのReadmeをMarkdown記法で書く | ラーニンギフト株式会社[公式] | エンジベース、レックテレワーク https://learningift.com/blogs/06d6kcV21i9/github%E3%81%AEreadme%E3%82%92markdown%E8%A8%98%E6%B3%95%E3%81%A7%E6%9B%B8%E3%81%8F
- 【GitHub】README -マークダウン記法- – Zenn https://zenn.dev/n_haru2/articles/8443eea376ff53
- Tools – Markdown Guide https://www.markdownguide.org/tools/
- Markdown Documentation: Best Practices for Documentation – IBM TechXchange Community https://community.ibm.com/community/user/blogs/hiren-dave/2025/05/27/markdown-documentation-best-practices-for-document
- Markdown style guide – Gruntwork Docs https://docs.gruntwork.io/guides/style/markdown-style-guide
- Markdown best practices – PowerShell – Microsoft Learn https://learn.microsoft.com/en-us/powershell/scripting/community/contributing/general-markdown?view=powershell-7.5



